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リモコンの 光は、どうして スマホの カメラに だけ 見えるの?

リモコンの見えない光は、どんな信号を運び、なぜスマホのカメラに映るのか

テレビのリモコン:赤外線LEDの変調(38kHz)、パルス長の符号化、光式・超音波式からの変遷

分野:技術

テレビの リモコンの ボタンを おしても、リモコンの 先は 光って 見えません。ところが、スマホの カメラで のぞくと、ちかちか 光る ことが あります。見えない 光は、いったい 何を つたえて いるのでしょうか。

リモコンのボタンを押しても、先端は光って見えません。ところが、スマホのカメラ越しに見ると、ちかちかと光ることがあります。目に見えない光で、リモコンは何を伝えているのでしょうか。1秒に数万回という細かな点滅の理由と、日光でチャンネルが勝手に回ってしまった昔のリモコンの話まで、資料を突き合わせて見ていきます。

リモコンは波長940nmの赤外線LEDを38kHzで点滅させ、光の長短の並びで信号を送る。この光は肉眼には見えないが、スマホなどのカメラのセンサーには映ることがある。変調の理由、NEC方式に見る信号の組み立て、1955年の光式リモコンで起きた誤動作、超音波式を経て赤外線に置き換わるまでを、メーカーの案内と技術資料で整理する。

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1. カメラで のぞくと 光る

1. スマホのカメラ越しに見えるリモコンの光

1. リモコンの光をカメラで見る:CCD・CMOSセンサーの特性

リモコンを カメラに むけて ボタンを おすと、ちかちか 光って 見える ことが あります。目では 見えないのに、カメラには うつるのです。

シャープの サポートページでは、これを リモコンが 動いて いるか たしかめる かんたんな 方ほうとして しょうかいして います[1]。ただし、うつらない きしゅも あると 書かれて います。

リモコンの先をスマホのカメラに向け、ボタンを押すと、画面の中で先端が光って見えることがあります。目で直接見ても何も見えないのに、です。

シャープのサポートページは、デジタルカメラなどに使われているCCD・CMOSというセンサーの特性を利用して、リモコンが動作しているかを確かめる簡易な方法として、この見方を案内しています。同じページに、一部のスマートフォンなどでは対応していないとも書かれています[1]。

シャープのサポートページは、CCD・CMOSセンサーを使うデジタルカメラや携帯電話のカメラで、リモコンの赤外線が確認できることを、動作確認の簡易な判定方法として案内している。同ページは、一部のスマートフォンなどでは対応していない機種があることも明記している[1]。

「映る機種」と「映らない機種」がある点は、次章以降の説明の前提になる。

2. カメラは 目より 広く 見る?

2. カメラのセンサーは、目に見えない光も感じる

2. シリコン系センサーの近赤外感度と赤外線カットフィルター

カメラの 中には、光を 受ける 小さな 部品が あります。この 部品は、人の 目に 見える 光だけでなく、その すぐ となりの 目に 見えない 光にも はんのう できると いわれます[2]。

ふだんの 写真に 赤外線が まざると、色が ふしぜんに なります。そこで、ふつうは 赤外線を とる フィルターが つけられて いる ようです。

ただ、きしゅに よっては、リモコンの 光が うつらない ことが あります。

デジタルカメラやスマホの撮像素子には、シリコンが使われています。シリコンのセンサーは、目に見える光から、その先にある近赤外線(およそ400〜1000nm)まで感度があると説明されています[2]。リモコンの光は、この範囲に入っています。

ただし、近赤外線まで写ると、写真の色が自然に見えなくなります。そのため、ふつうは赤外線カットフィルターを付けて近赤外線を取り除くとされています[2]。

このフィルターの強さは機種によって違うと考えられます。リモコンが映る機種と映らない機種があるのは、そのせいかもしれませんが、機種ごとの理由まで説明した資料は、ここでは見つけていません。

シリコンを用いたイメージセンサーは、可視光から近赤外(おおよそ400〜1000nm)に感度をもつ。色再現のため、通常は赤外線カットフィルターで近赤外を除去する[2]。リモコンの赤外線(940nm、次章)は、この感度域に入る。

