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ワイドFMって なあに? ふるい ラジオで きこえない わけ

ワイドFMはなぜ始まったのか ── AMの聞こえにくさと震災、テレビ跡地の周波数

ワイドFM(FM補完放送)の成立 ── 都市型難聴・震災の教訓・アナログテレビ跡地の再利用

分野:技術

ふるい ラジオの ダイヤルは、90.0で とまります。その さきの 「90〜95」は、もとは テレビの ために あけて あった ばしょでした[4]。

その ばしょで、AMラジオの ばんぐみを ながす ことに なりました。なぜ でしょう。その わけが わかります。

古いラジオのダイヤルは、90.0MHzで止まることがあります。その先の帯は、かつて地上アナログテレビ放送が使っていた場所の一部で、放送が終わって空いた帯域を、ワイドFMが使っています[4]。

なぜAMラジオの番組を、わざわざFMでも流すことになったのでしょうか。ビルの中の聞こえにくさ、東日本大震災で見えた課題、テレビの放送が終わって空いた周波数が、どうつながったのかが分かります。

ワイドFMに対応しないラジオは、選局が90.0MHzで止まる[7]。ワイドFMが使う帯域の一部(制度化当初は90〜95MHz)は、地上アナログテレビ放送の跡地にあたる[4]。

ではなぜ、AM放送をFMで補う制度が2014年度に整ったのか。都市型難聴、震災で見えたAM送信所の課題、空いた周波数という3つの条件が重なった経緯が分かる。

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1. ビルの なかで、AMは どうして ざあざあ するの?

1. ビルの中でAMラジオが聞こえにくくなるのはなぜか

1. 都市型難聴 ── 遮へい・屋内の電界強度低下・電気雑音

マンションや ビルの なかで AMラジオを つけると、ざあざあと ざつ音が はいる ことが あります。

AMの 電波は、コンクリートの かべや ビルに さえぎられて、よわく なりやすい のです。パソコンや 家電が 出す ざつ音にも、まけやすい といわれます[2]。

これを 「としがたなんちょう」と いいます。そこで、ビルの 中でも とどきやすい ことが ある FMで、おなじ ばんぐみを ながせば よいと かんがえられました[5]。

鉄筋コンクリートのマンションやビルの中で、AMラジオに雑音が混ざった経験はないでしょうか。総務省の資料は、その原因に、ビルなどがAMの電波をさえぎること、鉄筋コンクリートの壁で屋内の電波が弱くなること、電子機器が出す電気雑音の影響を挙げています[2]。

こうした聞こえにくさは「都市型難聴」と呼ばれます。一方、FMの電波は、ビルなどの建物の中でも届きやすい傾向があり、電気雑音の影響も少ないとされます[5]。それなら、AMと同じ番組をFMでも流せば、聞こえにくさをやわらげられるかもしれません。ただし、実際の聞こえ方は場所や受信の環境によります。

ただ、この考えだけでは、ワイドFMが始まった理由の半分です。もう一つのきっかけは、2011年の震災でした。

AMラジオが都市部で聞こえにくくなる要因について、総務省の資料は、ビル等による遮へい、鉄筋コンクリート壁による屋内外の電界強度の低下、電子機器類の電気雑音を挙げる[2]。こうした要因で都市部のAMラジオが聞こえにくくなることは、都市型難聴と呼ばれる。

FM波はAM波に比べ、建物内でも届きやすい傾向があり、電気雑音の影響も少ないとされる[5]。そのため、AMと同内容をFMでも流す補完放送が、難聴対策として位置づけられた[1]。

ただし難聴対策だけでは、制度化の動機の半分にすぎない。もう一方の動機は、2011年の東日本大震災で見えた、送信所の立地の課題である。

2. 大きな じしんで、ラジオの なにが しんぱいに なったの?

