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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ラジオは、どうして ぼうを のばしたり 向きを かえたり すると 聞こえかたが かわるの?

ラジオのアンテナは、なぜ長さと向きで聞こえ方が変わるのか ── 波の長さと振動の向き

ラジオのアンテナの長さと向き ── 波長、半波長・1/4波長、偏波、AMバーアンテナの指向性

分野:技術

ラジオの ざあざあという 音を、ぼうを のばしたら 小さく できた。そんな ことは ありませんか。AMを 聞くときは、ぼうでは なくて、ラジオ 本体を 回すと 聞こえかたが かわります。

どちらも、電波の「長さ」と「向き」に 合わせて いる らしい のです。しらべて みましょう。

FMラジオは、アンテナのぼうを伸ばすと聞こえ方が変わります。AMラジオは、ぼうは伸びないのに、ラジオ本体をくるりと回すだけで音が変わることがあります。

どちらも、電波の「波の長さ」と「振動の向き」に合わせる工夫だと説明されています。FMの棒、AMの向き、それぞれに理由があるのかを、資料をつき合わせて見ていきます。

FMラジオはロッドアンテナを伸ばし、AMラジオは本体の向きを変える。同じラジオの操作が2通りあるのは、電波の波長と偏波(電界・磁界の振動の向き)が、放送によって違うからだ[1][5][6]。

このメモでは、波長と周波数の関係、半波長・1/4波長のアンテナの共振、偏波によって受信が落ちること、AMのバーアンテナの指向性を、電波工学の解説資料を突き合わせて整理する。資料どうしで言い方が分かれる点は、そのように区別して書く。

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1. ぼうを のばすのと、本体を 回すのは、なにが ちがうの?

1. FMは棒を伸ばし、AMは本体を回す

1. 問い ── 同じラジオで、FMとAMの操作が違う

FMを 聞く ときは、アンテナの ぼうを のばします。AMを 聞く ときは、ぼうは あまり 気に しないで、ラジオを 回して みます。

ふしぎですね。どちらも 電波を うけとる ための しかけです。どうして やりかたが ちがうのでしょう。

この メモでは、電波の「波の 長さ」と「ゆれる 向き」を 手がかりに して、たしかめて いきます。

ラジオのアンテナを伸ばしたり、ラジオ全体を回したりして、聞こえ方が変わったことのある人は多いと思います。

ただ、FMでは棒を伸ばす、AMでは本体の向きを変える、と操作が分かれています。この違いは、電波の2つの性質、「波の長さ(波長)」と「電界や磁界が振動する向き(偏波)」で説明されています[1][6]。

この2つを順に見ていくと、棒の長さにも、向きにも、それぞれ理由があることが分かってきます。

FMラジオはロッドアンテナを伸ばし、AMラジオは本体の向きを変えると聞こえ方が変わる。この操作の違いは、放送の周波数(つまり波長)と、電波の偏波の違いで説明される[1][6]。

以下、アンテナの「長さ」(章2〜4)と「向き」(章5〜6)に分けて見る。長さはFMのロッドの話、向きは主にFM(偏波)とAM(バーアンテナ)の話になる。

2. 電波の 波は、どれくらい 長いの?

2. 電波の波の長さは、FMで約3〜4メートル

2. 波長と周波数 ── FMは約3〜4m、AMは約300m

電波は 水の 波のように、ゆれながら すすみます。この ゆれの 一つぶんの 長さを、「波長」と いいます。

FMラジオの 電波は、一つぶんが 3メートルから 4メートルほど あります。大人 2人ぶんの せの 高さくらい です。

AMラジオの 電波は、もっと 長く、およそ 300メートルも あります[1]。

電波は、1秒に何回振動するかを表す「周波数」で区別されます。周波数が低いほど、波の1つぶんの長さ(波長)は長くなります[1]。

周波数がMHz(メガヘルツ)のとき、波長の目安は「300÷周波数(MHz)=波長(m)」という式で出せます。たとえばFMの80MHzなら約3.75m、AMの1008kHz(約1MHz)なら約297.6mです[1]。

日本のFM放送は、およそ76〜90MHzの帯にあります[8]。式に入れると、波長は3.3〜3.9mくらいです。教室の天井より長いことになります。

ワイドFM(補完放送)の範囲は、2025年5月19日から76.0〜99.0MHzに広がりました[8]。この記事では、波長の目安を出すため、まず従来のFMの範囲で考えます。

