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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

晴れた 日に 大きな 波が くるのは なぜ? ── 台風より 先に とどく 土用波

晴れて風もないのに大波が寄せる ── 台風より先に届くこともある「土用波」

土用波と台風の進路 ── 遠方の台風が生むうねりが、台風本体より先に沿岸へ届くしくみ

分野:自然

風も ほとんど ない 晴れた 日に、海から 大きな 波が よせて くる ことが あります。その 波は、遠い 南の 海に いる 台風が 作った ものかも しれません。

しかも 台風が 日本に 着く 数日 まえに、波だけ 先に とどく ことも あるのです。どうして そんな ことが おきるのか、この メモで 分かります。

空は晴れて風もないのに、浜に大きな波が寄せる。そんな波の正体が、数千キロメートルも南にいる台風が生んだ波だと、気象庁は説明しています[1]。しかも台風の進路によっては、波が台風本体より数日早く届くこともあります。

なぜ、風が止んだあとの波が日本まで来られるのでしょうか。そして、なぜ夏の土用のころに話題になるのでしょうか。うねりの性質と、夏の台風の進み方から分かります。

無風・晴天の海岸に高波が寄せることがある。気象庁は、数千km南方の台風周辺で発生した波が沿岸まで伝わったものを「土用波」の代表例としている[1]。台風の進路によっては、うねりが台風自身より数日早く沿岸に到達することもある[1]。

では、風の止んだあとの波はなぜ遠くまで残るのか。なぜ夏の台風は、日本の南の海で波を送りやすいのか。うねりの性質、土用の暦上の位置、台風の月別経路の三つから、この二つの問いに答える。

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1. 風が ないのに、どうして 波が 高いの?

1. 風がないのに高い波 ── その正体は遠くの台風

1. 無風でも高波が来る ── 数千km南の台風が出どころ

夏の はまで、空は 青く、風は ほとんど ありません。それなのに、海は ごうごうと 大きな 波を 打ち上げて います。

こんな 波の 代表が、土用波です。気象庁きしょうちょうに よると、数千キロメートルも はなれた 南の 台風の まわりで 生まれた 波が、日本の 海岸まで つたわって きた ものも、土用波の 一つです[1]。

台風が 日本の ずっと 南の 海に いる ときでも、その 波は 日本の 太平洋がわまで とどきます[2]。ですから、天気が おだやかでも 高い 波が よせる ことが あるのです。

だから 晴れて いても、海べでは 波の 高さに 気を つけて ください。

おだやかな天気の日に寄せる高波

気象庁は、数千キロメートル南の台風のまわりで生まれた波が、うねりとして日本の沿岸まで伝わってきたものを、土用波の代表例としています[1]。台風が日本のはるか南の海上にあるときでも、その波は太平洋側の沿岸まで届くので、天気が穏やかでも高波が海岸に寄せることがあります[2]。

浜に立つ人には、風も雲もなく、台風の気配はまったくありません。波だけが、遠い海の様子を運んでくるように見えます。晴れていても高波が寄せることがあるので、海辺では波の高さに注意が必要です。

では、風が止んだ波が、数千キロメートルも旅をすることができるのは、どうしてでしょうか。

気象庁は、土用波を「数千km南方の台風周辺で発生した波が、うねりとして沿岸まで伝わってきたもの」の代表例に挙げる[1]。また台風が日本のはるか南海上にあっても、発生した高波がうねりとなって太平洋沿岸まで伝わり、穏やかな天気でも高波が海岸に寄せることがある[2]。

海岸にいる人から見ると、風も雲もないのに波だけが高い。この食いちがいが、土用波の第一の特徴だ。そこで次は、風の止んだ波が数千kmも進めるのはなぜかを考える。まず風浪とうねりの区別から入る。

2. 風が やんだ あとの 波は、どこまで 行くの?

