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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

複合材料ふくごうざいりょうには、どんな なかまが いるの?

ガラス・炭素・ケブラー ── 繊維ごとに得意がちがう複合材料

複合材料の種類と繊維の使い分け ── ガラス繊維・炭素繊維・アラミド繊維(ケブラー)の比較

分野:技術

おふろの よくそう、つりざお、スポーツの どうぐ。ぜんぜん ちがう ものに 見えます。

でも、どれも 「せんいを のりで かためた」 なかまの ざいりょうが 使われて いる ことが あります。どんな ちがいが あるのか、見て いきましょう。

家の浴槽、釣り竿、スポーツ用品。使い道はばらばらなのに、どれも「繊維と樹脂を組み合わせた材料」が使われていることがあります[4]。

同じ仲間でも、どの繊維を選ぶかで、軽さ、丈夫さ、値段、弱点が変わります。ガラス、炭素、ケブラーの3つを順に比べます。

浴槽、釣り竿、スポーツ用品には、繊維で樹脂を強化した複合材料(FRP)が使われる例がある[4][8]。繊維の種類で性質は大きく変わる。

本稿は、ガラス(GFRP)、炭素(CFRP)、アラミド(AFRP)の3種を、由来・得意・弱点の順で比べる。炭素繊維そのものの作り方は別記事に譲る。

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1. ふくごうざいりょうって、なに?

1. 複合材料とは ── 6000年前の泥の壁から

1. 複合材料の定義と、最古級の例

ふくごうざいりょうは、2つ いじょうの ざいりょうを くみあわせて、1つの ものに した ざいりょうです[1]。

いちばん 古い なかまの 1つと されるのは、わらを まぜた 泥どろの かべです。竹や 木の えだで ほねを 作り、どろを ぬる かべは、6000年 いじょう 前の ものと いわれます[2]。

ひもを たくさん たばねて、のりで かためると、ひもより 強く なりそうです。ただし ほんとうは、「ほねに なる もの」と 「かためる もの」の 2つの はたらきが あります。

木の うすい 板を はりあわせた 板や、てつの ぼうが 入った コンクリートも、なかまです[3]。

複合材料とは、2つ以上の異なる材料を一体にした材料です。骨組みの役をする「強化材」と、それを包んで固める「母材」からできています[1]。混ぜ合わせても溶け合わず、それぞれが別々に残るのが特徴だと説明されています[2]。

いちばん古い部類に入るとされるのが、藁を混ぜた泥のレンガや土壁です。竹や枝で骨組みを作って泥を塗る壁は、6000年以上前のものといわれ、古代エジプトの墓の絵にも泥レンガづくりが描かれています[2]。

身近な例は、薄い板を張り合わせた合板や、鉄の棒でコンクリートを補強した鉄筋コンクリートです[3]。この記事で主役にするのは、そのうち、樹脂を繊維で強くした「FRP」です。

複合材料は、2つ以上の異なる材料を一体的に組み合わせた材料で、強化材と母材(マトリクス)から成る[1]。完成後も各成分は混ざりきらず、それぞれ独立して残るため、設計者は母材と強化材の組み合わせを選べる[2]。

最古級の例は、藁入りの泥レンガや土壁とされる。wattle and daub(竹や枝の骨組みに泥を塗る壁)は6000年以上前とされ、古代エジプトの墓の絵にも泥レンガづくりが描かれる。[2]。

現代の身近な例は、合板(強度に方向性のある板を張り合わせたもの)、鉄筋コンクリート(鉄筋で補強したコンクリート)などだ[3]。FRP(繊維強化プラスチック)は、樹脂を繊維で補強して強度・剛性を大きく高めたもので、主な繊維はガラス(GFRP)、炭素(CFRP)、アラミド(AFRP)の3種である(読み:GFRP=ジーエフアールピー、アラミド=あらみど)。玄武岩(げんぶがん)繊維など、ほかの繊維を使うFRPもある[4]。

2. ガラスの せんいは、ぐうぜんから?

