1. さきより てまえで なにが おきるの?
1. 燃えている先ではなく、手前で成分が出る
1. 700〜800℃の先端と、約250℃の揮散部
せんこうに ひを つけると、さきっぽが あかく なって、すこしずつ すすみます。この さきは、700〜800どと いわれます。
ところが、蚊に きく ざいりょうは、さきっぽの すぐ てまえで でてくる、とメーカーは せつめいしています[2]。そこは 250どくらいで、さきから 6〜8ミリ はなれた ところです。
おふろの ゆげに にています。おゆに さわらなくても、あたためられた みずが めに みえない かたちで くうきに ひろがります。ただし ほんとうは、せんこうの ざいりょうは みずでは ありません。あついと ふわっと でてくる、という ところだけが にています。
この ざいりょうは、めに みえません。けむりと いっしょに、めに みえない せいぶんも ひろがります。けむりだけが きくのかは、ここで みた しりょうだけでは わかりません[2][5]。
火のついた先端は700〜800℃です。ところがメーカーの説明では、殺虫成分のアレスリンは、燃えている部分から6〜8mm手前の、約250℃の部分から空気中に出ていきます[2]。燃えている先ではなく、そのすぐ手前が「成分の出口」になっているわけです。
この現象は、あたためた部屋でせっけんの香りが広がるのに似ています。熱が加わると、固体の中の成分が気体になって空気に混ざります。ただし、蚊取り線香では、熱くなりすぎた先端そのものではなく、ちょうどよい温度の帯が働いている点が違います。
では煙は無関係なのでしょうか。日本家庭用殺虫剤工業会は、成分が燃焼の熱で揮散し、煙とともに広がると説明しています[5]。ここから、成分が主役で、煙は成分を運び、広がりを見せる役だと考えるのが無理のない読み方です。
燃焼部の温度は700〜800℃だが、殺虫成分アレスリンは燃焼部より6〜8mm手前の約250℃の部分から揮散して効果を示す、とKINCHOの害虫コラムは説明している[2]。数値はアレスリンについてのもので、成分は製品によって異なる。
日本家庭用殺虫剤工業会は、有効成分が燃焼熱で揮散し煙とともに拡がって蚊を退治する、とまとめている[5]。ここから「煙は無関係」とまでは言い切れない。ただし、主役が気化した成分であり、煙は運び手・目印と読むのが資料の記述に近い。煙そのものの寄与を定量した資料は、今回の材料の中には含まれない。
この二つを合わせると、蚊取り線香は「先端が燃えて熱を出し、その少し手前で成分が気体になる」装置と整理できる。熱くしすぎず、成分を一定の温度帯で出し続ける設計がこの仕組みの核心である。
2. せんこうの なかみは、なに?
2. 線香の中身:除虫菊とピレスロイド
2. 材料:ピレトリンとピレスロイド、粉と粘結剤
せんこうには、除虫菊という しろい はなの ちからを まねした ざいりょうが はいっています。この はなには、むしを うごけなくする せいぶんが あります[3]。
せいぶんは、はなの、たねの ふくろのような ところに あつまっています。かわいた はなの おもさの 1.3パーセントほどで、そのうち 9わりが そこに あります[4]。
いまの せんこうは、この せいぶんに にた ざいりょう「ピレスロイド」を、きの こなと のりに まぜて、うずまきに して かわかしたものです[5]。
3. どうして うずまきなの?
3. 棒から渦巻きへ:妻ゆきの思いつき
3. 1890年の棒状から1902年の渦巻き型へ
むかしの せんこうは、上山英一郎さんが 1890ねんに はつばいした、ぼうの かたちでした。ぶつだんの せんこうを ヒントに した、と つたえられています[1]。
でも ぼうの せんこうは、けむりが ほそくて、せいぶんも すこししか でません。もえる じかんも、40ぷんくらいでした[1]。
そこで、おくさんの ゆきさんが 「うずまきに したら、ながく もつのでは」と いいました。これが きっかけで、1902ねんに せかいで はじめての うずまきが うられました[1]。
いまの うずまき 1まきは、ながさ 75センチ、おもさ 13グラムで、およそ 7じかん きくと、メーカーは のべています[4][7]。40ぷんと 7じかんを くらべると、かたちの くふうの ちからが わかります。
蚊取り線香を考えた上山英一郎は、1886年に除虫菊の栽培研究を始め、1890年に仏壇の線香をヒントにした棒状の蚊取り線香を売り出しました[1]。
ただ、棒状のものは煙が細く、出る成分も少なく、燃える時間は約40分でした[1]。
1895年ごろ、妻のゆきさんが「渦巻き型にすれば長持ちするのでは」と提案し、これを手がかりに改良が進みました。1902年、世界で初めての渦巻き型の蚊取り線香が売り出されています[1]。
いまのKINCHOの渦巻き1巻は、長さ約75cm、重さ13gで、安定した効果が約7時間続くと説明されています[4][7]。長さや持続時間は、この会社の製品の値で、すべてのメーカー共通ではありません。
上山英一郎は1886年(明治19年)に除虫菊の栽培研究を始め、1890年(明治23年)に仏壇線香をヒントにした棒状の蚊取り線香を考案・発売した[1]。
棒状は煙が細く揮散する成分も少なく、燃焼時間は約40分程度だった[1]。
1895年ごろ、妻・ゆきの「渦巻き型にすれば長持ちするのでは」という提案に着想を得て改良に着手し、1902年(明治35年)に世界初の渦巻き型が発売された[1]。「蛇のとぐろから」という逸話もあるが、一次資料では未確認のため断定しない。
現行のKINCHO渦巻1巻は約75cm・13gで、約7時間の効果が続くとされる[4][7]。棒状の約40分と比べると、単純な長さの比では説明できない差である(長さのちがう別の製品の値を比べているため)。
4. 蚊の からだの なかで なにが おきるの?
