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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

イヤホンの なまえは 「青い 歯」? ── ブルートゥースの ふしぎ

ブルートゥースはなぜ「青い歯」なのか ── 王の名前と、1秒に最大1600回跳ぶ電波

Bluetoothの名前の由来と周波数ホッピング ── ハーラル王のあだ名、最大1600回/秒のチャンネル切り替え、コーデックとダイナミック型ドライバー

分野:技術

ワイヤレス イヤホンの 「ブルートゥース」は、むかしの 外国の 王さまの あだ名から きた なまえだと いわれます。あだ名は、「青い 歯」です。

しかも イヤホンの 電波は、1びょうの うちに、さいだいで 1600回も、つかう みちを とびうつって います。どうして そんな ことを するのでしょう。なまえの わけから、耳の 中で 音が できる ところまで、分かります。

ワイヤレスイヤホンでおなじみのBluetooth(ブルートゥース)は、10世紀のデンマーク王のあだ名「青い歯」から名前をもらった、といわれます。

そのうえ接続中の電波は、1秒に最大で1600回も、使うチャンネルを切り替えています。なぜそんなことをするのか。名前の由来から、音が圧縮されて届くこと、耳の中で磁石とコイルが空気を揺らすことまで分かります。

Bluetoothの名は、10世紀のデンマーク王ハーラル・ブルートゥース(「青い歯」)にちなむ[2]。しかも接続中のClassic方式は、最大で1秒に1600回、使うチャンネルを切り替えている[5]。

なぜ名前が王なのか。なぜ電波はそれほど跳ぶのか。名前の由来、周波数ホッピング、コーデック、ダイナミック型ドライバーまでが、一本の流れでつながることが分かる。

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1. どうして 「青い 歯」と いう なまえなの?

1. 「青い歯」と呼ばれた王と、機器をつなぐ技術

1. なぜ王の名か ── ハーラル・ブルートゥースと「つなぐ」という発想

ブルートゥースは、スマホと イヤホンを つなぐ ための しくみです。この なまえは、10せいきの デンマークの 王さま、ハーラルの あだ名から つきました[1]。

この 王さまは、ばらばらだった いくつもの 部ぞくを、1つの 国に まとめた 人です[1]。しらべた 人は、パソコンと 携帯電話けいたいでんわを 電波で つなぐ ことを、これに かさねました[2]。

あだ名の 「青い 歯」は、黒ずんだ 青っぽい 歯に なった ことから ついた、と される 話が あります[2]。

ちなみに、ブルートゥースの ロゴ(しるし)にも、この 王さまが かくれて います。つぎの しょうで のぞいて みましょう。

スマホとイヤホンをつなぐBluetooth。この名前を考えたのは、アメリカのインテルという会社のジム・カーダックだとされます。近い場所の機器どうしを無線でつなぐ計画の、仮の呼び名として出した名前でした[1]。

バラバラを一つにした王

由来になったのは、10世紀のデンマーク王ハーラル・ブルートゥース(「青い歯」の意味)です。ハーラルは、いくつもの部族に分かれていたデンマークを一つの王国にまとめた人として知られます[1]。ブルートゥースの公式ページには、958年にデンマークとノルウェーを統一したことで知られる、とあります[2]。

カーダックは、パソコンの業界と携帯電話の業界を近距離無線でつなぐことを、王の統一になぞらえました[2]。

「青い歯」というあだ名は、死んで暗い青灰色になった歯から、とされています[2]。

では、この王の名前は、どうやって製品のマークになったのでしょうか。

Bluetoothの名称は、Intelのジム・カーダックが近距離無線計画の仮のコードネームとして提案した。10世紀のデンマーク王ハーラル・ブルートゥース(Harald Bluetooth)にちなむ[1]。ハーラルがデンマークの諸部族を一つの王国にまとめた事績が、PC産業と携帯電話産業を近距離無線で結ぶ構想と重ねられたためだ[2]。

Bluetooth SIGの公式ページによれば、ハーラル・ゴームソンは958年にデンマークとノルウェーを統一したことで知られる。「Bluetooth」というあだ名は、暗い青灰色になった死んだ歯に由来するとされる[2]。

ではこの王の名は、どのように製品のマークに結びついたのか。

3. まわりが ざわざわしても、どうして とぎれにくいの?