2. 溶けたガラスに風を当てたら ── ガラス繊維の始まり

2. ガラス繊維(GFRP)── 偶然の発見から浴槽まで

ガラスも、とても 細い 糸に する ことが できます。1932ねんごろ、とけた ガラスに 空気を 当てたら、ぐうぜん 糸のように なった と 言われて います[5]。

さいしょは、あたたかさを にがさない ざいりょうとして 売られました[5]。

この 糸を のりで かためた ものが、ガラス せんい強化の プラスチックです。おふろの よくそうに、いちばん よく 使われて いると されます[8]。

さびない、くさらない、電気を 通さない、電波を 通す、という 手がらが あります[4]。ねだんも 高くない ので、いちばん ひろまった なかまです[7]。

ガラス繊維は、1932年ごろ、アメリカのゲームズ・スレイターが、溶けたガラスに圧縮空気を当てたところ、偶然できたとされます。特許の出願は1933年です。オーエンス・コーニング社が商品にしたのは1936年ごろとされ、最初は断熱材でした[5]。年は出典によって少しずつ違います。

この糸を樹脂で固めたGFRPは、いちばん広まった種類です。値段のわりに性能がよく、住宅設備、化学工場の配管、自動車の外装などに使われます[7]。多くのユニットバスの浴槽も、ガラス繊維で強くしたプラスチック製が一般的だといわれます[8]。

錆びない、腐らない、電気を通さず、電波も通すことが長所として挙げられます[4]。弱点は、同じ重さで比べると、炭素繊維を使ったものより強さで劣ることです[7]。

ガラス繊維は、1932年にゲームズ・スレイターが溶けたガラスへ圧縮空気を当てて偶然できたとされ、特許出願は1933年。オーエンス・コーニング社が1936年に商品化し、当初は断熱材だった[5]。同社は1935年に提携として生まれ、1938年に独立した。年の混同が起きやすく、出典によって差がある[6]。

製法は、珪素系の原料を約1300℃で溶かし、直径9〜17μmの糸にする[5]。FRPへの応用は早く、1937年にレイ・グリーン(オーエンス・コーニング)が最初の複合材の船を作ったとされる[5]。1953年にはシボレー・コルベットにも応用された[6]。

GFRPは最も普及して費用対効果が高く、住宅設備、化学プラント配管、自動車外装などに使われる。CFRPに比べ、重さあたりの強さは劣る[7]。多くのユニットバスの浴槽はガラス繊維強化のFRP製が最も一般的とされる[8]。錆びない・腐らない、電気を通さない、電波を通して電波障害を起こさない、といった性質も挙げられる[4]。

3. かるくて 強い、でも お金が かかる

3. 軽くて強い炭素繊維、そのかわり高い

3. 炭素繊維(CFRP)── 比強度の高さと、コストの高さ

炭素たんその せんいを 使った なかまは、とても かるくて 強い ことが とくちょうです[7]。

てつの 4ぶんの 1 ぐらいの おもさで、てつの 何ばいも 強い、という めやすが 言われて います[7]。

でも、ざいりょうも、作る ときの お金も、とても 高いです。ひこうきや うちゅうの きかい、スポーツの どうぐに 使われて います[7]。

作り方や くわしい 話は、べつの ノート「炭素たんそ繊維せんい」に あります。

炭素繊維を使ったCFRPは、軽くて強いことで知られます。鉄の約4分の1の重さで、数倍の強さが目安とされます[7]。

繊維を一方向にそろえたCFRPの例では、密度1.55g/cm³で、炭素鋼(7.80g/cm³)より大幅に軽く、重さあたりの強さ(比強度)はアルミ合金の約16倍です。ただし、繊維の向きに引っ張ったときの値で、材料の条件が決まった場合の数字です[9]。

