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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あめの 日、まつぼっくりは ぜんぶ ぬれる まえに とじはじめるの?

雨の日の松ぼっくりは、全体がぬれる前に閉じ始めるのか

雨の日に閉じる松かさ ── 雨粒は外側の苞鱗片から内側の鱗片へ移る

分野:自然

まつぼっくりに あめつぶが おちると、その おおくは、そとがわの うろこから うちがわの うろこへ ながれると ほうこくされて います[1]。まつぼっくりが ぜんぶ ぬれる まえに、とじはじめる うごきが おこる、とも いわれます。

まつぼっくりは、もう 生きて いない のに、どうして てんきに あわせて うごけるのでしょう。この きじを よむと、あめの 日に とじる わけと、あめつぶの とおる みちが わかります。

雨粒が松ぼっくりに当たると、その多くは外側の鱗片から内側の鱗片へ流れていくと報告されています[1]。そのため、松ぼっくり全体がぬれ切る前でも、閉じる動きが始まるといわれます。

成熟した松ぼっくりは、細胞がもう死んでいます。生きていないのに、どうして天気に合わせて動けるのでしょうか。この記事を読むと、雨の日に閉じる理由、二層のつくりが生む曲がり、雨粒の通り道と、2022年の研究が補った点が分かります。

雨粒が松かさに当たると、その多くは外側の苞鱗片から内側の鱗片へ移り、松かさ全体が濡れ切る前に閉じる動きが始まると報告されている[1]。成熟した松かさの鱗片は死んだ細胞でできており[1]、筋肉のように生きた組織が力を出す動きではない。

生きていない組織が、なぜ天気に合わせて動けるのか。この記事を読むと、雨の日に閉じる理由、二層構造による曲がり、雨粒の水の経路、そして2022年の研究が二層モデルに加えた点が分かる。

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1. あめの あとの まつぼっくりは、どうして とじて いるの?

1. 雨上がりの松ぼっくりは、なぜ閉じているのか

1. 雨の日に閉じる理由 ── 風で種を運びにくい条件を避ける

あめの あがった あと、こうえんで まつぼっくりを ひろうと、かたく とじて いる ことが あります。ひなたに おいて おくと、ひらく ことも あります。

まつぼっくりは、よく かわいた 日に ひらき、しめって いると とじます[2]。ひらくと、なかの たねが かぜに のって とおくへ とびます。

かぜで たねを はこびやすい ときに ひらき、あめの 日には とじる、と せつめいされて います[3]。では、木から おちた まつぼっくりは、どうやって てんきを しるのでしょう。

雨上がりの公園で拾った松ぼっくりが、固く閉じていることがあります。日なたに置いておくと、いつのまにか開いていることもあります。

松ぼっくりは、よく乾いた日には開き、湿っていると閉じます[2]。開くと種が出て、風に乗って遠くへ運ばれます。風で運ばれやすい条件のときに種を放ち、風に頼れない湿った天気の日は閉じている、と説明されています[3]。

でも、木から落ちた松ぼっくりには、天気を見る目も、力を出す筋肉もありません。どうやって天気を「知る」のでしょうか。

雨上がりの公園で拾った松かさが、固く閉じている。松かさは乾いた日に開き、湿ると閉じる[2]。乾いた日に開くのは、種を風で遠くへ飛ばすためと言われる[2]。反対に湿った天気に閉じるのは、風で種を運びにくい条件での散布を避けるためと説明され、風で運ばれやすい乾いた条件のときに種が放たれる[3]。

では、木から落ちた松かさは、天気をどう「知る」のか。

2. 生きて いないのに、どうして うごくの?

2. 筋肉のない松ぼっくりは、どうやって動くのか

2. 死んだ細胞の二層構造 ── 湿度で曲がる受動的な運動

じつは、大きく そだった まつぼっくりの うろこは、しんだ さいぼうで できて います[1]。ですから、きんにくの ように、じぶんで ちからを だして うごくのでは ありません。

うごきを つくるのは、うろこの つくりです。うろこは、みずを すうと ふくらむ そうと、あまり ふくらまない そうが、2まい かさなって います[4]。ふくらみかたに ちがいが あると、うろこは かたほうへ まがります。

うすい かみを 2まい はりあわせて、かたほうだけ ぬらすと そって いく ところを おもいうかべて みて ください。ただし、ほんものの うろこは かみでは なく、さいぼうの かべの つくりで おこります。

では、あめが ふったとき、みずは うろこの どこを とおって いくのでしょう。

成熟した松ぼっくりの鱗片は、死んだ細胞でできています[1]。ですから、この動きは、生きた筋肉が力を出して起こすものではありません。湿度に合わせて、細胞のかべやつくりが反応して起こる、受け身の動きです[1]。

