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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

かきごおりの シロップは、どうして ちがう あじに かんじるの?

かき氷のシロップは、なぜ味がちがうように感じるのか ── 鼻と目がつくる味

かき氷シロップの「味」と風味の知覚 ── 香料・着色料と多感覚知覚の研究(2001・2007・2019)

分野:からだ

かきごおりの いちごと メロンと ブルーハワイ。ラベルを よく 見ると、ざいりょうが ほとんど おなじだと いわれて います。

それなのに、たべると ぜんぜん ちがう あじに かんじます。あじを きめて いるのは、しただけなのでしょうか。この きじでは、はなと 目が あじの かんじかたに かかわる けんきゅうを 見て いきます。

かき氷のいちご味、メロン味、ブルーハワイ。原材料の表示を見比べると、甘さと酸っぱさの土台はほとんど同じで、違いは香料と着色料だといわれています。

それでも食べると、はっきり別の味に感じます。この違いは、舌だけで決まっているのでしょうか。鼻と目が味の感じ方に関わることを示す研究を、飲み物やワインの実験の範囲で紹介します。かき氷そのものを測った研究ではない点も、あわせて伝えます。

市販のかき氷シロップは、いちご・メロン・ブルーハワイのどれも、甘味と酸味の土台が共通で、違いは香料と着色料だと説明される[2]。それでも私たちは、味が別物だと感じる。

白ワインを無味無臭の色素で赤く染めただけで、54人のテイスターが赤ワインの香りの言葉で説明したという2001年の報告がある[5]。この記事では、食品・医学・心理学の資料を突き合わせ、色と香りが風味の知覚にどこまで影響するのか、研究の範囲を区切って整理する。

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1. ラベルを 見ると、なにが わかる?

1. 原材料の表示を見比べる

1. シロップの成分 ── 共通の土台と、違う部分

シロップの ラベルを 見て みましょう。おもな ざいりょうは、「かとうぶどうとうえきとう」と いう あまい えきです。かんたんに いうと、さとうみずに ちかい ものです[2]。

ここに、かおりの もとの こうりょうと、いろの もとの ちゃくしょくりょうが くわえて あります。ある メーカーの いちご・メロン・ブルーハワイを くらべた ほうどうでは、ちがうのは いろと かおりの しゅるいだけ、と つたえられました[3]。

市販のかき氷シロップの主な原料は、果糖ぶどう糖液糖という甘い液体です。簡単にいえば、砂糖水に近いものです。ここに香料、着色料、酸味料、保存料などが加えられています[1][2]。

2015年の報道では、あるメーカーのいちご・メロン・ブルーハワイを比べて、原料は同じで、違いは着色料と香料の種類だけだったと伝えられました[3]。これは1社の例で、すべての商品が同じとは限りません。果汁の入った商品もあります。

市販かき氷シロップの主原料は果糖ぶどう糖液糖で、香料・着色料・酸味料・保存料などが加えられる[1]。甘味と酸味が主成分であり、味の土台は共通で、違うのは香りと色だと説明されている[2]。

2015年の報道は、あるメーカーの3種(いちご・メロン・ブルーハワイ)の表示を比較し、違いは着色料と香料の種類だけだったと伝えた[3]。ただし1社の例であり、全社・全商品の表示を確認したわけではない。果汁入りの商品も存在する。

2. あじは、したと はなの きょうどうさぎょう

2. 「味」と「風味」は別のもの

2. 味覚と嗅覚 ── 風味は脳で組み合わされる

した が かんじる あじは、あまい・しょっぱい・すっぱい・にがい・うまみの 5つです。いちごや メロンの あじは、この 5つには ありません[4]。

ものを たべると、はなの おくでも かおりを かんじて います。した の 5つの あじと、はなの かおりを、のうが いっしょに して 「おいしい」を つくって いる と せつめいされて います[4]。

ためして みましょう。おいしい あじが しない ときは、はなが つまって いる ときと にて います。かぜを ひいた とき、ごはんの あじが うすく なった ことは ありませんか。

舌が捉える基本の味は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つです。いちごらしさやメロンらしさは、この5つの中にはありません。

食べ物を口に入れて噛むと、鼻の奥にある嗅覚の受容器と、舌の味覚の受容器から情報が届き、脳がそれらをまとめて「風味」をつくると説明されています[4]。かき氷でいえば、甘さと酸っぱさは舌が、いちごの香りは鼻が受け持ち、脳で合わさっている、ということになります。

舌の味蕾が捉える基本味は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つとされる。風味(フレーバー)は、鼻の嗅覚受容器と舌の味覚受容器からの情報に、食感や温度も加えて、脳で処理されて成立する[4]。

この枠組みに従えば、シロップ間で共通なのは甘味・酸味という基本味の部分で、「いちご」「メロン」という区別は主に嗅覚由来の情報に乗っていることになる。ただしこれは各資料の説明を組み合わせた見立てであり、かき氷シロップでの実測ではない。

3. いろを かえたら、ワインの かおりまで かわった?

