1. 「かぶしきがいしゃ」って なに?
1. 「株式会社」の文字 ── 会社は法律上の「人」
1. 「株式会社」という文字 ── 会社は法律上の「人」
どうして この もじが つく おみせと、つかない おみせが あるのでしょうか。こたえは、ほうりつに あります。会社は、ほうりつの うえで、ひとりの「ひと」として あつかわれます。かいしゃ そのものが、しゃちょうとは べつの「ひと」に なっている、という イメージです。だから、社長の おさいふと、かいしゃの おかねは、べつべつに なって います。しゃちょうが かわっても かいしゃは そのまま つづきますし、しゃちょうが借金を しても、かいしゃの財産が つかわれる ことは ありません。
「株式会社」という もじは、この かいしゃが「株式」を つくれる かいしゃだ、という しるしなのです。では、かいしゃが うまれる とき、さいしょの おかねは どこから くるのでしょうか。
なぜこの文字が付く会社と、付かない会社があるのでしょうか。答えは、会社法という法律にあります。この法律は、株式会社のような会社を「法人」として扱うと決めています。法人というのは、法律の上で、生きている人間と同じように契約を結んだり、財産を持ったりできる、独立した「人」という意味です。会社そのものが、社長とは別のもう一人の「人」として扱われているのです。
だから、社長個人の財布と、会社の金庫は、法律の上で分かれています。社長が変わっても会社という「人」は変わらず存在し続け、結んだ契約もそのまま引き継がれます。逆に、社長個人が借金をかかえても、その返済に会社の財産が使われることは、原則としてありません。近所の八百屋さんの多くは、この「法人」になる手続きをせず、店主個人の名前で商売をしています。だから看板に「株式会社」は付きません。
「株式会社」という文字は、この会社が株式を発行できる法人であることを示す、いわば名札です。では、この「人」が生まれる瞬間、最初のお金は誰が、どうやって用意するのでしょうか。
なぜこの4文字が付く会社と、付かない会社があるのか。答えは会社法という法律にある。この法律は、株式会社を含む会社を「法人」として扱うと決めている。法人とは、法律の上で、生きている人間と同じように契約を結んだり、財産を持ったり、裁判の当事者になったりできる、独立した「人」のことだ[1]。会社法という法律そのものにも「会社は、法人とする。」と書かれている[2]。会社そのものが、社長とは別のひとりの「人」として扱われている。
だから、社長個人の財布と、会社の金庫は法律上わけられている。社長が代わっても会社という「人」は変わらず存在し続け、結んだ契約もそのまま引き継がれる。逆に、社長個人が借金を抱えても、その返済に会社の財産が使われることは、原則としてない。八百屋や定食屋の多くは、この「法人」という手続きを取らずに、店主個人の名前で事業を営む個人事業主だ。だから看板に「株式会社」は付かない。
「株式会社」という肩書きは、この会社が株式を発行できる法人であることを示す名札のようなものだ。では、この「人」が生まれる瞬間、最初のお金は誰が、どうやって用意するのだろうか。
2. かいしゃを はじめる おかねは、どこから くるの?
