1. つかうほど くっつかなく なるのは ほんとう?
1. 「育つ」と言われる鉄のフライパン
1. 油ならしと「育つ」という説明
てつの フライパンは、つかう ほど あぶらが なじんで、くっつきにくく なると いわれて います[2]。おみせでは、つかいはじめに 「あぶらならし」を すすめる ことも あります。
あぶらならしは、ひょうめんに あぶらを なじませて、うすい まくを つくる ことです[2]。この まくが、フライパンを まもって くれる ようです。
2. あぶらが かたまるって、どういうこと?
2. 油が「固まる」とは、どういうことか
2. 油脂の酸化重合
あぶらは、ふつう とろっと した えきたいです。でも、ねつと くうきの なかの さんそが あると、かたまる ものが あります。
あぶらの つぶは、とても ちいさな ぶひんが、つながって できて います。ねつで その つなぎめが かわり、ほかの ぶひんと むすびつくと、どろっと して、やがて かたまると いわれます[3]。
たとえば、ばらばらの クリップを つなげて くさりに する ようすです。ただし、ほんとうの あぶらの なかは、もっと ふくざつです。
3. えのぐや ニスと おなじ なかま?
3. 絵の具やニスが乾くのと、似たところのある反応
3. 乾性油 ── 塗料が乾く仕組みとの共通点
あぶらの なかには、うすく のばして くうきに さらすと、かわいて かたまる ものが あります。これを 「かんせいゆ」と いいます[4]。
かんせいゆは、ペンキや いんさつの インク、あぶらえの えのぐに つかわれて きました[5]。てつの フライパンの まくも、あぶらが かわって かたまる ところが、ぬりものの かわきかたと にて います。ただし、りょうりの あぶらが みんな かんせいゆと おなじ ように かわく わけでは ありません。
乾性油という油
薄く広げて空気にさらすと、酸素を吸って乾き、透明な樹脂状の被膜をつくる油を「乾性油」と呼びます[4]。代表は亜麻仁油や桐油などで、ペンキや印刷インキ、油絵に使われます[5]。
これらの油は、空気中に置いたり加熱したりすると、酸化や重合を起こして粘度が増し、ついには固まる、と辞典類にあります[5]。鉄鍋の油膜も、油が酸化・重合して膜になる点で、塗料が乾く仕組みと共通点があります。ただし、料理用の油がすべて乾性油と同じように乾くわけではありません。
油はよく乾くものとそうでないものに分かれる
資料によると、油は二重結合の多さの目安(ヨウ素価)で、よく乾くもの、少し乾くもの、乾きにくいものに分けられます。ただし境界は目安で、資料によって分類が違うこともあります[5]。
乾性油は、薄層にして空気にさらすと酸素を吸収して乾き、樹脂状の透明な被膜をつくる油である[4]。代表は亜麻仁油・桐油・荏油で、ペンキ、印刷インキ、油絵の展色剤(溶剤)に用いられる[5]。
コトバンクの記述では、空気中に放置するか加熱すると、酸素を吸収して酸化・重合・縮合を起こし、粘度を増して固化する[5]。鉄鍋の油膜も、油が酸化・重合して膜になるという点で塗料の乾燥と共通点があるとされる[1][3]。ただし、料理用の油が乾性油と同じように乾くとは限らない。
油はヨウ素価(二重結合の量の目安)で、130以上を乾性油、100〜130を半乾性油、100以下を不乾性油と分けるとされるが、境界は目安で資料により異なる[5]。料理用の油を選ぶ議論では、二重結合を多く含む油のほうが硬い膜になりやすいとする英語圏の解説もあるが、個人による解説であり、数値は産地や品種で幅があるため、本メモでは採用しない[6]。
4. あぶらを いっぱい ぬると、どうなる?
