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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

「ぬって つくる」 太陽電池が あるって ほんとう?

塗って作る太陽電池 ── 日本から広がったペロブスカイトの話

ペロブスカイト太陽電池は、どう作られ、どこで使われるのか

分野:技術

ふつうの 太陽電池は、かたくて おもい 板です。ところが、うすい フィルムに「ぬって」 つくれる 太陽電池が あります。

はじめは、ほとんど 発電しない 実験じっけんでした。それが、たった 3年ほどで 世界の 研究者が 注目する ものに なりました。どうして なのでしょう。この メモで、その ひみつが わかります。

2009年に日本で発表された新しい太陽電池は、光を電気にかえる力がわずか3%台でした。それが2012年には約11%まで上がり、世界の研究者が一気に注目しはじめました。

なぜそんなことが起きたのでしょうか。ペロブスカイトという結晶の性質と、「塗って作れる」という作り方、そして国の導入目標までがつながって分かります。

ペロブスカイト太陽電池は、2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授らが世界で初めて報告した[1]。この年の変換効率は3%台だったが、2012年には10%を超え、研究が世界に広がった[3]。

なぜ短期間で効率が伸びたのか。発電層の材料の性質、塗布で作る製法、そして国の導入目標と課題までが、つながって分かる。

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1. どうして「ぬる」のが すごいの?

1. 板ではなく「塗る」という発想

1. 発電する層を液から作る

いえの 屋根に ある 太陽電池は、かたい 板です。ずっしり おもいので、こわれやすい 屋根には のせにくい ことも あります。

ところが ペロブスカイト太陽電池は、えきたいを ぬって うすい まくを つくれます。おえかきで 絵の具を ぬる ように、と いうと イメージしやすいかも しれません。ただし ほんとうは、ぬった あとに 結晶けっしょうが できる ところが ポイントです[4]。

プラスチックの フィルムのような、やわらかい ざいりょうにも つくれる かのうせいが あります[1]。

ぬって、印刷して、作る

ペロブスカイト太陽電池は、発電をする層に、ペロブスカイト結晶を使う太陽電池です[1]。この層は、液を塗ったり印刷したりして、目的の材料の上に直接つくれるとされています[4]。

そのため、曲がった面や決まった形でない面にも使え、軽くて安くなることが期待されています[4]。ただし「安くなる」は今のところ期待や目標で、いま安いという意味ではありません。

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶を発電層にした太陽電池である[1]。NEDOの事業紹介は、薄膜で塗布・印刷などの簡易な方法により、対象の基材の上へ直接形成できるため、低コスト化・軽量化、曲面や不定形面への適用が図れるとする[4]。

低コスト化は期待・目標として書かれたもので、現時点で安いことを示す記述ではない。なお、結晶シリコン系の製法やpn接合の原理は別のメモ(solar-panel-electricity)で扱っている。

2. うすくても 光を すいこむ ひみつ

2. 薄くても光を吸える結晶

2. 光の吸収係数と膜厚

この 結晶けっしょうは、こい ちゃいろを して います[1]。くろい 紙が 光を よく すうように、この 色も 光を よく すいこむ のに つごうが いいのです。

光を よく すう ので、うすい まくでも 電気を たくさん つくれます[1]。ただし 「くろいから」だけが りゆうでは ありません。結晶けっしょうの 中の しくみも かかわって います。

うすい ので、かるく、まげやすくも できます。

濃い褐色の結晶

宮坂教授らが使ったのは、CH₃NH₃PbI₃という化学式の結晶です。濃い褐色で、目に見える光を多く利用できます[1]。

光の吸収係数が大きいので、うすいフィルムにしても高い変換効率を保てる、とJSTの成果紹介は説明しています[1]。厚さが少なくてすむので、材料も、重さも、減らせる可能性があります。ただし、倍率は資料により値が割れるので、この記事では数字にしません。

この結晶の化学式はCH₃NH₃PbI₃で、濃い褐色を示し、可視光の利用率が高い[1]。この結晶には鉛(Pb)とヨウ素(I)が含まれる。

吸収係数が大きいので、薄いフィルム型でも高い変換効率を維持できる[1]。発電層の厚さは資料により0.3μm程度から1μm前後まで値が割れるため、シリコンとの厚さの倍率は断定しない。

