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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

はっぱの なかで、ひかりの ごはんづくりは どこで して いるの?

光合成は、葉のどこで起きているのか ── 空気の二酸化炭素が、水にとけて葉緑体へ入るまで

葉の中の光合成 ── 気孔・気孔腔・水の層を経てストロマへ届く二酸化炭素と、チラコイドとの役割分担

分野:生きもの

はっぱの なかでは、空気の ガスが、いちど 水に とけて から さきへ すすむ と いわれます。

ガスなのに、どうして 水の なかを とおるのでしょう。その さきの 葉緑体ようりょくたいには、ふたつの へやが あります。光合成こうごうせいが おきる ばしょの ひみつが わかります。

葉の中に入った二酸化炭素は、気孔腔までは気体として進み、その先では細胞壁を囲む水の層に溶け込みます。そこから葉緑体へ入っていくと説明されています。

ガスなのに、なぜ水の中を通るのでしょうか。葉のつくり、二酸化炭素の通り道、葉緑体の中の部屋分け、その答えと、光合成が起きる場所が分かります。

空気中の二酸化炭素は気体だが、葉緑体に届く最後の区間では、細胞壁を囲む水の層に溶けた状態で進むと説明される。ガスが液体の中を通って目的地へ着く、という道すじである。

光合成は葉のどこで、どういう順序で進むのか。葉の断面、気孔、二酸化炭素の拡散経路、葉緑体内部の反応の場所、酸素の由来の順に、光合成が起きる場所が分かる。最後に、気孔の開き方を変えて生産量が増えた研究(2013年)にもふれる。

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1. はっぱの なかは、すきまだらけ

1. 葉の断面は、細胞とすき間の二階建て

1. 葉の断面 ── 柵状組織と海綿状組織

はっぱを よこから 切って、けんびきょうで 見たと します。いちばん そとに、うすい かわが あります。そこに、気孔きこうと いう ちいさな あなが あります[1]。

光が あたる がわには、たてに ながい 細胞さいぼうが きちんと ならびます。その したは、かたちが ばらばらの 細胞さいぼうで、まわりに 空気の すきまが たくさん あります[1]。

うえは ぎっしり、したは すかすか。1まいの はっぱの なかに、ふたつの ちがう へやが かさなって います。

葉を薄く切って顕微鏡で見ると、まず表面を表皮が覆っていて、ここに気孔があります。表皮の内側で、光のあたる側には、縦に長い細胞が規則正しく並んでいます。これが柵状組織です[1]。

その下の海綿状組織は、細胞の形が不規則で、細胞と細胞の間の空気が入るすき間(細胞間隙)が、柵状組織より広い割合を占めます。葉脈(維管束)は、この間を通っています[1]。

光合成をするのは、これらの葉の細胞の中の葉緑体です[2]。上は細胞がぎっしり、下は空気のすき間が多い。薄い葉の中が、二階建てのようになっています。

葉の断面は、気孔をもつ表皮、光のあたる側(向軸側)に縦長の細胞が規則的に並ぶ柵状組織さくじょうそしき、その下で細胞の形が不規則な海綿状組織かいめんじょうそしき、そして維管束(葉脈)から成る。海綿状組織は、柵状組織にくらべて細胞間隙(空気の部分)の占める割合が大きい[1]。

光合成の場は、これら葉肉の細胞の中の葉緑体である。気孔から入った二酸化炭素は、細胞の外の空間を経て、葉緑体まで届く[2]。

2. はっぱの げんかん、きこう

2. 入口の気孔は、青い光を受けて開く

2. 気孔 ── 孔辺細胞と青色光による開口

気孔きこうは、二つの ちいさな 細胞さいぼうが つくる あなです。はれた 昼に ひらいて、二酸化炭素にさんかたんそを とりこみます。おなじ あなから、酸素さんそと 水蒸気すいじょうきも 出て いきます[3]。

ガスの 出入りは、ポンプで おくって いるのでは ありません。ひろがって いく ちからを つかって います[3]。

気孔きこうの かずは、しゅるいや、はっぱの おもてと うらで ちがいます。おもてと うらの どちらに おおいかも、しょくぶつに よって ちがいます[3]。

どうやって ひらくのでしょう。太陽の 光に ふくまれる 青い 光を、気孔きこうの 細胞さいぼうが うけとると、水が 入って ふくらみ、あなが ひらくと 説明せつめいされて います[4]。

