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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ねている 人の 目は、なにを 見て いるの?

眠る人のまぶたの下で目が動く ── 夢の発見と、まだ決まっていない「なぜ」

夢はなぜ見るのか ── 1953年のレム睡眠の報告、ノンレム睡眠の夢、機能をめぐる仮説

分野:からだ

ねむって いる 人の まぶたを、よく 見て いると、下で 目玉が ぴくぴく 動いて いる ときが あります。

この 目の 動きを 見つけた 人たちが、ある ことに 気づきました。そこから、目の 動きが ゆめを しらべる 手がかりに なりました。ゆめを なぜ 見るのかは、今も はっきり して いません。

眠っている人のまぶたの下で、目玉が細かく動くことがあります。この動きを手がかりに、夢は科学の研究の対象になりました。

1953年の発見から、ノンレム睡眠でも夢を見るという新しい見方、そして「なぜ夢を見るのか」をめぐる複数の考えまで、順に見ていきます。最後の問いには、まだ答えが出ていません。

睡眠中に眼球が動く時間帯があり、その時間に起こすと夢の報告が多い ── 1953年の論文はそう報告した[1]。以来、夢はレム睡眠と結びつけて語られてきたが、ノンレム睡眠からも夢の報告が得られることが、その後の研究で示されている[2][3]。

この記事では、原論文の数字から出発して、報告率の幅、脳の活動の手がかり、夢の目的をめぐる仮説(脅威の予行演習・記憶・意識の原型)を、確かなことと仮説を分けて確かめる。

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1. まぶたの 下で、目が 動いて いた

1. 眠っている間に、目が動く時間があった

1. 1953年、アゼリンスキーとクライトマンの報告 ── 睡眠中の周期的な眼球運動

1953ねん、ふたりの 研究者けんきゅうしゃが、ねて いる 人の 目の 動きを しらべました。ねむって いる 間も、ときどき 目玉が 動く 時間が あったのです[1]。

そこで、目が 動いて いる 間に 人を 起こして、「今、なにか 見て いましたか」と きいて みました。27回 きいて、20回で、目に 見えるような くわしい ゆめの 話が 出て きました[1]。

ねて いる 間の 目玉の 動きは、ゆめと つながりが ありそうです。では、目が 動いて いない ときは、どうでしょう。

1953年、アゼリンスキーとクライトマンは、睡眠中に目玉が周期的に動く時間帯があることを報告しました[1]。成人20人が協力し、そのうち10人・14回の実験で、眠っている人を起こして質問しています[1]。

目玉が動いている間に起こして尋ねたのは27回で、そのうち20回で、映像をともなうくわしい夢の報告がありました[1]。約74%です。全員、毎回ではありませんが、まぶたの下の動きと夢との関係を疑うには十分な数でした。

では、目が動いていない時間に起こしたら、どうなったのでしょうか。

Aserinsky と Kleitman(1953年、Science 118巻273頁)は、睡眠中に周期的に現れる眼球運動の時間帯を報告した。対象は成人20人で、そのうち10人・14回の実験で睡眠中の被験者を起こして質問している[1]。

眼球運動中に起こして尋ねた27回のうち、20回で視覚的な映像を伴う詳しい夢の報告があった[1]。20 ÷ 27 ≒ 0.74で、約74%である。「全員が毎回夢を見ていた」ではなく、数で示された報告だという点が要になる。

この時間帯は、のちに急速眼球運動(REM)を伴う睡眠、つまりレム睡眠と呼ばれるようになった。対照になる、眼球が動いていない時間帯の結果を次に見る。

2. 目が 動かない ときは、どうだった?