2. 資本金と出資 ── 会社を始めるお金はどこから来るのか
2. 資本金と出資 ── 会社を始めるお金はどこから来るのか
かいしゃを はじめるには、まず おかねが いります。おみせを かりたり、どうぐを かったりする ための おかねです。これを「資本金」と いいます。むかしは、株式会社を つくるのに、さいてい1000まんえん ひつようでした。でも いまは、ほうりつの うえでは、1えんからでも つくれます。
ひとりの おかねだけでは たりない ときは、ほかの ひとにも おかねを だして もらいます。きょうだいで おかねを だしあって、おかあさんの たんじょうびに おおきな プレゼントを かう ときの ことを おもいだして みましょう。おかねを だしあった ことは、あとで みんなの おもいでに なります。かいしゃも おなじで、おかねを だして もらった あかしとして、「株式」という かみ(か、コンピューターの データ)を わたします。株式を もっている ひとを「株主」と よびます。ただし ほんとうは、プレゼントの ときと ちがって、かいしゃに おかねを だすと、あとで もうけの いちぶを わけて もらえたり、かいしゃが おおきく なれば おかねが ふえたり する ことも あります。もうからず、だした おかねが へって しまう ことも あります。
こうして、ほかの ひとから おかねを あつめた かいしゃは、いったい だれの ものに なるのでしょうか。
会社を作るには、まずお金が必要です。事務所を借り、材料を仕入れ、最初の給料を払います。この元手になるお金を資本金と呼びます。かつて、株式会社を作るには最低1000万円の資本金が必要でした。ところが2006年に新しい会社法が施行され、この最低資本金の決まりはなくなりました。今は、法律の上では資本金1円からでも株式会社を設立できます[1]。
最初にお金を出す人だけでは足りないとき、他の人にもお金を出してもらいます。この、会社にお金を出すことを出資と呼びます。会社は出資してもらった証として、株式という取り分のチケットを渡します。株式を持つ人が株主です。100人が同じ額ずつ出資すれば、会社は100枚の株式を発行し、1人がそのうちの1枚を持つ、という形になります。
なお、株式を発行して広くお金を集めるつもりがなければ、株式を発行しない合同会社という形を選ぶこともできます。ただ、他の人からお金を出してもらった会社は、いったい誰の持ち物になるのでしょうか。
会社を作るには、まずお金が要る。事務所を借り、材料を仕入れ、最初の給料を払う。この元手になるお金を資本金と呼ぶ。かつて、株式会社を作るには最低1000万円の資本金が必要だった。ところが2006年に施行された会社法で、この最低資本金の決まりはなくなった。今では、法律上は資本金1円からでも株式会社を設立できる[1]。
最初にお金を出す人(発起人)だけでは足りないとき、他の人にもお金を出してもらう。この、会社にお金を出すことを出資と呼ぶ。会社は出資してもらった証として、株式という取り分のチケットを渡す。株式を持つ人が株主だ。100人が同じ額ずつ出資すれば、会社は100枚の株式を発行し、1人が100枚のうち1枚を持つ、という形になる。
なお、株式を発行して広くお金を集めるつもりがなければ、株式を発行しない合同会社という形を選ぶ道もある。ただ、他人からお金を出してもらった会社は、いったい誰の持ち物になるのだろうか。
4. ただで つかえる アプリは、どうやって もうけて いるの?
4. 広告とフリーミアム ── 無料のアプリは、どうやってもうけているのか
4. 広告とフリーミアム ── 無料のアプリは、どうやってもうけているのか
けんさくサイトや、ちずの アプリは、ただで つかえます。でも、それを つくって いる かいしゃも、株式会社です。こたえの おおくは「広告」です。つかう ひとは おかねを はらわない かわりに、アプリの なかで こうこくを みます。こうこくを だしたい べつの かいしゃが、そのぶんの おかねを はらって いるのです。
もうひとつの やりかたは、はじめは ただで つかえて、もっと べんりな きのうだけ おかねが かかる、という やりかたです。たくさんの ひとが ただで つかい、その うちの すこしの ひとが おかねを はらえば、かいしゃは もうかります。
ただに みえる アプリも、じつは「だれかが どこかで おかねを はらって いる」しくみで うごいて います。では、かいしゃは そもそも、なんの ために つくられるのでしょうか。
多くの検索サイトやSNS、地図アプリは無料で使えます。それらを作っている会社の多くも株式会社で、株主に見返りを返さなければなりません。答えの多くは広告です。公正取引委員会が2021年に発表した調査によると、こうしたデジタル広告の事業は、調査の対象になった検索サイトやSNSなどのプラットフォーム事業者にとって、大きな収益源になっています[6]。仕組みはこうです。利用者はお金を払わない代わりに、サービスの中で広告を目にします。お金を払うのは、その広告を出したい別の会社(広告主)のほうなのです。
もう1つのやり方は、フリーミアムと呼ばれる方法です[7]。基本の機能は無料で使えるようにしておき、もっと便利な機能や、広告を表示しない権利など、一部だけを有料にします。無料で使う人が増えるほど、その中の一部が有料に切り替えてくれれば、会社は収益をあげられます。
