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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

砂すなが どうして 小さな ちっぷに なるの?

砂からチップができるまで ── 気体にして磨き、光で回路を描く道すじ

半導体の製造工程 ── ケイ石からウェーハ、フォトリソグラフィ、EUV、後工程まで

分野:技術

ゲームの きかいや スマホの 中には、つめの 先ほどの ちっぷが 入って います。その もとは、砂すなの 中に ある 石の ような ものです。

ただの 砂すなが、どうやって 大切な 部品に なるのでしょうか。とちゅうで 「気体に する」「光で 絵を かく」「入る 前に 風を あびる」という、ふしぎな ことが 出て きます。じゅんばんに 見て いきましょう。

砂の主成分は、二酸化ケイ素という物質です。半導体のチップの材料になるシリコンは、その二酸化ケイ素からつくられます。ただし、そのままでは使えません。

途中には、わざわざ気体にして不純物を取り除く工程や、光で回路を「焼きつける」工程、作業する人の服や体から出るほこりにまで気をつかう工場が出てきます。なぜそうするのか、理由を追いながら、砂からチップまでの流れをたどります。

半導体の材料は、ケイ石(二酸化ケイ素)を還元して得る金属シリコンから始まり、精製・単結晶化・ウェーハ加工を経て、前工程(回路形成)と後工程(切り分け・封止)に至る[5]。

この記事は、純度99.999999999%(イレブンナイン)の多結晶シリコン、CZ法、フォトリソグラフィ、EUV露光、クリーンルームなどを、企業・業界団体の資料を突き合わせて整理する。いずれも二次的な解説を含むため、数値は出典の書き方に従う。

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1. 砂すなは どうやって シリコンに なるの?

1. 砂のような石を、まず炭素で「還元」する

1. ケイ石の還元 ── 金属シリコンの純度は約98〜99%

ちっぷの もとは、シリコンと いう ものです。シリコンは、砂すなの ような 石の 中に、ほかの ものと くっついた 形で 入って います。

まず、この 石を 炭と いっしょに 高い 温度で あつくして、シリコンだけを 取り出します。でも、これで できる シリコンは、まだ よごれが のこって います。ちっぷには 使えません。

シリコンは、ケイ石(二酸化ケイ素)の中で酸素と結びついた形で存在します。ここから酸素を取り除くことを「還元」といい、炭素を使う方法で金属シリコンがつくられます[1]。

この段階の純度は約98〜99%といわれます。数字だけ見ればきれいですが、半導体用にはまだ不純物が多すぎるため、さらに精製する必要があります[1]。次の章は、その精製の話です。

ケイ石(二酸化ケイ素)を炭素で還元して得られる金属シリコンの純度は、約98〜99%とされる[1]。半導体用には不十分で、追加の精製工程が必要になる。

この数値は解説サイトの記述に基づく。工程の詳細や炉の条件は資料によって書き方が異なるため、ここでは概略にとどめる。

2. どうして 気体に して きれいに するの?

2. 固体のままでは難しい精製を、気体にして進める

2. シーメンス法 ── トリクロロシランの蒸留と析出

よごれを とる ために、シリコンを いったん 気体の なかまに かえます。かたい ものの ままでは、よごれだけを 取り出すのが むずかしいからです。

たとえば、どろみずから きれいな 水だけを 取りたいとき、すくうより、水を 湯気に して あつめる ほうが かんたんな ことが あります。ただし ほんとうは、シリコンで やる ことは もっと むずかしい やり方です。

気体に した ものから よごれを へらし、もういちど シリコンに もどします。こうして、9が 11こ ならぶ ほど きれいな シリコンが つくられる ことが あります。これは、1000おくこ の うち 1こ ほどしか、ちがう ものが まざらない くらいです。

そこで使われるのが、シーメンス法と呼ばれる方法です。金属シリコンに塩化水素を約300℃で反応させ、「トリクロロシラン」という気体にします。それを蒸留して不純物を減らし、水素と高温で反応させて、純度の高い多結晶シリコンとして取り出します[1]。

わざわざ気体の形にするのは、蒸留という分け方が使えるからだと説明されています[1]。蒸留は、沸き立つ温度の差を使って混ざったものを分けるやり方です。固体のままより、不純物だけを取り除きやすくなります。

こうしてできた多結晶シリコンには、純度99.999999999%、9が11個並ぶ「イレブンナイン」と呼ばれるものがあります[2]。不純物の割合は、およそ1000億個に1個です。

シーメンス法では、金属シリコンを塩化水素と約300℃で反応させ、原料のトリクロロシラン(SiHCl3)を合成する。これを蒸留で精製し、水素と高温で反応・熱分解させて、高純度の多結晶シリコンを析出させる[1]。

気体(蒸気)にする理由は、蒸留による分離が強力に働くためと説明される。固体のままでは、不純物だけを除くのが難しい[1]。トリクロロシランの沸点は約31.8℃とされる。

半導体用の高純度多結晶シリコンには、純度99.999999999%(イレブンナイン)をうたう製品がある[2]。不純物は0.000000001%、すなわち1000億個に1個程度に当たる(筆者の計算)。

3. 1本の 大きな けっしょうは どう つくるの?

