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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

うちゅうで ふわふわ うくのは、なぜ?

重力があるのに宇宙飛行士が浮くのは、「落ち続けている」から

無重量の正体は自由落下 ── ISSの高度でも重力は地表の約9割ある

分野:宇宙・天文

うちゅうステーションの 中では、人も ものも ふわふわ うかんで います。うちゅうには、じゅうりょくが ないのでしょうか。

じつは、ちがうと いわれて います。うかぶ ひみつを、いっしょに たどって みましょう。

宇宙ステーションの映像では、飛行士もペンも、ふわりと空中に浮いています。「宇宙には重力がないから」と思いたくなりますが、資料を見ると、話はそう単純ではありません。

ニュートンの大砲の考え方を手がかりに、浮いて見える理由と、地上でも似た状態を作れる仕組みを見ていきます。

国際宇宙ステーション(ISS)の飛行士が浮いて見えるのは、重力が消えたからではない。高度約400km付近でも重力は地表の約9割ある[1]。浮いて見えるのは、機体も人も物も、地球のまわりを一緒に自由落下しているためだ[1][3]。

このメモでは、ニュートンの大砲の思考実験[6]、ISSの速さ[4]、「無重力」でなく「微小重力」と呼ぶ理由[3]、地上での放物線飛行[5]を、NASAとJAXAの資料でたどる。

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1. うちゅうに じゅうりょくは ある?

1. 宇宙ステーションの高さでも、重力は地表の約9割ある

1. ISSの高度での重力 ── 地表の約90%

ステーションは、地きゅうから 400キロメートルほど 上を とんで います。とても 高い ところです。

それでも、そこの じゅうりょくは、地上の 九わりくらい あるそうです[1]。ほとんど かわりません。

じゅうりょくが ないから うくのでは ありません。では、なぜ うくのでしょうか。

高さ400kmで、重力は約9割

ISSが飛んでいるのは、地上から約320〜400kmの高さです。NASAの子ども向けの資料は、この高さでも地球の重力は地表の約90%あると説明しています[1]。

地球の半径は約6400kmなので、400kmは、地球の大きさにくらべれば少し上がっただけです。重力があまり弱まらないのは、そのためです。「宇宙は重力ゼロ」という思いこみは、ここで外れます。

NASAの教育資料によれば、ISSの高度(約200〜250マイル、約320〜400km)でも、地球の重力は地表の約90%ある[1]。地球の半径(約6,400km)に対して高度が1割にも満たないので、重力の大きさはあまり下がらない。

したがって、飛行士が浮く原因を「重力がないこと」に求めることはできない。無重量という状態は、重力の有無ではなく、別の仕組みで説明される。

2. みんなで いっしょに おちて いる

2. 浮いているのではなく、みんなで落ちている

2. 自由落下 ── 機体・人・物が同じように落ちる

ステーションも、人も、ペンも、みんな 地きゅうに むかって おちて います。ただし、まっすぐ 下では なく、地きゅうの まわりを まわる ように おちて います[1]。

みんなが おなじ ように おちるので、人は ゆかに おされません。それで、うかんで いるように 見えます[1]。

たとえば、ボールを 手から そっと はなして、人と ボールが いっしょに おちて いけば、ボールは 人の 前で ふわっと うかんで 見えます。本当の ステーションは、前へ すすみながら、ずっと おち つづけて います。

落ちているのに、床に近づかない

NASAは、宇宙船も乗組員も中の物も、みな地球に向かって、しかし地球のまわりを回るように落ちているのだと説明しています。全員がいっしょに落ちているので、乗組員と物は浮いて見えます[1]。

JAXAの用語集も、同じ考え方です。飛び続ける機体が地球の表面に沿って進む状態を自由落下と呼び、中の人は重さを感じなくなる、と書いています[3]。

乗り物の中で起きること

床も飛行士も同じ動きで落ちるので、床が飛行士を押し返すことがありません。重力が消えたのではなく、「重さを感じる場面」がなくなった、という言い方が近いでしょう。

NASAの説明では、宇宙船・乗組員・船内の物体はすべて、地球に向かって、しかし地球のまわりを回るように落下している。全員が一緒に落ちているので、乗組員と物は浮いて見える[1]。低学年向けの資料では、宇宙船は地面に向かって落ち続けるが決して当たらず、惑星のまわりを落ちる、と書かれている[2]。

JAXAの用語集は、機体が斜め方向へ飛び続け、結果として地球表面に沿って飛び続ける状態を自由落下と呼び、船内の人は重力から解放されて重さを感じない状態(無重量)になると説明する[3]。

床と人が同じ加速度で落ちれば、床が人を押し返す力は生じない。無重量とは「重力がない」のではなく「重さを感じない」状態を指す。

3. たいほうの たまが、じめんに おちない ふしぎ

3. ニュートンの大砲 ── 落ちても地面に当たらない

3. ニュートンの大砲の思考実験 ── 地面に当たらず回る速さ

とても 高い 山の 上から、たいほうを よこに うつと 考えて ください。たまは、とおくに おちます。

もっと 強く うつと、もっと とおくに おちます。地きゅうは 丸いので、じめんは、とおくで 下に まがって いきます。

ものすごく はやく うてば、たまは おちながら、じめんに あたらず、地きゅうを ぐるっと まわります[6]。これは、ニュートンが 考えた 話と して 知られて います。

