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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

そうじを した のに、ほこりは どこから くるの?

掃除してもほこりが戻るのは、材料が毎日増えて、また舞い上がるから

室内ほこりの供給と再浮遊 ── 材料が毎日増え、沈んだものも舞い直す

分野:自然

ゆかを ぴかぴかに した はずなのに、あした には また ほこりが うっすら。ふしぎに 思った ことは ありませんか。

ほこりの ひみつを、けんきゅうの 話を たよりに さがして みましょう。

掃除をして、きれいになった床。ところが翌日には、もうほこりが薄く見えてきます。掃除のやり方が悪いのかと思いがちですが、ほこりのほうにも戻ってくる理由がありそうです。

ほこりはどこから来るのか、なぜ空気中にただようのか、いったん落ちたものがなぜまた舞うのかを、研究や公的機関の資料から順に確かめます。

掃除の直後でも、室内のほこりはまた目につくようになる。理由は大きく分けて、供給(人・衣類・寝具・屋外からの持ち込み)が絶えないこと、粒の大きさで沈降速度が大きく違うこと、沈着したものが人の動きで再浮遊することの3つと考えられる。

このメモでは、皮膚片の研究[1]、屋内外の粒子の出入り[3]、沈降の式[5]、人の動きによる舞い上がり[6]を突き合わせ、断定できることとできないことを分けて整理する。

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1. そうじの あとに、もう ふって いる もの

1. きれいにした直後から、材料は落ち続けている

1. 供給 ── 人は1日に約5億個の皮膚細胞を落とすとされる

人の 体からは、かわいた 皮膚ひふの 小さな かけらが、ずっと はなれて いきます。1日に 5億おくこも ひふの さいぼうを おとす、と いう 研究が あります[1]。

この かけらは、いえや しょくばの ほこりの、おもな もとの ひとつだと いわれます[1]。ほこりの ほとんどが ひふだ、という 意味では ありません。

そうじを して いる 間も、そうじの あとも、家に いる 人から、ほこりの もとが こぼれつづけます。

1日に約5億個

人は1日に約5億個の皮膚細胞を落とすと紹介されています。この皮膚片は、家や職場の表面にたまるほこりの主な成分の1つです[1]。

「1つ」であって「ほとんど」ではない

ここで気をつけたいのは、皮膚がほこりの大半を占めるとは言えないことです。発生源ごとの割合を、測定にもとづいて示した資料は、今回は見つかりませんでした。「主な成分の1つ」までが確かに言えることです。

掃除をしている間も、掃除のあとも、家にいる人からは材料が落ち続けます。

人は1日に約5億個の皮膚細胞を脱落させ、その皮膚片(皮脂を含む)は屋内表面にたまるほこりの主要な成分の1つである[1]。ただし紹介記事の表現は「主要な構成成分の1つ」であり、「ほこりの大半が皮膚」とは書かれていない。

発生源ごとの比率を測定にもとづいて示した一次資料は、今回の調べでは得られていない。以降の章でも、割合を断定する形では書かない。

2. ふく、ふとん、そとからも やって くる

2. 衣類や寝具、そして外から入ってくるもの

2. 屋内の繊維と屋外由来の粒子

ほこりの もとは、人の 体だけでは ありません。ふくや ふとんから でる わたぼこりも あります。

そとから も はいります。くつに ついた 土や、まどの すきまから はいる 空気が はこんで きます[3]。

そうじで 外に だしても、また あした、あたらしい ものが とどきます。

衣類や寝具から

掃除用品の会社ダスキンは、室内では衣類やふとんなどから出る綿ぼこりが大半だと説明しています[2]。ただし、これは業者による説明で、測定の根拠は示されていません。参考として受け取るのがよさそうです。

外から入ってくる粒

屋外の細かい粒は、建物のすきまや換気を通って室内に入ります。屋内外の粒子の関係をまとめた総説でも、屋外の粒が室内に入ることが扱われています[3]。入る量は、住宅や換気の条件によって変わります。

玄関でぬぐいきれない土や、服についてきた粒も加わります。

室内の繊維は、服や寝具、カーペットの繊維から出たものとされる。ダスキンの解説は、ハウスダストの3分の1近くは外から入ったもの、室内では衣類やふとんなどから出る綿ぼこりが大半と述べる[2]が、これは事業者の説明で、根拠となる測定は示されていない。定説として扱わない。

屋外粒子の浸入は、Chen & Zhao(2011)の総説が扱っている[3]。建物のすきまや換気を通って入るが、入る割合は住宅や換気の条件で変わるため、ここでは数値を示さない。

3. おおきい つぶは すぐ しずみ、ちいさい つぶは なかなか

3. 粒が小さいほど、沈むのは極端に遅い

3. 沈降速度は粒径の2乗に比例する(ストークスの式)