3. 種結晶をゆっくり引き上げて、1本の結晶にする

3. CZ法 ── 約1420℃の融液から単結晶インゴットを引き上げる

きれいに した シリコンは、まだ ばらばらの つぶが くっついた ものです。ちっぷには、原子が きれいに ならんだ、ひとつづきの 結晶けっしょうが いります。

そこで、石英せきえいで できた 入れものに シリコンを 入れて、とても 高い 温度で とかします。そこへ、小さな たねの 結晶けっしょうを つけて、まわしながら ゆっくり 引き上げます。

すると、たねと 同じ ならびかたの、太い ぼうが できて いきます。大きな ものは、とても 太くて 重い ぼうに なります。

次に必要なのは、原子の並びがひと続きにそろった単結晶です。多結晶シリコンを石英製のるつぼに入れ、約1420℃で融かします。そこへ種結晶を触れさせ、回転させながらゆっくり引き上げるCZ(チョクラルスキー)法という方法が使われます[3]。

種結晶と同じ原子配列の単結晶が育ち、インゴットと呼ばれる太い棒になります。直径300mmのウェーハ用では、とても大きなインゴットになります[3]。

CZ法では、高純度多結晶シリコンをホウ素やリンとともに石英ルツボに入れて約1420℃で融解し、種結晶を回転させながら引き上げる。種結晶と同じ原子配列の単結晶インゴットが得られる[3]。

直径300mmウェーハ用の結晶は、非常に大きなインゴットになる[3]。

4. かがみの ような 板は どう できるの?

4. 薄く切って磨くと、鏡のようなウェーハになる

4. ウェーハ加工 ── スライス、ラッピング、エッチング、研磨

できた 太い ぼうを、うすく 切って、まるい 板に します。これが「ウェーハ」です。切った ばかりの 板は でこぼこなので、こすったり、みがいたり します。

さいごには、鏡かがみの ように つるつるに なります。いま 作られる ちっぷ用の ウェーハは、はばが 300ミリ、手のひらより 大きな 円ばんです。

インゴットは、外側の太さをそろえたあと、約1mmの厚さにスライスされます。切った面は、ラッピング、エッチング、研磨と順に整えられ、最後は鏡のような面になります。研磨には、コロイダルシリカという粒が使われます[4]。

洗浄と検査を終えたものがウェーハで、半導体用のシリコン単結晶から切り出した円板状の基板です。いまのIC量産では、直径300mm(12インチ)のものが使われています[5]。

インゴットは外径をそろえ、ワイヤーソーなどで約1mm厚にスライスされる。ラッピング、エッチング、コロイダルシリカによる研磨、洗浄・検査を経てウェーハとなる[4]。約1mmはスライス時の厚みで、仕上がり厚は別に定まる。ここでは断定しない。

ウェーハは、半導体用シリコン単結晶から切り出した円板状の基板で、IC量産の主流は直径300mm(12インチ)とされる[5]。

5. ひかりで どうやって 回路を かくの?

5. 光を当てた所が溶ける、写真のようなしくみ

5. フォトリソグラフィ ── レジスト塗布から現像まで

ウェーハの 上に、光に 反応はんのうする ぬり薬を うすく ぬります。ウェーハを ぐるぐる まわして、遠心力で 広げる やり方です。

つぎに、回路の 形の 光を 当てます。光が 当たった ところは、あとで 水のような 薬に とけて なくなる ものが あります。のこった ところが、回路の もとの 形に なります。これを くりかえして、なんども 重ねます。

ウェーハ1まいには、同じ 回路の ちっぷが、たくさん ならびます。

ウェーハの表面には、光に反応する液体「フォトレジスト」を垂らします。ウェーハを高速で回すと、遠心力で薄く均一に広がります[6]。回転数や液の粘り気などで、膜の厚さが決まります。