ステーションは、この たまと おなじ ことを して います。

高い山から、横に撃つ

アイザック・ニュートンの思考実験として知られているのが、この大砲の話です。高い山の上から大砲を水平に撃つと、砲弾は少し先に落ちます。速さを上げるほど、もっと遠くに落ちます[6]。

地面は丸く、遠くでは下へ曲がっていきます。砲弾が十分に速ければ、落ちていく間に地面のほうも同じだけ曲がって逃げていき、砲弾は地面に当たらず地球を回り続けます[6]。この速さを「軌道速度」と呼び、地表付近ではおよそ秒速7.9kmとされています[6]。

ISSはこの弾と同じ

NASAは、ISSは「地表の曲がり方に合う速さ」で動くので、落ち続けても地面に近づかないと説明しています[1]。ISSは、大砲から撃たれた弾のようなものです。

ニュートンの大砲は、高い山の頂から大砲を水平に撃つ思考実験である。初速を上げると弾はより遠くに落ち、ある速さに達すると、地表の曲がりと落下が釣り合って弾は地面に当たらず、地球を周回し続ける[6]。地表付近の軌道速度は約7.9km/sとされる[6]。この思考実験が最初に記されたのが1687年の『プリンキピア』かどうかは資料で割れているため、ここでは年を断定しない。

NASAの説明では、ISSは「地球の表面の曲がり方に合う速さ」で動く[1]。周回とは、落下し続けながら、落下した分だけ地表も曲がって遠ざかる運動だ、と言い換えられる。

4. ステーションは、どれくらい はやい?

4. 秒速約8km、90分で地球を1周

4. ISSの速さと周期

ステーションは、1びょうで 8キロメートルほど すすみます。ものすごく はやいです[4]。

だいたい 90ぷんで 地きゅうを 一しゅう します。一日に 16しゅうも します[4]。

ぼくたちが ねて おきる あいだに、ステーションは 地きゅうを 16かい まわって いる ことに なります。

ものすごい速さで、ずっと横へ

NASAの資料によると、ISSは秒速約5マイル(約8km)で飛び、およそ90分で地球を1周して、1日に16周します[4]。時速に直すと、約2万8000〜2万9000kmです。

この速さがあるから、落ちていても地面に当たらず、軌道にとどまれます。もしこの横向きの速さが足りなければ、大砲の弾のように、いつかは地面に近づいてしまいます。

90分×16回

90分×16周=1440分、つまりちょうど24時間です。飛行士は、24時間のうちに16回の日の出と日の入りを見ることになります。

NASAの「Facts and Figures」では、ISSは秒速約5マイル(約8km、時速約1.8万マイル=約2.9万km)で、約90分で地球を周回し、1日に16周する[4]。90分×16=1440分で、24時間とほぼ一致する。

なお、資料によって速度の数値は多少ちがう(たとえば教育ページでは約17,500mph)。丸め方や高度の取り方の差と思われるので、ここでは「秒速約8km、時速約2.8〜2.9万km」の幅で書く[4][1]。

5. 「むじゅうりょく」じゃ ない ふしぎな なまえ

5. 「無重力」ではなく「微小重力」と呼ぶ理由

5. 微小重力という用語 ── ゼロと言い切らない理由

この ようすは 「びしょうじゅうりょく」と よばれて います。おちて いても、ほんの すこしだけ、ものの うごきに ずれが のこる、と いう いみです。

400キロメートルの 高さでも、うすい くうきが すこしだけ あります。ステーションは、その くうきに ぶつかって、ほんの ちょっと おそく なります[3]。

だから、ステーションの なかの 「おちる いきおいの ずれ」は、まったくの ゼロでは ない、と 考えて いるようです。

ゼロと言い切れない

JAXAは、この状態を「無重力」ではなく「微小重力」と呼んでいます。理由の一つは、高度400km付近にもごくわずかな高層大気があり、宇宙機はいつもその空気抵抗を受けて、ほんの少し減速することです[3]。

この減速で生じる加速度は、地上の重力にくらべてごく小さなものです。それでも、ゼロとは言えない量が残るので、「微小」(ごく小さい)という言葉が使われています。

「浮く」と「重力がない」は別の話

ここまでの流れを整理すると、ISSには重力がある、しかし落ち続けているので浮いて見える、そして完全なゼロではないので「微小重力」と呼ぶ、となります。

JAXAの用語集は、この状態を「無重力」ではなく「微小重力」と呼ぶ理由として、高度約400km付近にもごくわずかな高層大気があり、宇宙機が常にその抵抗を受けて減速の加速度が生じることをあげている[3]。

つまり船内の重さはほぼ打ち消されるが、空気抵抗による減速の分は残る。微小重力の理由はほかにもありうるが、今回の資料で確かめたのは空気抵抗の点だけなので、ここではそれだけを述べる。

6. ちじょうでも、おちれば ふわっと するの?