2. 風浪と「うねり」のちがい ── 長い波は遠くまで残る

2. 風浪とうねり ── 長いうねりが遠くまで伝わる理由

海の 上で 風が ふくと、波が できます。この 波を ふうろうと いいます。形は ばらばらで、先が とがって います[1]。

風が やんだ あとも、波は すぐには きえません。のこって、すこしずつ よわく なりながら 進みます。これが「うねり」です[1]。

うねりは、波と 波の あいだが 長いのが とくちょうです。長い 波ほど、よわく なりにくく、さいごまで のこります。だから うねりは、とても 遠くまで つたわります[3]。

たとえば、おふろで 手を ゆっくり 大きく ふると、ゆっくりした 大きな 波が 向こうの かべまで 行きます。ただし 本当の 海の うねりは、ずっと 大きく、ずっと 長い 旅を します。

風でできる波と、風のあとに残る波

海上で吹く風でできる波は風浪と呼ばれ、形は不規則で、波の先がとがっています。風による発達がなくなったあとに残り、少しずつ弱まりながら伝わる波がうねりです[1]。

事典によると、うねりは、波の山から次の山までの長さ(波長)が約100メートル以上、山が通る間隔(周期)が約8秒以上と長く、波長が数百メートル、周期が20秒以上のものもあります(数値は目安です)。長い波ほど弱まりにくく最後まで残るため、うねりは非常に遠くまで伝わります[3]。

この性質のおかげで、数千キロメートル南で生まれた波が、風のなくなった日本の海岸にも届きます。では、その波はどれくらいの速さで進むのでしょうか。

風浪は海上の風によって生じる波で、形は不規則でとがる。うねりは風による発達がなくなったあとに残され、減衰しながら伝わる波である[1]。事典の記述では、うねりは波長約100m以上・周期約8秒以上(目安)で、波長数百m・周期20秒以上のものもあり、長い波ほど減衰しにくく最後まで残る。そのため非常に遠くまで伝播する[3]。

台風周辺で生じた多様な波のうち、短い波は途中で衰え、長い波が残りやすい。これが、数千km離れた海岸にまで高波が届く理由の一つと考えられる。

3. 波は 台風より 先に 来る ことが あるの?

3. 時速50キロ以上の波は、台風を追い越すことがある

3. 土用波の波速と、台風より先に着く場合

土用波の 速さは、ときには 時速50キロメートルを こえる ことが あります[1]。自動車の ふつうの 速さに ちかい 速さです。いつも この 速さと いう わけでは ありません。

台風の 進み方に よっては、うねりが 台風より 数日 早く 海岸に とどく ことも あります[1]。

天気が よくても、波が 高く なって きたら、「台風が 遠くに いるのかも」と 思って みてください。

うねりは、水が あさい 海岸の 近くで、海の そこの えいきょうを 受けて、高く なりやすいのです[1]。おきで 見た 波より、岸で 急に 高く 感じる ことが あります。

台風より先に届く波

気象庁によると、土用波の速さは非常に大きく、時には時速50キロメートル以上になります[1]。いつもその速さというわけではありません。

台風の進路によっては、うねりが台風自身より数日早く沿岸に着くこともあります[1]。台風が日本から遠い南の海にいるうちに、波だけが先に届くので、台風の知らせを聞く前に波が高くなる場合もあります。

岸に近づくと高くなる

うねりは風浪より波長や周期が長いので、水深の浅い海岸の近くでは海底の影響を受けて波が高くなりやすい、とされています。そのため、沖から来たうねりが海岸付近で急に高波になることがあります[1]。

気象庁は、土用波の波速は非常に大きく、時には時速50km以上に達するとしている[1]。これは「時には」であって、常にこの速さではない。また台風の進路によっては、うねりが台風自身より数日早く沿岸に到達する[1]。

この「進路による」という条件が重要だ。台風の進み方しだいで、うねりが先に届く場合がある、という範囲で理解しておく。

また、うねりは風浪より波長・周期が長いため、水深の浅い海岸付近で海底の影響を受け、波が高くなりやすい。沖から来たうねりが海岸付近で急に高波になることがあるのは、このためだ[1]。

ここで残る問いは、なぜ夏の土用ごろに、遠い南の海の台風が波を送ってくるのか、である。

4. どうして 夏の 土用の ころなの?

