このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

SPF50は 「50ばい ながく いられる」ってこと? ── ひやけどめの かずの ひみつ

日焼け止めのSPF50は「50倍長くいられる」ではない ── 背中の皮膚で測る数字の読み方

日焼け止めのSPFとPA ── 最小紅斑量の比という意味と、業界基準としての表示、塗る量の限界

分野:からだ

ひやけどめの「SPF50」は、「50ばい ながく 外に いられる」という いみでは ありません。じゃあ、なにを はかった かずなのでしょう。

この メモを よむと、SPFと PAの かずの きめ方と、じぶんに あう えらび方、ぬり方が わかります。

日焼け止めの「SPF50」は、「50倍長く外にいられる」という意味ではありません。人の背中の皮膚に紫外線を当てて、赤くなる量を測り、割り算して出した数字です。

では、なぜそんな測り方をするのでしょうか。この記事を読むと、SPFとPAの数字の意味と、だれが決めているのか、実際に塗るときに気をつけたいことが分かります。

SPF50は「50倍長くいられる」という数字ではない。人の背中で、日焼け止めを塗った部分と塗らない部分とが赤くなる紫外線量を比べた倍率だ[2]。しかもこの数字は、国の規格ではなく業界の自主基準で決まっている[4]。

では、その数字は実際の使い方でも成り立つのか。この記事を読むと、SPFとPAの測り方、表示の成り立ち、試験と実際の塗る量の差、場面に応じた選び方が分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. SPF50は 「50ばい」の なに?

1. SPF50は、時間ではなく「紫外線の量」の倍率

1. SPFは時間の倍率ではなく、赤くなる紫外線量の倍率

SPF50と かいてある ひやけどめを ぬれば、50ばい ながく 日に あたれる。そう おもう 人は おおいかもしれません。

でも SPFは、「あかく なる」ところまでに あびる 紫外線しがいせんの りょうが、なんばいに なるかを あらわした かずです[1]。じかんの かずでは ありません。

日ざしが つよい 日は、おなじ 10ぷんでも あびる りょうが ふえます。だから「50ばい ながく」とは いえないのです。

SPF50と書かれた日焼け止めを塗れば、50倍長く日なたにいられる。そんなふうに受け取っている人は、少なくないかもしれません。

日本化粧品工業会の説明では、SPFは主に紫外線B波(UVB)による「赤くなる日焼け」(サンバーン)を防ぐ効果の目安で、数字が大きいほど効果が高いとされています[1]。つまり測っているのは、赤くなるまでに浴びられる紫外線の量です。

時間に直せない理由は、日差しの強さが季節や時刻で変わるからです[2]。同じ10分でも、浴びる量は日によって違います。数字は「量の倍率」と読むのが正確です。

SPF(Sun Protection Factor)は、主にUVBによるサンバーン(赤くなる日焼け)の防止効果を表し、数値が大きいほど効果が高い。SPFが50より有意に高いときは「SPF50+」と表示する[1]。

ここで注意したいのは、SPFが時間の倍率ではない点だ。測っているのは「赤くなるのに必要な紫外線量が何倍になるか」であり、それが何分に当たるかは日差しの強さで変わる[2]。「SPF50だから50倍の時間もつ」という読み方は、定義からずれている。

