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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

オーロラは どうして 緑みどりや 赤に 見えるの? 高さと 色の ひみつ

同じ酸素が緑にも赤にも光る ── オーロラの色を決める「待ち時間」と空気の濃さ

オーロラの色と発光高度 ── 酸素の緑(557.7nm)・赤(630.0nm)と励起状態の寿命、衝突消光

分野:宇宙・天文

オーロラの カーテンは、まん中あたりが 緑みどりで、上の ほうが 赤く 見えることが あります。下の ふちが、紫むらさきっぽい ことも あります。

緑も 赤も、同じ 酸素さんそが 出す 光です。それなのに、どうして 光る 高さが ちがうのでしょうか。

オーロラの写真には、緑のカーテンの上に赤い光がのっていたり、下の縁が紫がかっていたりするものがあります。色が分かれて見えるのは、光る高さがちがうからだといわれています[3]。

ふしぎなのは、緑と赤のどちらも、同じ酸素原子が出す光だということです[3]。同じ酸素が、なぜ高さで使い分けられるのか。鍵は、光るまでの「待ち時間」にありました。

オーロラの主な色は、酸素原子が出す緑(波長557.7nm)と赤(630.0nm)で、窒素は青や深い赤系の光を出す[3]。緑が下、赤が上に出やすいという傾向は、複数の資料で共通している[1][2]。

同じ酸素なのに高さが分かれるのはなぜか。励起状態の寿命と衝突消光という2つの考え方で整理し、低緯度の赤いオーロラと、2023年12月に北海道で観測された高い赤まで追う。

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1. オーロラの 色は 高さで ならんで いる

1. 緑・赤・紫は、空の高さ順に並ぶ

1. 色の層 ── 緑・赤・紫と高度の目安

オーロラは、地球の 空の とても 高い ところで 光ります。ひこうきよりも ずっと 上です。

いちばん よく 見えるのは、緑の 光です。赤い 光は、それよりも 高い ところで 出ます。カーテンの 下の ふちは、むらさきに なる ことが あります。

ただ、「何キロメートルから 何キロメートルまで」という 数字は、しりょうに よって 少しずつ ちがいます。この 記事では じゅんばんだけ おぼえて ください。たいてい 下から、紫むらさき、緑、赤の じゅんに なりますが、いつも 同じとは かぎりません。

オーロラの光は、地上100km以上の高い空で出ています。そのなかで、いちばんよく見られる色は緑です。赤はそれより高いところで光り、カーテンの下の縁には、紫がかった光が出ることがあります[1]。

高さの数字は、資料によってずれます。緑は「100〜150km」とする解説もあれば、「120〜400km」とする資料もあります[2][1]。ここでは数字を覚えるより、下から紫、緑、赤という順番をつかんでください。

では、なぜ色が高さで分かれるのでしょうか。次の章で、酸素の2つの光から見ていきます。

NOAAの解説では、最も多く見られる緑(酸素、557.7nm)は高度およそ120〜400kmに出て、赤(酸素)は300km以上に限られる[1]。別の解説では、緑は100〜150km、赤は150〜250kmから上で、600kmを超えることもあるとされる[2]。WebExhibitsは、緑を約120〜180km、赤をそれより上、青や紫を約120km以下に多いとする[3]。

数字は資料ごとに幅があるので、本稿では「目安」として扱う。共通しているのは、一般に青紫が低い側、緑がその上、赤がさらに高い側に現れやすいという点である。下の縁の紫がかった光は、窒素分子の発光とされる[1]。国内の研究者の解説も、オーロラは多くが高度約100〜300kmで生じるとしている[4]。

2. 同じ 酸素さんそが、緑と 赤の 2つを 出す

2. 酸素原子は2つの色を出す ── ただし待ち時間がちがう

2. 酸素の2つの遷移 ── 寿命は約1秒と約110秒

空気の なかには、酸素さんそが あります。オーロラでは、空の 上から 電子が ふって きて、空気の つぶに ぶつかり、酸素さんそに 力を あたえると いわれます。力を もらった 酸素さんそは、光を 出して もとに もどります。