2. 東日本大震災で、ラジオの送信所の何が課題になったのか

2. 東日本大震災の教訓 ── 低地・水辺に立つ中波(AM)送信所

2011ねんの 大きな 地震じしんの とき、ラジオは 大切な しらせの もとだと あらためて わかりました[3]。

いっぽう、AMの 電波を 出す とうは、かわの ちかくなど、ひくくて ひろい 土地に 立つ ことが おおいと いわれます[5]。津波つなみが きたら あぶない ばしょです。

FMの 電波は、山の うえや てっとうから 出せます[5]。そこで、AMを FMで たすける という かんがえが つよく なりました。

ただし、この ときに ぜんぶの AMきょくが とまった わけでは ありません。

東日本大震災では、ラジオが災害時の情報源として役に立つことが、あらためて認識されました。同時に、低い土地や水辺に立つ中波(AM)の送信所を、津波などからどう守るかという課題も見えました[3]。

AMの送信アンテナは、広い敷地が必要なため、川辺などに立つことが多いといわれます。FMの送信アンテナは、山の上や鉄塔に置けるので、低い土地や水辺の送信所にくらべ、津波による設備の被害を抑えられる場合があるとされます[5]。

震災後に開かれた検討会は、津波対策などとして、AM放送を補うFM波の利用を進めるよう提言しました[3]。ただし、震災でAM局がすべて止まった、という意味ではありません。

では、FMで補うとして、新しい電波の置き場はどこにあったのでしょうか。

総務省の白書は、東日本大震災でラジオが災害時の情報源として有用と認識された一方、低地・水辺に立地する中波送信所の防災対策の必要性が明らかになったとする。検討会の取りまとめは、津波対策等としてAMを補完するFM波の利用促進を提言した[3]。

立地の違いの背景として、AMの送信アンテナは広い敷地を要し川辺などに置かれるのに対し、FMは山頂や鉄塔に置くため、低地・水辺の送信所に比べ津波による設備被害を抑えられる場合があるとされる[5]。ただし、震災でAM局が全滅したわけではなく、停波の原因にも差がある点に注意が要る。

残る問題は、FM補完に使う周波数をどこに確保するかだった。

3. FMの あたらしい ばしょは、どこから きたの?

3. 新しいFMの置き場は、テレビの「あと地」にあった

3. V-Low帯域(90〜95MHz) ── アナログテレビ跡地の再利用と制度化

ラジオの 電波には、ばしょが きまって います。ふるい FMは、76〜90メガヘルツまででした[4]。

その さきは、テレビが つかって いた ばしょです。テレビの ほうそうが アナログから かわって、ばしょが あきました。その あきの 一部(はじめは 90〜95メガヘルツ)が ワイドFMに つかえる ことに なりました[4]。

あいた ばしょを ラジオが つかう ことに なり、2014ねんどに きまりが できました。

ラジオの電波は、周波数ごとに使える用途がきまっています。従来のFM放送は、76〜90MHzで行われていました。その先の帯は、地上アナログテレビ放送が使っていた帯の一部で、放送の終了後に空いたものです[4]。

空いた帯域の一部(制度化のころは90〜95MHz)に、都市型難聴や災害への対策のための用途を、総務省が割り当てました[4]。2013年には検討会が始まり、2014年度に、FM補完中継局として制度化されました[1][4]。

つまり、難聴対策、震災の教訓、空いた周波数という3つの条件がそろって、ワイドFMが形になったといえます。

ところが、始まった新しいFMには、思わぬ落とし穴がありました。

FM補完中継局は、地上アナログテレビ放送の跡地であるV-Low帯域の一部(90〜95MHz)や、従来のFM帯(76〜90MHz)を使い、災害対策または難聴対策を目的とするものが認められた[4]。2013年に「放送ネットワークの強靱化に関する検討会」が始まり、提言を経て、2014年度に制度化された[1][3]。

90MHzより上の帯は、地上アナログテレビ放送に割り当てられていた。アナログ放送の終了でその一部が空き、ワイドFMに使えるようになった。つまり、3つの条件(都市型難聴、震災の教訓、空いた周波数)が重なって制度が整った。

4. ふるい ラジオでは、どうして ワイドFMが きけないの?