3. 日本の 先生が はじめた 研究

3. 日本で始まった研究と、効率のジャンプ

3. 2009年の報告と、2012年の効率向上

2009年、日本の 宮坂力(みやさか つとむ)先生たちが、この 結晶けっしょうを つかった 太陽電池を、世界で はじめて 発表した といわれます[1]。

2009年に 発表された ものの 効率こうりつは、3%くらい でした。100の 光の うち、3つぶん くらいしか 電気に できなかった ことに なります[3]。

それでも けんきゅうは つづき、2012年には 11%に ちかづきました[2]。この ころから、世界で 研究が いきおいよく 進みました[3]。

3%台から11%へ

2009年に、桐蔭横浜大学の宮坂力教授らが、ペロブスカイト結晶を光を吸う材料に使った太陽電池を世界で初めて発表しました[1]。このときの変換効率は3%台でした[3]。

2012年、宮坂教授らはイギリスのオックスフォード大学の研究者と共同で、液を塗ってつくる固体の膜の太陽電池で、11%に近い効率が出せると示しました[2]。2012年に10%を超えたことで、世界で研究が加速した、と解説されています[3]。

研究の始まり

学生と教員が協力して進めた研究でした。宮坂教授は、研究室の学生だった小島陽広さんが、色素の代わりにペロブスカイトを使う実験を持ちかけてきたことが始まりだったと振り返っています。年や細かい経緯は、記事によって少し違います[6]。

2009年、宮坂力教授と小島陽広氏らは、CH₃NH₃PbI₃の結晶を色素増感型太陽電池の光吸収材に使い、ペロブスカイト太陽電池を世界で初めて報告した[1]。変換効率は3%台だった[3](3.8%とする資料もあるが、原論文の要旨は今回確認していない)。

2012年のScience誌(338巻6107号、643〜647頁)で、宮坂教授らはオックスフォード大学のスナイス教授らと共同で、溶液塗布法によるハイブリッド構造の固体セルが11%に近い効率を示すと報告した[2]。2012年に10%を突破すると世界的に研究が加速した[3]。

研究の始まりは、小島氏の提案をきっかけの一つとして、学生と教員が協力して進めたものと伝えられる。宮坂氏は、2006年ごろ修士課程の学生だった小島氏が、色素増感の色素をペロブスカイトに換える実験を持ちかけてきたと振り返っている[6]。年や経緯は資料により差があり、断定しない。

4. どこに つかえる ように なるの?

4. 「置けなかった場所」に置く計画

4. 導入目標と、建物壁面・低耐荷重屋根への展開

うすく かるい と いう とくちょうから、いままで つけにくかった ところに つける 計画が あります。たとえば、たてものの かべや、おもい ものが のせられない 屋根です[5]。

国は、2040年に 20ギガワットを めざす と しています[5]。これは 目ひょうで、まだ できた ことでは ありません。

会社も 動いて います。おおさかふの さかいしでは、太陽電池を たくさん つくる 工場の じゅんびが 進められて います[5]。

壁や、弱い屋根へ

資源エネルギー庁の2026年4月の資料は、建物の壁面や、重さに耐える力の低い屋根など、これまで導入が難しかった場所にも設置できる次世代型として、ペロブスカイト太陽電池に期待するとしています[5]。プラスチックのフィルムでも作れて軽いことが、その土台です[1]。

国の目標と、会社の動き

国の次世代型太陽電池戦略は、2040年に約20ギガワットの導入を目指すとしています。発電のコストは2030年に1キロワット時14円、2040年に自立できる10〜14円以下が目標です[5]。これらは目標であって、実績ではありません。

積水化学工業は、大阪府堺市にギガワット級の製造ラインをつくるため、約3,150億円の投資を決めました。2027年度に100メガワットの供給体制の稼働を始める予定です[5]。

資源エネルギー庁の資料(2026年4月)は、建物の壁面や耐荷重性の低い屋根など、これまで導入が困難だった場所への導入が可能な次世代型太陽電池として、ペロブスカイト太陽電池の活用を期待している[5]。これは低温プロセスによるプラスチックフィルム型が実現でき、軽量・フレキシブルという特徴が背景にある[1]。

次世代型太陽電池戦略は、2040年に約20GW導入を目指し、発電コストを2030年に14円/kWhが可能となる技術の確立、2040年に自立化可能な10〜14円/kWh以下の水準とする。10円は大幅なコスト低減の場合である[5]。積水化学工業は堺市にGW級の製造ライン構築のため約3,150億円の投資を決定し(GX補助あり)、100MWの供給体制を2027年度に稼働開始予定とされる[5]。以上はいずれも計画・目標であり、実績値ではない。