気孔は、一対の孔辺細胞がつくる孔です。光合成が盛んな晴れた日には開いて、二酸化炭素を取り込み、光合成でできた酸素を出します。同時に、水蒸気も出ていきます[3]。ガスの出入りは拡散によるもので、ポンプで送っているわけではありません[3]。

数は植物の種類、葉の表と裏、環境によってちがいます[3]。

開く仕組み

太陽光にふくまれる青色光を、孔辺細胞のフォトトロピンというタンパク質が受け取ります。すると細胞膜のプロトンポンプが働き、カリウムが入りやすくなります。中の浸透圧が上がって水が入り、孔辺細胞がふくらむと、孔が開きます[4]。

気孔は一対の孔辺細胞こうへんさいぼうがつくる孔で、光合成の盛んな晴天時に開き、二酸化炭素を取り込み、酸素を放出する。同時に水蒸気も出ていく。ガス交換は拡散によるもので、ポンプによる輸送ではない[3]。

気孔数は種・葉の表裏・環境で異なる[3]。

開口の仕組みは、青色光をフォトトロピンが受容し、細胞膜のプロトンポンプを活性化してカリウム取り込みの駆動力をつくる、というものである。カリウムの流入で浸透圧しんとうあつが上がると水が入り、孔辺細胞が膨らんで孔が開く[4]。

3. 二酸化炭素にさんかたんそは、水の なかを とおる

3. 気体のガスが、最後は水の中を通る

3. 二酸化炭素の拡散経路 ── 気孔腔から水の層を経てストロマへ

気孔きこうから はいった 二酸化炭素にさんかたんそは、はっぱの なかの すきまに 出ます。そこから、細胞さいぼうの まわりに ある うすい 水の まくに とけます[2]。

それから、細胞さいぼうの かべや まくを いくつも とおりぬけて、葉緑体ようりょくたいの なかまで たどりつきます[2]。

空気の なかを すすむのは、細胞さいぼうの そとまで です。そこから おくは、水の なかを すすんで いきます。

気孔から入った二酸化炭素は、まず気孔腔に着きます。次に、葉肉の細胞の細胞壁を取り囲む水の層に溶け込みます。ここから、細胞壁、細胞膜、そして葉緑体を包む二重の包膜(外包膜と内包膜)を通り抜けて、葉緑体の中のストロマに届きます[2]。

空気の中を来たガスが、細胞のまわりでは水の層にとけて、そのまま水の中を進みます。何枚もの膜を越えるので、旅は思ったより長い道のりです。

二酸化炭素は、気孔から気孔腔きこうくうに到達したのち、葉肉細胞の細胞壁を取り囲む水の層に溶け込む。そこから細胞壁・細胞膜を通り、葉緑体の包膜ほうまく(外包膜と内包膜)を越えて、葉緑体内のストロマに達する[2]。

気孔から気孔腔までは気体として届き、細胞に着いてからは水の層を経る、というのが大まかな構図である。

4. 葉緑体の なかの、ふたつの へや

4. 葉緑体では、光を使う反応と糖をつくる反応が別の場所で進む

4. 葉緑体の内部 ── 光化学反応はチラコイド膜、炭酸固定はストロマで進む

葉緑体は、うすい レンズの ような かたちを して います。直径ちょっけいは、1ミリの 200ぶんの1から 100ぶんの1くらいです。ひとつの 細胞さいぼうに、10こから 何百こも 入って いる ことが あります[8]。

その なかは、ふたつの ばしょに わかれて います。

ひとつめは、チラコイドと いう、うすい ふくろの まくです。ここでは、光の ちからを つかう しごとが すすみます[5][6]。

ふたつめは、その ふくろの まわりに ある ストロマです。ここで、二酸化炭素にさんかたんそを 糖とうの ざいりょうに する しごとが すすみます[6]。

二酸化炭素にさんかたんそを 糖とうの ざいりょうに する しごとは、よる だけに おきる わけでは ありません。ふるい よび かたで「あんはんのう」と いわれて きましたが、光の しごとの できあがりものを つかう だんかい、と いう いみです[6]。

葉緑体は、直径5〜10マイクロメートル、厚さ2〜3マイクロメートルほどの、薄い凸レンズのような形をしています。1ミリメートルの100分の1から200分の1ほどの大きさです。1つの細胞には、10個から数百個ほど入っていて、数は植物の種類で大きくちがいます[8]。