2. 目が動いていない時間に起こすと

2. 対照としての「眼球運動なし」の時間帯 ── 23回中19回で想起なし

目が 動いて いない 間にも、人を 起こして きいて みました。目が 動いて いない ときも、23回のうち 19回は、ゆめを おぼえて いませんでした[1]。

目が 動いて いる ときは ゆめの 話が 多く、動いて いない ときは 少なめでした。この 論文ろんぶんでは、この ちがいは 見た 回数の 中では はっきり して いると 書いて あります[1]。

ただ、目が 動いて いない ときにも、ゆめの 話が 出る ことが ありました。あとからの 研究で、もっと はっきり して きます。

目が動いていない時間帯に起こした質問は23回でした。そのうち19回は、夢をまったく思い出せないという答えでした[1]。

目が動いていた時間と動いていない時間で、夢を思い出せた割合には、統計的にはっきりした差がありました(論文の検定でp値が0.01より小さい)[1]。目玉の動きと夢は、たまたま重なったのではなさそうだ、という結果です。

ここまでなら、「夢はレム睡眠にだけ現れる」という単純な話で終わります。ところが、その後の研究は、そう単純ではないと示していきます。

眼球運動のない時間帯に起こした23回のうち、19回は夢の想起が全くなかった。眼球運動の有無と夢の想起との間には、有意な関連があった(p < 0.01)[1]。19 ÷ 23 ≒ 0.83で、約83%が想起なしである。

ただし、これは20人・14回の実験という小さな規模の報告であり、対照の23回のうち4回は「想起が全くない」ではなかった[1]。この4回が後の研究の伏線になる。

3. ねむりは、くりかえし

3. 眠りは、レムとノンレムを繰り返す

3. 睡眠周期 ── 約90分(90〜120分とする資料もある)と、後半に長くなるレム睡眠

ねむりには、2しゅるいが あります。目が 動く 「レムすいみん」と、ぐっすり 休む 「ノンレムすいみん」です。

この 2つは、一ばん中 くりかえします。ひとまわりは、やく 90分と、厚生労働省こうせいろうどうしょうの サイトに 書いて あります[4]。朝に 近づくほど、レムすいみんの 時間は 長く なって いきます[4]。

ぴったり 90分では なく、人や 夜に よって ちがいます。

厚生労働省のe-ヘルスネットは、夢を見る「レム睡眠」と大脳を休める「ノンレム睡眠」が約90分の周期で入れ替わり、睡眠の後半に向かうほど、1回ごとのレム睡眠が長くなると説明しています[4]。

別のページでは、この周期を90〜120分とも書いています[4]。ぴったり90分ではなく、人や夜によって幅があるということです。

つまり、明け方に近い眠りほど、レム睡眠の時間が長い。夢の研究では、いつ起こすかが大事な条件になる理由の1つです。

e-ヘルスネットは、レム睡眠とノンレム睡眠が約90分周期で変動し、睡眠後半に向かって1回ごとのレム睡眠時間が増えると説明している[4]。別ページではノンレム-レム睡眠周期を90〜120分とも記しており、個人差や夜による幅を含んだ値だと読める[4]。

この記述は「レム睡眠が夢を見る睡眠」と読める書き方になっているが、次章のとおり、ノンレム睡眠でも夢の報告は得られている。行政資料の書きぶりは要約であり、研究の到達点をすべて表しているわけではない。

4. 目が 動かなくても、ゆめは 見る

4. ノンレム睡眠でも、夢を見ていた

4. 報告率は「レム約82%・ノンレム約43%」 ── 幅のある数字と、脳の後ろ側の手がかり

その後、いろいろな 研究が くりかえされました。ノンレムすいみんで 起こしても、ゆめの 話が 出て くる ことが わかって きました。

ある 研究では、ノンレムすいみんで 735回 起こして きくと、ゆめを 見たと 言った 人は、10回のうち 3回ちょっと でした。「ゆめは 見たけれど、なにか は おぼえて いない」が 4回ちかく、「なにも 見て いない」が 3回ぐらいです[3]。

つまり、「ゆめを おぼえて いない」からと いって、ゆめを 見なかった とは 言えないのです。

ニールセンが2000年にまとめた過去の研究の平均では、レム睡眠から起こしたときの夢や心の活動の報告率は約82%、ノンレム睡眠からは約43%でした。ただし、研究ごとにばらつきが大きい数字です[2]。ノンレム睡眠の報告率は、新しい研究ほど高くなる傾向もあります[2]。

シクラリたちの研究では、ノンレム睡眠中に735回起こして尋ねました。33.5%が夢を見たと答え、38.6%は「夢は見たが内容は思い出せない」、27.8%は何も経験していませんでした[3]。夢を見ているときは、レム睡眠でもノンレム睡眠でも、脳の後ろ側で低い周波数の活動が部分的に減っていたと報告されています[3]。

