1. まわりはじめは いつ?
1. 誰かが回したのではなく、もとの回転が残っている
1. 円盤の回転と角運動量の保存
ずっと むかし、たいようけいの もとに なった、おおきな ガスと ちりの くもが ありました。この くもは、ゆっくり まわって いました[1]。
くもは ちぢむと、たいらな おおきな 円盤に なりました。まわる 円盤の なかで、つぶが ぶつかって くっつき、だんだん おおきく なって いきました[1]。
スケートの 人が、うでを からだに ひきよせると、くるくる はやく まわります。くもが ちぢむ ときも、にた ことが おきて、まわりかたが はやく なったと いわれます[2]。ただし、ほんとうの くもは スケートの 人と ちがい、うでの かわりに ガスと ちりが あつまる のです。
だから、だれかが まわしたのでは ありません。もとの くもの まわりかたが、わくせいが うまれる もとに なりました。わくせいごとの まわりかたには、あとの しょうとつも かんけい して います。
回る雲が、平たい円盤になった
太陽系のもとになったのは、ガスと塵でできた大きな雲です。この雲は回転していて、縮みながら平たい円盤になりました。円盤の中では粒どうしがぶつかってくっつき、少しずつ大きな塊に育っていった、というのが今の考え方です[1]。
フィギュアスケートと同じ理屈
雲が縮むと、回る速さが増します。フィギュアスケートの選手が腕を体に引き寄せると回転が速くなるのに似て、「回転の勢い」の合計(角運動量)は、外から力が加わらないかぎり変わらないからです[2]。
ここで大事なのは、「回す誰か」は要らないということです。円盤がもともと持っていた回転が、惑星が生まれるもとになった、と説明されています[2]。ただし、惑星ごとの回り方には、そのあとの衝突も関わっていると考えられています。
太陽系のもとになった原始太陽系星雲は、回転しながら平たい円盤に変わった。円盤内の粒子は衝突と付着を繰り返し、より大きな塊へ成長した[1]。
回転が速くなる仕組みは角運動量(かくうんどうりょう)の保存で説明される。雲が収縮すると、フィギュアスケートの選手が腕を引き寄せたときのように自転が加速する。この円盤の回転が、惑星が生まれるもとになったという説明である[2]。「外から回された」のではなく、系がもともと持っていた回転が保存されているという見方だ。ただし惑星ごとの回り方には、その後の衝突も関わると考えられている。
ただし、円盤の回転がそのまま各惑星の自転になるわけではない。次章のとおり、惑星が育つ過程での衝突が向きや速さを左右すると考えられている。
2. ななめに ぶつかると、どうなる?
2. 「真正面でなかった」ことが、回転を生んだ
2. 斜めの衝突と巨大衝突
ちきゅうは、ちいさな わくせいが いくつも くっついて できたと かんがえられて います。
ぶつかる とき、まっすぐ まんなかに あたったのでは ありません。ななめに ぶつかった から、ちきゅうは まわりだした と かんがえられて います[3]。
JAXAの こども むけの ページでは、はんたいがわから はしって きた ふたりが 手を つなぐと、くるっと まわって しまう ようすで せつめいして います[3]。この ように、ちょうど まっすぐ ぶつかった ときは まわりにくく、ななめに ぶつかると まわりやすいのです。
反対から走ってきた二人が手をつなぐと
JAXA宇宙科学研究所のこども向けページには、こんな説明があります。反対側から走ってきた二人が手をつなぐと、体がくるっと回ってしまう。地球も、小さな惑星どうしが合体してできたとき、真正面からぶつかったわけではないので、回り始めたのだろう、と考えられています[3]。
大きな衝突は何度もあった
惑星ができる最後のほうで、原始惑星どうしがぶつかる現象は「巨大衝突(ジャイアント・インパクト)」と呼ばれます。地球や金星は、こうした衝突を複数回経験したと考えられています[4]。
いつ、どんな角度でぶつかったかで、その後の回り方は変わります。だから惑星ごとに自転の向きも速さもばらばらになる、と読めます。
地球の自転について、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)のキッズ向けFAQは、小さな惑星どうしが合体して地球ができたとき、真正面からの衝突ではなかったためと説明する。反対方向から走ってきた二人が手をつなぐと回転してしまう例で示されている[3]。表現は「考えられる」であり、衝突の角度や回数が個別に確定しているわけではない。
国立天文台は、惑星形成の最終段階で原始惑星(げんしわくせい)どうしが衝突する現象を巨大衝突(ジャイアント・インパクト)と呼び、地球や金星は複数回経験したと考えられている、と解説する[4]。
なお、月も巨大衝突で生まれたとする説があり、同じ資料でふれられている[4]。衝突直後の地球の自転速度については資料により数字が異なるため、ここでは取り上げない。
3. ひると よるは、どうして できる?