4. 夏の土用と台風 ── 暦の「土用」と、北へ向かう夏の台風

4. 土用の暦上の位置と、夏の台風の経路

土用は、むかしの こよみの ことばです。春・夏・秋・冬の はじまりの 日の 前の 18日間を いいます。1年に 4回 あります[4]。

土用波の 「土用」は、そのうちの 夏の 土用の ことを さす ことが 多いです。夏の 土用は、秋が はじまる 日(立秋りっしゅう)の 前の 18日間です。夏の まっさかりの ころです。

夏の あいだ、台風は 太平洋高気圧たいへいようこうきあつという、あたたかい 空気の かたまりの まわりを まわって、日本に むかって 北へ 進む ものが 多く なります[6]。

だから 夏は、南の 海の 台風が 大きな 波を 日本へ おくりやすい きせつ、と 考えられます。

暦の「土用」とは

土用は雑節の一つで、立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間です。1年に4回あり、夏の土用は立秋の前にあたります[4]。もとは陰陽五行という考え方で、季節に木・火・金・水を当てたときにあまる「土」を、季節の変わり目に割り当てたものです[5]。

夏の土用は、暦の上では夏の終わりの18日間にあたります。土用波という名前の由来には、ここでは立ち入りません。次の点だけを見ていきます。

夏の台風は北へ向かう

気象庁によると、夏になると台風の発生する緯度が高くなり、太平洋高気圧のまわりを回って日本に向かって北上する台風が多くなります[6]。台風が日本の南の海で発達し、日本へ向かう季節に、うねりも日本の太平洋側へ向かって伝わる、と考えられます。

では、夏の台風は、いつもまっすぐ日本に向かうのでしょうか。

土用は雑節の一つで、立春・立夏・立秋・立冬の前の各18日間を指す。夏の土用は立秋の前である[4]。陰陽五行説で四季に木火金水を当てると余る「土」を、季節の変わり目に割り当てたもので、太陽黄経で区分される[5]。

一方、気象庁の台風の知識は、夏になると台風の発生緯度が高くなり、太平洋高気圧の周囲を回って日本へ北上する台風が多くなるとする[6]。夏の土用は立秋前の期間で、台風が日本へ向かうことの多い夏と重なる。ただし「土用だから土用波が多い」という因果を述べた資料ではなく、名前の由来には立ち入らない。

では、その夏の台風は、どんな進路をたどるのか。8月と9月で比べる。

5. 台風の 道すじは、月に よって ちがうの?

5. 台風の道すじは、8月と9月で変わる

5. 8〜9月の台風経路 ── 高気圧の張り出しと偏西風による転向

8月は、台風が 1年で いちばん たくさん 生まれる 月です。でも、台風を ながす 上の 風が まだ 弱いので、台風は あっちへ こっちへ、ふらふらと 進む ことが 多いのです[6]。

9月に なると、南の 海から、ほうぶつせんの ように 大きく 曲がって、日本の 近くを 通る ものが 多く なります[6]。

30年の へいきんで、台風は 1年に やく25こ 生まれ、そのうち やく12こが 日本から 300キロメートル いないに ちかづきます。じょうりくするのは やく3こです。7月から 10月に とくに 多く なります[6]。

遠くの 台風の 波が、先に 来る ことも ある。台風の 道すじを 知ると、その わけが 見えて きます。

8月は不安定、9月は放物線

8月は、1年のうちで台風の発生数がいちばん多い月です。ただ、台風を流す上空の風がまだ弱いため、台風は不安定な経路をとることが多くなります。9月以降は、南の海上から放物線を描くように日本付近を通ります[6]。

沖縄付近で曲がる台風

7月に比べて太平洋高気圧の西への張り出しが弱まる8〜9月は、台風が高気圧のふちにあたる沖縄付近で速度を落とし、北東へ向きを変えやすくなります。本州付近に来ると、偏西風で速度を上げて北東へ進み、やがて温帯低気圧に変わります[7]。