6. 地上でも「落ちる」ことで無重量は作れる

6. 放物線飛行と遊園地の乗り物で体験する短い無重量

ひこうきが、山の ような なみを えがいて とぶと、中の 人や ものが ふわっと うきます。JAXAは、この ひこうきで 十びょうから 二十びょうくらい つくれると せつめいして います[5]。

この あいだ、ひこうきの 中の 人と ものは、ぜんぶ いっしょに おちて います。ステーションと おなじ しくみです。

ゆうえんちの 高い ところから おちる のりものでも、にた ことが おきると、NASAは 書いて います[2]。

飛行機で、わざと落ちる

飛行機が放物線を描くように飛ぶと、機内の人と物は自由落下の状態になります。JAXAによれば、この状態の長さは、通常の民間ジェット機クラスで約20秒、プロペラ機では約10秒です[5]。

短いのは、落ち続けられる高さに限りがあるためです。ISSは地面に当たらないまま落ち続けていますが、飛行機は地面が近づくので、落ち続けられる時間が短くなる、と考えられます。

もっと身近な落下

NASAの子ども向け資料は、遊園地のフリーフォール型の乗り物でも、自由落下を体験できると紹介しています[2]。地上で無重量を作るには、短くても「落とす」のが近道、ということです。

自由落下すれば、地上でも中の物は無重量になる。JAXAの説明では、放物線飛行で得られる微小重力は、通常の民間ジェット機クラスで約20秒間、プロペラ機で約10秒である[5]。NASAの資料は放物線飛行機での自由落下を約20〜30秒としており[2]、機体や飛行方式による違いと考えられるため、ここではJAXAの数値を採る。

NASAの低学年向け資料は、遊園地のフリーフォール型ライドも自由落下を体験できる例に挙げている[2]。地上の落下では、原理はISSと同じだが、落ち続けられる時間は短い。

7. じぶんでも たしかめて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら ── 一次資料へ

きょう できる こと

こうえんの ブランコに のる ことが あったら、いちばん 高い ところから おりはじめる とき、おなかが ふわっと する 感じを おぼえて いますか。ゆっくり こいで、その ときの 体の 感じを 見て みましょう。ステーションの 中の 感じに、少しだけ にて いるかも しれません。

あぶないので、立って こがない、手を はなさない、大きく こぎすぎない ことを まもって ください。まわりに 人が いないか も たしかめて くださいね。

もっと しりたい とき

JAXAの ホームページに、「びしょうじゅうりょく」を せつめいした ページが あります。おうちの 人と いっしょに、よんで みましょう。

今日できること

公園のブランコで、いちばん高いところから下り始める瞬間の、おなかがふわっとする感じを観察してみましょう。宇宙飛行士の感覚とまったく同じではないでしょうが、「落ちているときの体の感じ」を思い出す手がかりになります。

安全のため、ゆっくりこぎ、立ちこぎや高くこぎすぎることは避けてください。

もっと調べるなら

JAXAの用語集「微小重力」と、JAXAのきぼう広報の放物線飛行の実験のページを読むと、この記事の数字の出どころが分かります。「自由落下」の言い方が、資料ごとにどう変わるかを比べてみるのも面白いでしょう。

読み比べ

JAXA有人宇宙技術部門の用語集「微小重力」[3]と、NASAの「What Is Microgravity?」(5〜8年生向け[1]と K-4向け[2])を読み比べると、同じ現象を学年に合わせてどう説明し直すかが分かる。

確かめたい点

ニュートンの大砲の初出の年は資料によって異なる。原典に当たって確かめる価値がある。空気抵抗のほかに、微小重力になる要因があるのかも、調べてみるとよい。

体験としては、公園のブランコで最高点から下り始める瞬間の感覚を観察できる。ゆっくりこぎ、立ちこぎや無理な高さは避けること。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実は次の資料で確かめました。ISSの速さなど数値は資料ごとに丸め方が異なります。

  1. NASA "What Is Microgravity? (Grades 5-8)" https://www.nasa.gov/learning-resources/for-kids-and-students/what-is-microgravity-grades-5-8/ (高度と重力の大きさ、自由落下の説明)
  2. NASA "What Is Microgravity? (Grades K-4)" https://www.nasa.gov/learning-resources/for-kids-and-students/what-is-microgravity-grades-k-4/ (落ち続けても当たらない説明、遊園地の例)
  3. JAXA 有人宇宙技術部門 用語集「微小重力」 https://humans-in-space.jaxa.jp/glossary/detail/000484.html (自由落下の定義、微小重力と呼ぶ理由)
  4. NASA "Space Station Facts and Figures" https://www.nasa.gov/international-space-station/space-station-facts-and-figures/ (ISSの速さ・周期)
  5. JAXA きぼう広報 放物線飛行の実験 https://iss.jaxa.jp/education/parabolic/experiment.html (飛行機による微小重力の長さ)
  6. Wikipedia "Newton's cannonball" https://en.wikipedia.org/wiki/Newton%27s_cannonball (大砲の思考実験の説明。二次資料のため、原典の確認は今後の課題)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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