1. でんきと じしゃくは、べつべつの ものだと 思われて いた
1. 電気と磁石は、別々のものだと思われていた
1. エルステッドは1820年に電流の磁気作用を発見した
むかしは、でんきと じしゃくは、まったく べつの げんしょうだと 思われて いた。ところが 1820年、デンマークの がくしゃ エルステッドは、じゅぎょうの じっけんを じゅんびして いる とき、でんちに つないだ どうせんの すぐ そばに、たまたま ほういじしんが おいて あった。すると、電気を ながした しゅんかんに、じしんの はりが ふるえて うごいたのだ[1]。まるで、りょうりを して いる ときに、ぐうぜん あたらしい あじの くみあわせを 見つけるようなものだ(ただし ほんとうは、りょうりでは なく、でんきの じっけんの 話だ)。
昔は、電気と磁石は、まったく別の現象だと思われていた。ところが1820年、デンマークの学者エルステッドは、授業の実験を準備している時、電池につないだ導線のすぐそばに、たまたま方位磁石が置いてあった。すると、電気を流した瞬間に、磁石の針がふるえて動いたのだ[1]。まるで、料理をしているときに、偶然新しい味の組み合わせを見つけるようなものだ(ただし本当は、料理ではなく、電気の実験の話だ)。
2. ファラデーは、水ぎんと じしゃくで くるくる まわる そうちを 作った
2. ファラデーは、水銀と磁石でくるくる回る装置を作った
2. 1821年、ファラデーが世界初の電磁回転装置を実演した
エルステッドの はっけんの つぎの 年、1821年9月3日。イギリスの ファラデーは、水ぎんを 入れた くだに じしゃくを 立てて、べつに コルクで ささえた どうせんを 用意し、その さきを、じしゃくの まわりの 水ぎんに つけた。電池を つないで 電気を ながすと、どうせんは 水ぎんの 上を、じしゃくの まわりを ぐるぐると まわりつづけた[2]。これが せかいで はじめての「電気で まわる そうち」、いまで いう モーターの もとに なった[2]。
3. ファラデーは、この はっけんを めぐって 先生との なかが わるく なった
3. ファラデーは、この発見をめぐって先生との仲が悪くなった
3. ファラデーは発見の功績をめぐりデイヴィーとの関係が悪化した
じつは、ファラデーの 先生だった デイヴィーと、その 友だちの ウォラストンも、まえから おなじような そうちを 作ろうと して いた。ファラデーが 先に せいこうさせると、デイヴィーは「ウォラストンの アイデアを ちゃんと みとめて いない」と おこった[3]。ファラデーは あやまり、ウォラストンは それ いじょう もんだいに しなかった。デイヴィーとの かんけいは、その あとも ぎくしゃくした ままだったと いわれて いるが、どこまで だったかは 見かたが わかれて いる[3]。
4. なぜ まわるのかを、左手で せつめいする ほうほうが 生まれた
4. なぜ回るのかを、左手で説明する方法が生まれた
4. 19世紀後半にフレミングが左手の法則で回転の向きを説明した
ファラデーの じっけんから 50年ほど あとの 1800年代の おわりごろ、イギリスの フレミングは、「なぜ どうせんが その 向きに うごくのか」を、みんなに わかりやすく つたえる ほうほうを 考えた。左手の おや指・人さし指・中指を、それぞれ ちょくかくに ひらく。人さし指を じしゃくの 向き、中指を 電気の 向きに あわせると、おや指が うごく 向きを さす、と いう ほうそくだ[4]。
ファラデーの実験から半世紀ほどあとの19世紀の終わりごろ、イギリスのフレミングは、「なぜ導線がその向きに動くのか」を、みんなにわかりやすく伝える方法を考えた。左手の親指・人差し指・中指を、それぞれ直角にひらく。人差し指を磁石の向き、中指を電気の向きにあわせると、親指が動く向きをさす、という法則だ[4]。
ファラデーの実演から半世紀以上あとの19世紀後半、イギリスの技術者ジョン・アンブローズ・フレミングは、電流と磁界から生じる力の向きを直感的に理解できる「フレミングの左手の法則」を考案した。左手の親指・人差し指・中指を互いに直交させ、人差し指を磁界の向き、中指を電流の向きに合わせると、親指の指す向きが導体にはたらく力の向きになるという法則である[4]。
5. じっけんしつの そうちが、やくに 立つ どうぐに なった
5. 実験室の装置が、役に立つ道具になった
5. 1873年、ウィーン万博での配線の接続からモーターの実用性が実証された
ファラデーの そうちは、電気の ふしぎを 見せる じっけんに すぎなかった。じっさいに やくに 立つ モーターに なったのは、さらに あとの こと。1873年、ウィーンで あった はくらんかいで、はつでんきを あつかって いた 人が、2つの はつでんきの せんを つないだ。すると かたほうを エンジンで まわすと、もう かたほうが、電気だけで まわり出したのだ[5]。はつでんきは、うごきを 電気に かえる きかいだが、その 電気を べつの はつでんきに おくると、こんどは その きかいが、電気を うごきに かえて まわり出す。はつでんきと モーターは、じつは おなじ しくみの うら表なのだ。これを 見た グラムと いう ぎじゅつしゃは、この しくみを つかって、はなれた ばしょの 水を くみ上げて 見せた[5]。
6. いまは、まわりじゅうに モーターが ある
6. いまは、まわりじゅうにモーターがある
6. 現代の生活は数多くの電動機に支えられている
