1. カメラで のぞくと 光る
1. スマホのカメラ越しに見えるリモコンの光
1. リモコンの光をカメラで見る:CCD・CMOSセンサーの特性
リモコンを カメラに むけて ボタンを おすと、ちかちか 光って 見える ことが あります。目では 見えないのに、カメラには うつるのです。
シャープの サポートページでは、これを リモコンが 動いて いるか たしかめる かんたんな 方ほうとして しょうかいして います[1]。ただし、うつらない きしゅも あると 書かれて います。
リモコンの先をスマホのカメラに向け、ボタンを押すと、画面の中で先端が光って見えることがあります。目で直接見ても何も見えないのに、です。
シャープのサポートページは、デジタルカメラなどに使われているCCD・CMOSというセンサーの特性を利用して、リモコンが動作しているかを確かめる簡易な方法として、この見方を案内しています。同じページに、一部のスマートフォンなどでは対応していないとも書かれています[1]。
シャープのサポートページは、CCD・CMOSセンサーを使うデジタルカメラや携帯電話のカメラで、リモコンの赤外線が確認できることを、動作確認の簡易な判定方法として案内している。同ページは、一部のスマートフォンなどでは対応していない機種があることも明記している[1]。
「映る機種」と「映らない機種」がある点は、次章以降の説明の前提になる。
2. カメラは 目より 広く 見る?
2. カメラのセンサーは、目に見えない光も感じる
2. シリコン系センサーの近赤外感度と赤外線カットフィルター
カメラの 中には、光を 受ける 小さな 部品が あります。この 部品は、人の 目に 見える 光だけでなく、その すぐ となりの 目に 見えない 光にも はんのう できると いわれます[2]。
ふだんの 写真に 赤外線が まざると、色が ふしぜんに なります。そこで、ふつうは 赤外線を とる フィルターが つけられて いる ようです。
ただ、きしゅに よっては、リモコンの 光が うつらない ことが あります。
3. リモコンの 光の 正体
3. リモコンが出している光の正体
3. 波長940nmの赤外線LEDと38kHzの変調
リモコンの 先には、赤外線を 出す 小さな ランプが 入って います。赤外線は、目には 見えない 光の なかまです。
この ランプは、ずっと つきっぱなしでは ありません。1びょうの あいだに 3万8千回も、ついたり きえたり します[3]。
4. 光の ながい みじかいで つたえる
4. 光の長さの違いで「0」と「1」を送る
4. NEC方式のフレーム構成とパルス長による符号化
この ちかちかを、ひとかたまりにして、ながい ときと みじかい ときを ならべます。ならびが ちがえば、べつの 信号に なります。
たとえば ボタンを おすと、はじめに 「これから 送るよ」という 合図が 出ます。そのあと、ボタンごとに ちがう ならびが つづきます[3]。
ただし、この ならびの きまりは、メーカーごとに ちがいます。NEC方しきは、その一つに すぎません[3]。
リモコンは、38kHzの点滅を、ひとかたまりずつ出したり止めたりして信号にします。この出す時間と止める時間の並びが、ボタンごとの合図です。
日本の家電では、NEC方式、家電製品協会方式、SONY方式などが代表的といわれます[3]。ここでは、資料に細かく書かれているNEC方式を例にします。
NEC方式では、最初に「これから送る」という合図として、9ミリ秒だけ出し、4.5ミリ秒だけ止めます。そのあとにカスタムコード16ビット、データコード8ビットと、その反転の8ビットが続きます。データの「1」は、出したあとに止める時間が、出した時間の約3倍。「0」は、出す時間と止める時間がほぼ同じです[3]。
これはNEC方式の一例です。すべてのリモコンが同じ決まりではありません。
NEC方式のフレームは、リーダ(ON 9ms・OFF 4.5ms)、カスタムコード16ビット、データコード8ビット、その反転8ビットで構成される。データ1ビットは、ONに続くOFFの長さで区別する。「1」はOFFがON期間の約3倍、「0」はONとOFFがほぼ同じ長さである[3]。データコードには反転データが添えられ、受信側で元のデータと照合できる形になっている。
日本のメーカーでは、NEC方式のほかに家電製品協会方式やSONY方式が代表的とされる。同じ「赤外線リモコン」でも、方式は統一されていない[3]。本節のNEC方式の記述は個人・教材系の技術資料に基づく二次情報であり、公式仕様の原文には当たっていない。
5. どうして そんなに ちかちか するの?