曲がりを説明するために長く使われてきたのが、二層のモデルです。鱗片は、水を吸うと膨らむ層(厚壁細胞)と、あまり膨らまない層(繊維の組織)が重なっていて、その膨らみ方の差で曲がるとされてきました[4]。

うすい紙を2枚はり合わせて、片方だけ濡らすと反っていく。そんな様子に近い考え方です。ただし、本物の鱗片は紙ではなく、細胞のかべのつくりで起こります。

では、雨が降ったとき、水は鱗片のどこを通っていくのでしょうか。

成熟した松かさの鱗片は死んだ細胞でできている[1]。したがって開閉は、生きた筋肉が力を出す運動ではなく、湿度に細胞壁や構造が反応して起こる受動的な運動である[1]。

この曲がりを説明してきたのが二層モデルだ。鱗片は、水を吸って膨らむ層(厚壁細胞)と、膨らみにくい層(繊維の組織)が重なった構造で、膨らみの差によって曲がるとされてきた[4]。紙を2枚はり合わせて片方だけ濡らすと反るのと考え方は近いが、実際の鱗片では細胞壁の構造がその差を生む。

ただし、この二層だけで動きが説明しきれるのかは、第4章で見る。その前に、雨粒が当たったとき、水は松かさのどこをどう通るのか。

3. あめつぶは、どこを とおって いくの?

3. 雨粒は外側の鱗片から内側へ流れていく

3. 水の経路 ── 外側の苞鱗片から内側の鱗片へ

まつぼっくりに あめが ふると、あめつぶは、まず そとがわに ある ちいさな うろこに おちます。そこから、うちがわの うろこへ ながれる ものが おおい、と ほうこくされて います[1]。

そとがわで うけた みずが うちがわへ ながれるので、ぜんぶ ぬれる まえでも、とじる うごきが はじまる、と いわれます。

とじる うごきの ほとんどは、さきの ほうと まんなかあたりの うろこです。ねもとの ほうは、ほとんど うごきません。さきの うろこの うごきは、はじめは 1びょうに 1円玉の あつさぶん、1.5ミリほどです。1ぷん たつと、その はやさは 2〜2.5わりほど おそく なります[1]。

これで ぜんぶ せつめいできたのでしょうか。

雨が降ると、雨粒はまず松ぼっくりの外側にある小さな鱗片(苞鱗片)に落ちます。報告によると、そこから雨粒の多くは内側の鱗片へ移っていきます[1]。外側で受けた水が内側へ流れるので、松ぼっくり全体がぬれ切る前でも閉じる動きが始まる、と説明されています[1]。

閉じる動きの中心は、先端側から中ほどの鱗片です。根元(基部)の鱗片は、ほとんど動きません。先端の最初の速さは1秒に約1.5ミリ、1円玉の厚みほどです。この速さは最初の値で、1分たつと2〜2.5割ほど遅くなります[1]。

では、二層のモデルだけで、この動きはすべて説明できるのでしょうか。

雨粒は松かさの外側にある小さな苞鱗片に落ち、その多くは内側の鱗片へと移る[1]。外側で受けた水が内側へ流れるため、松かさ全体が濡れ切る前でも閉じる動きが始まると報告されている[1]。

動きの中心は先端側から中ほどの鱗片で、基部の鱗片はほとんど動かない[1]。先端の最初の速度は約1.5mm/s(1円玉の厚みほどを1秒で動く速さ)で、1分たつと2〜2.5割遅くなる[1]。これは最初の値であり、閉じている間ずっと同じ速さではない。

雨の日の閉じ方は、二層モデルで説明が尽きるのか。

4. まだ たしかに なって いない ことは あるの?

4. 二層のモデルだけでは足りないと分かってきた

4. 二層モデルの補足 ── 褐色組織・繊維束の吸水と、平衡までの約7時間

2022ねんの けんきゅうでは、ふくらむ そうと ふくらまない そうの 2そうだけでは、たんじゅんに しすぎだと ほうこくされました[4]。ほかの ぶぶんも みずを すって やわらかく なり、はじまった まがりを うごきやすく する、と いうのです。

2そうの せつめいが まちがい だと いう ことでは ありません。せつめいを おぎなう けんきゅうです。

ぬらした ときの さいしょの うごきは、おうちの まつぼっくりで 見る ことが できます。じぶんの 目で たしかめて みませんか。

2022年の研究は、二層のモデルは単純にしすぎだと報告しました。褐色の組織や繊維の束も、水をたくさん吸って軟らかくなります。すると、膨らむ層から始まった曲がりが、動きやすくなる(「解き放たれる」)というのです[4]。二層の説明が誤りだというのではなく、それを補う研究です。

