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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ジャイロこうかって なに? ── 回る コマは どうして すぐには たおれないの?

ジャイロ効果って何? ── 回るコマが、倒れそうで倒れずに横へ動くわけ

ジャイロ効果と歳差運動 ── コマの首振りから、ジャイロコンパス・ISS・自転車・スマートフォンまで

分野:技術

回って いる コマは、ななめに なっても、すぐには たおれません。たおれる ほうへは 行かず、よこへ ゆっくり 円を かく ように ゆれます。

おした むきと ちがう ほうへ うごく、ふしぎな せいしつです。この せいしつは、船の コンパスや、宇宙うちゅうステーションの むきを かえる そうちにも 使われて います。でも、自転車と スマホの 話には、ちょっと ちがう 話が あります。

回っているコマは、ななめになっても、すぐには倒れません。重力が倒そうとする向きには進まず、横へ向かって、ゆっくり円を描くように首を振ります。回っているコマの軸は、力を受けた向きとは別の向きへ動く、ふしぎな性質があります。

この性質は、船のコンパスや、国際宇宙ステーション(ISS)の向きの制御にも使われています。一方で、「自転車が倒れないのはジャイロ効果のおかげ」と「スマホのジャイロセンサーは回るコマが入っている」という2つの説明には、少し違う話があります。順に見ていきます。

回転しているコマは、傾いても、すぐには倒れない。重力が倒そうとする向きには動かず、軸が円を描くように首を振る。重力で倒れる向きに力を受けると、コマの軸はその力の向きとは別の向きへ動く。この性質がジャイロ効果と呼ばれる[1][2]。

コマの首振りは、船のジャイロコンパスやISSの姿勢制御に使われる。一方、自転車が倒れない主因とされてきた説明は、2011年の実験で「必須ではない」と示された。スマートフォンの「ジャイロセンサー」も、回るコマは使わない。それぞれの資料を突き合わせて、この性質のどこまでが確かなのかを見ていく。

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1. まわる コマは、どうして すぐには たおれないの?

1. コマが倒れそうで倒れずに、横へ動く

1. 歳差運動 ── 力を受けたコマの軸は、別の向きへ動く

コマを ななめに して まわすと、じめんの ほうへ たおれ そうに なります。でも、すぐには たおれません。じくの さきが、ゆっくり 円を かいて まわります。この うごきを、みそすり運動と いう ことが あります[1]。

おされると まっすぐ すすみたがる、ころがる ボールを 思いうかべて ください。回って いる コマも、おされた ほうへ 行かず、ちがう むきへ 動きます。ただし ほんとうは、ボールは ころがって いますが、コマは その場で 回って いる ところが ちがいます。

回って いる ものに ちからが かかると、おした むきとは べつの むきへ うごく、と せつめいされます[1]。

この うごきを、ひこうきなどの せかいでは「ジャイロこうか」と よびます[2]。

コマは、まさつで だんだん おそく なります。おそく なると、たおれない はたらきが よわく なって、じゅうりょくの ほうが 強く なり、ついに たおれます[1]。おそく なるほど、首ふりも 大きく なります[2]。

回っているコマは、傾いても、すぐには倒れません。重力で軸が倒れる向きに力を受けると、コマの軸はその力の向きとは別の向きへ動き、ゆっくり円を描くように首を振ります。この動きを歳差運動、日本語ではみそすり運動と呼びます[1]。

なぜ、押した向きと違う方へ動くのでしょう。未来工学研究所の解説では、回っている物体に力が加わると、回転軸と力の向きがつくる面に対して、直角の向きに力が生じると説明されています[1]。コマの軸は、力の向きから90度ずれた方へ動く、ということです。ただし、これは入門的な言い方です。正確には、力のモーメント(トルク)と角運動量の関係で表すので、数式はここでは扱いません。

コマの軸が傾けられそうになると、軸は加えられた力とは違う向きへ移動します。この現象を、航空などの分野では「ジャイロ効果」と呼びます[2]。

コマは、摩擦で回転が遅くなると、歳差運動を起こす作用が弱まります。すると重力の影響が大きくなり、コマは倒れます[1]。EMANの力学の解説でも、回転が落ちるほど重力の影響が強く出て、首振りが激しくなると書かれています[2]。地球の回転軸も、同じ種類の歳差運動をしているとされます[1]。

