1. モンスーンは、あめの 名前?
1. モンスーンは「雨」ではなく「季節」の意味
1. 語源はアラビア語の mawsim ── 名前が指すのは雨でなく季節
「モンスーン」は、あめの 名前だと 思う 人が います。でも、もとの ことばは、アラビア語の 「季節」です。ポルトガル語などを へて、1580年代に えいごに 入ったと いわれます[1]。
つまり モンスーンは、「季節ごとに 向きが かわる 風」の 名前です。冬と 夏で、風が ふく 向きが はんたいに なります[2]。
雨は、そのあとで ついて きます。どんな ふうに ついて くるのか、じゅんばんに 見て いきましょう。
2. インドの あめは、どれだけ かたよる?
2. 1年の雨の4分の3が、4か月に集まる
2. 南アジアの雨季 ── 年降水量の70〜75%が6〜9月に集中する
インドなど 南アジアでは、6月から 9月が 雨の 多い 季節です。1年に ふる 雨の 4ぶんの 3ぐらいが、この 4か月に ふります[3]。
雨は、南から 北へ ひろがります。インドの てんきの 役所は、南の ケララ州に 6月1日ごろ、国ぜんたいに 7月15日ごろ とどくと しています[4]。1年に よって、数日 かわる ことも あります。
1年の 3分の 1の 間に、雨の おおくが あつまるのです。何が 雨を あつめて いるのでしょうか。
3. かぜの 向きは、どうして かわるの?
3. 陸と海の温まり方が、夏と冬で逆になる
3. 海陸の加熱差 ── 夏は陸が低圧、海から湿った風が吹き込む
なつの ひるま、すなはまを あるいた ことは ありますか。すなは あつくて 足が いたいのに、海の 水は ひんやり して います。りくと 海は、あたたまり方が ちがいます。
なつは、りくの ほうが 海より あたたまります。あたたまった りくの 空気は、上へ のぼって いきます。すると 地面の 近くに すきまが できて、そこへ、海から 空気が ながれこみます。海の 上の 空気は 水蒸気を たくさん ふくんで います[1]。
水蒸気は、りくの 上で ひえて 雲に なり、雨に なります。これが、雨の 季節です。
ただし 本当は、すなと 海の ちがいは、モンスーンを 考える ための ヒントに すぎません。じっさいの 風は、もっと 大きな 広さで、うごいて います。
インドの 北には、山脈と 高原も あります。ヒマラヤ山脈と チベット高原は、大きな アジアの モンスーンを つくる 大切な わけの ひとつと いわれます[1]。
夏、大陸は強い日射で海より大きく温まります。温まった空気は上昇し、地表付近の気圧が下がります。そこへ、海から湿った空気が吹き込んできます[1]。
陸は海より温度が変わりやすい、という性質が、この流れの土台にあるとされます。日なたの砂浜で、砂は熱いのに海水はそれほどでもない、という経験と重なります。ただし、この砂浜の例は、大陸の広さで起きることの入口にすぎません。実際の風は、もっと大きなしくみで動いています。
夏の南アジアでは、海から来る空気が水蒸気をたくさん含むので、陸の上で上昇して冷えると、雲ができて雨が降ります。海から陸への風向きが、雨の季節の入り口になります[2]。
もう一つ、地形も関わります。チベット高原とヒマラヤ山脈は、大規模なアジアモンスーンを形づくる重要な要因の一つとされています[1]。
夏季には、大陸が海より強く暖まって空気が上昇し、地表付近が低圧になって、海から大陸へ湿った風が流入する[1]。大陸と海洋の加熱差が主因で、一般に陸は海より温度が変わりやすい、という性質が背景にあると説明される。
海洋上の空気は水蒸気を多く含むため、陸で上昇して冷やされると雲ができ、降水になる。南アジアの夏は、海から来る風が水蒸気を運ぶ。こうして、風向きの反転が、雨の降る時期を季節に集めると考えられている(この整理は、資料の記述をまとめた本メモの説明である)。
アジアモンスーンの規模には、地形も関わる。チベット高原とヒマラヤ山脈は、大規模なアジアモンスーンを形成する重要な要因の一つとされる[1]。
4. ふゆには どうして ふらないの?