ふしぎなのは、酸素さんそが 光る 色が 2つ あることです。緑と、赤です。

ちがいは、光る までに 待つ 時間です。緑は およそ 1秒で 光ります。赤を 出す ときの 酸素さんそは、緑より 長生きで、およそ 2分も 待つと されて います。1秒と くらべると、ずいぶん 長い 時間です。

オーロラの光は、降りこんできた電子が空気中の原子や分子にぶつかり、エネルギーをあたえることで出ています。酸素原子は、そのエネルギーを光に変えるときに、緑と赤の2つの色を出せます[3]。

2つの色のちがいは、光るまでの待ち時間にあります。緑を出す状態は、およそ1秒で光ります。赤を出す状態は、およそ110秒、つまり2分近く待ってから光ります[2]。ほかの資料では、赤の待ち時間を150秒以上とするものもあり、数字には幅があります。

1秒と2分。この差が、色を高さで分けるカギになります。

オーロラの主な色は、酸素原子が出す緑(557.7nm)と赤(630.0nm)である[3]。窒素は青や深い赤系の色を出す[3]。緑を出す励起状態(1S)の寿命は約1秒、赤を出す状態(1D)は約110秒とされる[2]。NOAAは赤の寿命を150秒以上と説明しており、資料により0.7〜1秒、110秒〜150秒以上と幅がある。

同じ酸素原子でも、状態によって光り出すまでの時間が2桁ちがうことだ。約110秒は約1秒の110倍で、およそ2桁にあたる。

3. 空気が こいと、赤は 光れない

3. 空気がこい低い所では、赤は光る前に消えてしまう

3. 衝突消光 ── 赤が高い所でしか出ない理由

それでは、はじめの 問いに もどります。同じ 酸素さんそなのに、どうして 赤は 高い ところだけなのでしょうか。

空は、上へ 行くほど 空気が うすく なります。ひくい ところは 空気が こく、小さな つぶが ぎゅうぎゅうに つまって います。

ためして みましょう。たとえば、ボールを もって 2分 まつ 子を 思いうかべます。せまくて 人が いっぱいの 教室では、まつ あいだに 人と ぶつかって、ボールを 落として しまいます。ひろい 校庭なら、ぶつからずに 2分 待てます。赤い 光を 出す 酸素さんそも、同じです。ただし ほんとうは、ぶつかって なくすのは ボールではなく、光に なる はずの エネルギーです。

だから 赤い オーロラは、空気が うすい 高い ところで 見えやすいのです。緑を 出す ときの 酸素さんそは 1秒ほどしか もたないので、赤より ひくい ところでも 光りやすいのです。

ここで、入口の問いに答えます。赤を出す酸素は、光るまでに2分近くかかります。空の低いところは空気が濃く、原子や分子が近くにたくさんあります。待っている間に他の粒とぶつかり、エネルギーを失ってしまうため、赤い光は出にくくなります[1][2]。

たとえるなら、ボールを持って2分立っている子が、人でぎゅうぎゅうの教室と、だれもいない校庭にいる場合です。教室ではだれかにぶつかってボールを落としますが、校庭なら最後まで持っていられます。ただし本当に失われるのはボールではなく、光になるはずのエネルギーです。

緑は1秒ほどで光るので、空気が少し濃くても、ぶつかる前に光れます。赤が高いところに、緑がそのやや下に出るのは、この待ち時間のちがいが理由の一つだと説明されています[1]。色の分かれ方は、空気の成分と、上ほど薄くなる密度の変化に関係するとも述べられています[3]。

NOAAは、赤(1D状態の酸素)が高度300km以上に限られる理由を、低い高度では、光子を出す前に他の原子・分子と衝突するためと説明する[1]。Atmospheric Opticsも、低い高度ではエネルギーが衝突で失われ、赤い光を出す機会がないと述べる[2]。この現象は衝突消光と呼ばれる。

空気の密度は高度とともに指数的に小さくなるので、寿命の長い状態ほど、より高い所でないと生き残れない。約1秒の緑は比較的低い所でも光れるが、約110秒の赤は、衝突の少ない高所で優勢になる。WebExhibitsも、色の差は大気の成分と、上ほど薄くなる密度に関係するとする[3]。

ここでは、寿命と衝突のちがいで説明できる範囲にとどめる。

4. 下の ふちが むらさきに なるのは?