そのかわり、材料費も加工費もかなり高くなります。航空機、宇宙機器、スポーツ用品など、軽さに大きな価値がある場面で使われています[7]。炭素繊維の作り方や歴史は、別のノートで詳しく書いています。

CFRPは軽くて強く、鉄の約1/4の重さで数倍の強度が目安とされる一方、材料費・加工費が非常に高い。航空機・宇宙機器・スポーツ用品などに使われる[7]。

一方向にそろえたCFRPの例では、PAN系(弾性率230GPa)の一方向材(繊維含有率33%)は密度1.55g/cm³で、炭素鋼S45Cの7.80g/cm³の約1/5。比強度は15.8×10⁴で、アルミA5052の1.0×10⁴の約16倍とされる[9]。ただし繊維方向のみ・材料条件つきの数字で、ダイコーの「1/4」という目安とは前提が異なる。

炭素繊維の直径は4〜17μm程度で、ガラス繊維(9〜17μm)と同じくらい細い[5]。炭素繊維の製法・歴史は別記事(carbon-fiber)に譲る。

4. ふしぎな しるから できた ケブラー

4. 「液晶」の溶液から生まれたケブラー

4. アラミド繊維(Kevlar)── 液晶溶液からの発見と紫外線に弱い点

3つ目の なかまは、ケブラーと いう せんいです。1965ねんに、アメリカの ステファニー・クォレクさんが 見つけました[10]。

クォレクさんが 見つけたのは、細ながい ぶんしが そろって ならぶ、ふしぎな しるでした。この しるから、とても 強い 糸が できました[10]。

同じ おもさで くらべると、はがねの 5ばいぐらい 強いと されます[11]。さいしょは レース用の タイヤの はり金の かわり、そのあと ぼうだんチョッキに 使われました[11]。

よわい ところも あります。お日さまの 光の 紫外線しがいせんで いたむので、そとで 使う ときは、まもる くふうが いります[11]。

アラミド繊維の代表が、ケブラーです。1965年、アメリカのデュポン社の研究者ステファニー・クォレクさんが、細長い分子がそろって並ぶ「液晶」の状態の溶液を見つけたことから始まります。この溶液をそのまま紡ぐと、とても強く硬い繊維になりました[10]。

同じ重さで比べると、鋼鉄の約5倍の強さとされます。太さが同じ場合の話ではありません。1971年に商品になり、初めはレース用タイヤの鋼線の代わりに、のちに防弾ベストに使われました[11]。

アラミド繊維を使ったAFRPは、衝撃や引き裂きに強く、防護用品に向きます。反面、水分を吸いやすく、切ったり削ったりする加工が難しい点が挙げられています[7]。また、紫外線で劣化するため、屋外では保護なしにはあまり使われません[11]。

アラミド繊維の一種であるケブラー(Kevlar)は1965年、デュポンのステファニー・クォレク(Stephanie Kwolek)が発見した。細いポリアミド分子が並んで液晶溶液となり、それを直接紡いで、非常に強く硬い繊維ができた[10]。カタカナ表記は「クォレク」「クウォレク」などの揺れがある。

「鋼鉄の約5倍の強さ」は、同じ重さで比べた場合の値で、同じ太さの比較ではない。1971年に商品化され、初期はレース用タイヤの鋼線の代替、のち防弾ベストに使われた[11]。この数字は二次資料に基づき、デュポンの一次資料では確認していない。

AFRPは耐衝撃性・引き裂き強さに優れ、防護・防弾材に使われる。吸湿性があり、切削加工の難易度が高い[7]。紫外線で劣化し、屋外では保護なしに使われることは少ない[11]。

5. どの せんいが いちばん いいの?