4. 冬は風が逆向きになり、乾季になる
4. 冬季は大陸が高圧 ── 乾いた風と乾季
ふゆに なると、りくは 海より さめます。つめたく なった りくの 空気は おもく なって、まわりより 気圧が 高く なります。風は、りくから 海へ むかって ふきます[1]。
インドでは、りくから きた 風は、かわいて います。水蒸気が すくないので、雲が できにくく、雨も ふりにくいのです。インドの ふゆが 雨の 少ない 季節に なる わけは、ここに ありそうです。ヒマラヤ山脈が 寒さを さえぎる、という せつめいも あります[3]。
夏と 冬で、風の 向きが はんたいに なる。これが、モンスーンの すがたです。
冬は、大陸のほうが海より冷えます。冷えた大陸の空気は重くなって高圧になり、風は大陸から海へ吹き出します[1]。夏とは向きが逆です。
南アジアでは、大陸から来る風は、冷たくて乾いています。水蒸気が少ないので雲ができにくく、雨も少なくなります。インドの冬が穏やかで雨が少ないのは、大陸側から乾いた空気がやって来るためで、ヒマラヤ山脈が寒気をさえぎることも一因とされる、という解説があります[3]。ただしこの説明は民間の金融会社の解説記事に見られたもので、気象機関の資料では確かめきれていません。
夏は海から陸へ、冬は陸から海へ。風の向きが入れかわると、運ばれてくる空気の湿り気も入れかわります。これが「雨が季節に集まる」ことの核心だと考えられます。
5. にほんの ふゆの 雪は、どうして ふるの?
5. 日本の冬の雪は、季節風が海から水蒸気を得る例
5. 冬型の気圧配置 ── 北西の季節風と日本海側の雪
日本の ふゆは、北西の 風が ふきます。シベリアや 中国の りくから、つめたくて かわいた 北西の 風が ふいて きます[8]。
この 風が、あたたかい 日本海の 上を わたって くる あいだに、水蒸気を もらいます。すると 雪雲が できて、日本海がわに 雪が ふります。太平洋がわは、山を こえた かわいた 風が ふくので、はれる 日が 多くなります[9]。
ふゆの 雪は、りくの かわいた 風が、海の 水蒸気を 手に 入れて ふらせる 雪です。
6. つゆは、モンスーンの なかま?
6. 梅雨は東アジアの雨季の一部
6. 梅雨 ── 東アジアの雨季としての位置づけと、関東甲信の平年値
日本の 気象庁は、つゆを 「春の おわりから 夏に かけて、雨や くもりの 日が 多く なる こと、または その 期間」と しています[5]。つゆの ころ、東西に のびる 前線が 日本に かかり、その 南に 太平洋高気圧が はりだして きます。
つゆは、中国から 日本に かけての はじめの 夏の 雨の 季節に つけられた 名前で、東アジアの 夏の モンスーンと かんけいが ある 雨の 季節と 考えられて います[7]。
東京を ふくむ ちほうでは、平年、6月7日ごろに つゆに 入り、7月19日ごろに 明けます[6]。つゆに 入ってから 明けるまで、6週間ぐらいです。
気象庁は、梅雨を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」と説明しています。梅雨のころは東西にのびる梅雨前線が描かれ、その南側に太平洋高気圧が張り出してきます[5]。
梅雨は、中国から日本にかけて見られる初夏の雨季につけられた固有名で、東アジアの夏季モンスーンと関連する雨季とされます[7]。梅雨前線は、南の太平洋高気圧と北のオホーツク海高気圧のあいだにできます。
気象庁の平年値(1991〜2020年)では、東京を含む関東甲信は6月7日ごろに梅雨入りし、7月19日ごろに梅雨明けします。この日付には平均5日程度の「移り変わり」の期間があり、平年値はその中日を示します[6]。入りから明けまで約6週間という計算です。
気象庁は梅雨を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」と説明し、梅雨期には東西にのびる梅雨前線が描かれ、南側に太平洋高気圧が張り出してくる[5]。
『天気』誌の梅雨特集の冒頭には、「梅雨」は中国から日本にかけて見られる初夏の雨季につけられた固有名であり、東アジアの気候・風の季節変化と結びつく、とある[7]。梅雨前線は、南の太平洋高気圧と北のオホーツク海高気圧の間にできるという一般向けの解説もある。