5. なぜ、そんなに細かく点滅させるのか
5. 変調の目的:混信の回避と外乱光との区別
家の 中には、赤外線を ふくむ 光が たくさん あります。たとえば 日光や、あかりです。
もし リモコンの 光が ふつうの 光と おなじ だったら、テレビは まちがえて しまいます。そこで、38キロヘルツの ちかちかを 目じるしに して、リモコンの 信号を うけとりやすく して いると 書かれて います[4]。
リモコンの光と同じ波長の光や電磁波は、まわりにもあります。もしただ光らせるだけなら、それらと混ざって、テレビが誤って反応するかもしれません。
受信部品のメーカー資料では、同じ波長の電磁波との混信を避けるために、信号に30〜60kHzの搬送波を加えると説明されています。その中でも38kHzが最もよく使われます[4]。別の技術資料は、目に見えない赤外線は自然光などにも含まれるため、受信機が反応する帯域を絞って区別している、と説明しています[3]。
つまり、38kHzの細かな点滅が、リモコンの信号を受け取りやすくする目印になっています。
変調の目的について、Everlightのアプリケーションノートは、環境中の同波長の電磁波による干渉を避けるため、信号に30〜60kHzの搬送波を重畳し、38kHzが最もよく使われると述べる[4]。IR TX1は別の観点から、自然光など他の赤外線と区別する目的で、受信機の応答帯域を狭く絞っていると説明する[3]。
2つの説明は視点が違う(前者は混信の回避、後者は帯域の限定)。日光や照明の中の赤外線は連続的な光なので、決まった周波数の点滅だけを受け付ける受信機なら区別できる、というのが両資料に共通する考え方である。ただし、この理解はこの記事による整理であり、原資料が同じ表現で述べているわけではない。
6. 日光で チャンネルが まわった リモコン
6. 日光でチャンネルが回った、最初の光のリモコン
6. Flash-Matic(1955年):光式リモコンと日光による誤動作
むかしの リモコンは、ケーブルが ついて いました。1955ねん、アメリカの ゼニス社が、線の ない リモコンを 出しました。名前は フラッシュマティックです[5]。
かいちゅうでんとうの ような かたちで、テレビに ついた 光の 部品に 光を 当てて つかいました。ところが、テレビに 日光が 当たって いると、チャンネルが かってに まわる ことが あったと いわれて います[5]。
1955年、アメリカのゼニス社が、線でつながらない最初の実用的なテレビリモコン「フラッシュマティック」を出しました。開発したのはユージン・ポーリーだと、同社は紹介しています[5]。
形は強い指向性のある懐中電灯型で、テレビ側の光電池に当てて操作しました。ところが、テレビが直射日光の当たる場所にあると、チューナーが勝手に回り出すことがあった、とも伝えられています[5]。
リモコンの光を、日光や照明の光と見分ける工夫が、まだ足りなかったのです。前章の点滅の話は、こうした失敗とつながって見えてきます。
Zenith社は、1955年発売のFlash-Matic(E.ポーリー)を、最初の実用的な無線テレビリモコンとして紹介している。強い指向性を持つ懐中電灯型で、光電池に当てて操作した。同社は、直射日光が当たる場所にテレビがあると、チューナーが回り始めることがあったと述べる[5]。
この誤動作は、光の強さの変化だけで反応する受信では、日光と操作光を区別しにくいことを示す例と読める。ただし、第5節の変調が、この問題への解答として導入されたという因果関係は、今回の資料では確認していない。
7. 光の つぎは、おとの リモコン
7. 音のリモコンを経て、赤外線へ
7. Space Command(1956年)と赤外線方式への置き換え(1980年代)
1956ねんには、こんどは 音を つかう リモコンが 出ました。ボタンを おすと、小さな ハンマーが アルミの ぼうを たたきます。人には きこえない 高い 音が 出て、テレビが それを うけとりました[6]。
電池が いらない くふうでした。900万台 いじょうの テレビに つき、25年ほど ふつうの リモコンでした[6]。でも 1980年代に、赤外線の リモコンに かわって いきました[7]。
カメラで リモコンを のぞいて みよう
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの 人に 聞いて、テレビの リモコンを 1つ かりて ください。
スマホの カメラで のぞく
- へやを 少し くらく して、リモコンの 先を スマホの カメラに むける。画面を 見ながら、ボタンを おします。
- ちかちか 光って 見えたら、うまく いった しるしです。光らなくても、きしゅに よっては ふつうの ことです。ほかの リモコンでも ためして みましょう。
リモコンの 光を、目に 近づけて 見ないで ください。カメラの 画面で 見れば だいじょうぶです。
スマホのカメラで、家にあるリモコンを見比べてみましょう。
のぞいてくらべる
- 部屋を少し暗くして、リモコンの先をスマホのカメラに向け、ボタンを押す。画面の中で光るでしょうか。映らない機種もあるので、映らなくても失敗ではありません。
- エアコン、テレビ、照明など、別のリモコンでも試す。光り方が違って見えるかどうかを見比べます。
- ボタンを変えたり、長押ししたりして見る。ボタンによって、点滅の見え方が変わるでしょうか。スマホによって映り方が違うこともあるので、家族のスマホでも試してみましょう。
リモコンの先を目に近づけて見るのではなく、カメラの画面越しに見てください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
記事で使った資料のうち、公開されているものです。図や文章はそのまま写さず、自分の言葉で書きなおしました。
- シャープ サポート「リモコン動作確認 簡易判定方法」 https://jp.sharp/support/av/dvd/judge_infrared.html (カメラでリモコンの光を見る方法、映らない機種があること)
- 電子情報通信学会 FIT2014 H-009 https://www.ieice.org/publications/conference-FIT-DVDs/FIT2014/data/pdf/H-009.pdf (センサーの近赤外への感度、赤外線カットフィルター)
- IR TX1(赤外線通信の技術仕様) https://www.asahi-net.or.jp/~gt3n-tnk/IR_TX1.html (940nm・38kHz、NEC方式の信号、受信帯域)
- Everlight, Infrared Receiver Module Application Note V1.2 https://en.everlight.com/wp-content/uploads/2021/11/Infrared-Receiver-ModuleIRM-Application-Note-V1.2EN.pdf (変調の目的、30〜60kHzと38kHz)
- Zenith Heritage, "Remote Control Evolution" https://zenith.com/heritage/remote-background/ (Flash-Maticと日光による誤動作)
- The Henry Ford, Zenith Space Command https://www.thehenryford.org/collections/explore/artifact/365218 (超音波式リモコンのしくみ)
- National Inventors Hall of Fame, Robert Adler https://invent.org/inductees/robert-adler (超音波式の台数と赤外線への置き換え)
なおした ところ
更新履歴
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