3. 昼と夜、そして「1日は自転1回より約4分長い」
3. 恒星日と太陽日 ── 約4分のずれ
ちきゅうが まわると、たいようの ほうを むく ところが かわります。たいようが あたる ところは ひる、あたらない ところは よるです。
ところで、ちきゅうが 1かい まわる 長さは、24じかんより、すこしだけ みじかい のです。およそ 4ふん みじかいと いわれます[5]。
ちきゅうは まわりながら、たいようの まわりも すすんで います。だから、たいようが おなじ ばしょに もどって くるまでには、すこし よけいに まわらなければ なりません。
昼と夜は、自転の結果
地球の半分には、いつも太陽の光が当たっています。地球が回るので、そこにいる人が光の当たる側に入れば昼、影の側に入れば夜になります。
1日は自転1回とぴったり同じではない
星を基準に地球が1回転する時間は、23時間56分4秒ほどです(恒星日)。一方、太陽が同じ位置に戻るまでの1日(太陽日)は24時間で、恒星日より約4分長くなります[5]。
理由は、地球が自転しているあいだに、公転で太陽のまわりを約1°進むことです。太陽に対して1周したように見えるまで、少し余分に回る必要があります[5]。1周は360°で、1日は24時間なので、1°ぶんは4分。計算とも合います。
地球の自転周期(恒星日)は23時間56分4.09秒で、太陽日(24時間)より約4分短い。地球は自転している間に公転軌道上で約1°進むため、太陽が南中してから再び南中するまでには、恒星日より少し余分に回る必要があるからだ[5]。
確かめの計算:24時間で360°回るとすると、1時間で15°。したがって1°ぶんは4分になり、上の説明と整合する。
この節の数値は天文学辞典の解説による。1日の長さは潮汐などで長い時間をかけて変化することが知られているが、本稿の主題から外れるためここでは触れない。
4. ほかの わくせいは、どれくらいで まわる?
4. 惑星の1日は、木星で約10時間、金星で約243日
4. NASA惑星ファクトシートで見る自転周期
ほかの わくせいも、みんな まわって います。まわる はやさは、わくせいに よって ちがいます[6]。
もくせいは、およそ 10じかんで 1かい まわります。ちきゅうの 半ぶんも かかりません。
すいせいは、1かい まわるのに、およそ 58日 かかります。きんせいは、もっと ゆっくりで、およそ 243日です[6]。
もくせいの ほうが ちきゅうより ずっと おおきいのに、はやく まわって いる ところが おもしろい ところです。
自転周期の一覧
NASAの惑星ファクトシートには、各惑星が1回自転する時間(時間単位)が載っています[6]。
- 水星:1407.6時間(約58.7日)
- 金星:5832.5時間(約243日、逆向き)
- 地球:23.9時間
- 火星:24.6時間
- 木星:9.9時間
- 土星:10.7時間
- 天王星:17.2時間(逆向き)
- 海王星:16.1時間
数字を読むときの注意
火星の1日は地球とよく似ています。ただ、なぜ似ているのかを説明した資料は、今回の材料の中にありません。
金星は5832.5時間を24で割ると約243日です。ただし、金星で太陽が昇ってから次に昇るまでの「昼と夜の1回」は、自転周期とは別で約117日です[6]。
NASAの惑星ファクトシートによる自転周期(Rotation Period、時間)は次のとおり。水星1407.6、金星−5832.5、地球23.9、火星24.6、木星9.9、土星10.7、天王星−17.2、海王星16.1。負の値は逆向きの自転を表す[6]。
金星の5832.5時間は約243日である(5832.5÷24=243.0)。同表の昼夜の周期(Length of Day)は2802時間で、約117日(2802÷24=116.75)。金星では自転周期と昼夜の周期が別物であることに注意が要る[6]。
火星の値が地球に近い理由は、今回参照した資料では説明が確認できなかった。理由の断定は避ける。
5. さかさまに まわる わくせいが ある?