ほこりは、つぶの おおきさが ばらばらです。ちいさい つぶほど、ゆっくり しか おちません。

たとえば、紙ふぶきと 小石を ぱっと はなすと、小石は すぐ おち、紙ふぶきは ひらひら います。ただし 本当は、空気の 流れも かかわります。

けいさんでは、1マイクロメートル(1ミリの 千分の1)の つぶは、10マイクロメートルの つぶの およそ 100ばい おそく おちます[5]。

ダニの ふんの 研究では、大きい つぶは 5〜20ぷんで おちる 一方、こまかい かけらに わかれると ういて いやすい、と 書かれて います[4]。

10マイクロメートルで、1メートル沈むのに約4.6分

空気中の丸い粒が沈む速さは、粒の直径の2乗に比例します(ストークスの法則)[5]。密度1g/cm³の10マイクロメートルの粒は、1秒に約0.36cm沈むと計算されます。1メートル沈むのに約4.6分です。

直径が10分の1の1マイクロメートルなら、速さはおよそ100分の1です。1メートル沈むのに8時間前後かかる計算になります。これは空気の滑り補正を無視した概算で、実際の部屋は空気が動いているので、沈まずに長く浮くこともあります。

ダニのフンの研究

ダニのフン(10〜40マイクロメートル)は、放出後5〜20分ほどで多くが沈みますが、時間とともに1〜10マイクロメートルの破片に分かれ、小さい破片は空気中にとどまりやすい、と報告されています[4]。

空気中の球形粒子の終端沈降速度は、ストークスの法則により粒径Dの2乗に比例する(ws = (ρs−ρ)gD²/18μ)[5]。密度1g/cm³の10µm粒子で約3.6mm/s(0.36cm/s)、20µmで約1.4cm/s、30µmで約3.3cm/s。10µmの粒が1m沈むのに約4.6分(1m ÷ 0.0036m/s ≈ 280秒)となる。

1µmは速度が約1/100で、同じ1mに8時間前後かかる計算である。ただしこの数値は、空気の滑り補正を無視した概算で、出典に直接の記載はない。実際の室内では気流のために、さらに長く浮遊する可能性がある。

実測の例として、ダニ排泄粒子(10〜40µm)は放出後5〜20分で多くが沈降する一方、時間とともに1〜10µmの破片に崩れ、小さい破片は空気中にとどまりやすいと報告されている[4]。

4. あるくだけで、ほこりは また まいあがる

4. 歩くだけで、落ちたほこりは舞い直す

4. 再浮遊 ── 歩行・掃除機・はいはい

ゆかに おちた ほこりも、人が あるくと また ふわっと まいあがります[6]。へやを つくって ためした けんきゅうで わかった ことです。

はいはいを する あかちゃんの 口や はなの 高さでは、大人の 高さより、ばいきんの 数が 8〜21ばい 多かった という 研究も あります[7]。

ゆかに 近い ほど、まいあがった ものが おおい のです。

歩くと、床のほこりが舞う

人が動くと、床のほこりは空気中に舞い上がります。歩いたり掃除機をかけたりしたときの舞い上がりを、床の種類を変えて実験室で調べた研究があります[6]。床の種類による違いの細かい数字は、ここでは示しません。

赤ちゃんの高さ

はいはいをする赤ちゃんの呼吸の高さでは、細菌や真菌が大人の呼吸の高さより平均8〜21倍多かった、と報告されています。カーペットの床のほこりがはいはいで舞い上がるためで、歩いた場合の増え方はずっと小さいそうです[7]。これは微生物の量の話で、健康への影響は別の話です。

沈んだものも、簡単に戻る

寝具を動かすなど、人の活動で空気中のアレルゲンが大きく増えるという論文もあります。通常の室内でも、ピークが平均の2〜4倍になると述べられています[4]。

Lewisら(2018, J. Occup. Environ. Hyg.)は、歩行や掃除機がけによる床ほこりの再浮遊を、床材を変えて実験室のチャンバーで調べている[6]。床材ごとの差の向きや大きさは、ここでは断定しない。

Sci. Rep.(2020)は、寝具を動かした場合と動かさない場合の空気中アレルゲンのピーク比が200を超えた研究を引用し、通常の室内でもピークが平均の2〜4倍になると述べる[4]。200超は特定研究の値で、一般値ではない。

Microbiome(2018)では、はいはいの乳児の呼吸域の細菌・真菌が成人の呼吸域より平均8〜21倍高く、カーペット由来のほこりが舞い上がるためと説明されている[7]。これは微生物量の指標で、ほこり全体の量や健康リスクを直接示すものではない。

5. だから、どう すると いいのかな

5. 「戻る」前提で、続けられる掃除を考える

5. 対策 ── 継続・換気・寝具・掃除のタイミング

ほこりは まいあがって、また おちて、また 生まれます。だから 一回で ぜんぶは なくなりません。

ぜんそくが わるく なる げんいんの ひとつが、へやの ほこりです。その たいさくと して、かん気を よく する、ふとんを よく ほして から そうじきを かける、それを つづける ことが たいせつ、と くにの きかんは 言って います[8]。