電波の波長λは、周波数fから決まる(光速で割る形で、概算式は波長[m]≒300÷周波数[MHz])。FM(80MHz)では約3.75m、AM(1008kHz)では約297.6mとなる[1]。

従来のFM放送(超短波放送)は76.1〜89.9MHz帯で、波長は約3.3〜3.9mだ[8]。2025年5月19日からはワイドFMの周波数が76.0〜95.0MHzから76.0〜99.0MHzに拡張されており[8]、記事内でFMの範囲を語るときは、従来の範囲かワイドFM込みかを区別する必要がある。ここでは従来の範囲で見積もる。

ロッドアンテナが長い形をしている理由として、波長が3〜4mと長いからだと説明される[1]。次章では、波長とアンテナの長さの関係を見る。

3. ぼうは、なぜ 電波に 合わせて 長さを きめるの?

3. 電波にぴったり合う長さがある ── 半波長アンテナ

3. 半波長ダイポールと共振 ── 長さが波長の1/2のとき

電波を うけとるには、アンテナの 長さが 電波の 半分ほどだと、いちばん よく 受けとれると いわれて います[2]。

ぶらんこに たとえて みましょう。ぶらんこは、こぐ タイミングが 合うと、大きく ゆれます。アンテナも、電波の ゆれと 長さが 合うと、電気を たくさん うけとれます。

ただし 本当は、ぶらんこと ちがって、アンテナは 電波の 波の長さに 合わせて 長さを きめて います。

電波を受け取るとき、アンテナは、波長のちょうど半分の長さのときに、受け取る電力が最大になるとされます。この状態を「共振」といい、この形のアンテナを半波長ダイポールと呼びます[2]。

ぶらんこに例えられます。こぐタイミングが合うと大きく揺れるように、電波の振動とアンテナの長さが合うと、アンテナ内の電流が大きく行き来します。

ただし、ぶらんこは動く物の話で、アンテナは電気の話です。例えは、「合わせると強くなる」という感じをつかむためのものです。

半波長ダイポールの電流は、中央で最大、両端でゼロになります[2][9]。

半波長ダイポールは、長さが波長の1/2のアンテナだ。受信電波とアンテナが共振し、最大電力を受け取れる。両端では電流がゼロ、中央で交互に向きを変えながら電流が最大になる[2]。

電流分布はI=I₀·cos(2πz/λ)の形で書け、実効長はλ/π、利得は約2.15dBiと整理されている[9]。実際のアンテナは導線の太さの影響で、理論値よりも2〜5%ほど短くして使うのが一般的とされる(理論上の半波長の95〜98%の長さにするという意味だ)[3]。

4. 3メートルの 電波に、どうして ぼうは 1メートルで いいの?

4. 本体を「もう半分」として使う 1/4波長アンテナ

4. 1/4波長モノポール ── 接地面に半分を肩代わりさせる

FMの 電波は 3メートルほど。半分なら 1メートル半です。でも ラジオの ぼうは、そんなに 長く ありません。

そこで 使われる 考え方が、ぼうを 電波の 4分の1に する やり方です。のこりの 半分を、大地や、ラジオの 本体が かわりに 引きうけると いわれて います[2]。

FMの 4分の1は、1メートルたらずです。持ち歩く ラジオの ぼうは、それより 短い ことが 多いと いわれます。

FMの波長は約3〜4mなので、半波長は約1.5〜2mです。棒がそれほど長いラジオは見たことがないはずです。

そこで使われるのが「1/4波長モノポール」です。半波長ダイポールの片側を、大地(グランド)に肩代わりしてもらう形のアンテナで、長さが波長の1/4で済みます[2]。手で持つ機器では、本体が接地面の役を果たすとされています[1]。

80MHzなら、波長3.75mの1/4は約0.94mです。手持ちのラジオのロッドは、多くの場合これより短いので、伸ばしきっても目安の長さには届かないことになります。

1/4波長モノポールは、半波長ダイポールの片側を大地(グランド)に肩代わりさせる接地型のアンテナで、必要な長さが波長の1/4になる[2]。ハンディ機ではボディが接地面として使われる、という説明がある[1]。

FM帯(76〜90MHz)の1/4波長は約0.8〜1mになる。市販の携帯ラジオのロッドは一般にそれより短いが、「ロッドを長くすれば必ず良くなる」とは言い切れない。

なお、ダイポールの片側を担う本体や大地の状態は、実際には周囲の条件で変わるので、実用上の受信は場所によって大きくばらつく。

5. 電波には「ゆれる 向き」が あるの?