3. 混み合う電波の道で、1秒に最大1600回跳ぶ

3. 2.4GHz帯の混雑と、周波数ホッピング・AFH

ブルートゥースが つかう 電波の みちは、ほかの きかいも つかう、とても こんだ ばしょです。そこで、とぎれにくく する くふうが あります。

それは、つかう みちを、1びょうに さいだい 1600回も、つぎつぎ かえる ことです[5]。

たとえば、人で いっぱいの ひろばで、2人の ともだちが はなす ところを そうぞうして ください。おなじ ばしょで ずっと はなすと、ほかの 声で きこえにくく なります。でも、2人で あいことばの ように 場所を つぎつぎ かえれば、まざりにくく なります。

ただし ほんとうは、場所では なく、電波の 「ふるえる 回数」を かえて います。

しかも、じゃまが 多い みちは、見はって さけます[5]。ただし、まわりの 電波の 多さ しだいでは、とぎれる ことも あります。

こうして おくった 電波の 中身は、音そのものでは ありません。つぎは、その 中身の 話です。

全員が同じ道を使っている

ブルートゥースが使う2.4GHz帯は、免許がなくても使える電波の帯です。ここでは2.402GHzから2.480GHzまでを、1MHz幅ずつに区切った79本のチャンネル(道)に分けて使います。これは従来のClassicという方式の話で、省電力版のLEは、2MHz間隔の40チャンネルです[4]。

2.4GHz帯はWi-Fiなどとも共用なので、混み合います。くわしくは、「wifi-walls-signal」のメモも読んでみてください。

1秒に1600回、道を乗りかえる

混雑に強くするために、ブルートゥース(Classic)は、つながっている間、1秒に最大1600回、使うチャンネルを切り替えます。これを周波数ホッピングといいます。一つの切り替えの時間は625マイクロ秒で、625マイクロ秒の1600回分がおよそ1秒、という計算にも合います[5]。切り替える順番は、疑似乱数という決め方です[5]。

道を次々に変えると、一つの混んだ道にぶつかり続けにくくなります。ただし、混信を完全に防ぐわけではありません。

さらに適応周波数ホッピング(AFH)では、混んでいたり状態が悪かったりするチャンネルを見張り続けて、避けます。使えるチャンネルは最低でも20本は残します[5]。つながっている間だけ使える仕組みです。

ところで、こうして届く電波は、音そのものなのでしょうか。

Classicは2.4GHz帯のISMバンドのうち2.402〜2.480GHzを使い、1MHz幅の79チャンネルを持つ。LEは2MHz間隔の40チャンネルだ[4]。ISMバンドは免許不要でWi-Fiなどと共用されるため、干渉が起きやすい。

このため接続中のClassicは、最大1600Hz(1スロット625µs)で、疑似乱数に基づく順序でチャンネルを切り替える(周波数ホッピング)[5]。625µs×1600≒1秒で計算も合う。ただし1600は最大の跳び数で、LEのホッピングは方式が異なる。

適応周波数ホッピング(AFH)は、混雑・劣化したチャンネルを監視して使用から外し、使えるチャンネルを最低20本は残す。AFHは機器がつながっている間のチャンネル選択で使われる[5]。ホッピングは一つのチャンネルに居続けないことで干渉を受けにくくし、AFHが混雑チャンネルを避ける。ただし混信を完全に防ぐわけではなく、電波環境によってはとぎれる。

では、そうして運ばれる中身は、どんな形をしているのか。

4. 電波で おくる 音は、どんな 形?