フィルターの特性は機種ごとに異なり得るため、シャープが機種によって映らないと注記していることと整合する[1]。ただし、機種ごとの差の理由は、今回の資料では確認できていない。なお、[2]は学会資料の要旨に基づく二次的な確認である。

3. リモコンの 光の 正体

3. リモコンが出している光の正体

3. 波長940nmの赤外線LEDと38kHzの変調

リモコンの 先には、赤外線を 出す 小さな ランプが 入って います。赤外線は、目には 見えない 光の なかまです。

この ランプは、ずっと つきっぱなしでは ありません。1びょうの あいだに 3万8千回も、ついたり きえたり します[3]。

リモコンの先には、赤外線LEDが入っています。ある技術資料では、波長は940nmとされています[3]。人の目に見える光の波長はおよそ400〜700nmなので、それよりも少し長い、見えない光です。

この光は、つけっぱなしではありません。1秒間に3万8千回、つまり38kHzで細かく点滅させています[3]。点滅のことを、技術用語では「変調」といいます。

リモコンの送信には、波長940nmの赤外線LEDが用いられ、38kHzで変調されている(変調率は資料の記述では100%)[3]。可視光は約400〜700nmなので、940nmは可視域の外にある。

38kHzという値は、リモコン用の搬送周波数として一般的な30〜60kHzの範囲のなかで、最もよく使われるものとされる[4]。

4. 光の ながい みじかいで つたえる

4. 光の長さの違いで「0」と「1」を送る

4. NEC方式のフレーム構成とパルス長による符号化

この ちかちかを、ひとかたまりにして、ながい ときと みじかい ときを ならべます。ならびが ちがえば、べつの 信号しんごうに なります。

たとえば ボタンを おすと、はじめに 「これから 送るよ」という 合図が 出ます。そのあと、ボタンごとに ちがう ならびが つづきます[3]。

ただし、この ならびの きまりは、メーカーごとに ちがいます。NEC方しきは、その一つに すぎません[3]。

リモコンは、38kHzの点滅を、ひとかたまりずつ出したり止めたりして信号にします。この出す時間と止める時間の並びが、ボタンごとの合図です。

日本の家電では、NEC方式、家電製品協会方式、SONY方式などが代表的といわれます[3]。ここでは、資料に細かく書かれているNEC方式を例にします。

NEC方式では、最初に「これから送る」という合図として、9ミリ秒だけ出し、4.5ミリ秒だけ止めます。そのあとにカスタムコード16ビット、データコード8ビットと、その反転の8ビットが続きます。データの「1」は、出したあとに止める時間が、出した時間の約3倍。「0」は、出す時間と止める時間がほぼ同じです[3]。

これはNEC方式の一例です。すべてのリモコンが同じ決まりではありません。

NEC方式のフレームは、リーダ(ON 9ms・OFF 4.5ms)、カスタムコード16ビット、データコード8ビット、その反転8ビットで構成される。データ1ビットは、ONに続くOFFの長さで区別する。「1」はOFFがON期間の約3倍、「0」はONとOFFがほぼ同じ長さである[3]。データコードには反転データが添えられ、受信側で元のデータと照合できる形になっている。

日本のメーカーでは、NEC方式のほかに家電製品協会方式やSONY方式が代表的とされる。同じ「赤外線リモコン」でも、方式は統一されていない[3]。本節のNEC方式の記述は個人・教材系の技術資料に基づく二次情報であり、公式仕様の原文には当たっていない。

5. どうして そんなに ちかちか するの?

