1. れいとうこの なかでは、なにが とまって いるの?
1. 冷凍庫の中で止まっているもの
1. 増殖抑制と品質変化の抑制
たべものは、おいて おくと いたんで いきます。ばいきんが ふえたり、たべものの なかで ちいさな へんかが すすんだり するからです。
れいとうこで こおらせると、ばいきんが ふえにくく なると されて います[1]。あじが かわる へんかも、おさえられると いわれます[2]。
いきものが ふゆに じっと うごかなく なるのに、すこし にています。ばいきんは ふえにくく なるのであって、ぜんぶ いなくなる わけでは ありません。とけた ものは はやく たべましょう。
「増えにくくなる」という働き
日本冷凍食品協会は、食品を凍らせると微生物の増殖が抑えられ、食品成分の変質も防げるので、長期間の保存ができるようになると説明しています[1]。農林水産省の記事も、−18℃以下の保管が細菌の繁殖を抑え、酸化や酵素反応による品質の変化を抑えると述べています[2]。
ここで抑えられるのは菌の「増殖」です。冷凍は殺菌の方法ではないので、溶けた食品は早めに食べたほうがよいでしょう。
協会のマニュアルには、保存温度と細菌の関係を示した図があります。食中毒の原因になる菌は、0〜10℃付近では増えるのに、家庭の冷凍室にあたる−18℃付近では増えないと示されています。一部の低温細菌や例外的な事例では、−10℃前後まで増えた報告もあるとされます[1]。
2. マイナス18ど という ひくさは、だれが きめたの?
2. 「−18℃」と「−15℃」はどこから来たのか
2. −15℃(食品衛生法)と−18℃(自主基準)の区別
れいとうこの ひくさは、マイナス18どが めやすと されて います。この かずには、じつは ふたつの いみが あります。
ひとつは、ほうりつに ある マイナス15ど いかという きまりです。これは ばいきんを ふやさない ための、あんぜんの きまりです[3]。
もうひとつが マイナス18どです。こちらは、おいしさを ながく たもつ ための ものだと、れいとうしょくひんの きょうかいは せつめいして います[3]。さらに、この きまりは 1971ねんに、しょくひんの かいしゃなどが あつまって つくった もので、ほうりつでは ありません[3]。
安全の−15℃、おいしさの−18℃
冷凍食品の保存温度としてよく聞くのは「−18℃以下」です。ところが日本冷凍食品協会の資料によると、食品衛生法にあるのは「−15℃以下」という基準で、これは細菌を繁殖させないための食品安全の基準です。−18℃以下のほうは、おいしさを長く保つための基準で、目的が別だと説明されています[3]。
1971年に決まった目安
−18℃以下という基準は、1971(昭和46)年に策定された「冷凍食品自主的取扱基準」の中で定められたとされています[3]。法律ではなく、業界の自主的な取り決めです。
ただ、なぜ−18℃になったのか、その計算や根拠までは、今回読んだ資料に書かれていませんでした。理由を知りたければ、協会の資料の続きを読むのがよさそうです。
日本冷凍食品協会の資料(2014)によれば、食品衛生法には−15℃以下という基準があり、これは細菌を繁殖させないという食品安全に関する基準である。おいしさを長期間担保するための基準ではなく、−18℃以下は品質の基準として別の目的を持つ[3]。
−18℃以下の基準は、1971(昭和46)年の「冷凍食品自主的取扱基準」の中で定められた。同資料は、1976年のコーデックスの国際実施規範でも保管温度が−18℃以下とされたことも述べる[3]。つまり−18℃は、1971年の業界の自主基準に由来し、その後に国際的にも採り入れられた値である。
なぜ−18℃なのかという導出(反応速度など)は、参照した資料には見当たらなかった。「安全基準」と書かれがちだが、−18℃は品質の基準である点に注意したい。
3. こおりの つぶが おおきいと、なにが こまるの?