4. 蚊の神経で起きること:ナトリウムチャネルが開きっぱなしになる
4. 電位依存性ナトリウムチャネルへの作用
せいぶんは、蚊の からだに はいると、神経に はたらきます。蚊は ふるえたり けいれんしたり して、やがて うごけなく なります[3]。
神経には、あいたり しまったり する、ちいさな とびらが あります。ふつうは あいても すぐ しまります。ところが せいぶんが くっつくと、とびらが しまるのを おそくして、あいている じかんを ながくする、と けんきゅうで しらべられています[6]。
ドアが しまらないと、いつまでも ベルが なりつづけるような ものです。ただし ほんとうは、ベルではなく、神経の あいずが くりかえし でてしまう、という はなしです。
5. ひとには、どうなの?
5. 人の体では? 使うときの注意
5. 恒温動物での代謝と、使用上の注意
ひとや とりの からだに はいると、この せいぶんは すぐ ばらばらに なって、みじかい じかんで からだの そとに でていく、と メーカーは せつめいしています[3]。
でも、あんしん しすぎては いけません。しめきった へやでは けむりが たまって、めや のどが ちくちく することが あります[5]。
つかうときは、せんようの おさらに のせます。まどを あけて、くうきを いれかえましょう。さきは 700どを こえるので、かならず おとなと いっしょに つかってください[5]。
6. じぶんでも しらべてみたく なったら
6. 自分でも調べてみたくなったら
6. 自分でも調べてみたくなったら
きょう できること:おうちに 蚊とりせんこうや さっちゅうざいが あれば、はこの うらの ひょうじを おとなと いっしょに よんでみましょう。「ピレスロイド」や「アレスリン」という なまえが みつかるかも しれません。ひは つけなくて だいじょうぶです。
もっと しりたいとき:メーカーの ウェブサイトに、がいちゅうの コラムや こうじょうの せつめいが あります。おうちの ひとと いっしょに よんでみてください。
今日できること:家にある蚊取り線香や殺虫剤の箱の成分表示を、大人と一緒に読んでみましょう。「ピレスロイド」や「アレスリン」など、記事に出てきた名前が見つかるかもしれません。火はつけなくて構いません。
もっと知りたいとき:メーカーの害虫コラムや工場見学のページは、日本語で読めます。この記事の内容がどこまで書かれているか、自分の目で見比べてください。
問い:ピレスロイドが人では速やかに分解される仕組みは、この記事では説明できていません。家にある蚊取り線香や殺虫剤の箱を2つ並べて、有効成分の名前がちがうか見比べてみてください。
今日できること:家にある蚊取り線香や殺虫剤の箱の成分表示を読み、有効成分の名称(アレスリン、ピレトリンなど)を確認する。火はつけなくてよい。
資料を読むなら:KINCHO害虫コラムの「蚊取り線香、ためになるQ&A」と「ピレスロイドの特長は?」、日本家庭用殺虫剤工業会の蚊取線香のページ。ナトリウムチャネルの作用は、Du, Khambay & Dong (2011)などの総説(英語)が原典にあたる。
残る問い:哺乳類での分解の仕組みと、チャネルの感度差の分子的な根拠は、この記事では扱えなかった。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数値の多くはメーカーや業界団体の説明にもとづく。
- 和歌山県文化情報アーカイブ「上山 英一郎」 https://wave.pref.wakayama.lg.jp/bunka-archive/senjin/ueyama.html (発売年・渦巻き型の由来・燃焼時間)
- KINCHO 害虫コラム「蚊取り線香、ためになるQ&A」 https://www.kincho.co.jp/gaichu/column/katori.html (温度と揮散部の位置)
- KINCHO 害虫コラム「ピレスロイドの特長は?」 https://www.kincho.co.jp/gaichu/column/piresroid.html (ピレトリンとピレスロイド・神経への作用・体内での分解)
- KINCHO 工場見学「工場長に聞く 詳細な話コース」 https://www.kincho.co.jp/factory/listen/detail.html (渦巻1巻の大きさ・ピレトリン含量)
- 日本家庭用殺虫剤工業会「蚊取線香」 https://www.sacchuzai.jp/ (材料・成分の広がり・使用上の注意。サイトのトップを掲載)
- KINCHO 製品ページ「金鳥の渦巻 天然除虫菊」 https://www.kincho.co.jp/seihin/insecticide/kincho_uzumaki/tennen_jyotyugiku/index.html (渦巻1巻の約7時間の持続)
なおした ところ
更新履歴
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