4. 厚く塗るほど、うまくいくわけではない
4. 薄い層を重ねる理由
「あぶらが かたまって まくに なるなら、いっぱい ぬれば いい」と おもうかも しれません。でも、そうでは ないようです。
あぶらを あつく ぬると、なかまで ちゃんと かたまらず、べたべた した よわい まくに なると いわれます[6]。うすく ぬって、ねつで しっかり かたまらせるのが いいと されて います。
ペンキを ぶあつく ぬると かわきにくいのと、すこし にて います。
べたつく膜は、弱い膜
油を塗りすぎると、内側まで十分に重合せず、べたつく弱い膜になる、と説明されています[6]。むしろ、薄く塗って高温で焼き、薄い層を何度も重ねるやり方がよいとされます[6]。
焼く回数や温度は、資料によって数字が異なります。そのため、この記事ではあえて数字を書きません。購入したフライパンの説明書に従うのがよさそうです。
油を厚く塗ると、十分に重合せず、べたつく脆い被膜になり、はがれることがあるとされる。薄い層を焼いて重ねる方法が推奨されている[6]。
これは英語圏の解説であり、日本のメーカー説明とは細部(焼く温度・回数)が異なる。数値は資料間でばらつくため、本メモでは示さない。共通するのは「薄く」という原則である。
5. こすりすぎると、どうなる?
5. 洗い方と、膜の守り方
5. 膜の損傷と防錆
この まくは、てつが むきだしに なるのを ふせいで います。もし つよく ごしごし こすって まくを けずると、てつが みえて、たべものが くっつきやすく なります[1]。
また、てつの フライパンは、みずけが のこると さびる ことが あります。あぶらが なじんで いると、さびにも つよく なると メーカーは せつめい して います[7]。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
きょう できること
おうちに てつの フライパンや なべが あれば、みせて もらいましょう。つかった あとに あらって、みずけを ふいた ところを、ひかりに かざして みます。つやつや して いるところと、ざらざら して いるところが ありますか。これは 見た目の ちがいを みる だけで、まくが できて いるか どうかを きめる ものでは ありません。
あたらしい ものと つかいこんだ もので、いろや つやを くらべられる と もっと おもしろいです。ひを つかう ときは、かならず おうちの 人と いっしょに して ください。
もっと しりたく なったら
こんど フライパンを つかう とき、あぶらを つける りょうを おうちの 人に きいて みましょう。
今日できること
家に鉄のフライパンや鉄鍋があれば、見せてもらいましょう。洗って水気を拭いたあとの表面を光にかざし、つやのある部分とざらついた部分を探します。新しい鍋と使い込んだ鍋があれば、色やつやを比べてみます。
火を使う調理は、必ず大人と一緒にしてください。
もっと知りたくなったら
メーカーのお手入れの説明を読み比べると、油ならしのやり方や、温度・回数の書き方に違いがあることに気づくかもしれません。なぜ違うのか、考えてみるのもよいでしょう。
身近な鉄鍋で観察する
家庭に鉄のフライパンがあれば、洗浄・乾燥後の表面を観察し、光沢のある部分と地金に近い部分を記録する。使い込みの程度が異なる鍋があれば比較する。加熱を伴う実験は、油の発煙などの危険があるため、ここでは勧めない。
資料を読むなら
日本語では、メーカーのお手入れ解説(和平フレイズ、及源鋳造)や、鍋の油膜を扱うカジヤの解説が読みやすい。乾性油の一般的な説明は、日本印刷産業連合会の印刷用語集にある。英語では The Iron Patina の重合に関する解説が詳しいが、個人による解説である。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の参照番号は、下のリストの番号に対応します。日本語の資料はメーカー・個人の解説が中心で、公的機関や論文による裏づけは確認できていません。
- カジヤ「鉄フライパンの油膜とは」 https://www.kajiya.org/archives/99 (油膜の正体・地金)
- 和平フレイズ「鉄フライパンのお手入れ」 https://blog.wahei.co.jp/column/ironpan/care-193/ (油ならし)
- エンジニアのメソッド「鉄のフライパンの育て方 理屈編」 https://engryouri.net/kitchenware/tool/224 (重合の仕組み)
- 日本印刷産業連合会「印刷用語集」(乾性油) https://www.jfpi.or.jp/webyogo/index.php?term=595 (乾性油の定義)
- コトバンク「乾性油」 https://kotobank.jp/word/乾性油-49044 (乾性油の用途・分類)
- The Iron Patina「The Chemistry of Polymerization」(英語) https://ironpatina.com/the-chemistry-of-polymerization-how-does-seasoning-actually-bond-to-cast-iron/ (厚塗りの弊害。個人による解説)
- 及源鋳造「サビのお手入れ」 https://oigen.jp/pages/start_ironcookware02 (さびとお手入れ)
なおした ところ
更新履歴
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