3. 氷のつぶの大きさと、凍らせる速さ
3. 最大氷結晶生成帯と急速凍結
たべものの なかの みずが こおると、ちいさな こおりの つぶが できます。この つぶが おおきいと、たべものの なかの つくりを こわして しまう ことが あります[4]。
ぬれた ハンカチを ぎゅっと こおらせて、かたい かたまりに した ところを おもいうかべて ください。つぶが おおきいと、ぬのの いとを おしのけて しまう イメージです。ただし、ほんとうの たべものは、もっと ふくざつです。
こおりの つぶが おおきく なりやすいのは、マイナス1どから マイナス5どの あいだです[4]。ここを はやく とおりぬけると、つぶが ちいさく すみます。おみせや こうじょうで つかう「きゅうそく とうけつ」は、この ための ほうほうです。
氷が大きくなりやすい温度帯
食品を凍らせるとき、−1〜−5℃の間は「最大氷結晶生成帯」と呼ばれ、大きな氷の結晶ができやすい温度帯です。大きな氷の結晶は、食品の組織を傷めて、劣化を進めてしまうと説明されています[4]。
そこで、この温度帯を素早く通り抜ける「急速凍結」が使われます。農林水産省の記事では、目安としてほぼ30分以内に通過させ、組織の損傷を少なくする凍結方法とされています[2]。氷の結晶が小さくなれば、食品の傷みも少なくなります[4]。
家庭の冷凍庫はどうか
家庭の冷凍庫が、この意味で「急速」かどうかは、資料からは分かりません。少なくとも、工場の設備と同じだと決めつけないほうがよさそうです。
4. しもは、どうして できるの?
4. 霜と昇華 ── 氷が水にならずに気体になる
4. 温度変動による昇華と再凍結
れいとうこの とびらを あけしめすると、なかの おんどが すこし ゆれます。すると、たべものに ついた ちいさな こおりが、みずに ならずに、そのまま きたいに なる ことが あります[2]。これを 「しょうか」と いいます。
さむい あさに ほした せんたくものが、こおったまま いつのまにか かわく ことが あります。あれも、こおりが きたいに なる からと いわれます。ただし、れいとうこと せんたくものは、まわりの ようすが ちがいます。
たべものから ぬけでて きたいに なった みずは、たべものの ひょうめんや ふくろの うちがわで、また こおって しもに なります[1]。しもは、たべものから ぬけでた みずだと いわれて います。
氷が、水にならずに気体になる
農林水産省の記事は、冷凍庫の扉の開け閉めなどで庫内の温度が変動すると、食品に付いた微細な氷が昇華すると説明しています。昇華とは、氷が水にならずに直接気体になる現象のことです[2]。
寒い朝に外に干した洗濯物が、凍ったままいつの間にか乾くことがあります。これも氷が気体になる例とされます。ただし冷凍庫の中は狭く閉じているので、抜け出した水分の行き先は洗濯物とは違います。
気体になった水が霜になる
日本冷凍食品協会のマニュアルでは、庫内の温度変動で食品中の水分が水蒸気になって蒸発し、それが再び凍って、食品の表面や包装の内側に霜として付くと説明されています[1]。パナソニックの解説にも、霜は食品から抜け出した水分だという説明があります[5]。
つまり、霜は食品から抜け出した水分が付いたものです。
農林水産省の記事は、冷凍庫の扉の開閉などで庫内温度が変動すると、食品に付いた微細な氷が昇華し、それが霜や冷凍焼けの原因になると述べる。昇華は氷が水にならずに直接気体になる現象である[2]。
日本冷凍食品協会のマニュアルは、庫内の温度変動で食品中の水分が水蒸気となって蒸発し、再び凍って食品の表面や包装内面に霜として付着すると説明する[1]。メーカー(パナソニック)の解説も、霜を食品から抜け出した水分としている[5]。
同マニュアルは、包装内に極端に霜が付き雪をまぶしたように白い冷凍食品について、食品の外側と中心部で水分が移動しており、品質が変化しているおそれがあるとする[1]。なお、霜と冷凍焼けの因果は、農林水産省では昇華を原因として結び付けており、メーカー解説はそれを補う位置づけである。
5. れいとうやけって、なに?