5. なぜ、そんなに細かく点滅させるのか

5. 変調の目的:混信の回避と外乱光との区別

家の 中には、赤外線を ふくむ 光が たくさん あります。たとえば 日光や、あかりです。

もし リモコンの 光が ふつうの 光と おなじ だったら、テレビは まちがえて しまいます。そこで、38キロヘルツの ちかちかを 目じるしに して、リモコンの 信号しんごうを うけとりやすく して いると 書かれて います[4]。

リモコンの光と同じ波長の光や電磁波は、まわりにもあります。もしただ光らせるだけなら、それらと混ざって、テレビが誤って反応するかもしれません。

受信部品のメーカー資料では、同じ波長の電磁波との混信を避けるために、信号に30〜60kHzの搬送波を加えると説明されています。その中でも38kHzが最もよく使われます[4]。別の技術資料は、目に見えない赤外線は自然光などにも含まれるため、受信機が反応する帯域を絞って区別している、と説明しています[3]。

つまり、38kHzの細かな点滅が、リモコンの信号を受け取りやすくする目印になっています。

変調の目的について、Everlightのアプリケーションノートは、環境中の同波長の電磁波による干渉を避けるため、信号に30〜60kHzの搬送波を重畳し、38kHzが最もよく使われると述べる[4]。IR TX1は別の観点から、自然光など他の赤外線と区別する目的で、受信機の応答帯域を狭く絞っていると説明する[3]。

2つの説明は視点が違う(前者は混信の回避、後者は帯域の限定)。日光や照明の中の赤外線は連続的な光なので、決まった周波数の点滅だけを受け付ける受信機なら区別できる、というのが両資料に共通する考え方である。ただし、この理解はこの記事による整理であり、原資料が同じ表現で述べているわけではない。

6. 日光で チャンネルが まわった リモコン

6. 日光でチャンネルが回った、最初の光のリモコン

6. Flash-Matic(1955年):光式リモコンと日光による誤動作

むかしの リモコンは、ケーブルが ついて いました。1955ねん、アメリカの ゼニス社が、線の ない リモコンを 出しました。名前は フラッシュマティックです[5]。

かいちゅうでんとうの ような かたちで、テレビに ついた 光の 部品に 光を 当てて つかいました。ところが、テレビに 日光が 当たって いると、チャンネルが かってに まわる ことが あったと いわれて います[5]。

1955年、アメリカのゼニス社が、線でつながらない最初の実用的なテレビリモコン「フラッシュマティック」を出しました。開発したのはユージン・ポーリーだと、同社は紹介しています[5]。

形は強い指向性のある懐中電灯型で、テレビ側の光電池に当てて操作しました。ところが、テレビが直射日光の当たる場所にあると、チューナーが勝手に回り出すことがあった、とも伝えられています[5]。

リモコンの光を、日光や照明の光と見分ける工夫が、まだ足りなかったのです。前章の点滅の話は、こうした失敗とつながって見えてきます。

Zenith社は、1955年発売のFlash-Matic(E.ポーリー)を、最初の実用的な無線テレビリモコンとして紹介している。強い指向性を持つ懐中電灯型で、光電池に当てて操作した。同社は、直射日光が当たる場所にテレビがあると、チューナーが回り始めることがあったと述べる[5]。

この誤動作は、光の強さの変化だけで反応する受信では、日光と操作光を区別しにくいことを示す例と読める。ただし、第5節の変調が、この問題への解答として導入されたという因果関係は、今回の資料では確認していない。

7. 光の つぎは、おとの リモコン

7. 音のリモコンを経て、赤外線へ

7. Space Command(1956年)と赤外線方式への置き換え(1980年代)

1956ねんには、こんどは 音を つかう リモコンが 出ました。ボタンを おすと、小さな ハンマーが アルミの ぼうを たたきます。人には きこえない 高い 音が 出て、テレビが それを うけとりました[6]。

電池が いらない くふうでした。900万台 いじょうの テレビに つき、25年ほど ふつうの リモコンでした[6]。でも 1980年代に、赤外線の リモコンに かわって いきました[7]。

1956年、ゼニス社のロバート・アドラーらが、超音波式の「スペースコマンド」を売り出しました。ボタンを押すと、リモコンの中の小さなハンマーがアルミの棒をたたき、人の耳には聞こえにくい高い音が出ます[6]。電池は不要でした。

