1. ひるまの ウツボは、どこに いるの?
1. 昼のウツボは、じっと隠れている
1. 昼は岩礁に潜む夜行性の捕食者
ウツボは、うみの いわの あいだや サンゴの すきまに いる さかなです。ひるまは、あなの なかで じっと している ことが おおいと いわれます[1]。
よるに なると かつどうを はじめて、さかなや いか、たこ、エビ、かいなどを たべます。
まっくらな よるの うみで、ウツボは なにを たよりに えものを さがすのでしょう。
ダイビングで岩場をのぞくと、穴から顔だけを出したウツボに出会うことがあります。昼のウツボは、岩礁やサンゴ礁のすき間に潜んで、あまり動かないものが多いそうです[1]。
活動するのは夜です。魚のほか、イカやタコなどの軟体類、エビやカニなどの甲殻類、貝も食べるといわれます[1]。
光の少ない夜の海で、ウツボは何を頼りに獲物を探すのでしょうか。
ウツボは夜行性で、日中は岸近くの岩礁やサンゴ礁の間に潜むものが多い。食べるものは魚類、軟体類、甲殻類、貝類と幅広い[1]。
昼にほとんど動かない捕食者は、視界の悪い夜にどうやって獲物の位置を知るのか。次の章では、感覚のうち嗅覚に注目する。
2. くらい よるは、なにで さがすの?
2. 目が小さいウツボは、鼻で探すとされる
2. 小さな目と発達した嗅覚
ウツボの めは、からだに くらべて ちいさめです。そのかわり、はなで においを かぎわける ちからが すぐれていると されて います[2]。
ウツボは、みを かくして、えものが ちかづくのを まちぶせすると いわれます。においで さがして、あなの なかから ねらうのです。
ただし、「めが みえない」わけでは ありません。めは ちいさいけれど、においを おもに つかう、という はなしです。
ところが、ウツボには もうひとつ、こまった ことが あります。
ウツボの目は、体に比べると小さめです。英語版ウィキペディアの解説では、ウツボの仲間(モレイ)は、よく発達した嗅覚に主に頼り、身を隠して待ち伏せをするとされています[2]。
ウツボの鼻の穴(後鼻孔)は目の前のふちの上あたりに開き、種類によっては、はっきりした鼻の管をつくります[1]。においを取りこむための、特別な作りがあるようです。
ただし、「目が見えない」という意味ではありません。ここで紹介した資料が言っているのは、目が小さく、においが主な手がかりになる、というところまでです。ウツボ自身の嗅覚がどれほど鋭いかは、ここでは分かりません。
探す手段はにおいとして、つかまえるほうには、ウツボならではの悩みがあります。
英語版ウィキペディアの解説では、ウツボ科(モレイ)は目が比較的小さく、主に発達した嗅覚に頼って、隠れたまま獲物を待ち伏せするとされる[2]。後鼻孔(こうびこう)は目の前縁の上方に開き、種によってはよく発達した鼻管をつくる[1]。
ただし、視覚が使えないと述べた資料ではない。ウツボそのものの嗅覚器の面積や感度を測った一次研究は、今回確認できていない。参考として、別の科のウナギの一種では、嗅覚系の表面積が網膜の約6倍あると記述され、視覚より嗅覚に頼る可能性が指摘されているが[7]、これはウツボの値ではない。
では、においで獲物を見つけたあと、ウツボはどう捕らえるのか。ここに、魚としては珍しい弱点がある。
3. ウツボは、なにが にがてなの?
3. 獲物を「吸い込めない」魚
3. 吸い込みの弱さと岩のすき間
ストローで ジュースを すうように、おおくの さかなは、くちを ぱっと ひらいて、みずごと えものを すいこみます。
ところが ウツボは、すいこむ ちからが ずっと よわいと ほうこくされて います[3]。
りゆうは、まだ はっきり していません。けんきゅうした ひとたちは、「いわの せまい すきまで かりを するので、くちの なかを ひろげにくいのかも しれない」と かんがえて います[3]。
すえない ウツボは、どうやって えものを はこぶのでしょう。
4. のどに、もうひとつの あごが ある?
4. のどから飛び出す第2のあご
4. 咽頭顎による保持と運搬
ウツボの のどの おくには、もうひとつ、あごが あります。えものを つかむとき、この あごが くちの なかへ ぴょんと とびだして、えものを つかまえます[3]。
そして そのまま、あごが えものを おくへ おくりこみます。てで ものを つかんで ひきよせるような うごきです。ただし ほんとうは、てでは なく、のどの ほねが うごいて います。
この けんきゅうでは、せぼねの ある どうぶつで、ふたつめの あごを 「つかまえる」ことと「はこぶ」ことの りょうほうに つかう れいを、はじめて くわしく かいた、と いわれて います[3]。
5. ハタは、ウツボを どうやって さそうの?
5. 昼のハタが、頭を振って共同狩りに誘いに来る
5. 共同狩りへのハタの合図とウツボの応答(紅海)
あかい うみの サンゴの ばしょで、ハタが、ひるやすみ している ウツボの ところへ きます。そして めの まえで、あたまを 1びょうに 3〜6かい ぶるぶると ふります[4]。
ウツボは、この あいずを うけると、かくれがを でて、ハタと ならんで およぐ ことが ありました。120かいの かんさつでは、58パーセントで ついて いきました[4]。まいかい ついて いくわけでは ありません。
ウツボから ハタへ あいずを だす ところは、みられませんでした。
6. ふたりで かると、なにが よいの?