では、その倍率は、いったいどうやって数字にするのだろうか。

2. SPFは どうやって はかるの?

2. 背中にランプを当てて、赤くなる量を測る

2. 最小紅斑量の比 ── 塗布部と無塗布部のMEDを割る

はかる ばしょは、なんと 人の せなかです。ひやけどめを ぬった ところと、ぬらない ところに、ランプで 紫外線しがいせんを あてます[2]。

あてる りょうは、5〜6だんかいに かえます。つぎの 日、ほんの すこし あかく なった ところを さがします。

ぬった ところの りょうを、ぬらない ところの りょうで わると、SPFです。10人 いじょうの へいきんを のせています[2]。

測る場所は、人の背中です。日焼け止めを塗った部分と、何も塗らない部分に、ランプで強さを5、6段階に変えた紫外線を当てます[2]。

翌日、かすかに赤くなった最小の量を探します。これを最小紅斑量(MED)といいます。塗った部分のMEDを、塗らない部分のMEDで割った値がSPFです。

環境省の資料にある例では、14.1÷1.25=11.3が、この人で求められたSPFです。実際の表示には、10人以上の平均が使われます[2]。

SPFは、人の背中の無塗布部と塗布部に、5、6段階の紫外線量をランプで照射し、翌日にかすかな紅斑が出る最小の量(最小紅斑量:MED)を求めて、塗布部MED÷無塗布部MEDで算出する。環境省の資料の例では、14.1÷1.25=11.3がその人のSPFで、実際には10名以上の平均値が表示される[2]。

赤くなる反応を直接の指標にするので、紫外線を「どれだけ遮ったか」を機械ではなく人の皮膚で確かめることになる。

ただし、この倍率には前提がある。2mg/cm²の厚さで均一に塗るという条件だ[2]。SPF15は、塗った部分のMEDが塗らない部分の15倍という意味で、SPF30なら30倍、SPF50なら50倍になる。

この倍率を、あえて「紫外線をどれだけ遮るか」の見かたに置きかえる説明もある。実際の通過量そのものではなく、あくまで目安の計算だが、SPF30なら約1/30、SPF50なら約1/50と見なすと、遮る割合は計算上それぞれ約96.7%、98%になる[3]。30から50に上げても遮る割合は約1.3ポイントしか増えないように見えるが、残る分は約4割減る計算だ。

3. PAの「+」は、なにを あらわすの?

3. PAの「+」は、黒くなる反応で測る

3. PAは持続型即時黒化を指標にしたUVA防御の4段階

ひやけどめには「PA++++」のような しるしも あります。この「+」の かずは、なにを あらわして いるのでしょう。

PAは、日に やけて「くろく なる」はんのうを つかって はかります。紫外線しがいせんの なかでも、UVAと いう ものに たいする つよさの めやすです[1]。

+は 1つから 4つまで。ふえるほど、つよい という ことです。むかしは +が 3つが いちばん うえでしたが、2013ねんに 4つめが たされました[5]。

日焼け止めの容器には、SPFと並んで「PA++++」のような表示があります。この「+」は何を表しているのでしょうか。

PAは、紫外線A波(UVA)による「短時間で皮膚が黒くなる反応」を指標にした、UVAを防ぐ効果の目安です。PA+からPA++++まで4段階あり、+が多いほど効果が高いとされています[1]。

PA++++は、2013年に追加された新しい段階です。それまでは、PA+++が最高でした[5]。SPFが赤くなる反応で測るのに対して、PAは黒くなる反応で測る、と覚えると整理しやすくなります。

PA(Protection Grade of UVA)は、UVAによる短時間で皮膚が黒くなる反応(持続型即時黒化)を指標にしたUVA防御効果で、PA+からPA++++の4段階がある[1]。測定ではUVBを除いたUVA光源を当て、照射後2〜4時間の黒化を指標に、SPFと同様に塗布部と無塗布部の比(PFA)を求める。環境省の資料の版では、段階はPA+〜+++の3つだった[2]。

段階は、防御指数の大きさに応じて、+の数が増えるしくみで分けられている。+が多いほど、UVAを防ぐ効果が高い。

PA++++が出荷分から表示できるようになったのは2013年1月1日で、それまではPA+++が最高だった[5]。その背景として、国際標準化機構(ISO)のUVA測定法が2011年12月に制定されたことが挙げられている[4]。

4. この かずは、だれが きめたの?