5. 「いちばん」はなく、場面ごとに選ばれる

5. 使い分けの整理 ── 単純な優劣にならない理由

3つを ならべて みましょう。

ガラスは、ねだんが 高くなく、さびず、電気を 通しません。おふろや 家の せつびに 向きます。

炭素たんそは、かるくて 強い かわりに、高いです。

ケブラーは、ぶつかる 力に 強い かわりに、水を すいやすく、日光に よわいです。

「これが いちばん」と いう せんいは ありません。使う ところに 合わせて、えらばれて います。

3つを並べると、次のようになります。

ガラス繊維は、安くて錆びず、電気を通さないので、浴槽や配管など、暮らしのまわりに向きます。炭素繊維は、軽さと強さが抜きん出ますが、材料も加工も高くつきます。アラミド繊維は、衝撃や引き裂きに強い反面、湿気と紫外線に弱く、加工も難しい点があります[7][11]。

ここに書いたのは傾向です。「どれがいちばん強いか」は、何を基準にするかで答えが変わります。

GFRPは安価で錆びず電気を通さない点、CFRPは軽さと強さの点、AFRPは衝撃・引き裂きへの強さの点で、それぞれ用途が分かれる[7][4]。逆に、CFRPは高価、AFRPは吸湿性・加工の難しさ・紫外線による劣化という弱点を持つ[7][11]。

強さの順位は、何を基準にするかで変わる。

6. まわりの ものを 見て みよう

6. 身のまわりの素材を探してみる

6. 自分でも調べてみたくなったら

おうちの おふろ、じてんしゃ、ヘルメット、つりざおなどの ラベルや せつめいしょを 見て みましょう。「FRP」や 「カーボン」と 書いて あるかも しれません。

見つかったら、ガラスなのか、炭素たんそなのか、かんがえて みます。書いて いなければ、それも 手がかりです。

家の浴槽、自転車、ヘルメット、釣り竿などの説明書やラベルに、「FRP」「カーボン」「アラミド」などの言葉がないか探してみてください。

見つかったら、この記事で見た「得意・不得意」と、その道具の使い方が合っているかを考えてみましょう。書かれていない物があっても、それも手がかりです。

もっと調べるなら、日本コンポジット工業のサイトにFRPの説明が載っています[4]。

今日できること:家の浴槽、自転車、ヘルメット、釣り竿の素材表示を探す。「FRP」「CFRP」「アラミド」などの表記があれば、繊維の種類と用途を、本稿の比較に当てはめてみる。

資料を読むなら:日本コンポジット工業のFRP解説[4]は日本語で読める。クォレクの伝記はScience History Instituteの英語ページ[10]で読める。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

2026-09-29に確認した資料です。数値の一部は、検索結果の抜粋や要約に基づくため、原典での確認をおすすめします。

  1. 複合材料 - Wikipedia(日本語) https://ja.wikipedia.org/wiki/複合材料 (複合材料の定義)
  2. Composite material - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Composite_material (定義・藁入りの泥壁)
  3. 株式会社UCHIDA 複合材料 身の回り https://uchida-k.co.jp/uchidanews/複合材料 身の回り/ (合板・鉄筋コンクリートの例)
  4. 日本コンポジット工業 FRPとは https://n-composite.jp/frp/ (FRPの種類・GFRPの性質)
  5. Fibre-reinforced plastic - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Fibre-reinforced_plastic (ガラス繊維の由来・繊維の太さ)
  6. Owens Corning - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Owens_Corning (会社の沿革)
  7. ダイコー FRPの違いと特徴 https://www.daiko-jp.com/media/useful/a371 (GFRP・CFRP・AFRPの特徴)
  8. ダイワ化成 FRP浴槽 https://www.daiwakasei.co.jp/products/systembath/frp/ (浴槽の素材)
  9. スーパーレジン工業 CFRPの物性 https://www.super-resin.co.jp/cfrp/properties/ (CFRPの密度・比強度)
  10. Science History Institute, Stephanie L. Kwolek https://www.sciencehistory.org/education/scientific-biographies/stephanie-l-kwolek/ (ケブラーの発見)
  11. Kevlar - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Kevlar (強さ・用途・紫外線)

なおした ところ

更新履歴

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