4. 古いラジオではワイドFMが聞けないことがあるのはなぜか

4. 受信機側の条件 ── 90.1MHz以上に対応しているか

ワイドFMは、90.1メガヘルツ いじょうに あわせられる ラジオが ひつようです。90.0で とまる ラジオでは、きけません[7]。

むかしの ラジオは、FMが 90までだった ころの せっけいだから、と かんがえられます。

そのかわり、ワイドFMに あう ラジオで、ステレオの ばんぐみを きくなら、おとが きれいで、ざつ音が すくない ことが あり、ビルの なかでも きこえやすいと いわれます[7]。

ワイドFMを聞くには、90.1MHz以上に対応したラジオが必要です。ダイヤルが90.0MHzで止まる古いラジオは、対応していません[7]。

これは、FMが90MHzまでだったころの設計によるものと考えられます。家にあるラジオが対応しているかどうかは、周波数の目盛りの上限で見分けられます。

対応するラジオでFMステレオ放送を聞くなら、音が鮮明で雑音が少なく、ビルやマンションでも受信しやすい場合があるとされます[7]。

パナソニックの案内によれば、ワイドFMの聴取には、90.1MHz以上に対応したラジオが要る。選局が90.0MHzで止まる機器は非対応である[7]。従来のFMが90MHzまでだったころの設計によると考えられる。

対応機での利点として、FMステレオで音が鮮明、雑音が少ない、ビルやマンションでも受信しやすい、津波・地震などの災害の影響を受けにくい、が挙げられている[7]。ただし、これはメーカーの案内であり、災害時の実際の影響は場所や条件による。

5. ワイドFMは、いつ はじまったの?

5. ワイドFMの放送は、いつ、どこから始まったのか

5. 放送の開始 ── 2015年10月の東海、同年12月の東京

2015ねん10がつ1にちから、名古屋の ほうでは CBCラジオと 東海ラジオが、ワイドFMを はじめました[6]。

おなじ としの 12がつ7にちには、東京で TBSラジオ、ニッポン放送、文化放送が はじめました。3つの きょくが いっしょに、東京スカイツリーに アンテナを つけました[4]。

ながれる のは、AMと おなじ ばんぐみです。あたらしい きょくでは ありません[1]。

東海地方では、CBCラジオ(93.7MHz)と東海ラジオ(92.9MHz)のFM補完中継局が、2015年10月1日から本放送を始めました[6]。

東京では、同じ2015年の12月7日に、TBSラジオ、ニッポン放送、文化放送が放送を始めました。3局は共同で東京スカイツリーにアンテナを置きました[4]。

流れるのは、AMと同じ内容の同時放送です。新しい局ではありません[1]。

ラジオ局の側にも、ねらいがありました。ラジオ広告費が減ってきたなか、ワイドFMはその流れを変えるきっかけとしても期待されたといいます[4]。

東海では、CBCラジオ(93.7MHz)と東海ラジオ(92.9MHz)のFM補完中継局が、2015年10月1日から本放送を始めた[6]。東京では、TBSラジオ・ニッポン放送・文化放送の在京3局が、同年12月7日に、共同で東京スカイツリーに設置したアンテナから放送を開始した[4]。

内容はAMと同じ同時放送で、置き換えではない[1]。事業者の側には、ラジオ広告費が減少してきたなか、ワイドFMを反転の契機としたい期待もあった[4]。

6. このあと、AMラジオは どう なるの?