1991〜2020年の30年平均で、台風は年に約25個発生し、約12個が日本から300キロメートル以内に接近し、約3個が上陸します。接近・上陸は7〜10月にもっとも多くなります[6]。接近する約12個すべてが上陸するわけではありません。

台風の進路は、うねりが日本へ向かうかどうかにも関わると考えられますが、台風の進み方しだいで、うねりが先に届く場合がある、というところまでが言えることです。

気象庁によると、8月は台風発生数が年間で最も多い月だが、台風を流す上空の風がまだ弱いため、不安定な経路をとることが多い。9月以降は南海上から放物線を描くように日本付近を通る傾向がある[6]。

この違いの背景として、気象庁気候変動監視の解説は、7月に比べて太平洋高気圧の西への張り出しが弱まる8〜9月には、高気圧の縁にあたる沖縄付近で速度が弱まり転向しやすくなるとする。本州付近では偏西風に乗って速度を上げ北東へ進み、温帯低気圧に変わる[7]。

頻度の目安も押さえておく。1991〜2020年の30年平均で、年に約25個の台風が発生し、約12個が日本から300km以内に接近、約3個が上陸する。接近・上陸は7〜10月に多い[6]。「接近」は300km以内であり、約12個の全部が上陸するわけではない。

経路の傾向と、うねりが台風より先に届くことは、別々の資料に書かれている。台風の進み方しだいで、うねりが先に届く場合がある、という範囲で押さえておく。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

台風が 出た とき、テレビや ラジオの 天気よほうで、台風が どこに いるかを 聞いて みましょう。そして、海の 波の 高さの よほうが、どう 言って いるかも 聞いて みましょう。台風が 遠くても、波の 高さの よほうが 出る ことが あります。

気を つける こと

波を 見に 海へ 行く ときは、波打ちぎわに 近づかず、おとなの 人と いっしょに 行きましょう。

今日できること

台風が発生したとき、天気予報や天気図で台風の位置を確かめ、その日の海の波の予報と見比べてみましょう。台風が遠くにあるのに、波の予報が高くなっている日があるか、探してみます。

安全のこと

海辺に出かけるときは、波打ちぎわに近づかず、おとなといっしょに行き、天気が穏やかでも波の高さに注意しましょう。

公式情報で確かめる

気象庁の「波浪の解説(風浪とうねり)」[1]と「台風の知識(月別経路)」[6]は、台風とうねりの関係を、図つきで確かめられる公式の資料だ。気になる台風が出たら、位置の移り変わりと、海の波の予報を並べて見比べると、うねりが先に届く日があるか確かめられる。

海岸で観察するときは、波打ちぎわに近づかず、天気が穏やかな日も波の高さに注意する。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

気象庁などの公的資料と、国立国会図書館・国立天文台の暦の解説、事典の項目を突き合わせた。

  1. 気象庁「海洋の波浪の解説(風浪とうねり)」 https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/wave/comment/elmknwl.html?wave01 (土用波・風浪とうねり・波速・岸での波の高まり)
  2. 気象庁「雨に関する用語(高波)」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p7.html (台風が遠くても高波がうねりとして届くこと)
  3. コトバンク「うねり」(世界大百科事典・日本大百科全書) https://kotobank.jp/word/%E3%81%86%E3%81%AD%E3%82%8A (うねりの波長・周期と、遠くまで伝わる性質)
  4. 国立国会図書館「日本の暦」土用 https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s7.html (土用の期間)
  5. 国立天文台 暦Wiki「土用とは?」 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FBBA8C0E1A4C8A4CFA1A9.html (土用と陰陽五行)
  6. 気象庁「台風の知識(台風の月別経路)」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-4.html (夏の台風の進み方・月別の経路・発生数と接近数)
  7. 気象庁 気候変動監視レポート関連(沖縄コラム) https://www.data.jma.go.jp/cpd/j_climate/okinawa/column3.html (8〜9月の台風の転向)

なおした ところ

更新履歴

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