3. 白ワインを赤く染めた実験(2001年)

3. Morrotらの実験 ── 色が香りの言葉を変えた

2001ねんに、フランスなどの けんきゅうしゃが はっぴょうした けんきゅうが あります。しろい ワインに、あじも においも ない いろを まぜて、あかく しました。

その ワインを 54にんの 人が かおりを ことばで あらわす と、あかワインの かおりの ことばを つかいました[5]。

ただし、あじ そのものが かわったと、はっきり いえる わけでは ありません。かおりを ことばに する ところで、まちがいが おきたのではないかと、けんきゅうした 人たちは かんがえて います。

2001年、Morrotらは、白ワインを無味無臭の色素で赤く染める実験を報告しました。54人のテイスターが、その香りを赤ワインの香りを表す言葉で説明したそうです[5]。

味が変わったとはいえない

この結果を「味覚が変わった」と読むのは、少し強すぎます。著者らは、目から入った情報が強く働き、鼻から入った情報が軽く扱われたのではないかと考えました。錯覚が起こるのは、香りを言葉にする段階かもしれない、という見方も示しています。

Morrot, Brochet & Dubourdieu(2001)は、白ワインを無臭の色素で赤く染めると、54人のテイスターのパネルが赤ワインの香りの語彙で記述したと報告した[5]。

著者らは、視覚情報のために嗅覚情報が軽視されたと解釈し、錯覚は香りを言語化する段階で生じる可能性を示唆した。したがってこの結果は、味覚そのものの変化ではなく、香りの言語的表現への影響と読むのが適切である。

4. いろは、いつも あじを きめるの?

4. 色の効果には、限りがある

4. Zampiniら(2007)とSpence(2019)── 効果の大きさと限界

くだものの あじの みずを、あった いろ・あわない いろ・いろなし で のんで もらった けんきゅうが あります。あわない いろの ときは、なんの あじか あてる ことが むずかしく なりました[6]。

「いろは、ヒントに ならない よ」と つたえても、おなじでした。

けれども、いろを かえても あじの ひょうかが かわらなかった けんきゅうも あります。いろが ぜんぶを きめる わけでは なさそうです[7]。

Zampiniらの2007年の研究では、果物味の飲み物を「合った色」「合わない色」「無色」で出しました。合わない色のとき、どの味かを当てる正答率が有意に下がったと報告されています[6]。「色は手がかりにならない」と前もって伝えても、効果は出ました。

この分野を2019年にまとめたSpenceは、色が風味の知覚に影響するという実験結果が約80年分あるとしています。一方で、色を変えても味の評価が変わらなかった研究もあり、効果は、色が示す期待と実際の味がどれだけ近いかに左右されるようです[7]。

なお、これらは飲み物での実験です。かき氷での実験ではありません。

Zampiniら(2007)は、果物味の溶液を、合った色・合わない色・無色で提示し、味の識別課題を行った。合わない色の条件で正答率が有意に低下し、色が手がかりにならないと教示しても効果が残った[6]。

Spence(2019)のレビューによれば、色が風味知覚に影響するという実験証拠は約80年分蓄積されている。他方、飲み物の色を変えても味の評価が変わらなかった研究もあり、効果は、色が喚起する期待と実際の味の近さに依存する。関連する認知神経科学の文献は限られるとも指摘されている[7]。

いずれも飲料・溶液での実験で、かき氷シロップを直接測った研究ではない。「近い研究がある」と読むにとどめる。

6. ブルーハワイは、なんの あじ?

6. ブルーハワイには決まった味がない?