4. SPFとPAの数字は、国ではなく業界が決めた

4. 表示基準は国の規格ではなく業界の自主基準

こんなに たいせつそうな かずなので、国が きめて いると おもうかも しれません。

でも、SPFや PAの はかり方と ひょうじは、ひやけどめを つくる かいしゃが あつまった 日本けしょうひん こうぎょうかいが きめた きまりです。じぶんたちで つくった きじゅんなのです[4]。

SPFの きまりは 1992ねん、PAの きまりは 2000ねんに はじまりました[4]。

これだけ大切に見える数字なので、国が決めた規格だと思う人もいるかもしれません。

実際は、SPFとPAの数値と試験法は、日本化粧品工業会が定めた業界の自主基準です。SPFの測定法基準は1992年1月に、UVAを防ぐ効果の測定法と表示方法は2000年1月に発効しました[4]。論文の総説でも、SPF値とPA表示は同工業会の業界基準と説明されています[6]。

その後、国際的にも測り方をそろえる動きが進みました。SPFは2007年に国際的な測定法基準が発効し、2010年にはISOとして国際標準化されたと紹介されています[4]。

SPFとPAの数値と試験法は、国の規格ではなく、日本化粧品工業会(連合会)が定めた業界の自主基準だ。SPFの測定法基準は1992年1月、UVA防止効果の測定法基準と表示方法は2000年1月に発効した[4]。2013年の総説(水野)も、SPF値とPA表示を同工業会の業界基準として扱っている[6]。

自主基準だから数字に意味がない、ということではない。試験は人の皮膚を使い、10名以上の平均を取るなど、手順がそろえてある[2]。さらに国際的にも、2007年に国際SPF測定法基準が発効し、2010年にはin vivo(生体を使う)SPF試験法がISOで国際標準化された[4]。

ただし、「基準どおりに測った数字」と「実際に塗ったときの効果」は、同じとは限らない。次の章では、そのずれを見る。

5. ぬる りょうが すくないと どうなる?

5. 試験より薄く塗ると、数字どおりにはならない

5. 試験の2mg/cm²と実際の使用量の差

テストでは、1cm²に つき 2mgの ひやけどめを、たっぷり ぬります[3]。

でも ふだんは、そんなに たっぷり ぬらない 人が おおいと いわれます。ある けんきゅうでは、きゅうかちゅうの 人が ぬった りょうは、テストより すくなかったそうです[7]。

すくなく ぬると、ラベルに かいてある かずどおりの はたらきが でにくく なります。ラベルを みるだけでなく、ぬる りょうも だいじなのです。

SPFの試験は、皮膚1cm²あたり2mgという、かなり厚い塗り方で行われます[2]。

ところが、実際の使用者はもっと薄く塗りがちだとされます。ある休暇中の観察研究(2012年)では、平均0.79mg/cm²で、SPF15の製品が約SPF3相当に下がると見積もられたと報告されています[7]。これは研究者の見積もりで、塗る量に比例して数字が下がると決まっているわけではありません。

SPFの試験条件は、皮膚1cm²あたり2mgで均一に塗ることだ[2]。一方、実際の使用者は0.5〜1.3mg/cm²ほどしか塗らないとされる。ある休暇中の観察研究(2012年)では、平均0.79mg/cm²で、SPF15の製品が約SPF3相当と見積もられた[7]。

この研究は、休暇中の20人を6日間観察した小規模なもので、SPF3相当というのは特定の条件での推定値だ。「SPFは塗る量に比例して下がる」とまでは言えない。試験では2mg/cm²塗るのに対し、実際には薄く塗りがちなことが、ずれの原因として示されている。

だとすると、数字の大きい製品を選ぶより、使い方で差が出る面が大きいのではないか。環境省の資料は、その使い方も具体的に示している。

6. どう えらんで、どう ぬればいいの?