無料に見えるサービスも、実は「誰かがどこかでお金を払っている」仕組みで成り立っています。それが広告主だったり、一部の有料会員だったりするのです。では、会社はそもそも、何のために作られるのでしょうか。
多くの検索サイトやSNS、地図アプリは無料で使える。それらを作っている会社の多くも株式会社で、株主に見返りを返さなければならない。答えの多くは広告だ。公正取引委員会が2021年に発表した実態調査によると、こうしたデジタル広告の事業は、調査の対象になった検索サイトやSNSなどのプラットフォーム事業者にとって、大きな収益源になっている[6]。仕組みはこうだ。利用者はお金を払わない代わりに、サービスの中で広告を目にする。お金を払うのは、その広告を出したい別の会社(広告主)のほうになる。
もう1つのやり方は、フリーミアムと呼ばれる方法だ[7]。基本の機能は無料で使えるようにしておき、もっと便利な機能や、広告を表示しない権利など、一部だけを有料にする。無料で使う人の数が増えるほど、その中の一部が有料に切り替えてくれれば、会社は収益をあげられる。
無料に見えるサービスも、実は「誰かがどこかでお金を払っている」仕組みで成り立っている。それが広告主だったり、一部の有料会員だったりする。では、会社はそもそも、何のために作られるのだろうか。
5. かいしゃは、なんの ために あるの?
5. 定款に書かれた「目的」── 会社は、そもそも何のために作られるのか
5. 定款に書かれた「目的」── 会社は、そもそも何のために作られるのか
ここまで きくと、かいしゃは おかねを あつめて、もうけるだけの しくみに みえるかも しれません。でも、かいしゃを つくる ときには、「なんの ために する かいしゃなのか」を、しょるいに かならず かく ことに なって います。もくてきの かいて ない かいしゃは、つくる ことが できません。
もうけは、かいしゃが つづいて いく ために ひつようです。もうけが なければ、はたらく ひとの きゅうりょうも、株主への 配当も はらえません。だから もうけは、かいしゃの ほんとうの もくてきと いうより、もくてきを つづける ための ちからに ちかいのです。
まちで みかけた「株式会社」の もじは、ただの かんばんでは ありませんでした。「この かいしゃは、ひとりの ひとと おなじように、株式で おかねを あつめて、きめた もくてきの ために しごとを して います」という、みじかい しるしだったのです。
ここまで見ると、会社はお金を集め、お金を稼ぐための仕組みに見えるかもしれません。ただ、それだけが会社を作る理由ではありません。株式会社を設立するときには定款と呼ばれる書類を作らなければならず、そこには会社の「目的」、つまりどんな事業をおこなう会社なのかを、必ず書くことになっています。目的が書かれていない定款は、法律の上で認められません[8]。
利益や配当は、会社が事業を続けていくために欠かせません。利益が出なければ、社員への給料も、株主への配当も出せず、事業そのものが続けられなくなります。その意味で利益は、会社にとっての目的というより、目的を果たし続けるための手段に近いといえます。
街で見かけた「株式会社」という文字は、ただの肩書きではありませんでした。「この会社は法律上の人として、株式を発行してお金を集め、定款に書いた目的のために事業を営んでいます」という、短い宣言だったのです。
ここまで見ると、会社はお金を集め、お金を稼ぐための仕組みに見えるかもしれない。ただ、それだけが会社を作る理由ではない。株式会社を設立するときには定款と呼ばれる書類を作らなければならず、そこには会社の「目的」、つまりどんな事業をおこなう会社なのかを、必ず書くことになっている。目的が書かれていない定款は、法律上、そもそも認められない[8]。
利益や配当は、会社が事業を続けていくために欠かせない。利益が出なければ、社員への給料も、株主への配当も出せず、事業そのものが続けられなくなる。その意味で利益は、会社にとっての目的というより、目的を果たし続けるための手段に近い。
街で見かけた「株式会社」という文字は、ただの肩書きではなかった。「この会社は法律上の人として、株式を発行してお金を集め、定款に書いた目的のために事業を営んでいます」という、短い宣言だったのだ。
6. じぶんでも しらべて みよう
6. 自分でも調べてみたくなったら
6. 自分でも調べてみたくなったら
いえの ちかくを あるいて、かんばんや トラックの なまえを みくらべて みましょう。「株式会社」と かいて ある おみせと、ひとの なまえだけの おみせは、どんな しごとに おおいでしょうか。
かぞくが つかって いる、ただの アプリを ひとつ えらんで、なかに こうこくが でて くるか さがして みましょう。でて くる こうこくが、じぶんが いつも みて いる ものと にて いないか、きが ついた ことを メモして みるのも おもしろいです。
もっと しらべたく なったら、おおきな かいしゃが つくった しょるいを、だれでも インターネットで よめる サイトが あります。じぶんの しって いる かいしゃが、どんな もくてきを かいて いるか、のぞいて みるのも おもしろいでしょう。