5. 電波には「振動の向き」がある ── 偏波と、棒の向き

5. 偏波と指向性 ── 電界の向きが合わないと受信が落ちる

電波は、たてに ゆれる ものと、よこに ゆれる ものが あります。ゆれる 向きは、電波の 出どころで きまります。

ひもを さくの すきまに とおす ところを 考えて みましょう。たての すきまなら、たてに ゆらした ひもは とおりますが、よこに ゆらすと ひっかかります。アンテナと 電波の 向きが ちがうと、うまく うけとれない ことが あるのは、これに にて います。

ただし 本当は、ひもと ちがって、アンテナは 電波を「とおすか どうか」では なく、「どれだけ うけとれるか」で かわります。

FMの 電波は、よこに ゆれる ものが 多いと いわれます(ぜんぶでは ないかも しれません)[5]。

電波には、電界(電気の力)が振動する向きがあります。これを「偏波」といいます。電界が地面と平行なら水平偏波、垂直なら垂直偏波です[4]。

ひもをフェンスの隙間に通す場面を想像してください。縦の隙間なら、縦に揺らしたひもは通りますが、横に揺らしたひもは引っかかります。偏波がアンテナの向きと合わないと、受信がひどく落ちるのは、これと似ています。

実際には、完全に直交しても、反射などでゼロにはならないことが多いようです。理論上は損失が無限大でも、現実の部屋ではそうならないと考えられます[4]。

FMラジオの電波は、多くが水平偏波だと説明されています[5]。ただし、これはアマチュア向け解説の説明で、すべての局がそうだとは限りません。

半波長ダイポールは、導線の軸の方向には受信も放射もゼロで、軸に垂直な方向が最大です[9]。だから、ロッドの先端を放送局に向けるより、ロッドの横を向けたほうが、理屈の上では有利です。

偏波は、電波の電界の振動の向きだ。電界が地面と平行なら水平偏波、垂直なら垂直偏波と呼ぶ。偏波が合わないと受信は大きく落ち、完全に直交する場合、理論上の損失は無限大になる[4]。ただし無限大は理想条件での値で、実際は反射などで完全にゼロにはならない。

FM放送は直線偏波を使う。FM波の大多数は水平偏波とされ(ただし局ごとの例外はありうる)、水平に置いたアンテナのほうが理論上は効率がよい[5]。一方、室内や地上高が低い場所では垂直のロッドが実用的とする説明もある[5]。どちらが有利かは、設置場所で変わる可能性がある。

アンテナの側から見ると、水平に張った半波長ダイポールは水平面で8の字の指向性、垂直に張れば水平方向にほぼ全方向で均一になる[3]。導線の軸方向は放射・受信ともにゼロで、軸に垂直な方向が最大だ[9]。ロッドの先端を放送局に向けないほうがよい、という向きの指針は、この性質から来る。

6. AMは、どうして 本体を 回すと 聞こえかたが かわるの?

6. AMは棒に巻いたコイルで受ける ── バーアンテナと向き

6. AMバーアンテナ ── 磁界を拾う8の字の指向性

AMの 電波は、およそ 300メートルも あります。その 4分の1でも 70メートルほどです。ラジオの 中に 入れる ことは できません。

そこで AMラジオは、べつの しかけを 使います。ラジオの 中に、ふとい ぼうに 電線を まいた ものが 入って います。「バーアンテナ」と いいます[7]。

この ぼうは、電波が つくる 磁石じしゃくの ような 力を 受けとります。だから、ぼうの 向きが 電波に 合うと、よく 聞こえます。

AMの波長は約300mで、その1/4でも約75mです。これはラジオの筐体には収まりません。そこでAMラジオには、別のしくみが使われています。

それが「バーアンテナ」で、フェライトなど磁力線を通しやすい棒に、電線を巻いたものです。棒の中を磁力線が通るときに、電磁誘導で電圧が生じます[7]。

AMは垂直偏波で送られ、磁界は水平方向になります。そのため、バーアンテナの棒は水平に置きます。放送局の方向が、棒の長手方向と垂直になるときが、受信に向くとされています[6]。