そこへ回路の形の光を当てる「露光」を行い、現像します。「ポジ型」では、光が当たった部分が現像で無くなります。逆に、当たった部分が残る「ネガ型」もあります[6]。

この一連の工程を「フォトリソグラフィ」と呼び、エッチング、イオン注入などとくりかえして、トランジスタの層の上に何層もの配線を重ねていきます[5][7]。

フォトリソグラフィは、レジスト塗布、プリベーク、露光、現像、ポストベークの順で進む[6]。塗布はウェーハにレジスト液を滴下して高速回転し、遠心力で広げるスピンコートで行う。膜厚は粘度・回転数・時間などで決まる[6]。

ポジ型は露光された部分が現像で無くなり、ネガ型は露光部が残る[6]。JEITAの用語集は、フォトリソグラフィを「フォトマスクを用いてパターンを感光性樹脂に転写するプロセス」と説明している[5]。

前工程は、これにエッチング、イオン注入、CMPなどを組み合わせ、トランジスタの層の上に配線層を何層も重ねる工程だ[5][7]。ウェーハ1枚に並ぶチップの数は、チップの大きさで変わる。

6. いちばん 細い 線は どんな 光で かくの?

6. 空気にも吸われる光を、真空とミラーで導く

6. EUV露光 ── 波長13.5nmと、ASMLの装置

新しい ちっぷの 回路の 一部を つくる とき、とても 短い ふしぎな 光を 使う ことが あります。この 光は、空気にも すわれて しまいます。だから、そうちの 中を 空気の ない 場所に します。

また、ふつうの レンズでは 光が とおらないので、鏡かがみを つかって 光を みちびきます。光の もとは、小さな スズの つぶに、強い レーザーを 当てて 作ると いわれます。

最先端のチップの回路の一部をつくる露光では、波長13.5nmという極端紫外線(EUV)が使われることがあります。この光は空気やガラスに吸収されるため、装置の中を真空にし、レンズの代わりに多層膜のミラーで光を導きます[8]。

光源は、直径約30μmのスズの液滴に高出力のCO₂レーザーを当ててプラズマにして作るとされます[9]。EUV露光装置を供給しているのは、オランダのASML社だけだという説明もあります[9]。

従来のArF液浸(波長193nm)では複数回の露光が必要だった工程を、EUVでは1回で済ませられる場合があるといいます[9]。すべての工程がそうなるわけではありません。

EUV(極端紫外線)露光は、波長13.5nmの光を使う。EUV光は空気やガラスに吸収されるため、装置内を真空にし、レンズでなくMo/Si多層膜のミラーで導く[8]。

光源は、直径約30μmのスズ(Sn)の液滴に高出力CO₂レーザーを照射してプラズマ化し、13.5nmの光を放出させる方式だ。EUV露光装置の供給元はオランダのASMLのみとする解説がある[9]。

従来のArF液浸(193nm)で必要だったマルチパターニング(複数回露光)を、1回の露光に置き換えられる場合がある[9]。適用は工程や条件に依存し、すべてではない。

7. どうして 工場に 入る 前に 風を あびるの?

7. 服や体のほこりを、風で払って入る

7. クリーンルーム ── 防塵服とエアシャワー

ちっぷの 回路は とても 細いので、小さな ほこりでも こまります。だから、工場の 中は ほこりを できるだけ 少なく して います。

人の 服や からだからも、ほこりは 出ます。そこで、はたらく 人は、ほこりの 出ない 服を 着て、ぼうしと マスクを つけ、入る 前に 風を あびて ほこりを ふきとばします。

回路を描くクリーンルームでは、人の服や体からも微粒子が出ます。そのため、無塵衣、フード、マスクを身につけ、入口ではエアシャワーで衣服のほこりを吹き飛ばしてから入ります[10]。

空気は、上から下へ流す方式などで、ほこりを下へ運び去ります[10]。清浄度は国際規格ISO 14644(ISO Class 1〜9)で示されます。半導体工場の具体的な級の数字は、資料によって書き方が違うため、ここでは挙げません[10]。

クリーンルームでは、人の服や体からも微粒子が出るため、無塵衣・フード・マスク・オーバーシューズを着用し、エアシャワーで衣服に付着したほこりを飛ばして入室する。気流を上から下へ流す方式がある[10]。

清浄度は現在ISO 14644(ISO Class 1〜9)で示される。旧米国連邦規格は、1立方フィート中の0.5μm以上の粒子数で分類し、2001年に廃止された[10]。半導体工場に求められる級の数字は資料ごとに異なり、ここでは断定しない。

8. できあがった 板は どう ちっぷに なるの?

