1. はっぱの なかは、すきまだらけ
1. 葉の断面は、細胞とすき間の二階建て
1. 葉の断面 ── 柵状組織と海綿状組織
はっぱを よこから 切って、けんびきょうで 見たと します。いちばん そとに、うすい かわが あります。そこに、気孔と いう ちいさな あなが あります[1]。
光が あたる がわには、たてに ながい 細胞が きちんと ならびます。その したは、かたちが ばらばらの 細胞で、まわりに 空気の すきまが たくさん あります[1]。
うえは ぎっしり、したは すかすか。1まいの はっぱの なかに、ふたつの ちがう へやが かさなって います。
2. はっぱの げんかん、きこう
2. 入口の気孔は、青い光を受けて開く
2. 気孔 ── 孔辺細胞と青色光による開口
気孔は、二つの ちいさな 細胞が つくる あなです。はれた 昼に ひらいて、二酸化炭素を とりこみます。おなじ あなから、酸素と 水蒸気も 出て いきます[3]。
ガスの 出入りは、ポンプで おくって いるのでは ありません。ひろがって いく ちからを つかって います[3]。
気孔の かずは、しゅるいや、はっぱの おもてと うらで ちがいます。おもてと うらの どちらに おおいかも、しょくぶつに よって ちがいます[3]。
どうやって ひらくのでしょう。太陽の 光に ふくまれる 青い 光を、気孔の 細胞が うけとると、水が 入って ふくらみ、あなが ひらくと 説明されて います[4]。
3. 二酸化炭素は、水の なかを とおる
3. 気体のガスが、最後は水の中を通る
3. 二酸化炭素の拡散経路 ── 気孔腔から水の層を経てストロマへ
気孔から はいった 二酸化炭素は、はっぱの なかの すきまに 出ます。そこから、細胞の まわりに ある うすい 水の まくに とけます[2]。
それから、細胞の かべや まくを いくつも とおりぬけて、葉緑体の なかまで たどりつきます[2]。
空気の なかを すすむのは、細胞の そとまで です。そこから おくは、水の なかを すすんで いきます。
気孔から入った二酸化炭素は、まず気孔腔に着きます。次に、葉肉の細胞の細胞壁を取り囲む水の層に溶け込みます。ここから、細胞壁、細胞膜、そして葉緑体を包む二重の包膜(外包膜と内包膜)を通り抜けて、葉緑体の中のストロマに届きます[2]。
空気の中を来たガスが、細胞のまわりでは水の層にとけて、そのまま水の中を進みます。何枚もの膜を越えるので、旅は思ったより長い道のりです。
二酸化炭素は、気孔から気孔腔に到達したのち、葉肉細胞の細胞壁を取り囲む水の層に溶け込む。そこから細胞壁・細胞膜を通り、葉緑体の包膜(外包膜と内包膜)を越えて、葉緑体内のストロマに達する[2]。
気孔から気孔腔までは気体として届き、細胞に着いてからは水の層を経る、というのが大まかな構図である。
4. 葉緑体の なかの、ふたつの へや
4. 葉緑体では、光を使う反応と糖をつくる反応が別の場所で進む
4. 葉緑体の内部 ── 光化学反応はチラコイド膜、炭酸固定はストロマで進む
葉緑体は、うすい レンズの ような かたちを して います。直径は、1ミリの 200ぶんの1から 100ぶんの1くらいです。ひとつの 細胞に、10こから 何百こも 入って いる ことが あります[8]。
その なかは、ふたつの ばしょに わかれて います。
ひとつめは、チラコイドと いう、うすい ふくろの まくです。ここでは、光の ちからを つかう しごとが すすみます[5][6]。
ふたつめは、その ふくろの まわりに ある ストロマです。ここで、二酸化炭素を 糖の ざいりょうに する しごとが すすみます[6]。
二酸化炭素を 糖の ざいりょうに する しごとは、よる だけに おきる わけでは ありません。ふるい よび かたで「あんはんのう」と いわれて きましたが、光の しごとの できあがりものを つかう だんかい、と いう いみです[6]。
葉緑体は、直径5〜10マイクロメートル、厚さ2〜3マイクロメートルほどの、薄い凸レンズのような形をしています。1ミリメートルの100分の1から200分の1ほどの大きさです。1つの細胞には、10個から数百個ほど入っていて、数は植物の種類で大きくちがいます[8]。
葉緑体は二重の包膜に包まれ、内部にはチラコイドとよばれる扁平な袋があります[5]。
反応の場所が分かれている
光のエネルギーを使う反応(電子の受け渡し、ATPの合成、NADPの還元)は、チラコイド膜の上で起きます。一方、二酸化炭素を糖の材料にするカルビン・ベンソン回路は、ストロマで進みます[5][6]。
この後半の段階は、むかし「暗反応」とよばれました。夜に起きるという意味ではなく、光の反応の産物を使う段階、という意味の古い名前です[6]。
葉緑体はもともと、別の生きものだったと考えられています。真核生物がシアノバクテリアを細胞の中に取り込んで、共に暮らすようになった、という「細胞内共生」の考え方です[8]。
葉緑体は多くの多細胞植物で、直径5〜10 µm・厚さ2〜3 µm程度の凸レンズ形をしており、1細胞あたり10〜数百個ほど含まれる。別の資料には直径約5 µm、数十〜数百個とあり、値には幅がある[8]。二重の包膜に包まれ、内部には、扁平な袋(チラコイド)があり、その間はストロマと呼ばれる[5]。
光化学反応(電子伝達、ATP合成、NADPの還元)はチラコイド膜上で、二酸化炭素を糖の材料に変えるカルビン・ベンソン回路(炭酸固定反応)はストロマで進む[5][6]。後者は旧称で「暗反応」とよばれたが、夜に起きるという意味ではなく、光の反応の産物を使う段階を指す[6]。
葉緑体の起源については、真核生物がシアノバクテリアを細胞内に取り込んだ細胞内共生に由来する(内共生説)と考えられている。この点は仮説であり、本記事では「考えられている」の範囲にとどめる[8]。
5. さんそは どこから 来る?