あの 水ぎんの じっけんから 200年ほど たった いま、モーターは せんぷうきや せんたくき、おもちゃ、車まで、いろいろな ものの 中で まわって いる。エルステッドが 気づいた、ちいさな じしんの ふるえから、おおくの 人の くふうが つみかさなって、ここまで きたのだ。
あの水銀の実験から200年ほどたったいま、モーターは扇風機や洗たく機、おもちゃ、車まで、いろいろなものの中で回っている。エルステッドが気づいた、小さな磁石のふるえから、ここまできたのだ。まるで、小さな火花が、大きなたき火になっていったようなものだ(ただし本当は、実験は火とはちがう)。
ファラデーの実験からおよそ200年を経た現在、モーターは家電製品から自動車、産業機械に至るまで、あらゆる場所で使われている。方位磁石のわずかな振れという小さな観察が、現代の生活を支える技術へとつながっていった。
1820年からの みちのりを、たどって みる
1820年からの道のりを、たどってみる
1820年からの道のりを、たどってみる
じしんの はりが ちょっと ふるえた ことから、いまの モーターまで、どれだけの 人が かかわって きたのか、かぞえて みよう。エルステッド、ファラデー、デイヴィー、ウォラストン、フレミング、グラム。ノートに 名前を ならべて、じゅんばんに せつめいして みよう。
磁石の針がちょっとふるえたことから、いまのモーターまで、どれだけの人がかかわってきたのか、数えてみよう。エルステッド、ファラデー、デイヴィー、ウォラストン、フレミング、グラム。ノートに名前をならべて、順番に説明してみよう。
エルステッドの偶然の観察からグラムの実演まで、モーターが実用品になるまでに関わった人物を時系列で並べ直してみると、1つの発見が独立に生まれたのではなく、複数の人物の研究や偶然が積み重なって現在の形にたどり着いたことが見えてくる。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
- フリー百科事典『ウィキペディア』「エルステッド」、ネオマグ「永久磁石の歴史と磁気科学の発展」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/エルステッド https://www.neomag.jp/mag_navi/history/history_10.html (1820年、エルステッドが講義の実験準備中に、電流を流した導線のそばの方位磁石の針が振れることに気づき、電流の磁気作用を発見したことは両出典による)
- The Royal Institution "The birth of electric motion"、IEEE Spectrum "200 years ago Faraday invented the electric motor"。 https://www.rigb.org/explore-science/explore/blog/birth-electric-motion https://spectrum.ieee.org/200-years-ago-faraday-invented-the-electric-motor (1821年9月3日、ファラデーが水銀を入れたガラス管に磁石の針を置き、別にコルクで支えた導線の先端を磁極のまわりの水銀の中で動けるようにし、電流を流すと導線が磁石のまわりを回転しつづける「電磁回転」を実演したことは両出典による)
- Royal Institution blog、Science Museum Blog "A small revolution: Michael Faraday and the origins of the electric motor"。 https://www.rigb.org/explore-science/explore/blog/birth-electric-motion https://blog.sciencemuseum.org.uk/a-small-revolution-michael-faraday-and-the-origins-of-the-electric-motor/ (ファラデーの師デイヴィーとその友人ウォラストンが以前から同様の回転運動の実現を研究していたこと、ファラデーの発表後にデイヴィーがウォラストンへの謝辞不足を批判したこと、ファラデーが手紙で誤解を解こうとしウォラストンはそれ以上追及しなかったが、デイヴィーとの関係が緊張したままだったことは両出典による)
- 日本溶接協会「フレミングの法則」、ネオマグ「モーターと発電機の原理-フレミングの法則」。 https://www-it.jwes.or.jp/we2/keyword/chapter1_f_001/index.html https://ownedmedia.neomag.jp/2022/11/01/08.モーターと発電機の原理-フレミングの法則/ (19世紀後半にジョン・アンブローズ・フレミングが、左手の親指・人差し指・中指を直交させ人差し指を磁界の向き・中指を電流の向きに合わせると親指が力の向きを示す「フレミングの左手の法則」を考案したことは両出典による)
- ネオマグ「発電機とモータの進化」、フリー百科事典『ウィキペディア』「ゼノブ・グラム」。 https://www.neomag.jp/mag_navi/history/history_13.html https://ja.wikipedia.org/wiki/ゼノブ・グラム (1873年のウィーン万国博覧会で、2台のダイナモの配線を接続したところ一方が電動機として回転しはじめる現象が発見されたこと、ゼノブ・グラムがこれを応用して離れた場所への揚水を実演したことは両出典による)
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