そうじは、人が うごかない ときが いい、と 言う 会社も あります[2]。

ぜん息の悪化因子への対策として、環境再生保全機構は、換気を十分にすること、寝具はよく干してから掃除機をていねいにかけること、そして継続することを勧めています[8]。

ダスキンは、ほこりは人が動く時間帯に舞い、人がいない時や寝ている間は床に落ちるので、掃除は朝一番や帰宅直後がよいと説明しています[2]。これも業者の説明で、機構のページには載っていません。

ほこりが戻るのは掃除が足りないからではなく、供給と舞い直しがあるからです。掃除は「一度でゼロにする」ものではなく、「換気や寝具の手入れ、掃除を続けて、たまる量を少なめに保つ」ものだと言えそうです。

環境再生保全機構は、ぜん息の悪化因子対策として、換気を十分に行うこと、寝具をよく干したあとで掃除機を丁寧にかけること、継続することを挙げる[8]。

ダスキンは、ハウスダストが人の動きに合わせて舞い、人がいない時や寝ている間に床へ落ちるとして、掃除は朝一番や帰宅直後が適すると述べる[2]。ただしこれは事業者の説明で、機構のページには同趣旨の記述がない。

供給が続き、沈着物が動きで舞い直す以上、1回の掃除でゼロにはならない。継続が勧められている。「何日で何g」たまるかを測った資料は今回見つかっていない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

くらい 部屋の カーテンを すこし あけて、光の すじの 中を 見て みましょう。ふとんを ばさっと うごかすと、光の 中の ほこりが ふえるか、見て みます。ふとんは 外で うごかしましょう。

もう ひとつ。たなの 上に 黒い 紙を おいて、あした、あさって、と 見くらべます。

もっと 知りたい とき

「かんきょう さいせい ほぜん きこう」と、「ぜんそく」と、「しつない」を いっしょに けんさくすると、へやの ほこりを へらす 方ほうが 書いて ある ページが 見つかります。おうちの 人と いっしょに さがして みよう。

今日できること

暗めの部屋でカーテンを少しあけ、光の筋の中を見てみましょう。歩いたり、ふとんを動かしたりしたとき、光の中の粒がどう変わるか比べられます。ふとんは外で動かしてください。

黒い紙を棚に置き、1日後・3日後・1週間後の様子を見くらべるのもおすすめです。

もっと知りたいとき

環境再生保全機構のぜん息のページに、室内環境の見直し方が載っています。粒子の沈み方は「ストークスの法則」で検索すると、式の説明が見つかります。

今日できること

暗い部屋でカーテンをわずかにあけ、光の筋のなかの粒を観察する。歩行や寝具の移動(寝具は屋外で動かす)で粒の数が変わるかを比べる。棚の上に黒い紙を置き、1日後・3日後・7日後の付着を比べれば、たまり方の目安が得られる。

資料を読むなら

Lewisら(2018)と、Sci. Rep.(2020)のダニ粒子の論文は、再浮遊と沈降を扱う。環境再生保全機構のぜん息対策ページは、日本語で対策をまとめている。沈降の式は「ストークスの法則」で検索すると説明が見つかる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

数字を使った資料と、その用途です。検索結果の要旨だけで確かめた箇所は、本文にそう書いています。

  1. ScienceDaily「Weschler研究の紹介」2011 https://www.sciencedaily.com/releases/2011/05/110509114034.htm (皮膚片の量と、ほこりの成分)
  2. ダスキン「ハウスダストとは?」 https://www.duskin.jp/item/mop/housedust/ (衣類・寝具・外からの割合の説明と、掃除の時間帯。事業者の説明)
  3. Chen & Zhao (2011) Atmospheric Environment https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1352231010008241 (屋外粒子の屋内への浸入。原文は未確認のため、割合は本文に使っていない)
  4. Sci. Rep. (2020) 室内エアロゾルの変動とダニアレルゲン https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7547081/ (ダニのフンの沈み方と、舞い上がり)
  5. Geological Digressions「Fluid flow, Stokes' law and particle settling」 https://www.geological-digressions.com/fluid-flow-stokes-law-and-particle-settling/ (沈む速さの式。数値は概算)
  6. Lewis et al. (2018) J. Occup. Environ. Hyg. 15(3):235-245 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29283321/ (歩行・掃除機と再浮遊。要旨のみ確認)
  7. Crawling-induced floor dust resuspension affects the microbiota of the infant breathing zone, Microbiome (2018) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5797336/ (はいはいでの舞い上がり)
  8. 環境再生保全機構「悪化因子の対策 室内環境を見直しましょう」 https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/measures/indoor.html (換気・寝具の掃除の勧め)

なおした ところ

更新履歴

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