8. 切り分けて、線でつなぎ、樹脂で包む

8. 後工程 ── ダイシング、ワイヤーボンディング、封止、検査

回路が できた ウェーハは、こまかく 切って、ひとつずつの ちっぷに します。そこに 細い 線を つないで、ふうを して、こわれて いないか しらべます。

こうして、砂すなの ような 石から、手に のる ちっぷが できあがります。

前工程で回路ができたウェーハは、ダイシングで多くのチップに切り分けられます。チップは台に載せられ、細い金線や銅線で外の端子とつながれます(ワイヤーボンディング)。そのあと樹脂で封止され、検査・試験に進みます[5][11]。

ウェーハ1枚から何個のチップが取れるかは、チップの大きさで変わります。

後工程は、完成したウェーハをチップに切り分け、パッケージ化してテストする工程だ[5]。ダイシング、マウンティング、ワイヤーボンディング、モールディング、検査・試験の順に進む[11]。

ウェーハ1枚あたりのチップ数は、チップの大きさで変わる。

9. ほこりを 見つけて みよう

9. 家の中のほこりを、光で見つけてみる

9. 出口 ── ほこりを可視化する/原典に当たる

へやを 少し くらく して、かいちゅうでんとうを よこから 当てて みましょう。ふだんは 見えない ほこりが、きらきら 光って 見えます。

つぎに、そばで 服を かるく はたいたり、あるいたり して、ようすを くらべます。人が うごくと ほこりが ふえるか、見て みましょう。

部屋を少し暗くして、懐中電灯(スマホのライトでもよい)を横から当ててみてください。ふだん見えないほこりが、光の筋の中で浮かんで見えます。

そのまま服を軽くはたいたり、歩き回ったりして、光の中のほこりの量を見比べてみます。人の動きがほこりを増やすかどうかを、自分の目で確かめられます。半導体工場が人の服を管理する理由を、体で想像できるはずです。

もっと知りたい人は、SUMCOやトクヤマの製品ページ(日本語)で、実際の工程の説明を読めます[3][2]。

暗い部屋で懐中電灯を横から当てると、空気中のほこりが見える。服をはたく、歩き回るなどの動作の前後で見え方を比べれば、服装を整える理由を実感できる。

原典に当たるなら、SUMCOの工程解説(単結晶引上・ウェーハ加工)[3][4]、トクヤマの多結晶シリコンの製品ページ[2]、JEITAのIC用語集[5]を読みたい。EUV光源や露光装置については、解説サイト[9]もある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:企業の技術解説(SUMCO、トクヤマなど)、業界団体JEITAの用語集、解説サイトを使った。数値は各資料の書き方に従い、筆者が計算した部分は本文に明記した。

  1. chemi-connect「多結晶シリコンとシーメンス法」。 https://www.chemi-connect.com/polysilicon-siemens/ (金属シリコンの純度、シーメンス法、気体にして精製する理由について)
  2. トクヤマ「高純度多結晶シリコン」。 https://www.tokuyama.co.jp/products/electronic_materials/polysilicon.html (イレブンナインの純度について)
  3. SUMCO「単結晶引上工程」。 https://www.sumcosi.com/products/process/step_01.html (CZ法とインゴットの大きさについて)
  4. SUMCO「ウェーハ加工工程」。 https://www.sumcosi.com/products/process/step_02.html (スライスから研磨・洗浄までについて)
  5. JEITA「IC用語集」。 https://semicon.jeita.or.jp/word/word.html (ウェーハ、前工程・後工程、フォトリソグラフィの用語について)
  6. ウシオ電機「ライトエッジ」。 https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/200708/100334.html (レジスト塗布、露光、現像、ポジ型・ネガ型について)
  7. 松定プレシジョン「前工程」。 https://www.matsusada.co.jp/column/sc_mfg_proces-front-end.html (配線層を何層も重ねることについて)
  8. 日経xTECH「EUV露光」の解説記事。 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02748/030800004/ (EUVの波長、真空とミラーについて)
  9. Semirai「EUV」用語解説。 https://semirai.com/glossary/euv (EUV光源、供給元、従来方式との違いについて)
  10. 吉田SKT「クリーンルーム」の解説。 https://www.y-skt.co.jp/magazine/knowledge/cleanroom/ (無塵衣・エアシャワー・清浄度規格について)
  11. 松定プレシジョン「後工程」。 https://www.matsusada.co.jp/column/sc_mfg_proces-back-end.html (ダイシングからの後工程の流れについて)

なおした ところ

更新履歴

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