6. ブルーハワイの由来は諸説

ブルーハワイには、「これが ブルーハワイの あじ」と いう はっきりした きまりが ないと いわれて います。メーカーに よって、レモンや ラムネ、サイダーに にた あじが あります[8]。

むかし、ハワイりょこうが にんきだった ころに、うみの イメージから うまれたと いう せつが あります。ほかにも、おさけの ブルーキュラソーから、と いう せつも あります。ほんとうの ところは、はっきりして いません。

ブルーハワイには、味の明確な決まりがないといわれています。メーカーによって、レモン風味、ラムネ風味、サイダー風味などがあるようです[8]。

由来には、昭和40年代のハワイ旅行ブームで、海のイメージから生まれたという説と、ブルーキュラソーに由来するという説があります。どちらが正しいかは、はっきりしていません。青い色と名前のイメージが、「これは何味か」という感じ方を作っている可能性もありますが、これも研究で確かめられた話ではありません。

ブルーハワイには味の明確な決まりがなく、メーカーによりレモン・ラムネ・サイダー風などがあると紹介されている[8]。由来は、昭和40年代のハワイ旅行ブームで海のイメージから生まれたという説と、ブルーキュラソー説があり、確定していない。なお、この資料は商品紹介・解説で、一次資料ではない。

1〜4章の内容と重ねれば、色・名前のイメージが「何味か」という認識に関わる可能性は考えられる。ただし、これは見立てにとどまる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おうちの ひとと いっしょに、ジュースを ひとくち だけ のんで みましょう。まず ふつうに のみます。つぎに、はなを つまんで、すこし だけ くちに ふくみます。あじが かわるか、かんじた ことを おしえて ください。むせない ように、ゆっくり やります。すわって、ひとくち ぶんだけに しましょう。

出かけてできること

おみせで シロップの ラベルを 見て みましょう。「こうりょう」「ちゃくしょくりょう」と いう ことばを さがして みます。

こうしきの 情報じょうほう

くわしい ことは、メーカーの ホームページの しょうひんの せつめいにも のって います。

今日できること

家にある同じ味の飲み物(麦茶やジュースなど)を、家の人と一緒に、ひと口ずつ試します。まず普通に飲み、次に鼻をつまんで、少しだけ口に含みます。味の感じ方がどう変わるか、言葉にしてみましょう。むせないよう、座って、少量で行ってください。

出かけてできること

お店で、かき氷シロップや飲み物のラベルを見て、香料や着色料の表示がどう書かれているか探してみましょう。

公式情報

MSDマニュアル家庭版は、風味の感じ方を医療の立場から説明しています。飲み物の色と味の話は、家にあるジュースの色や名前と味を見比べるところから始められます。

今日できること

家にある飲み物を、少量ずつ、座って口に含み、通常時と鼻をつまんだ時で感じ方を比べる。むせない量にとどめる。結果は条件(量・温度・慣れ)で変わるため、一回の結果を一般化しない。

出かけてできること

複数メーカーのシロップの原材料表示を比べ、共通する原料と異なる原料を書き出す。1社の例を一般化しないために有効。

公式情報・資料案内

日本語では、MSDマニュアル家庭版の風味の項目が入口になる。論文の原文は英語なので、まず出典欄の日本語資料から読むとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

記事の各主張に使った資料。学術論文は抄録・要旨のレベルで確認し、原文全体は読めていない。

  1. DIME「かき氷シロップの解説」 https://dime.jp/genre/935968/ (シロップの主原料と添加物)
  2. HugKum「かき氷のシロップの味は同じ?」 https://hugkum.sho.jp/394306 (味の土台と違いの説明)
  3. J-CASTニュース 2015年7月9日 https://www.j-cast.com/2015/07/09239857.html?p=all (1社の成分比較と鳴海助教のコメント)
  4. MSDマニュアル家庭版「人はどのように風味を感じるのか」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/multimedia/image/人はどのように風味を感じるのか (味覚と嗅覚の関係)
  5. Morrot, Brochet & Dubourdieu (2001) The color of odors. Brain and Language 79. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11712849/ (白ワインを赤く染めた実験の抄録)
  6. Zampini et al. (2007) Food Quality and Preference 18(7). https://produccioncientifica.ugr.es/documentos/61a1f683bd93e62bb6018d5b?lang=en (色と味の識別の実験)
  7. Spence (2019) On the Relationship(s) Between Color and Taste/Flavor. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7037180 (色と風味の研究のレビュー)
  8. macaroni「ブルーハワイとは」 https://macaro-ni.jp/76579 (ブルーハワイの味と由来の説。商品解説で、一次資料ではない)

なおした ところ

更新履歴

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