家の近くを歩いて、看板やトラックの社名を見比べてみましょう。「株式会社」「合同会社」と付いている店と、個人の名前だけの店とでは、どんな業種にどちらが多いでしょうか。
家族が使っている無料のアプリを1つ選び、利用規約や設定画面に「広告」という言葉が出てくるか探してみましょう。表示される広告の内容が、自分がふだん検索したり見たりしているものと似ていないか、気づいたことをメモしておくのもおもしろいです。
もう一歩調べたくなったら、金融庁が運営するEDINETというサイトでは、上場している会社の有価証券報告書を誰でも無料で読めます[9]。自分の知っている会社が、どんな目的を定款に書いているか、のぞいてみるのもおもしろいでしょう。
家の近くを歩いて、看板やトラックの社名を見比べてみよう。「株式会社」「合同会社」と付いている店と、個人の名前だけの店とでは、どんな業種にどちらが多いだろうか。
家族が使っている無料のアプリを1つ選び、利用規約や設定画面に「広告」という言葉が出てくるか探してみよう。表示される広告の内容が、自分がふだん検索したり見たりしているものと似ていないか、気づいたことをメモしておくのもおもしろい。
もう一歩調べたくなったら、金融庁が運営するEDINETというサイトでは、上場している会社の有価証券報告書を誰でも無料で読める[9]。自分の知っている会社が、どんな目的を定款に書いているか、覗いてみるのも面白い。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
- フリー百科事典『ウィキペディア』「株式会社」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/株式会社 (株式会社が法人格を持つ営利社団法人であること、株主の責任が出資額の範囲にとどまり会社債務について会社債権者に直接責任を負わないこと、2006年の会社法施行にともない最低資本金制度が廃止されたことは同記事による)
- e-Gov法令検索「会社法」(平成十七年法律第八十六号)第三条。 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 (「会社は、法人とする。」という条文そのものは、この会社法第三条による)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「株主総会」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/株主総会 (株主総会が株式会社の最高意思決定機関であり、取締役の選任・解任や決算の承認、剰余金の分配などを決議することは同記事による)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「配当」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/配当 (配当が、企業が事業活動で得た利益を出資者・株主に分配するものであり、経営状況によっては配当が支払われない「無配」になることもあることは同記事による)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「有限責任」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/有限責任 (有限責任が、出資した財産などの限られた範囲でのみ責任を負う仕組みであり、株主がすでに出資した額を超えて出資を求められることはないことは同記事による)
- 公正取引委員会「デジタル・プラットフォーム事業者の取引慣行等に関する実態調査(デジタル広告分野)について(最終報告)」(2021年2月17日公表)。 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2021/feb/210217.html (消費者データを集積・活用するデジタル広告事業が、デジタル・プラットフォーム事業者にとって大きな収益源になっていることは同発表による)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「フリーミアム」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/フリーミアム (フリーミアムが、基本的なサービスは無料で提供し、より高度な機能に利用料を課す仕組みのビジネスモデルであることは同記事による)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「定款」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/定款 (株式会社の定款には「目的」を含む事項を必ず記載しなければならず、これらの記載を欠く定款はそれ自体が無効になることは同記事による)
- 金融庁「EDINETについて」。 https://www.fsa.go.jp/search/20130917.html (EDINETが金融商品取引法にもとづく開示書類の電子開示システムであり、金融庁が運営し、有価証券報告書などを誰でも閲覧サイトで見られることは同ページによる)
なおした ところ
更新履歴
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