4. 音はそのまま運ばれない ── 圧縮という工夫

4. コーデックの違い ── SBC・AAC・LDACとLC3

電波で おくるのは、音を 小さく まとめた データです。ふとんを ふくろに いれて、空気を ぬいて 小さく するように、まとめます。ただし ほんとうは、空気では なく、データの ほうを ちいさく します。

この まとめ方を、「コーデック」と いいます。ブルートゥースには いくつか あります。SBCは、どの きかいでも かならず つかえる ふつうの まとめ方です[6]。

あたらしい LC3と いう まとめ方は、同じくらいの 音を、SBCの 半分の データでも だせる、というしけんの けっかが あります[7]。

では、とどいた データは、耳の 中で どうやって 音に なるのでしょう。

音を小さくまとめて送る

イヤホンへ送られるのは、音を圧縮したデータです。圧縮のしかたをコーデックといいます。SBCは、ブルートゥースの機器が必ず対応する標準の方式です[6]。AACはiPhoneなどで使われ、SBCより高い音質を出せるとソニーの資料にあります[6]。LDACは、SBCなどの約3倍のデータを送れる方式です[6]。

半分のデータで、より良い音?

新しいLE AudioのLC3は、SBCの半分のビットレートでも、SBCより音質が良いという聴取試験の結果が、ブルートゥースの団体から出ています[7]。これは団体の試験での話です。省電力化に活用でき、設計によっては電池を長持ちさせたり、イヤホンを小さくしたりできる、とも説明されています[7]。

こうして届いたデータは、最後に、耳の中のどんな部品で音に戻されるのでしょうか。

音声は圧縮(コーデック)されて送られる。SBCはBluetoothのClassic Audioが必ず対応する標準方式、AACはiPhoneなどで使われSBCより音質が高い方式、LDACはSBCなどの約3倍のデータを送る方式だ。いずれもメーカーの説明による[6]。

LE AudioのLC3は、Bluetooth SIGの聴取試験で、SBCの半分のビットレートでもSBCより音質が良いとされる。この数字は同団体の試験条件での結果だ。低ビットレートで送れるので消費電力を抑えやすく、設計によっては電池の持ちが良くなったり、機器を小さくできたりする。複数の人に同時に届けるAuracastなども加わる[7]。

圧縮されたデータは、最後にどの部品で空気の振動へ戻されるのか。

5. 耳の 中で、音は どう できるの?

5. イヤホンの中で、磁石とコイルが空気を揺らす

5. ダイナミック型ドライバーの動作原理

イヤホンの 中には、ちいさな 磁石じしゃくと、コイルが はいって います。コイルに 音の でんきが ながれると、コイルと 磁石じしゃくの あいだに、ひきあったり しりぞけあったり する 力が はたらきます[8]。

その 力で、うすい ふるえる いたが うごき、空気が ゆれます。この ゆれが、耳に きこえる 音です[8]。

たいこの かわが ふるえると 音が でる ように、イヤホンの 中の いたが、ふるえて 音を つくります。ただし たいこは たたきますが、イヤホンは 磁石じしゃくの 力で おしたり ひいたり します。

目に 見えない 電波が、さいごは 空気の ゆれに なって、耳に とどきます。

磁石とコイルが引き合う

多くのイヤホンに使われるダイナミック型は、コイルに音の信号を流したときに生まれる磁力と、磁石の磁力が引き合ったり反発したりする力で、振動板を上下に動かします。その動きが空気を揺らして、音になります[8]。

この振動板は、厚さが4〜50マイクロメートルのドーム型です。ただしこれはダイナミック型全般の範囲で、イヤホンだけの値ではありません[8]。

目に見えない流れ

名前を受け継いだ電波が、1秒に最大1600回跳び移りながら、圧縮された音のデータを運びます。そのデータが信号に戻り、磁石とコイルが振動板を動かし、振動板が空気を揺らします。ここまでが、スマホから耳までの道すじです。