では、この性質は何に使われてきたのでしょう。まずは、名前の由来から見ていきます。

回転しているコマが傾くと、重力は倒す向きに力を及ぼす。しかしコマの軸はその力の向きとは別の向きへ動き、ゆっくり円を描くように首を振る。これが歳差運動(みそすり運動)だ[1]。未来工学研究所の解説は、回転する物体に力が加わると、回転軸と力の向きが作る面に対して直角の向きに力が生じる、と説明する[1]。

ただし、「直角に力が生じる」は入門的な言い方だ。厳密には、力のモーメント(トルク)と角運動量の関係で記述される。本文では数式を扱わない。EMANの力学は、コマの軸が傾けられそうになると、軸は加えた力とは違う向きへ移動すると述べ、この現象を航空分野などで「ジャイロ効果」と呼ぶとする[2]。

コマは、摩擦で回転が遅くなると、歳差運動を起こす作用が弱まって重力の影響が勝ち、倒れる[1]。EMANも、回転が落ちるほど重力の影響が強く出て、首振りが激しくなると述べる[2]。地球の回転軸も、同じ種類の歳差運動をしているとされる[1]。

この性質に「ジャイロ」という名前がついたのは、いつのことか。

2. 「ジャイロ」って、どんな いみ?

2. 「輪」という名前と、地球の自転をさがした実験

2. gyros ── 語源と、1852年の命名・実験(二次資料による)

「ジャイロ」は、ギリシャの ことばで、「わ」を いみします[3]。まわる わ、と いう ことです。

フランスの フーコーは、1852ねんに、地球が 回って いる ことを たしかめようと する 実験じっけんで、この 名前を つかったと いわれます[3]。でも、その ころは 部品を つくる ぎじゅつが たりず、うまく いかなかった そうです。

地球の 回転を さがしそこねた ジャイロが、そのあと 地球の 回転を つかう しごとを する ように なります。

ジャイロは、ギリシャ語で「輪」を意味する gyros に由来します[3]。コマの形をしたジャイロスコープは、1817年に、ドイツのボーネンベルガーが発明したとされます。1852年には、フランスのフーコーが、地球の自転を確かめようとする実験でこの名前を使いました。フーコーが発明したのは装置ではなく、名前だと書かれています[3]。

ただし、フーコーがジャイロで自転を確かめようとした実験は、部品を作る技術が足りず、うまくいかなかったと説明されています[3]。この部分は、ウィキペディアなどの二次資料の記述です。フーコー本人の記録では確かめていません。

自転を見つけるのに失敗したジャイロは、別の場面で、地球の自転を道しるべとして使うことになります。

ジャイロ(gyro)は、ギリシャ語で「輪」を意味する gyros に由来する。こま型のジャイロスコープは1817年にドイツのボーネンベルガー(Johann Bohnenberger)が発明し、1852年にフランスのフーコー(Léon Foucault)が、地球の自転を検出しようとする実験でこの名を用いた[3]。

注意したいのは、フーコーが発明したのは装置ではなく名称だという点だ。ジャイロでの検出そのものは、製作技術の不足で失敗したとされる[3]。この章の記述は日本語版ウィキペディアなどの二次資料に基づき、年号や実験の経緯を、フーコー自身の一次資料では確かめていない。

自転を検出しそこねた道具が、自転を手がかりに使う場面へ移る。

3. 船の 上で 北を さす、じしゃくの いらない コンパス

3. 磁石を使わずに、真北を指すジャイロコンパス

3. ジャイロコンパス ── 自転を使って、磁北ではなく真北を指す

ふつうの コンパスは、磁石じしゃくを つかいます。でも、船の 中には きんぞくが たくさん あります。じしゃくの コンパスは、まわりに よっては、こまる ことが あるかも しれません。