厚生労働省の説明では、ノンレム睡眠の夢はぼんやりしてとりとめのないものが多く、レム睡眠の夢はストーリーや感情をともなうものが多いとされています。ただし、これは傾向です[5]。

Nielsen(2000年)の総説は、過去の研究の平均として、レム睡眠からの覚醒時の夢・心的活動の報告率を81.9%(標準偏差9.0)、ノンレム睡眠からを43.0%(同20.8)と示した[2]。その差は約39ポイント。ノンレムの報告率は1962年以降の研究に限ると約51%で、研究が進むにつれて高くなっている[2]。報告されるのは「夢」より広い「心的活動」であり、標準偏差の大きさからも、研究間のばらつきが目立つ。

Siclari らの続報(PMC 掲載)では、ノンレム睡眠(N2・N3)で735回起こした調査で、夢の経験の報告が33.5%、「夢は見たが内容は思い出せない」が38.6%、何も経験していないが27.8%だった[3]。33.5+38.6=72.1%なので、内容を思い出せなくても夢を見ていたと答えた割合を含めると、約7割が何かを経験していたことになる。ただしこの数字は続報論文のもので、2017年の原論文(Nature Neuroscience 20巻872頁)の数字とは別である。原論文の本文は今回確認していない。

この続報は、レム睡眠でもノンレム睡眠でも、夢を見ているときは脳の後部で低周波(徐波)の活動が局所的に減ると述べている[3]。眠りの種類ではなく、脳のどの場所がどう働いているかが夢と関係するという見方につながる。また、e-ヘルスネットはノンレムの夢を「ぼんやりしてとりとめがない」ものが多く、レムの夢を「ストーリーや感情をともなう」ものが多いと説明するが、これも「多い」という傾向である[5]。

5. ゆめは、なんの ために 見るの?

5. 夢を見る理由には、いくつもの考えがある

5. 脅威の予行演習・記憶・原意識 ── 決着していない機能の仮説

では、ゆめは なんの ために 見るのでしょう。じつは、この 答えは、まだ 決まって いません。

「こわい ものに 出あう れんしゅうを して いる」と いう かんがえが あります[7]。「おぼえた ことを 頭の 中で かたづけて いる」と いう かんがえも あります[8]。「あたまの 中の ばらばらな うごきを、お話に まとめて いる」と いう かんがえも あります[8]。

ゆめの はたらきには いくつかの 説せつが あり、どれが 正しいかは 決まって いません。

「この 答えは まだ ない」と いう ことを 知っているのも、たいせつな 発見です。

夢の目的については、いくつもの考えが出されていますが、どれが正しいのかは決まっていません。

脅威の予行演習

レヴォンスオは2000年に、夢の内容は完全にでたらめではなく、ある種の要素が現実より多くなったり少なくなったりしていることなどから、夢の機能は危険な出来事を疑似体験して、察知や回避を練習することではないかという仮説を出しました[7]。研究者の間で合意はありません。

記憶と、意識のもと

夢が記憶を整理しているという考えもあります[8]。ホブソンは2009年に、レム睡眠は「原意識」と呼べる状態で、世界の仮想現実のような模型をつくり、起きているときの意識の発達や維持に役立つのではないかと述べました。これも仮説です[6]。

脳幹のランダムな信号を大脳が物語にまとめる、という説もあります[8]。

夢の機能については、複数の仮説が併存し、決着していない。ここでは、脅威の疑似体験、記憶の定着、脳幹からの信号を大脳が物語にまとめる説(活性化-合成説)を取り上げる[8]。

Revonsuo(2000年、Behav Brain Sci 23巻877頁)は、夢の内容が完全にでたらめではなく、ある種の要素が現実より多い/少ないことを根拠に、夢の生物学的機能は脅威の疑似体験による危険の察知・回避の予行演習だとする仮説を出した[7]。これは通説ではなく、研究者の間で合意はない。

Hobson(2009年、Nat Rev Neurosci 10巻803頁)は、レム睡眠を「原意識(protoconscious)」状態とみなし、世界の仮想現実モデルを提供して、覚醒時の意識の発達と維持に役立つのではないかという説を示した[6]。理論・仮説の段階である。