気象庁の平年値(1991〜2020年の30年平均)では、関東甲信の梅雨入りは6月7日ごろ、梅雨明けは7月19日ごろで、入りから明けまで約42日、6週間にあたる。入りと明けにはそれぞれ平均5日程度の「移り変わり」の期間があり、平年値はその中日を示す[6]。数字は関東甲信の値で、地域ごとに異なる。
7. じぶんでも たしかめて みよう
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
はれた 日の ひるま、ひなたに おいた 水と、ひなたの 土や すなを、おうちの 人と いっしょに さわって みましょう。どちらが あたたかく 感じるでしょうか。あつく なって いるときは、すぐ 手を はなして ください。
もうひとつ。気象庁の ホームページで、「つゆいり」の へいねんの 日を しらべて みましょう。住んで いる 地いきは、何月何日ごろでしょうか[6]。
- 晴れた日のお昼、日なたに置いた水と、日なたの土や砂を、手でさわって比べます。熱くなっているときは、すぐ手を離してください。陸と海の温まり方のちがいを、手のひらで感じることができるか試します。
- 気象庁の「過去の梅雨入りと梅雨明け」のページで、自分の地域の平年の梅雨入りの日と、毎年の日付を見てみます[6]。年によって、どのくらいずれるでしょうか。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
出典について:気象庁・インド気象局は公的機関、九州大学の資料は大学の解説、『天気』誌は日本気象学会の学会誌、ウィキペディアは百科事典サイト、三井住友DSアセットマネジメントの記事は民間の金融会社の解説です。
- ウィキペディア「モンスーン」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/モンスーン (語源、海陸の加熱差、チベット高原の役割、雨季の割合)
- 九州大学「モンスーン・季節風(風の事典 初稿)」。 http://fujin.geo.kyushu-u.ac.jp/tropo-labo/ja/info/monsoon.pdf (季節風の定義。検索結果の抜粋の範囲で参照)
- 三井住友DSアセットマネジメント「インドの成長とモンスーン」。 https://www.smd-am.co.jp/market/daily/keyword/archives/asia_oceania/key170628as/ (6〜9月の降雨の割合、インドの冬の乾いた空気)
- India Meteorological Department「Monsoon Information: Onset」。 https://mausam.imd.gov.in/responsive/monsooninformation_onset.php (南西モンスーンの平年の到達時期。英語)
- 気象庁「梅雨について」。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq33.html (梅雨の定義、梅雨前線と太平洋高気圧)
- 気象庁「過去の梅雨入りと梅雨明け」。 https://www.data.jma.go.jp/cpd/baiu/index.html (関東甲信の平年の梅雨入り・梅雨明け、移り変わりの期間)
- 日本気象学会『天気』2007年6月号(梅雨特集)。 https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2007/2007_06_0007.pdf (梅雨が東アジアの雨季の固有名であること。冒頭の範囲で参照)
- 気象庁「日本の天候の概説」。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/tenkou/gaisetu.html (冬型の気圧配置と北西の季節風)
- 気象庁 こどもページ「よくある質問」。 https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a1_26.html (日本海側の雪と太平洋側の晴れ)
なおした ところ
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