ダイナミック型ドライバーは、ボイスコイルに音楽信号を流して生じる磁束と、磁石の磁気回路の磁束の引き合い・反発作用で、振動板(ダイアフラム)を上下に振動させ、空気を揺らして音にする[8]。振動板は厚さ4〜50µmのドーム型で、この範囲はダイナミック型全般の値であり、イヤホン専用の値ではない[8]。

ここまでで、流れは一本につながる。名前は統一の王から取られ、電波は混雑を避けて最大1600回/秒で跳び、データは圧縮されて届き、最後は磁気回路とボイスコイルが振動板を動かし、振動板が空気を揺らす。ただし、完全ワイヤレスイヤホンの左右の接続方式は機種ごとに違い、一般化はできない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら ── 資料案内

スマホの せっていや、イヤホンの はこを 見て、ブルートゥースの マークを さがして みましょう。とがった 線が、2つの 文字を かさねた 形に 見えるか、しらべて みます。

いえに ある 道ぐの せつめいしょに、「2.4GHz」と かいて ある ものが ないか、大人と いっしょに 見て みるのも いいです。見つかったら、それが この メモに 出てきた、みんなで つかう こんだ 電波の みちの 数字です。

今日できること

スマホの設定画面やイヤホンのケースで、Bluetoothのマークを探します。二つのルーン文字が重なった形に見えるか、じっくり眺めてみましょう。

出かけてできること

家電量販店で、ワイヤレスイヤホンの箱を見ます。対応するコーデック(SBC、AACなど)が書かれているものがないか探してみます。

公式の情報

ブルートゥースの団体(Bluetooth SIG)の公式サイトに、名前の由来のページがあります。英語ですが、王の絵やロゴの説明があります。

家にあるワイヤレス機器の説明書や箱で、「Bluetooth」の文字やマーク、「2.4GHz」の表記を探してみるのもよいでしょう。

今日できること

機器やイヤホンのケースにあるBluetoothロゴを見て、ルーン文字二つを重ねた図形であることを確かめる。

資料を読むなら

  • Bluetooth SIG「Origin of Bluetooth name」(英語):名前とロゴの公式な説明
  • Rohde & Schwarz のアプリケーションノート 1C108(英語):周波数ホッピングとAFHの技術説明
  • オーディオテクニカのヘッドホン・イヤホンナビ:ドライバーユニットの仕組み

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

国内外の公式資料と企業の解説を使った。メーカーの説明は、その機種についての説明である。

  1. Wikipedia「Bluetooth」 https://en.wikipedia.org/wiki/Bluetooth (名前の由来と最初の製品)
  2. Bluetooth SIG「Origin of Bluetooth name」 https://www.bluetooth.com/about-us/bluetooth-origin/ (王とロゴ)
  3. SnapEDA「How Bluetooth got its name: an interview with Jim Kardach」 https://blog.snapeda.com/2019/10/07/how-bluetooth-got-its-name-an-interview-with-jim-kardach/ (ロゴの作り方と仮の名前)
  4. Bluetooth SIG「Tech overview」 https://www.bluetooth.com/learn-about-bluetooth/tech-overview/ (チャンネル数)
  5. Rohde & Schwarz Application Note 1C108 https://scdn.rohde-schwarz.com/ur/pws/dl_downloads/dl_application/application_notes/1c108/1C108_0e_Bluetooth_BR_EDR_AFH.pdf (周波数ホッピングとAFH)
  6. ソニー ヘルプガイド WF-1000XM5 Supported codecs https://helpguide.sony.net/mdr/2963/v1/en/contents/TP1000781984.html (コーデックの説明)
  7. Bluetooth SIG「LE Audio」 https://www.bluetooth.com/learn-about-bluetooth/feature-enhancements/le-audio/ (LC3)
  8. オーディオテクニカ Headphone Earphone Navi https://www.audio-technica.co.jp/headphone/navi/whatis/02-02.php (ダイナミック型の動作)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

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