時間の長さにも、条件がつきます。同じ研究の実験では、相対湿度が30%から80%(23℃)に上がったとき、鱗片が膨らみきって落ち着くまでに約7時間かかりました[4]。これは落ち着くまでの時間で、雨粒を受けて閉じ始めるときの動き(前の章の速さ)とは別のものです。松ぼっくり全部に当てはまる値でもありません。

雨の日の閉じ始めの速さと、落ち着くまでの長い時間は、どうつながっているのでしょうか。この記事の資料だけでは、答えを決められません。ただ、ぬらしたときの最初の動きは、家の松ぼっくりで観察できます。

2022年の研究は、二層モデルを単純化しすぎだと指摘した。褐色組織や繊維束も水を吸って軟化し、厚壁細胞の膨張から始まる曲がりを「解き放つ」という[4]。二層の説明を誤りとするものではなく、補う知見である。

時間の尺度も条件つきだ。同じ研究の実験では、相対湿度が30%から80%(23℃)に上がったとき、鱗片の膨潤が平衡に達するまでに約7時間かかった[4]。これは平衡までの時間で、雨粒を受けて閉じ始めるときの動き(前章の速度)とは別の量であり、松かさ一般の固定値でもない。

閉じ始めの速さと、平衡までの長い時間が、どうつながるのか。この記事の資料だけでは答えを決められない。一方で、濡らしたときの最初の動きは、家の松かさで観察できる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

ひろった まつぼっくりを かわかして ひらかせます。きりふきで、そとがわから すこしずつ みずを かけて みましょう。さきの ほう、まんなか、ねもとの うろこの うち、どこが どのくらい うごくか くらべます。しゅるいに よって ちがうかも しれません。みずは かけすぎず、さわった あとは てを あらいます。

出かけてできること

あめの あがった 日に、こうえんで とじた まつぼっくりと、ひなたで ひらいた まつぼっくりを さがして、ならべて 見て みましょう。

こうしきの 情報じょうほう

ほっかいどうだいがくの ウェブサイト「like Hokudai」で、まつぼっくりの かいせつを 読んで みましょう。

今日できること

拾った松ぼっくりを乾かして開かせ、霧吹きで外側から少しずつ水をかけてみましょう。先端側、中ほど、根元の鱗片のうち、どこがどのくらい動くかを比べます。松ぼっくりの種類によって、ちがうかもしれません。水はかけすぎず、触ったあとは手を洗います。

出かけてできること

雨上がりの公園で、閉じている松ぼっくりと、日なたで開いている松ぼっくりを探して、並べて見てみましょう。

公式情報

北海道大学のウェブサイト「like Hokudai」で、松ぼっくりの解説を読んでみましょう。日本語で読めて、開く理由の説明がのっています。

今日できること

拾った松かさを乾かして開かせ、霧吹きで外側から少量ずつ水をかける。先端側・中ほど・基部の鱗片のうち、どこがどのくらい動くかを比べる。種類によって結果は異なるかもしれない。水はかけすぎず、触ったあとは手を洗う。

出かけてできること

雨上がりの公園で、閉じた松かさと日なたで開いた松かさを並べ、鱗片のどの位置が先に動く形をしているかを推測してみる。

公式情報

北海道大学のウェブサイト「like Hokudai」の松ぼっくりの解説(日本語)で、開閉の理由の説明を読んでみる。そのうえで、家の松かさを乾かして霧吹きで濡らし、先端側・中ほど・基部のどこが動くかを、上の観察で確かめるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

数字や結果は、論文と大学の資料に書かれた範囲のものだけを使った。

  1. Sci Rep 2015「Journey of water in pine cones」 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4421802 (鱗片は死んだ細胞・雨粒の水の通り道・閉じる速さ)
  2. 北海道大学 like Hokudai「松ぼっくり」 https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/article/11687 (乾いた日に開き湿ると閉じる・種を飛ばすため)
  3. AskNature「Pine cones open and close in response to weather」 https://asknature.org/strategy/pine-cones-open-and-close-in-response-to-weather/ (風で種を運べる条件で放つという説明)
  4. Adv Sci 2022「Structural and Mechanical Basis for Passive-Hydraulic Pine Cone Actuation」 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9284161/ (二層のつくり・2022年の補足・膨潤が落ち着くまでの時間)

なおした ところ

更新履歴

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