900万台以上のテレビに付き、約25年間標準だったとされています[6]。その後、1980年代に赤外線技術が登場すると、古くなっていきました[7]。

赤外線の方式は、この時期に置き換わったとされますが、赤外線が初めて登場した年は資料からは言えません。

1956年、ZenithのR.アドラーらが超音波式のSpace Commandを発売した。ボタンを押すと、小さなハンマーがアルミ棒をたたいて超音波を発生させる。電池は不要で、900万台以上のテレビに搭載され、約25年にわたり標準だった[6]。

殿堂(National Inventors Hall of Fame)の記述では、超音波式は1980年代に赤外線技術が現れて時代遅れになったとされる[7]。この記述が示すのは置き換わった時期であり、赤外線リモコンの初出の年ではない。

カメラで リモコンを のぞいて みよう

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちの 人に 聞いて、テレビの リモコンを 1つ かりて ください。

スマホの カメラで のぞく

  • へやを 少し くらく して、リモコンの 先を スマホの カメラに むける。画面を 見ながら、ボタンを おします。
  • ちかちか 光って 見えたら、うまく いった しるしです。光らなくても、きしゅに よっては ふつうの ことです。ほかの リモコンでも ためして みましょう。

リモコンの 光を、目に 近づけて 見ないで ください。カメラの 画面で 見れば だいじょうぶです。

スマホのカメラで、家にあるリモコンを見比べてみましょう。

のぞいてくらべる

  • 部屋を少し暗くして、リモコンの先をスマホのカメラに向け、ボタンを押す。画面の中で光るでしょうか。映らない機種もあるので、映らなくても失敗ではありません。
  • エアコン、テレビ、照明など、別のリモコンでも試す。光り方が違って見えるかどうかを見比べます。
  • ボタンを変えたり、長押ししたりして見る。ボタンによって、点滅の見え方が変わるでしょうか。スマホによって映り方が違うこともあるので、家族のスマホでも試してみましょう。

リモコンの先を目に近づけて見るのではなく、カメラの画面越しに見てください。

暗めの部屋でリモコンの先をスマホのカメラに向け、ボタンを押して、画面で光るかを確認できる。映らない機種があるので、映らないことは故障を意味しない[1]。エアコン・テレビ・照明など複数のリモコンで、あるいはボタンを変えて比べると、点滅の見え方に違いがあるかを観察できる。見え方の違いが方式の差によるのかは、この観察だけでは決められない。

さらに調べるなら、受信モジュールのメーカーが公開しているアプリケーションノート(英語)に、搬送周波数や混信対策の説明がある[4]。Zenith社の歴史紹介ページ(英語)は、Flash-MaticやSpace Commandを扱っている[5]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

記事で使った資料のうち、公開されているものです。図や文章はそのまま写さず、自分の言葉で書きなおしました。

  1. シャープ サポート「リモコン動作確認 簡易判定方法」 https://jp.sharp/support/av/dvd/judge_infrared.html (カメラでリモコンの光を見る方法、映らない機種があること)
  2. 電子情報通信学会 FIT2014 H-009 https://www.ieice.org/publications/conference-FIT-DVDs/FIT2014/data/pdf/H-009.pdf (センサーの近赤外への感度、赤外線カットフィルター)
  3. IR TX1(赤外線通信の技術仕様) https://www.asahi-net.or.jp/~gt3n-tnk/IR_TX1.html (940nm・38kHz、NEC方式の信号、受信帯域)
  4. Everlight, Infrared Receiver Module Application Note V1.2 https://en.everlight.com/wp-content/uploads/2021/11/Infrared-Receiver-ModuleIRM-Application-Note-V1.2EN.pdf (変調の目的、30〜60kHzと38kHz)
  5. Zenith Heritage, "Remote Control Evolution" https://zenith.com/heritage/remote-background/ (Flash-Maticと日光による誤動作)
  6. The Henry Ford, Zenith Space Command https://www.thehenryford.org/collections/explore/artifact/365218 (超音波式リモコンのしくみ)
  7. National Inventors Hall of Fame, Robert Adler https://invent.org/inductees/robert-adler (超音波式の台数と赤外線への置き換え)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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