1. こおりを いれると、どうして ひえるの?
1. 氷を入れると冷えるのは、なぜか
1. 問題の設定 ── 氷が「冷たさ」を出しているのではない
こおりが つめたいから、のみものが ひえる。そう おもいがちです。でも ものが ひえるのは、ねつが ほかへ にげる ときです。
のみものの ねつが こおりに うつり、こおりは その ねつで とけて いきます。こおりが つめたさを 出すのでは なく、ねつを うばって いると かんがえると、すじが とおります。
ここで ふしぎなのは、とけて いる さいちゅうの こおりが、0ど の まま あたたまらない ことです[1]。ねつは どこへ きえたのでしょう。
2. むかしの ひとが、こおりと みずを くらべた
2. 1761年ごろ、ブラックが氷と水を同じ部屋に置いた
2. ブラックの推論と実験(1761年ごろ)
この ふしぎに 気づいた ひとが、スコットランドの かがくしゃ、ジョゼフ・ブラックです。1761ねんごろのことと つたえられて います[2]。
ブラックは、おなじ りょうの みずと こおりを、おなじ へやに おいて、あたたまり かたを くらべました。みずは 30ぷんで 7ど(かしの おんど)あがりました。こおりが おなじ おんどに なるまでには、10じかん 30ぷん かかったと いわれます[3]。
10じかん 30ぷんは 630ぷん。30ぷんの 21ばいです。こおりは、とけながら、ずっと ねつを もらい つづけて いたのです。
3. ねつは、なにに つかわれて いるの?
3. 熱の行き先は、水分子どうしの「引き合い」
3. 融解中の熱の行き先 ── 分子間の引力と位置エネルギー
つぎは、ねつが どこへ いくのかです。こおりの なかでは、みずの ちいさな つぶが、たがいに ひきあって、きまった ならびに なって います。
ねつが はいると、その ひきあう ちからを ゆるめて、つぶが はなれやすく なります。ねつは、つぶを はやく うごかす ためではなく、ならびを くずす ために つかわれると、せつめいされて います。だから おんどは あがりません[1]。
たとえば、ゴムひもで つながった にんぎょうを ひっぱる ばあい。ひっぱる ちからは ひもを のばすのに つかわれて、にんぎょうの はやさは かわりません。ただし ほんとうは、つぶは とけても つながりを のこしながら くみかわると いわれます。
氷の中では、水の分子が引き合って、決まった並びをつくっています。熱が加わると、その分子どうしの引き合いに打ち勝つために熱が使われ、分子は離れやすくなります。分子の動きの激しさ(温度)は変わらず、位置エネルギーのほうが増える、と説明されています[1]。
たとえば、ゴムひもでつないだ人形を引っぱるとき、加えた力は、人形を速く動かすよりもひもを伸ばすのに使われます。熱が「引き合いをゆるめる」ことに使われるという見方を、ひもで言いかえたものです。ただし本物の水では、引き合いは融けてもすべてなくなるわけではなく、つなぎ替わりながら残ると説明されています。
4. こおり 1g で、みずを なんど あたためられる?
4. 氷1gの熱は、水1gを約80℃温める熱
4. 融解熱と比熱の比較 ── 334÷4.184≒80
0ど の こおり 1グラムを 0ど の みずに かえる ねつは、やく 334ジュールです[1]。ジュールは ねつの おおきさを あらわす たんいです。
いっぽう、みず 1グラムを 1ど あたためる ねつは、やく 4.2ジュールです[6]。334を 4.2で わると、やく 80 に なります。
つまり、0ど の こおり 1グラムが とける ときに すう ねつは、おなじ 1グラムの みずを、やく 80ど あたためる ねつと おなじ くらいです。みずが 80ど に なるのでは なく、こおりは 0ど の みずに なるだけです。
5. 「せんねつ」という なまえ
5. 温度計に出ない熱を「潜熱」と呼ぶ
5. 潜熱と顕熱 ── 用語の整理
ブラックは、こおりに はいる ねつを、「かくれた ねつ」と かんがえました。おんど計に でない ねつだからです。この ねつを、いまは「せんねつ」と よびます[4]。
ブラックの ことばでは、こおりに はいる たくさんの ねつは、こおりを えきたいに する はたらきだけを して、おんど計で はかれる ねつを ふやさない、と いう ことです[3]。
おんど計に うつらないから、ないのでは ありません。1グラムで みずを 80ど あたためる ほどの ねつが、かくれて いました。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
きょう できること
おなじ りょうの みずを ふたつの コップに いれます。ひとつには こおりを いれて、もうひとつには いれません。しばらく おいて、コップの そとがわを さわって くらべます。こおりが のこって いる あいだ、ひえかたが どう ちがうか、みて みましょう。
こおりを くちに いれないように ちゅういしましょう。
もっと しりたく なったら
「せんねつ」や「ゆうかいねつ」を、りかの ほんや としょかんで しらべて みましょう。
今日できること
同じ量の水を2つのコップに入れ、1つだけに氷を入れます。しばらく置いて、コップの外側にさわって冷たさを比べます。氷が残っているあいだ、冷え方にどんな差が出るか見てみましょう。氷が小さくなるにつれて、どう変わるかも観察できます。
もっと知りたくなったら
図書館の理科の本で「潜熱」「融解熱」を引いてみましょう。水が水蒸気になるときにも熱が出入りするか、あるなら氷の融解熱と比べてどちらが大きいか、調べる問いになりそうです。
資料を読むなら
ブラックの実験の記述は、出典[3]の原文ページで確認できる。数値の照合には、理科年表や高校化学の教科書を使うと、333.55と334という丸め方の違いも確かめられる。
調べる問い
水が水蒸気になるときにも潜熱の出入りがあるとされる。その大きさは氷の融解熱の何倍か。融解熱と比べると、分子の引き合いについて何が言えるか。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数値の照合は二次資料を中心に行い、理科年表や教科書での確認は今後の課題として残している。
- Wikipedia, "Enthalpy of fusion" https://en.wikipedia.org/wiki/Enthalpy_of_fusion (融解熱の値・融解中の温度・分子の説明)
- Wikipedia, "Joseph Black" https://en.wikipedia.org/wiki/Joseph_Black (1761年のブラックの推論)
- LibreTexts, "Original Writings of Joseph Black on the Melting of Ice" https://chem.libretexts.org/ (氷と水の温まり方の実験・結論)
- Wikipedia, "Latent heat" https://en.wikipedia.org/wiki/Latent_heat (潜熱の定義)
- LibreTexts, "ChemPRIME 10.10 Enthalpy of Fusion and Enthalpy of Vaporization" https://chem.libretexts.org/ (モルあたりの融解熱)
- Wikipedia, "Properties of water" https://en.wikipedia.org/wiki/Properties_of_water (水の比熱)
- Wikipedia日本語版「融解熱」 https://ja.wikipedia.org/wiki/融解熱 (日本語での融解熱の値)
なおした ところ
更新履歴
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