4. カーテンの下の縁に現れる紫がかった光

4. 下縁の赤紫 ── 窒素分子の発光

カーテンの いちばん 下の ふちが、むらさきや 赤むらさきに なる ことが あります。

これは、空気の おもな ざいりょうの ひとつ、ちっそという 気体の つぶが 光った ものだと せつめいされて います。

ここまでで、色の じゅんばんが 見えて きました。下が むらさき、まん中が 緑、上が 赤です。

カーテンの下の縁が、紫がかった赤紫に見えることがあります。この光は、窒素の分子が出すものと説明されています[1][2]。

窒素は空気の主な成分の一つです。国内の解説でも、窒素が光ると青になるとされています[4]。緑や赤を出す酸素とは別の仲間が、カーテンの低い部分で光っていることになります。

これで、色の順番の理由が見えてきました。下は窒素の紫、その上は酸素の緑、いちばん上は待ち時間の長い酸素の赤です。ただし縁の高度は資料で食いちがうので、ここでは数字を書きません。

カーテン下縁の紫がかった光は、窒素分子が出すとNOAAは説明し[1]、Atmospheric Opticsも、通常の緑のカーテンの下に深い赤紫の縁ができると述べる[2]。WebExhibitsは、青や紫が約120km以下に多いとする[3]。

国内の解説でも、酸素が光ると赤、窒素が光ると青になるとされる[4]。ここでは色の分類が簡略化されており、酸素が緑を出すことは別の資料[1][3]で確かめた。縁の高度は、NOAAは120〜200kmとするが、他の資料と食いちがうため、本稿では数値を採らない。

5. 北海道で 赤い オーロラが 見えるのは なぜ?

5. 北海道でオーロラが赤く見える理由

5. 低緯度オーロラ ── 赤が主役になる条件

日本の 北海道でも、ときどき オーロラが 見えます。そのときの 色は、たいてい 赤です。

北海道は、オーロラが よく 出る 北の 地方より、ずっと 南です。研究者の せつめいでは、ここまで とどく 力の 大きい 電子は かぎられて います。

赤く 見える わけは、ひとつでは ないと 考えられて います。研究者の せつめいでは、酸素さんそが 光ると 赤く なります。赤い オーロラは、数分 いじょう つづくことが あるそうです。

北海道のような南の地域で見えるオーロラは、低緯度オーロラと呼ばれ、赤いことが多いです。研究者の解説では、そこまで届く高エネルギーの電子が限られていて、主に酸素が光るため赤くなるとされています[4]。赤いオーロラは、数分以上続くともいわれます[4]。

もう一つの説明もあります。あらせ衛星の特集では、とてもエネルギーの低い電子が大量に降ってくることで、酸素原子が励起されて赤く光る場合がある、と紹介されています[5]。そうした電子は、オーロラの帯に降る電子の10〜100分の1以下のエネルギーです。

どちらも赤い低緯度オーロラの説明ですが、考えている発生のしくみはちがいます。どちらの説明でも、赤い光には酸素が関わっています。

低緯度(北海道など)のオーロラが赤いのは、到達する高エネルギー電子が限られ、主に酸素が関与するためと説明される[4]。赤いオーロラは、数分以上続くとされる[4]。

ISAS/JAXAのあらせ特集によれば、数十電子ボルト以下の低エネルギー電子が大量に降り込み、酸素原子が励起されて光る場合があり、そのエネルギーはオーロラ帯の電子の10〜100分の1以下である[5]。このように、赤い低緯度オーロラには複数の発生機構が考えられている。この2つが、どの事例にどの程度あてはまるかは、本稿では判断しない。

6. 空の ずっと 高い ところで 光る 赤

6. 2023年12月、いつもよりずっと高い赤

6. 2023年12月1日の磁気嵐 ── 高度400〜600kmの赤

2023年の 12月1日、日本の 北海道から、とても 明るい 赤い オーロラが 見えました。

ふつうの 赤い オーロラは、地上から およそ 200キロメートルの 高さで 光ります。でも この日の 赤は、400から 600キロメートルの ところで 光って いたと 研究で しらべられました。ふつうの 2倍から 3倍の 高さです。