そこで 使われるのが、ジャイロコンパスです。はやく まわる コマの、むきを たもとうと する せいしつと、地球が 回って いる ことを つかって、北を さします[4]。

この コンパスが さすのは、じしゃくの 北では なく、ほんとうの 北(真北しんぽく)です。まわりの じきの えいきょうも 受けません[4]。だから、きんぞくの 多い 船の 中でも 使えます。

コマが 地球の 回転を つかまえて、北を えらぶ。ふしぎですが、くわしい しくみは ここでは 書きません。

ふつうの方位磁石は、地球の磁気を使うので、周りの磁気によっては影響を受けることがあります。船の中は金属が多く、方位磁石にとって、あまり向いた場所ではなさそうです。

そこで使われるのが、ジャイロコンパスです。高速で回るコマの軸が向きを保つ性質と、地球の自転を利用して、真北を指します[4]。磁石の指す北(磁北)と、地球の自転軸の北(真北)は別のものです。ジャイロコンパスは真北を示すので、磁北と真北の補正が要りません。周囲の磁気の影響も受けないので、船内の金属環境でも使えます[4]。

ただし、なぜコマの軸が真北の向きに落ち着くのか、その詳しい仕組みはここでは扱いません。

さて、ジャイロ効果が働くのは、船の上だけではありません。次は、宇宙です。

ジャイロコンパスは、高速回転するコマの軸の向きを保つ性質と、地球の自転を利用して、真北を指す。磁北と真北は別のものだが、ジャイロコンパスは真北を示すため、磁北と真北の補正を必要としない。周囲の磁気の影響を受けないので、船内の金属が多い環境でも使える[4]。

ただし、コマの軸が真北の向きに落ち着く詳しい力学的な仕組みは、ここでは扱わない。

船の向きを知る道具と、宇宙で向きを変える道具は、同じ性質でつながっている。

4. 宇宙うちゅうステーションは、回る 円ばんで むきを かえる

4. ISSは、回る円盤で向きを変える

4. リアクションホイールとCMG ── ISSの姿勢制御と6600rpm

宇宙うちゅうステーションは、ときどき むきを かえなければ なりません。ロケットの ように ガスを ふき出して むきを かえる ほうほうも ありますが、燃料ねんりょうを つかいます。

ISSと いう 宇宙うちゅうステーションには、CMGと いう そうちが 4つ あります。中に、はやく 回る 円ばんが 入って います。1分に 6600回ぐらい 回ります[8]。1びょうに すると 110回です。

この 円ばんの むきを かえると、ジャイロこうかで 力が 生まれ、ステーションの むきを かえる 力に なります[7]。だから、ガスを ふき出す そうちを、ほとんど つかわなくても、むきを かえられます[6]。

ただし ほんとうは、ぜんぜん 使わないのでは ありません。ゆれや かたむきが たまりすぎると、ガスを 出す そうちで 少しずつ すてる 作業が いります[7]。

人工衛星が向きを変えるには、向きを調べるジャイロセンサーなどのセンサー、向きを変えるリアクションホイール、それらを計算する計算機の、3つの装置が使われます[5]。JAXAは、きぼう船内ドローン「Int-Ball」を作るときに、100mm角だったこれらのモジュールを、31mmの立方体まで小さくしました[5]。

大きな宇宙機の向きを変えるのは、CMG(コントロール・モーメント・ジャイロ)です。回転する円盤(フライホイール)の力で向きを制御する装置で、リアクションホイールより数十倍のトルクを出せます[6]。ISSには4基あり、推進剤を使うスラスタをほとんど使わずに向きを制御できます[6]。

NASAの資料では、各CMGのフライホイールは、毎分6600回転で回っています[7]。JAXAのISSライブの解説も、通常は毎分約6,600回転としています[8]。1秒あたりに直すと、6600÷60で110回転です。円盤の向きを変えると、ジャイロ効果で生まれるトルクを通じて、CMGとISSの間で角運動量のやりとりが起こります[7]。

ただし、スラスタがまったく要らないわけではありません。外からの乱れで角運動量がたまりきる(飽和する)と、スラスタで捨てる操作が要ります[7]。それでも、通常の運用にはスラスタを使わず、科学実験に必要な微小重力の環境を保てる、とNASAの資料は述べています[7]。