5. まだ のこって いる もんだい

5. 残された課題 ── 長持ちさせること、鉛のこと

5. 課題 ── 長期耐久性・鉛・原料

いい ことばかり では ありません。長い 間 つかえる ように する こと が、大きな 宿題です[7]。いろいろな 会社や けんきゅうしょが、そこに とりくんで います。

また、この 結晶けっしょうには なまりが ふくまれて います。人の からだには よくない ものなので、なまりを つかわない 太陽電池の 開発も 進んで います[1]。

げんりょうの ひとつ、ヨウそは、日本が 世界で 2ばんめに たくさん つくる といわれ、千葉県で とれます[5]。

長持ちさせる挑戦

いちばんの課題は、長期の耐久性です。NEDOの成果報告会2026で東芝は、発電コスト20円/kWhを事業の目標にかかげ、耐久性を高温高湿の試験や屋外の実証試験で調べていると紹介しています[7]。20円/kWhは目標の数字で、実績ではありません。

鉛と、原料のヨウ素

この結晶は鉛を含みます。そのため、鉛を使わないペロブスカイト太陽電池の開発も進められています[1]。また主な原料のヨウ素は、日本が世界第2位(シェア30%)の産出国で、千葉県で地下の塩水からつくられています[5]。ただし、国産なのはヨウ素で、材料や装置のすべてが国産という意味ではありません。

課題は長期耐久性である。NEDO成果報告会2026の東芝の報告は、発電コスト20円/kWh(900cm²サイズのパネルで変換効率18%、劣化率1.0%/年を想定)を事業の目標とし、耐久性を85℃85%RHの試験と屋外実証で調べている[7]。これらは目標・試験の紹介であり、実績値ではない。

結晶に鉛を含むため、鉛を使わないPbフリーの開発も目指されている[1]。原料のヨウ素は、日本が世界第2位の産出量(シェア30%)で、千葉県でかん水から作られる[5]。ただし国産と言えるのはヨウ素で、鉛や製造装置までを含むわけではない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

家の 近くで、太陽電池の 板を のせた 屋根を さがして みましょう。かたい 板が どんな 場所に あるか、かべには あるか、見て みます。ペロブスカイトかどうかは、見た目では わかりません。

くわしく しりたい 人へ

おうちの 人と、しげんエネルギーちょうの ページで「ペロブスカイト」を さがし、「目ひょう」の 数字を 見つけて みましょう。

今日できること

身近な建物で、太陽電池がどこに付いているかを探してみましょう。屋根の上だけでなく、壁や、これまで置けなかったような場所に付いていないかも見てみます。ペロブスカイトかどうかは、外から見て分かるとは限りません。

公式情報を読む

資源エネルギー庁のページで「ペロブスカイト」を探し、「目標」の数字を見つけてみましょう。その数字が「目標」なのか「実績」なのか、注意して読むと違いが見えてきます。

公式情報を読む

  • 資源エネルギー庁の導入促進資料:目標(2040年約20GW)と実績の区別に注意して読む。
  • NEDO成果報告会の資料:耐久性試験の条件(温度・湿度・時間)を確かめる。
  • Science誌2012年の論文(338巻6107号):日本語の紹介ページと見くらべる。

確かめるときのコツ

効率の数字を比べるときは、何の条件で測ったかも確かめたい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

使った資料と、どの部分に使ったかを示します。

  1. JST「成果紹介(宮坂力)」 https://www.jst.go.jp/seika/bt107-108.html (発見・結晶の性質・フレキシブル・鉛フリー)
  2. 宮坂研「Science 2012 論文紹介」 https://www.cc.toin.ac.jp/sc/miyasaka/pdf/Science_0214_Miyasaka.pdf (2012年の効率)
  3. ニュースイッチ解説 https://newswitch.jp/p/17830 (2009年・2012年の効率の流れ)
  4. NEDO 事業紹介 https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100101.html (塗布・印刷で作れること)
  5. 資源エネルギー庁「ペロブスカイト太陽電池の導入促進について」(2026年4月) https://www.env.go.jp/content/000395593.pdf (導入先・国の目標・製造投資・ヨウ素)
  6. ニュースイッチ 宮坂氏取材記事 https://newswitch.jp/p/35728 (研究のはじまりの経緯・伝聞)
  7. NEDO成果報告会2026 東芝 https://www.nedo.go.jp/content/800068159.pdf (耐久性の試験・事業化目標)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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