5. 冷凍焼けと、長持ちの目安
5. 冷凍焼けの症状と品質保持の目安
みずが ぬけると、たべものは かわいて しまいます。この ことを 「れいとうやけ」と いいます[5]。ひを つかう わけでは ないのに、「やけ」と よぶ のですね。
れいとうやけを した たべものは、パサパサに なったり、あじが うすく なったり、においが かわったり する ことが あります[5]。
れいとうしょくひんの きょうかいは、マイナス18ど いかに たもてば、つくってから やく 1ねんは、しつが かわらないように かんりして いると いいます[1]。これは かいしゃの かんりの めやすで、おうちの れいとうこの きかんでは ありません。
乾いて、味も落ちる
パナソニックの解説では、食品から水分が失われると乾燥して「冷凍焼け」を起こし、パサつきや風味の低下、酸化によるにおいの変化が出るとされています[5]。火で焼けるわけではなく、冷たさで乾いていく現象です。
「約1年」の意味
日本冷凍食品協会は、冷凍食品を常に−18℃以下に保つよう管理し、製造後約1年間は品質が変わらないようにしていると述べています。冷凍では細菌の活動が抑えられるので、保存料は要らないとも書かれています[1]。
ただ、これは業界が製造から流通までを管理したときの目安です。家庭の冷凍庫で、扉を何度も開け閉めした場合の期間ではありません。家庭の冷凍庫でどれくらい持つかは、冷凍庫の温度や扉の開け閉めの多さ、包み方によって変わります。
パナソニックの解説では、水分が失われた食品は乾燥して冷凍焼けを起こし、パサつき、風味の低下、酸化によるにおいの変化が出る[5]。ただしメーカー解説であり、第三者資料による補強が望ましい。
日本冷凍食品協会のマニュアルは、冷凍食品を常に−18℃以下に保つよう管理し、製造後約1年間は品質が変わらないようにしていると述べる。冷凍で細菌の活動が抑えられるため保存料が要らないとも述べる[1]。この「約1年」は業界の管理下での品質保持の目安であり、家庭の冷凍庫での保存期間を示す値ではない。家庭でどれだけ持つかは、庫内の温度の安定や包装の状態によって変わる。
結論として、冷凍は微生物の増殖と品質変化を抑えるが、温度が揺れると氷の昇華が進み、霜や冷凍焼けにつながる。長持ちは、「温度が安定していること」に支えられている。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
きょう できること
おうちの 人と いっしょに、れいとうこの なかを ながめて みましょう。たべものは とりだしません。しもが おおく ついて いる ところと、ほとんど ない ところを さがして、ことばで かいて みます。
とびらは あけたままに せず、みじかい じかんで とじて ください。つめたい ところに ながく ふれるのも やめましょう。
もっと しりたく なったら
おうちの 人や がっこうの 先生に、しもと おんどの かんけいを きいて みても おもしろいです。れいとうしょくひんの きょうかいや、のうりんすいさんしょうの ページにも、しらべる ヒントが のって います。
今日できること
大人と一緒に、冷凍庫の中を眺めます。食べ物は取り出しません。霜が多く付いている場所と、ほとんど付いていない場所を探して、言葉で書き留めます。袋の内側の霜の付き方も見てみましょう。
扉は開けっぱなしにせず、短い時間で閉めてください。冷えた面に素手で長く触れるのも避けます。場所による違いが、温度の揺れと関係しているかは、自分の観察と資料の説明を並べて考えてみるとよいでしょう。
もっと知りたくなったら
日本冷凍食品協会や農林水産省の公式サイトには、冷凍食品の基礎知識や保存についての解説が載っています。−15℃と−18℃の違いも、もとの資料で読み比べてみてください。
家でできる観察
大人と一緒に行うこと。食品は取り出さず、冷凍庫内の霜の付き方(庫内の場所、袋の内側、包装の外側など)を記録する。扉を開ける時間は短くし、冷えた面に素手で長く触れない。どの場所・どの包装で霜が多いかを記録し、自分の観察と資料の説明(昇華・再凍結)で照らし合わせられる。
資料を読むなら
日本冷凍食品協会「冷凍食品の基礎知識マニュアル2025」と、同協会「−18℃以下の基準について」(2014)が、−15℃と−18℃の違い、1971年の基準、霜の説明を含む。農林水産省 aff 2021年7月号の特集は、急速凍結と昇華の説明が読みやすい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の参照番号は、下のリストの番号に対応します。家庭の冷凍庫での保存期間や、−18℃の科学的な導出は、参照した資料では確かめられていません。
- 日本冷凍食品協会「冷凍食品の基礎知識マニュアル2025」 https://www.reishokukyo.or.jp/wp-content/uploads/2023/02/manual2025.pdf (増殖抑制・温度と細菌の図・霜・約1年の管理)
- 農林水産省 aff 2021年7月号 特集 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2107/spe1_01.html (品質変化の抑制・急速凍結・昇華)
- 日本冷凍食品協会「−18℃以下の基準について」(2014) https://www.reishokukyo.or.jp/wp-content/uploads/pdf/140214_news.pdf (−15℃と−18℃の違い・1971年の基準)
- 高知県 プラットフォーム2016年3月号(食品の凍結技術) https://www.pref.kochi.lg.jp/_files/00014601/platform201603-1.pdf (最大氷結晶生成帯・氷の大きさ)
- パナソニック 冷蔵庫 食品の保存と品質 https://panasonic.jp/reizo/feature/preserve.html (霜・冷凍焼けの症状。メーカーの解説)
なおした ところ
更新履歴
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