記憶については、Wamsley ら(2010年、Current Biology 20巻850頁)が、3D仮想迷路を学んだあと約1.5時間の昼寝をした参加者のうち、迷路の夢を見た人は、あとの成績の伸びが大きかったと報告している[9]。ただし関連の報告であり、夢が成績を上げた原因とは限らない。

6. あさ、ゆめを おぼえて いたら

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら ── 夢の記録と、原典

あさ、ゆめを おぼえて いた 日が あったら、おうちの 人と 話して みましょう。

まくらもとに、紙と えんぴつを おいて ねます。目が さめたら、すぐに、おぼえて いることを 一こと 書きます。「そら」「ともだち」「こわかった」など、ことばだけで だいじょうぶです。すぐ 起きなくても、目を あけて、ゆめを 思い出すだけでも いいです。

何も おぼえて いない 朝も あります。それは、ゆめを 見なかった とは かぎりません。思い出せなかった だけかも しれません。

夢を覚えていた朝があれば、目が覚めたらすぐに、覚えていることを短く書いておくと、あとで思い出しやすくなります。

  • 枕元に紙と鉛筆を置いておき、起きてすぐ、映像・音・気持ちのうち思い出せたものを1行ずつ書く。
  • 数日続けたら、何も思い出せない朝が何日あったかを数える。思い出せないことと、夢を見なかったことは同じではありません(前の章のシクラリらの調査でも、夢は見たが内容を思い出せない人が約4割いました)[3]。

資料としては、厚生労働省のe-ヘルスネットが日本語で読めます[4]。

確かめられることは、2つある。

  • e-ヘルスネットの2つのページ(睡眠のメカニズムとノンレム睡眠)を読み比べ、周期の値が「約90分」と「90〜120分」で書き分けられている理由を、自分なりに考える[4]。

夢の記録を数日つけると、思い出せる朝と思い出せない朝の差が実感できる。ただし、思い出せないことは夢を見なかったことを意味しない[3]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

論文・公的機関の資料。URLは調べた日(2026-09-29)に確認できたもの。

  1. Aserinsky, E. & Kleitman, N. (1953) Regularly occurring periods of eye motility, and concomitant phenomena, during sleep. Science 118:273(UCLA 所蔵の再掲PDF)。 https://www.semel.ucla.edu/wp-content/uploads/2026/01/53-aserinsky-kleitman-reprint.pdf (眼球運動中の27回中20回、非運動中の23回中19回、被験者数)
  2. Nielsen, T. A. (2000) A review of mentation in REM and NREM sleep. Behav Brain Sci 23:851(原PDF)。 https://www.dreamscience.ca/en/documents/publications/_2000_Nielsen_BBS_23_851-866_c-rem.pdf (レム約82%・ノンレム約43%の報告率、1962年以降の約51%)
  3. Siclari, F. ほか(2017年の Nature Neuroscience 論文の続報)。PMC 掲載。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6199409 (ノンレム睡眠735回の調査、脳の後部で低周波の活動が減ること)
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」。 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-002.html (約90分周期、後半に長くなるレム睡眠、90〜120分の記述)
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット(用語集ページ)。 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-048.html (ノンレム睡眠でも夢を見ること、レムとノンレムの夢の傾向の違い。検索結果の要約で確認)
  6. Hobson, J. A. (2009) REM sleep and dreaming: towards a theory of protoconsciousness. Nat Rev Neurosci 10:803(PubMed 要旨)。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19794431/ (原意識の仮説)
  7. Revonsuo, A. (2000) The reinterpretation of dreams. Behav Brain Sci 23:877(PubMed 要旨)。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11515147/ (脅威の予行演習の仮説)
  8. UCF Pressbooks(Lumen)心理学の教科書「Reading: Dreams」。 https://pressbooks.online.ucf.edu/lumenpsychology/chapter/reading-dreams/ (夢の機能をめぐる複数の説。検索結果の要約で確認)
  9. Wamsley, E. J. ほか (2010) Dreaming of a learning task is associated with enhanced sleep-dependent memory consolidation. Curr Biol 20:850(PubMed)。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20417102/ (迷路の夢と成績向上の関連。検索結果の要約で確認)

なおした ところ

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