葉緑体は二重の包膜に包まれ、内部にはチラコイドとよばれる扁平な袋があります[5]。

反応の場所が分かれている

光のエネルギーを使う反応(電子の受け渡し、ATPの合成、NADPの還元)は、チラコイド膜の上で起きます。一方、二酸化炭素を糖の材料にするカルビン・ベンソン回路は、ストロマで進みます[5][6]。

この後半の段階は、むかし「暗反応」とよばれました。夜に起きるという意味ではなく、光の反応の産物を使う段階、という意味の古い名前です[6]。

葉緑体はもともと、別の生きものだったと考えられています。真核生物がシアノバクテリアを細胞の中に取り込んで、共に暮らすようになった、という「細胞内共生」の考え方です[8]。

葉緑体は多くの多細胞植物で、直径5〜10 µm・厚さ2〜3 µm程度の凸レンズ形をしており、1細胞あたり10〜数百個ほど含まれる。別の資料には直径約5 µm、数十〜数百個とあり、値には幅がある[8]。二重の包膜ほうまくに包まれ、内部には、扁平へんぺいな袋(チラコイド)があり、その間はストロマと呼ばれる[5]。

光化学反応(電子伝達、ATP合成、NADPの還元)はチラコイド膜上で、二酸化炭素を糖の材料に変えるカルビン・ベンソン回路(炭酸固定反応)はストロマで進む[5][6]。後者は旧称で「暗反応」とよばれたが、夜に起きるという意味ではなく、光の反応の産物を使う段階を指す[6]。

葉緑体の起源については、真核生物がシアノバクテリアを細胞内に取り込んだ細胞内共生に由来する(内共生説)と考えられている。この点は仮説であり、本記事では「考えられている」の範囲にとどめる[8]。

5. さんそは どこから 来る?

5. 酸素の出どころは、水だった

5. 酸素の由来 ── 1941年のルーベンらの実験

光合成こうごうせいで 出る 酸素さんそは、二酸化炭素にさんかたんそと 水の どちらから 来たのでしょう。

1941ねん、ルーベンさんたちは、ふつうの 酸素さんそとは ちがう 目じるしの ついた 水と 二酸化炭素にさんかたんそを、クロレラと いう 小さな 生きものに わけて あたえました。すると、目じるしの ついた 水を あたえた ときだけ、出て きた 酸素さんそに 目じるしが ありました[7]。

酸素さんそは、水から 出て いました。光の しごとの はじまりは、水から 電子と いう ものが とりだされ、酸素さんそに なる ところからだと 説明せつめいされます[6]。

光合成で出る酸素は、二酸化炭素と水のどちらに由来するのでしょうか。これを確かめたのが、1941年のルーベンらの実験と伝えられています[7]。

クロレラを育てる液に、重い酸素(18O)を含む水と、含まない二酸化炭素を与える。次に、含まない水と、18Oを含む二酸化炭素を与える。光合成をさせると、18Oを含む水を与えたときだけ、出てきた酸素にも18Oが含まれていました[7]。

光の反応の出発点は、水が酸化されて電子を出し、酸素になる反応です[6]。実験の結果と、この反応の説明は合っています。

1941年、ルーベンらはクロレラの培養液に、酸素の同位体どういたい(18O)を含む水と、含まない二酸化炭素を与えた。別の実験では、含まない水と、18Oを含む二酸化炭素を与えた。18Oを含む水を与えたときだけ、発生した酸素に18Oが含まれた。これにより、酸素は水に由来するとされた[7]。

光化学反応の出発点は、水が酸化されて電子を放出し、酸素になる反応である[6]。実験の結果とも矛盾しない。実験の内容は二次資料の説明による。

6. きこうを もっと ひらいたら?

6. 気孔を大きく開く改変で、植物の生産量が増えた研究

6. 気孔開口を大きくする改変で、生産量が増加した ── 2013年の共同発表

気孔きこうを ふつうより おおきく ひらく ように した 植物を つくった 研究が あります。すると、二酸化炭素にさんかたんそを とりこむ りょうが、ふえました[4]。

ひらく おおきさは、およそ 25パーセント ふえました。二酸化炭素にさんかたんその とりこみは 15パーセントほど ふえて、そだつ ぶんは、1.4ばいから 1.6ばいに なりました[4]。

これは、けんきゅうに つかう とくべつな 植物での けっかです。すべての 植物で おなじ ことが おきる わけでは ありません。ただ、気孔きこうの ひらき ぐあいが、そだちかたに かかわって いる ことが わかります。