逆に、棒の先を放送局に向けると弱くなる、という説明があります[7]。ラジオの前面か裏面を局に向けると強い、とも書かれています。8の字の指向性です。

バーアンテナは、フェライトなど透磁率の高い棒状のコアに、絶縁被覆した電線を巻いたものだ。内部を磁力線が通ると、電磁誘導で起電力が生じる[7]。

AM放送は垂直偏波で送信され、磁界は水平方向になる。このため、バーアンテナのコアは水平に置き、放送局の方向はコアの長手方向と垂直な方向になる[6]。指向性は8の字型で、コアの長手方向(棒の先)から来る電波は受信しにくい[7]。

資料によって「垂直」の言い方が違うので、実用上の目安として、棒の先端を放送局に向けると弱く、ラジオの前面か裏面を向けると強い、と覚えるとよい。

7. ラジオで ためして みよう

7. 音のざあざあを目印に、長さと向きを試す

7. 出口 ── 自分のラジオで確かめる方法と資料案内

家の ラジオを つかって、聞こえかたの ちがいを さがして みましょう。おうちの 人に 声を かけてから 行います。

FMを 聞くなら、ぼうを 少しずつ のばして、ざあざあが 小さくなる ところを さがします。AMなら、ラジオを その 場で ゆっくり 回します。

どの 向きが よく 聞こえたか、メモに 書いて おくと、あとで くらべられます。

FMかAMのラジオがあれば、聞こえ方の違いを探してみましょう。窓の近くと部屋の奥でも、聞こえ方が変わることがあります。

FMなら、放送局を1つ決めて、棒をたたんだ状態、半分、いっぱいまで伸ばした状態で、ざあざあ(雑音)の大きさを比べます。棒を立てた場合と、斜めにした場合も試せます。AMなら、ラジオを机の上で水平に、ゆっくり1周させます。

結果は、部屋や建物、電池の残りでも変わります。「こうすると必ず良くなる」とは限りません。

もっと知りたくなったら、[1]のラジオライフ、[6]のas76.netのバーアンテナの解説、[8]の総務省のワイドFMのページから読んでみてください。

手元にラジオがあれば、FMでは放送局を固定してロッドの長さと角度を、AMでは本体を水平面内で回した向きを変え、ざあざあの大きさや音の聞こえ方を記録して比べられる。部屋の条件でばらつくので、複数回の試行が望ましい。

資料としては、波長・共振は[2](ローム)と[3](as76.net)、偏波は[4](DigiKey)と[5](ラジオライフ)、バーアンテナは[6]と[7]が入口になる。なお[4]はもとが海外の企業の解説で、日本語版が公開されている。

残る問いは、FM放送の偏波の局別の割合、ロッドの長さと感度の実測、人体や手がアンテナの一部として働くかどうか、の3点だ。自分のラジオで試しながら考えてみてほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

アンテナの理論値は理想条件での説明です。実際の受信は、場所・建物・機器によって変わります。

  1. ラジオライフ「FMラジオのロッドアンテナの仕組みと長さの計算方法」 https://radiolife.com/tips/13333/ (波長の計算、ロッドアンテナの長さ)
  2. ローム TechWeb「アンテナと基本回路」 https://techweb.rohm.co.jp/product/wireless/wireless-communication/1932/ (半波長ダイポール、1/4波長モノポール)
  3. as76.net「ダイポールアンテナ」 https://as76.net/ant/dipole.php (短縮率、水平・垂直の指向性)
  4. DigiKey「アンテナ偏波」 https://www.digikey.jp/ja/blog/antenna-polarization-what-it-is-and-why-it-matters (偏波の定義、偏波が合わないときの損失)
  5. ラジオライフ「FMラジオのアンテナ設置の向きは水平?垂直?」 https://radiolife.com/tips/radio/59042/ (FM波の偏波)
  6. as76.net「バーアンテナ」 https://as76.net/ant/bar_ant.php (AMの偏波とバーアンテナの向き)
  7. Wikipedia「バーアンテナ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/バーアンテナ (バーアンテナの構造と指向性)
  8. 総務省「ワイドFM(FM補完放送)」 https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-seibi.html (FM放送の周波数帯)
  9. 佐藤「半波長ダイポール・アンテナ」(用語集) https://t-sato.in.coocan.jp/terms/halfwave-dipole.html (電流分布、軸方向の受信ゼロ)

なおした ところ

更新履歴

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