高い ところで 光って いた ことが、広い はんいから 見えた 理由の ひとつと されて います。

2023年12月1日には、磁気嵐にともなって、北海道から異常に明るい赤いオーロラが見られました。国立極地研究所の研究で、そのオーロラが光っていた高さは400〜600kmと調べられています。通常の赤い発光の高度は約200kmで、それより高い特異な例でした[6]。

通常よりずっと高い場所で光っていたことが、広い範囲から見えた理由の一つとされています[6]。

待ち時間が長い赤は、空気がとても薄い高さなら、思いきり光れます。低緯度で見える赤いオーロラは、そんな高い所の光を見ているのだ、と考えると、この記事の入口の問いにつながります。

国立極地研究所の研究成果によれば、2023年12月1日の磁気嵐で北海道から見えた赤いオーロラは、発光高度が400〜600kmで、通常の赤いオーロラの約200kmよりはるかに高かった。これが、広い範囲から見えた理由の一つとされた[6]。400÷200=2、600÷200=3なので、通常の2〜3倍にあたる。

ここまでの整理から、寿命の長い赤い光は空気の薄い高所で出やすく、低緯度では高所に出た光が見えると考えられる。ただしこの因果は、本稿の読みであり、個別の事例で確かめられたものとは限らない。なお、この研究は2023年12月の事象であり、2024年5月の磁気嵐とは別である。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

オーロラの 写真を 見つけたら、「どこが 緑で、どこが 赤か」を 見て みましょう。下から 上へ、色が どう ならんで いるかを、ノートに ぬって みます。

国立きょくち研究所や 名古屋大学の 研究者の ページには、オーロラの 写真や せつめいが あります。しらべる ときは、おうちの 人と いっしょに 見て ください。

今日できること:オーロラの写真を見て、色を下から上へ塗り分けてみましょう。緑の上に赤、下の縁に紫という順番が、どの写真でもあてはまるか確かめてみます。

調べる先:国立極地研究所、名古屋大学ISEE、JAXA宇宙科学研究所のページには、日本語の解説があります。数字が資料でちがう場合は、どちらも書き写して比べてみてください。

今日できること:オーロラの写真を数枚見比べ、色の並び(下:紫、中:緑、上:赤)がどこまで当てはまるか眺めてみるとよい。撮影場所が低緯度か高緯度かも見ておくと、赤の出方の違いが見えてくる。

資料を読むなら:国立極地研究所の研究成果(2024年6月)、名古屋大学ISEEの解説、ISAS/JAXAのあらせ特集は日本語で読める[6][4][5]。日本語の資料でも、高度などの数値が本文と少し違って見えることがある。違いを自分で表にして比べてみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

高度や寿命などの数字が資料でちがう場合は、本文で「目安」とした。

  1. NOAA Space Weather Prediction Center, Aurora Tutorial. https://www.spaceweather.gov/content/aurora-tutorial (色ごとの高度、赤が高所に限られる理由、下縁の紫)
  2. Atmospheric Optics, Glowing Gases - Aurorae. https://atoptics.co.uk/blog/glowing-gases-aurorae/ (励起状態の寿命、高度の別の目安、衝突による消光)
  3. WebExhibits, What causes the colors of the aurora? https://www.webexhibits.org/causesofcolor/4D.html (酸素と窒素の色、波長、大気の成分と密度)
  4. 名古屋大学 宇宙地球環境研究所(ISEE)塩川和夫氏「オーロラと低緯度オーロラの解説」. https://stdb2.isee.nagoya-u.ac.jp/member/shiokawa/aurora_kaisetu.htm (酸素・窒素の色、低緯度オーロラが赤い理由)
  5. ISAS/JAXA あらせ特集「赤いオーロラの発生原因の探査」. https://www.isas.jaxa.jp/feature/special_issues/arase/arase_24.html (低エネルギー電子による赤いオーロラ)
  6. 国立極地研究所 研究成果(北海道から目撃された異常に明るいオーロラの成因). https://www.nipr.ac.jp/info2024/20240624.html (2023年12月の赤いオーロラの発光高度)

なおした ところ

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