6. 逃げ場をふさぎ合う二匹
6. 補い合う狩りの方法
ハタは、ひるに、ひろい みずの なかで かりを します。ウツボは、よるに、いわの すきまで かりを します。ふだんは じかんも ばしょも ちがいます[4]。
でも いっしょに かると、えものは にげにくく なります。ひろい みずの なかへ にげても ハタが います。いわの すきまに かくれても、ウツボが はいって きます。
ハタは、いっしょに かって いる ときに、ひとりの ときより えものを たくさん つかまえました。ウツボも いっしょに かって えものを つかまえましたが、ひとりの ときは かくれて やすんで いたので、くらべる ことは できません[4]。
ただし、これは あかい うみで みられた れいです。ぜんぶの ウツボが、いつも そうする わけでは ありません。
ウツボは夜に狩る動物で、昼は動かないことが多い一方、ハタは昼に開けた水中で狩ります。組み合わせると、獲物は水中に逃げてもハタに追われ、すき間に隠れてもウツボの攻撃を受けます[4]。
論文によると、ハタは共同狩りの最中に、単独のときより多く獲物を捕らえました。ウツボも共同狩りの最中に獲物を捕らえましたが、単独のときは隠れて休んでいたため、比べることはできません。論文も、統計的に比べるのは適切でないと述べています[4][6]。研究者は、魚どうしの共同狩りは、それまで哺乳類と鳥類でしか知られていなかったと述べています[6]。
ただし、これは紅海でのオオモレイとハタの観察であって、すべてのウツボの習性ではありません。
鼻で探し、のどのあごで運び、ときには昼の魚と組む。ウツボの狩りは、単独でも、二匹でも、岩のすき間に合わせた形をしています。
ウツボは夜に狩る動物で日中は動かないことが多く、ハタは日中に開けた水中で狩る。組み合わせると、獲物は水中に逃げてもハタの戦略で、すき間に隠れてもウツボの攻撃方法で、逃げ切りにくくなる[4]。
原論文によれば、ハタは共同狩り中に単独時より多く獲物を捕らえた。ウツボも共同狩り中に獲物を捕らえたが、単独時は隠れて休んでいたため比較はできず、論文は統計的比較を不適切と明記している[4]。魚類のこうした共同狩りは、それまで哺乳類と鳥類でしか知られていなかったとされる[6]。
ただし、これは紅海のオオモレイとハタの観察であり、全てのウツボに広げられる習性ではない。ウツボの狩りは、嗅覚とされる探し方、咽頭顎による運搬、他種との組み合わせが、岩のすき間という環境に合っている、と読める。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること
おうちの ひとに、においの ある たべものを 2〜3こ、ふたの ある いれものに いれて もらいます。めを とじて、においだけで あてて みましょう。においだけで、どれくらい あてられるかを ためせます。
出かけてできること
すいぞくかんで ウツボを みつけたら、くちが どう うごくか、めが どこに あるかを、じっくり みて みましょう。
こうしきの じょうほう
すいぞくかんの ホームページや ずかんにも、ウツボの すみかや たべものが のって います。
今日できること
家の人に、においのある食べ物を2〜3種類、ふた付きの容器に入れて用意してもらい、目を閉じて、においだけで当てられるか試してみてください。目を使えないときに、鼻がどれだけ頼りになるかを感じられます。
出かけてできること
水族館でウツボを見かけたら、目の大きさと位置、口の動きを観察してみてください。展示の解説に「夜行性」「岩のすき間」と書かれているかも、確かめると面白いです。
公式情報
水族館の日本語の解説ページや、家にある魚類図鑑のウツボの項目を読んで、ウツボの口や食べ方がどう書かれているか確かめてみてください。
今日できること
においのある食べ物を家族に用意してもらい、目を閉じて嗅覚だけで当てる。視覚を使わないとき、他の感覚がどれだけ手がかりになるかを体験できる。
出かけてできること
水族館でウツボの目の大きさと口の動きを観察し、展示の解説と照らす。夜行性の生きものの展示が、暗い照明で工夫されている場合もある。
公式情報
出典の Mehta and Wainwright(2007)と Bshary ら(2006)は、無料で読める。ウツボ自身の嗅覚の面積や感度を測った研究を探し、この記事で「とされる」と書いた部分が確かめられるか調べてみるのもよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
今回は、ウツボの生態はコトバンクの解説、嗅覚は解説と別の科の魚の記述、吸い込みと咽頭顎は論文、ハタとの共同狩りは論文と報道を突き合わせた。
- ウツボ(コトバンク、日本大百科全書ほか) https://kotobank.jp/word/ウツボ-34935 (生態・食べもの・鼻孔)
- Moray eel(Wikipedia) https://en.wikipedia.org/wiki/Moray_eel (目と嗅覚)
- Mehta, R. S. and Wainwright, P. C. (2007) Raptorial jaws in the throat help moray eels swallow large prey. Nature 449:79-82. https://fishlab.ucdavis.edu/wp-content/uploads/sites/397/2020/05/Mehta-Wainwright-2007b.pdf (吸い込みの弱さと咽頭顎)
- Bshary, R. et al. (2006) Interspecific communicative and coordinated hunting between groupers and giant moray eels in the Red Sea. PLoS Biology 4(12):e431. https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.0040431 (ハタの合図と58%)
- UC Santa Cruz News (2021) Snowflake morays can feed on land https://news.ucsc.edu/2021/06/moray-feeding/ (陸上での捕食)
- Mongabay (2006) Moray eels and groupers hunt together https://news.mongabay.com/2006/12/moray-eels-and-groupers-hunt-together/ (共同狩りの成功と位置づけ)
- Ajavon, Whiff of Gunnel Olfactory Morphology(University of Washington) https://digital.lib.washington.edu/researchworks/bitstreams/4c3d4111-1c2f-4fe9-8c80-04180415e3cf/download (ウナギの嗅覚系の面積)
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