衛星の向きの制御は、姿勢を検知する慣性センサー、姿勢を変えるリアクションホイール、制御信号を計算する計算機の3つで行う。JAXAは、100mm角だったこれらを、きぼう船内ドローンInt-Ballの開発で31mmの立方体まで小型化した[5]。

大型の宇宙機には、CMG(コントロール・モーメント・ジャイロ)が使われる。回転するフライホイールの力で姿勢を制御し、リアクションホイールと比べて数十倍のトルクを出せる。ISSではZ1トラスに4基があり、推進剤を使うスラスタをほとんど使わずに姿勢を制御できる[6]。NASA/CP-2010-216272は、各CMGのフライホイールが691rad/s(6600rpm)で回り、出力トルクは258N·mだと記す[7]。JAXAのISSライブも、通常は毎分約6,600回転と説明し、この数値と一致する[8]。6600÷60=110なので、毎秒110回転だ。

CMGは、モーターで一定の速さで回るフライホイールを使い、ジャイロ効果で生じるトルクを介して、ISSと角運動量をやりとりする。外乱で角運動量がたまりきる(飽和する)と、スラスタで角運動量を捨てる操作が必要だ[7]。「燃料ゼロ」ではなく、通常運用でスラスタをほとんど使わずに済む、という意味になる。NASA資料は、4基のCMGによる非推進の姿勢制御が、科学実験に必要な微小重力環境を保つと述べる[7]。

ここまで、ジャイロ効果は「使える性質」として登場した。しかし、いちばん身近な使い道と思われがちな乗り物では、話が少し変わる。

5. 自転車は、ジャイロこうかで たおれないの?

5. 「自転車が倒れないのはジャイロ効果のおかげ」という説明

5. 2011年の実験 ── ジャイロ効果は、自転車の自己安定に必須ではなかった

走って いる 自転車が たおれない わけを、「ジャイロこうかの おかげ」と せつめいする ことが あります。でも、2011ねんの 実験じっけんでは、ちがう ことが わかりました[11]。

タイヤの 回る むきを ぎゃくに して ジャイロこうかを 打ち消した 自転車でも、ゆれを くわえると、じぶんで まっすぐ 走る むきに もどりました[11]。つまり、ジャイロこうかは、自転車が たおれないためには、ぜったいに いる ものでは ない、と いう ことです。

ただし ほんとうは、ジャイロこうかが まったく はたらかない、とは 言えません。かるくて 人が のって いない 自転車では、はたらく ことも ある、と 考える 資料しりょうも あります[13]。くわしくは、じてんしゃの メモを 読んで みて ください。

自転車が倒れずに走れるのは、前輪がジャイロ効果を出すからだ、という説明があります。2011年、オランダやアメリカの研究者たちがScience誌に発表した実験は、この説明に待ったをかけました[11][12]。

一般には、前輪のジャイロ効果か、車輪の接地点が操舵軸の後ろにあるキャスター効果が、自転車が自分で安定する原因だとされてきました。この研究は、どちらも自己安定に必須ではないと示しました。逆向きに回る車輪で角運動量を打ち消し、接地点を前にした自転車でも、乱されると自動で直立走行に戻ったと報告されています[11]。

共同研究者のコーネル大学のルイナ教授は、大事なのは、自転車の傾きが自動的にハンドルを切らせ、倒れる自転車の下に車輪を戻すことだと述べています[12]。

ここで大切なのは、「必須ではない」であって、「無関係」ではないことです。1970年のデイヴィッド・ジョーンズの実験では、逆回転の補助車輪をつけた自転車に、人が乗るのは簡単でした。ところが、人が乗らない状態では、逆回転のときは倒れたとあります。Physics Todayに再掲された解説は、軽くて人が乗らない自転車では、ジャイロ作用が効く可能性を示しています[13]。詳しくは、自転車の記事にまとめています。