2013年、気孔が大きく開くように改変した植物を調べた研究が、共同発表されました[4]。

報告された数値は、開口が約25%大きくなり、吸収量(光合成量)は約15%の増加、生産量は1.4〜1.6倍です。生産量の増え方(1.4〜1.6倍)は、それよりも大きくなっています。ただし、それぞれ別の量を表す数値なので、単純には比べられません。

これは特定の実験用植物での結果です。すべての植物に当てはまる一般的な法則ではありません[4]。

2013年のJST共同発表は、気孔の開口を大きくする改変を行った植物で、気孔開口が約25%大きくなり、二酸化炭素吸収量(光合成量)が約15%向上し、生産量が1.4〜1.6倍に増加したと報告した[4]。

開口の増大は約25%、吸収量の増加は約15%で、生産量の増加はそれらより大きい(1.4〜1.6倍)。数値が指す量の種類が違うので、単純には比べられない。

この結果は特定の実験植物でのものであり、すべての植物に一般化できるとは限らない[4]。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おちて いる はっぱを 1まい ひろって、おもてと うらを 見くらべて みましょう。光に すかして 見ると、すじも 見えます。おもてと うらで、いろや つやが ちがうか どうか、さがして みて ください。断面だんめんの つくりは、この 記事の 1の はなしで たしかめられます。

出かけてできること

こうえんや しょくぶつえんで、はっぱの かたちや つき方を くらべて みましょう。としょかんで、しょくぶつの ずかんを 見るのも たのしいです。

こうしきの 情報じょうほう

にほんしょくぶつせいりがっかいの ホームページに、しょくぶつの ぎもんに こたえる ページが あります。

今日できること

落ち葉を1枚拾って、表と裏を見くらべてみましょう。光に透かすと葉脈も見えます。表と裏で色やつやがちがうか観察して、断面のつくりは、この記事の1章で確かめられます。

出かけてできること

公園や植物園で、葉の形や、茎への付き方を見比べてみましょう。図書館には、葉の断面写真がのっている植物の図鑑や、理科の本があります。

公式情報

日本植物生理学会の「みんなのひろば」には、気孔などについての質問と回答がのっています。光合成研究サイト、岡山大学資源植物科学研究所の解説も、日本語で読めます。

出典欄に挙げた資料のうち、JSTの共同発表は、研究の背景と結果が短くまとまっています。

今日できること

落ち葉を1枚拾い、表と裏の色・つやを比べる。光に透かして葉脈も観察する。観察で確かめられるのは葉脈・色・つやまでである。断面のつくり(柵状組織・海綿状組織)は出典[1]で確かめ、表裏の違いとの関係を考える。

出かけてできること

植物園や公園で、葉の形や配置を観察する。図書館で、植物形態学や植物生理学の入門書を探すのもよい。

公式情報

本記事で使った資料は、すべて日本語で読める。日本植物生理学会「みんなのひろば」、光合成研究サイト、岡山大学資源植物科学研究所、東邦大学理学部の用語集、JST共同発表(2013年)が出発点になる。

ルーベンの実験については、日本語の資料(出典[7]など)を読み比べてみるのもよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。数字や用語は、各ページで確かめてください。

  1. 東邦大学理学部 用語集「葉」 https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/leaf.html (葉の断面のつくり)
  2. 岡山大学資源植物科学研究所「気孔と葉内でのCO2の拡散」 https://www.rib.okayama-u.ac.jp/ers/co2diffusion (二酸化炭素の通り道)
  3. 日本植物生理学会 みんなのひろば 植物Q&A(気孔の働き) https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=3188 (気孔の働き・数)
  4. JST 共同発表(2013)「気孔の開口を大きくして植物の生産量の増加に成功」 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20131224-2/index.html (気孔の開く仕組み・生産量の研究)
  5. 東邦大学理学部 用語集「葉緑体」 https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/chloroplast.html (葉緑体の構造)
  6. 光合成研究サイト「光合成の仕組み」 https://photosynthesis.jp/shikumi.html (反応の場所・酸素の出どころ)
  7. 東邦大学理学部 用語集「ヒル反応」 https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/Hill_reaction.html (ルーベンらの実験の説明)
  8. Wikipedia日本語版「葉緑体」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89%E7%B7%91%E4%BD%93 (大きさ・個数・起源の説。百科事典の記述として参考にした)

なおした ところ

更新履歴

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