6. ワイドFMのあと、AMラジオはどうなるのか

6. 2021年の発表 ── 民放AM局のFM転換構想と、残る問い

2021ねんに、ぜんこくの AMラジオきょくの うち 44しゃが、2028ねんの あきを めどに FMきょくに かわる ことを めざすと はっぴょうしました[5]。

ただし、これは めざして いる 目ひょうです。AMが かならず なくなる という ことでは ありません。

2021年には、TBSラジオ、ニッポン放送、文化放送を含む民放AMラジオ局の44社が、2028年秋をめどにFM局への転換を目指すと発表しました[5]。ワイドFMで多くの民放AM局がFMを使っていることが、その前提になっています。

ただし、これは目標であって、AMが必ずなくなるという決定ではありません。

2021年、在京3局を含む民放AMラジオ局44社が、2028年秋をめどにFM局への転換を目指すと発表した(北海道放送・STVラジオ・秋田放送は含まれない)。多くの民放AM局がワイドFMを行っていることが前提だった[5]。

ただし、これは目標の段階であり、AM放送の終了が決まったことを意味しない。なお、2014年度の制度化の際の周波数は90〜95MHzだが、総務省のFM補完中継局整備のページは、現在は90.0〜99.0MHz対応の受信機が必要と案内している[1]。FM転換を見こんで、時期によって使う範囲が広がった点に注意して資料を読む必要がある。

7. うちの ラジオを しらべて みよう

7. 家のラジオの目盛りと、ビルの中の聞こえ方を調べる

7. 出口 ── 受信機の目盛りの確認と、一次資料の読みどころ

おうちの ラジオの めもりを 見て みましょう。FMの めもりが 90までなら、ワイドFMに たいおうして いない かも しれません。90より 大きい 数まで あれば、きけるかも しれません。

ラジオの 声を よく きく ために、ラジオを まどの ちかくに うごかして みても よいです。かならず、おうちの 人と いっしょに して ください。

もっと 知りたく なったら、[1]の くにの ページを、おうちの 人と 見て みましょう。

家にラジオがあれば、FMの周波数の目盛りを見てください。最大が90MHz付近なら、ワイドFMには対応していない可能性があります。

AMとFMの両方を聞けるラジオがあって、マンションや鉄筋の建物にいるなら、同じ番組をAMとFMで聞きくらべ、雑音の量や聞こえ方を書き出してみるのもよい方法です。ただし、電波の状態は場所や時間で変わるので、一度だけで決めつけないようにしましょう。

資料を読むなら、制度の目的は総務省のページ[1]、2015年の開局は総務省の報道資料[6]が日本語で読めます。

受信機の周波数目盛りの上限を確認し、90.0MHzで止まるか、それ以上に対応するかで、ワイドFMが聞けるかの見当をつける[7]。建物内でAMとFMを聞きくらべる際は、場所と時間を変えて複数回試し、電波環境の違いを考慮したい。

資料を読むなら、制度の目的と周波数は総務省のFM補完中継局整備ページ[1]、震災の教訓と検討会の提言は情報通信白書(平成27年版)[3]、AMとFMの立地や2021年の発表はAV Watchの記事[5]が日本語で読める。本文で触れなかったのは、開始時点の対応局数や受信機の普及率で、さらに調べる価値のある問いだ。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:総務省の資料、パナソニックの案内、報道記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 総務省「FM補完中継局の整備」。https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-seibi.html (制度の目的、同時放送であること、周波数について)
  2. 総務省 東海総合通信局 報道資料「AMラジオのFM補完中継局に予備免許」。https://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/kohosiryo/29/1208.html (都市型難聴の要因について)
  3. 総務省 情報通信白書 平成27年版「放送ネットワークの強靱化」。https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc384300.html (震災の教訓と検討会の提言、制度化の流れについて)
  4. マイナビニュース(2016年1月20日)。https://news.mynavi.jp/article/20160120-radio (テレビ跡地の周波数、東京の開始、広告費について。報道)
  5. AV Watch(インプレス)「AMラジオ局のFM転換についての会見」(2021年)。https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1332342.html (AMとFMの違い、2028年秋をめどとする転換構想について。報道)
  6. 総務省 東海総合通信局 報道資料(2015年9月25日)。https://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/kohosiryo/27/0925.html (東海地方の開始日と周波数について)
  7. パナソニック「ワイドFMのご案内」。https://panasonic.jp/compo/pickup/widefm.html (対応する受信機と聞こえ方の利点について。メーカーの案内)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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