「自転車が倒れないのはジャイロ効果のおかげ」という説明は広く見られる。2011年、Kooijmanらは、Science誌に、一般には前輪のジャイロ歳差運動か、接地点が操舵軸の後ろにあるキャスター効果が自転車の自己安定の原因とされてきたが、どちらも自己安定に必須ではないと示した。逆回転の車輪で角運動量を打ち消し、接地点を前にした自転車も、乱されると自動で直立走行に戻った[11]。

この研究についてコーネル大のルイナ教授は、大事なのは「自転車の傾きが自動的にハンドルを切らせ、倒れる自転車の下に車輪を戻すこと」だと述べた。共同研究は、コーネル大、ウィスコンシン大ストート校、オランダのデルフト工科大が行った[12]。

ただし、結論は「必須ではない」であり、「無関係」ではない。1970年のデイヴィッド・ジョーンズの逆回転補助車輪つき自転車(URB I)は、補助輪が逆回転でも、止まっていても、乗るのは容易だった。しかし人を乗せない状態では、逆回転のときは倒れたという。Physics Todayの再掲記事は、軽い無人の自転車では、ジャイロ作用が効く可能性を示す[13]。

実験の詳細やそのほかの説明は、自転車の記事にまとめている。

ジャイロ効果は、ものによって「効く」場合と「必須ではない」場合がある。では、名前に「ジャイロ」とつくスマートフォンの部品はどうか。

6. スマホの 「ジャイロ」には、コマが はいって いるの?

6. スマートフォンのジャイロセンサーは回らない

6. MEMSジャイロ ── 振動する部品とコリオリ力

スマホには、「ジャイロセンサー」と いう 部品が 入って います。名前は ジャイロですが、中で コマが 回って いるわけでは ありません[9]。

中の ちいさな ぶひんが、いつも ふるえて います。スマホが 回ると、その ふるえかたが かわります。その ちがいを 電気で はかって、回った ことを しります[9]。

この 部品は、画面の むきを かえたり、カメラの てぶれを おさえたり する ときに はたらきます[10]。ポケモンGOのように、スマホの むきを つかう ゲームにも 使われます[10]。

ただし ほんとうは、ジャイロセンサーには、コマを 回す 古い ほうしきも あります[9]。スマホに 入って いるのは、その ほうほうとは べつの もので、ふるえる ものです。

スマートフォンに入っているジャイロセンサーには、コマのように回る部品は使われていません。シリコンの基板の上にある小さな振動子を、一定の間隔で振動させておき、回転によって生じるコリオリ力が起こす電気の量(静電容量)の変化を検出します[9]。この「振動式」が、いまの主流です。

従来のジャイロセンサーには、回転する機械式や光学式もありましたが、スマートフォンに使われるのは振動式が中心とされています[9]。

用途は、画面の回転の検出、カメラの手ぶれ補正、ARアプリ(たとえばポケモンGO)での端末の傾きの検出などです[10]。

コマの歳差運動と、スマートフォンの部品は、名前が同じでも、しくみは別です。ジャイロは「回転を扱う道具」全体の名前になっている、と考えられます。

スマートフォンのジャイロセンサーは、シリコン基板上の振動子を一定間隔で振動させ、回転で生じるコリオリ力による静電容量の変化を検出する「振動式」が主流だ[9]。コマのように回る部品は使わない。従来のジャイロセンサーには、回転機械式・光学式・振動式の3方式がある[9]。

用途は、スマートフォンやゲーム機の画面回転の検出、カメラの手ぶれ補正、ARアプリ(ポケモンGOなど)での端末の傾き検出だ[10]。

「ジャイロ」は、コマの性質そのもの(ジャイロ効果)から、回転を測る部品の総称にまで広がった名前ということになる。名前は同じでも、原理は同じとは限らない。

7. コマの くびふりを、じっくり 見て みよう

7. 回転が遅くなるコマの首振りを観察する

7. 出口 ── 回転が落ちるコマの首振りと、資料の読みどころ

おうちの 人と いっしょに、コマを 回して みましょう。ひらたい つくえか ゆかの 上で、まわりに ものを おかない ように します。

見る ところは 1つ。コマが 元気な ときと、おそく なって きた ときとで、じくの 首ふりは どう ちがうでしょう。おそく なるほど 首ふりが 大きく なる、と 書いて ある 資料しりょうが あります[2]。ほんとうか どうか、自分の 目で たしかめて みましょう。