5. 金星と天王星は、なぜ「変わった回り方」なのか
5. 逆行と横倒しの自転 ── 衝突説と潮汐説
ほとんどの わくせいは、おなじ むきに まわって います。でも、きんせいと てんのうせいは ちがいます[2]。
きんせいは、ほかの わくせいと はんたいむきに まわって います。てんのうせいは、よこに ころがるように かたむいて まわって います[6]。
むかしの しょうとつが げんいんだと いう せつが あります。でも、きんせいについては、ほかの せつも あり、ひとつには きまって いません[7]。
ほとんどは同じ向き。例外は2つ
太陽系の惑星の多くは、同じ向きに自転しています。例外が金星と天王星です。この違いは、惑星ができる終わりごろの衝突が原因だと考えられています[2]。
NASAの表では、公転面に対する自転軸の傾きは、地球が23.4°、天王星が97.8°、金星が177.4°です[6]。天王星はほぼ横倒し、金星はほぼ逆さまに回っている、と読めます。
金星は、衝突なしでも説明できるかもしれない
フランスの天文学者ジャック・ラスカールらは、金星のゆっくりした逆向きの自転は、強い衝突を仮定しなくても、固い地面と大気にはたらく潮汐の力のつり合いで説明できると報告しています[7]。
金星の原因は、研究者のあいだで1つに決まっていません。
惑星の多くは同じ向きに自転するが、金星と天王星は例外で、これは形成末期の衝突に由来すると考えられている[2]。NASAの表では、公転面に対する自転軸の傾き(Obliquity to Orbit)は地球23.4°、天王星97.8°、金星177.4°であり、天王星はほぼ横倒し、金星はほぼ逆さまの姿勢で自転している[6]。
一方、ジャック・ラスカール(フランスの天文学者)らは、金星の逆向きでゆっくりした自転は、太陽系形成末期の強い衝突を仮定しなくても、固体潮汐と大気潮汐のつり合いで説明できるとしている[7]。すなわち金星の逆向き自転の原因は、衝突説と潮汐説があり、研究者の間で一つに決まっているわけではない。
天王星の横倒しについては、今回の資料は衝突説の紹介にとどまる[2]。こうした惑星ごとの違いは、資料を並べて読むと「衝突が確かな原因」という単純な結論には向かわない点も面白い。
6. じぶんでも しらべて みよう
6. 自分でも調べてみたくなったら
6. 自分でも調べてみたくなったら
きょう できること
くらい へやで、ボールに ライトを あてて みましょう。ライトが あたる がわが ひる、かげの がわが よるです。ボールを ゆっくり まわして、ひると よるが かわる ようすを みて みましょう。
ライトは、ボールに ちかづけすぎないように します。また、ライトを 人の かおに むけないように しましょう。
しらべる ときに
JAXA(ジャクサ)の こども むけの ページでは、ちきゅうが まわる わけが のって います。おうちの 人と いっしょに、みて みましょう。
今日できること
暗くした部屋で、ボールに懐中電灯の光を当ててみましょう。ボールを少しずつ回すと、光が当たる側が昼、影の側が夜になります。ライトを人の顔に向けないよう気をつけてください。
もう一歩
金星のように、太陽の昇る向きがふつうと逆になる星では、1日の中で何が起きるか。金星の自転の向きを、地球儀と矢印で描いてみましょう。地球とは逆向きに回るとしたら、太陽は東西のどちらから昇るように見えるでしょうか。本文の表を見ながら考えると、資料を読む練習になります。
公式の情報
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料。数字は各資料の記載をもとにしている。
- NASA Astrobiology "How did our Solar System form?" https://astrobiology.nasa.gov/education/alp/how-did-our-solar-system-form/ (円盤の形成と粒の合体)
- Scientific American "Why and how do planets rotate?" https://www.scientificamerican.com/article/why-and-how-do-planets-ro/ (角運動量の保存、金星・天王星の例外)
- JAXA宇宙科学研究所 ウチューンズ FAQ https://www.kids.isas.jaxa.jp/faq/earth/ea02/000145.html (斜めの衝突による自転)
- 国立天文台 原始惑星の巨大衝突 https://www.nao.ac.jp/gallery/weekly/2017/20171212-4d2u.html (巨大衝突の解説)
- 天文学辞典「恒星日」 https://astro-dic.jp/sidereal-day/ (恒星日と太陽日のずれ)
- NASA Planetary Fact Sheet https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/ (自転周期・自転軸の傾き)
- Jacques Laskar "The retrograde rotation of Venus" https://perso.imcce.fr/jacques-laskar/en/general-audience/venus-spins-backward/ (金星の逆向き自転の別の説明)
なおした ところ
更新履歴
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