5. 酸素の出どころは、水だった
5. 酸素の由来 ── 1941年のルーベンらの実験
光合成で 出る 酸素は、二酸化炭素と 水の どちらから 来たのでしょう。
1941ねん、ルーベンさんたちは、ふつうの 酸素とは ちがう 目じるしの ついた 水と 二酸化炭素を、クロレラと いう 小さな 生きものに わけて あたえました。すると、目じるしの ついた 水を あたえた ときだけ、出て きた 酸素に 目じるしが ありました[7]。
酸素は、水から 出て いました。光の しごとの はじまりは、水から 電子と いう ものが とりだされ、酸素に なる ところからだと 説明されます[6]。
6. きこうを もっと ひらいたら?
6. 気孔を大きく開く改変で、植物の生産量が増えた研究
6. 気孔開口を大きくする改変で、生産量が増加した ── 2013年の共同発表
気孔を ふつうより おおきく ひらく ように した 植物を つくった 研究が あります。すると、二酸化炭素を とりこむ りょうが、ふえました[4]。
ひらく おおきさは、およそ 25パーセント ふえました。二酸化炭素の とりこみは 15パーセントほど ふえて、そだつ ぶんは、1.4ばいから 1.6ばいに なりました[4]。
これは、けんきゅうに つかう とくべつな 植物での けっかです。すべての 植物で おなじ ことが おきる わけでは ありません。ただ、気孔の ひらき ぐあいが、そだちかたに かかわって いる ことが わかります。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること
おちて いる はっぱを 1まい ひろって、おもてと うらを 見くらべて みましょう。光に すかして 見ると、すじも 見えます。おもてと うらで、いろや つやが ちがうか どうか、さがして みて ください。断面の つくりは、この 記事の 1の はなしで たしかめられます。
出かけてできること
こうえんや しょくぶつえんで、はっぱの かたちや つき方を くらべて みましょう。としょかんで、しょくぶつの ずかんを 見るのも たのしいです。
こうしきの 情報
にほんしょくぶつせいりがっかいの ホームページに、しょくぶつの ぎもんに こたえる ページが あります。
今日できること
落ち葉を1枚拾って、表と裏を見くらべてみましょう。光に透かすと葉脈も見えます。表と裏で色やつやがちがうか観察して、断面のつくりは、この記事の1章で確かめられます。
出かけてできること
公園や植物園で、葉の形や、茎への付き方を見比べてみましょう。図書館には、葉の断面写真がのっている植物の図鑑や、理科の本があります。
公式情報
日本植物生理学会の「みんなのひろば」には、気孔などについての質問と回答がのっています。光合成研究サイト、岡山大学資源植物科学研究所の解説も、日本語で読めます。
出典欄に挙げた資料のうち、JSTの共同発表は、研究の背景と結果が短くまとまっています。
今日できること
落ち葉を1枚拾い、表と裏の色・つやを比べる。光に透かして葉脈も観察する。観察で確かめられるのは葉脈・色・つやまでである。断面のつくり(柵状組織・海綿状組織)は出典[1]で確かめ、表裏の違いとの関係を考える。
出かけてできること
植物園や公園で、葉の形や配置を観察する。図書館で、植物形態学や植物生理学の入門書を探すのもよい。
公式情報
本記事で使った資料は、すべて日本語で読める。日本植物生理学会「みんなのひろば」、光合成研究サイト、岡山大学資源植物科学研究所、東邦大学理学部の用語集、JST共同発表(2013年)が出発点になる。
ルーベンの実験については、日本語の資料(出典[7]など)を読み比べてみるのもよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。数字や用語は、各ページで確かめてください。
- 東邦大学理学部 用語集「葉」 https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/leaf.html (葉の断面のつくり)
- 岡山大学資源植物科学研究所「気孔と葉内でのCO2の拡散」 https://www.rib.okayama-u.ac.jp/ers/co2diffusion (二酸化炭素の通り道)
- 日本植物生理学会 みんなのひろば 植物Q&A(気孔の働き) https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=3188 (気孔の働き・数)
- JST 共同発表(2013)「気孔の開口を大きくして植物の生産量の増加に成功」 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20131224-2/index.html (気孔の開く仕組み・生産量の研究)
- 東邦大学理学部 用語集「葉緑体」 https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/chloroplast.html (葉緑体の構造)
- 光合成研究サイト「光合成の仕組み」 https://photosynthesis.jp/shikumi.html (反応の場所・酸素の出どころ)
- 東邦大学理学部 用語集「ヒル反応」 https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/Hill_reaction.html (ルーベンらの実験の説明)
- Wikipedia日本語版「葉緑体」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89%E7%B7%91%E4%BD%93 (大きさ・個数・起源の説。百科事典の記述として参考にした)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。