おうちの人と、コマを回してみましょう。平らな机か床の上で、周りにものを置かないようにします。

見るのは1つだけです。コマが元気に回っている間と、遅くなってきたときとで、軸の首振りはどう違うでしょうか。EMANの力学には、回転が落ちるほど首振りが激しくなるという説明があります[2]。本当にそうなるか、自分のコマで確かめてください。

もっと知りたくなったら、JAXAの用語集の「CMG」の項目や、ISSライブの姿勢制御の解説を読むと、ISSの向きの制御が分かります[6][8]。

コマがあれば、平らな机か床の上で、周りにものを置かずに回し、大人と一緒に観察できる。確かめたいのは、回転が遅くなるにつれて首振りが激しくなるかどうかだ[2]。コマの種類や机の材質で見え方は変わるので、自分の観察を優先して判断する。

資料を読むなら、JAXA有人宇宙技術部門の用語集「CMG」と、ISSライブの姿勢制御のページが入り口になる[6][8]。数値の根拠は、NASA/CP-2010-216272(英語のPDF)にある[7]。自転車については、Kooijmanらの論文(2011年、Science)の要旨が読める[11]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:JAXAとNASAの公式資料、大学・研究機関のページ、解説記事、ウィキペディアを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 未来工学研究所「コマはなぜ倒れないか」。https://www.mirai-kougaku.jp/laboratory/pages/170127_02.php (歳差運動と、コマが倒れるわけ、地球の回転軸について)
  2. EMANの力学「コマはなぜ立っていられる?/コマの歳差運動」。https://eman-physics.net/dynamics/topspin.html (ジャイロ効果という呼び名と、回転が落ちたときの首振りについて)
  3. 「ジャイロスコープ」Wikipedia。https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャイロスコープ (語源、1817年の発明、1852年の命名について。二次資料)
  4. 「ジャイロコンパス」Wikipedia。https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャイロコンパス (真北を指すこと、磁気の影響を受けないことについて。二次資料)
  5. ファン!ファン!JAXA!「超小型三軸姿勢制御モジュール」。https://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/10792.html (衛星の向きの制御に使う3つの装置と、小型化について)
  6. JAXA有人宇宙技術部門 用語集「CMG」。https://humans-in-space.jaxa.jp/glossary/detail/000244.html (CMGの役目と、ISSの4基について)
  7. NASA「Space Station CMG Lessons Learned」(NASA/CP-2010-216272)。https://ntrs.nasa.gov/api/citations/20100021932/downloads/20100021932.pdf (回転数、トルク、しくみ、飽和と微小重力について。英語)
  8. JAXA「ISSライブ 姿勢制御」。https://iss.jaxa.jp/iss/nasacontents/isslive/adco.html (CMGの回転数の確認について)
  9. ケータイ用語の基礎知識「ジャイロセンサー」。https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/keyword/1017441.html (振動式ジャイロセンサーのしくみについて)
  10. EE Times Japan「MEMSセンサー」解説記事。https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2004/16/news035_2.html (画面回転・手ぶれ補正などの用途について)
  11. Kooijman et al. (2011) "A bicycle can be self-stable without gyroscopic or caster effects" Science。https://research.utwente.nl/en/publications/a-bicycle-can-be-self-stable-without-gyroscopic-or-caster-effects/ (自転車の自己安定にジャイロ効果が必須ではないという実験。英語)
  12. ScienceDaily「A bicycle built for none」(2011)。https://www.sciencedaily.com/releases/2011/04/110414141356.htm (ルイナ教授のことばと、共同研究について。英語)
  13. Physics Today「From the archives: The stability of the bicycle」。https://physicstoday.aip.org/features/from-the-archives-the-stability-of-the-bicycle (1970年のジョーンズの実験の要約。検索で見た要約の範囲。英語)

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