6. 場面に合わせて選び、2〜3時間おきに塗り直す

6. 環境省の資料が示す、場面別の選び方と塗り方

いつも いちばん SPFの かずが おおきい ものが いるわけでは ありません。せんたくものを ほす、かいものに いく ときなどは、そんなに おおきい かずで なくて だいじょうぶです[2]。

うみや スポーツで 長く そとに いる ときは、SPFの かずが おおきい ものを えらびます。みずに はいるなら、みずに つよい ものです[2]。

ぬる とき は、そとに でる まえに ぬります。かおなら、手の ひらに とって、一円玉を おいた くらいの ひろさが うまる りょうを 2かい ぬります。あせで おちるので、2〜3じかん おきに ぬりなおします[2]。

環境省の資料は、使う場面に合わせて選ぶよう勧めています。洗濯物を干す、買い物に行くといった日常なら、それほど数値の高くないもので足ります。炎天下のスポーツや海水浴のように長時間外にいるときは、効果の高いものを選びます。水に入るなら、耐水性の高いものが向いています[2]。

塗り方は、屋外に出る前に塗ります。顔の場合は、手のひらに取り、一円玉を置いたくらいの面積が埋まる量を2回に分けて塗ります。汗や、手や衣類に触れることで落ちるため、2〜3時間おきの塗り直しが目安です[2]。

前の章で見たように、薄く塗るほど数字どおりにはなりにくいので、量と塗り直しは、数字と同じくらい大事な要素と言えそうです。

環境省の資料は、使用場面に応じた選択を勧める。洗濯物干しや買い物など日常的な外出なら数値の高くないもので足りる。炎天下のスポーツや海水浴など長時間の場合は効果の高いものを、水に入るなら耐水性の高いものを選ぶ[2]。数値が高いほど常に良い、という考え方は取っていない。

塗り方は、戸外に出る前に塗ること、顔では手のひらに取って一円玉を置いたくらいの面積が埋まる量を2回塗ること、汗や衣類との接触で落ちるため2〜3時間おきに塗り直すことが示されている[2]。前章の試験条件と実際の塗る量の差を踏まえると、この具体的な量の目安は、数字を実際の効果に近づけるための手がかりと読める。

赤くなる量の倍率であるSPF、黒くなる反応で測るPA、そして業界が決めた基準という3つを合わせると、ラベルの数字は「基準の条件で測った目安」として読むのが筋だと分かる。

7. おうちの ひやけどめを よんで みよう

7. 容器の表示を読んで、数字の意味を確かめる

7. 自分で調べてみたくなったら ── 表示の読み方と資料案内

おうちに ひやけどめが あれば、ようきの ひょうじを よんで みましょう。SPFの かずと、PAの +が いくつか、みずに つよいか どうか。かいてある ことを、ノートに うつして みます。

よんだら、「この かずは あかく なるまでの りょうの ばいりつ」と、おもいだして みてください。なお、ひやけどめを ためすために、わざと 日に あたる ひつようは ありません。

おうちの ひやけどめを よんで、SPFと PAの しるしを さがして みましょう。

家に日焼け止めがあれば、容器の表示を読んでみましょう。SPFの数値、PAの+の数、耐水性の表示などが書かれています。それを書き出して、この記事で見た「赤くなる量の倍率」「黒くなる反応の目安」と、ひとつずつ対応させてみます。

家族の分を比べると、表示の違いが何を意味するのか、考える手がかりになります。ただし、日焼け止めの効果を確かめるために、わざと強い日差しに当たる必要はありません。

家にある日焼け止めの容器を読み、SPFとPAの表示を本文の説明に対応させてみましょう。

手がかりの1つは、手元の製品の表示だ。SPF、PA、耐水性の表示を読み、本文で見たSPFの定義(最小紅斑量の比)とPAの定義(持続型即時黒化を指標にしたUVA防御)に対応づけてみる。SPFの数字の差が、遮る割合の目安でどう見えるかも、自分で計算できる。

資料としては、日本化粧品工業会の「気になる紫外線用語CHECK!」がSPF・PAの定義を、環境省の「紫外線環境保健マニュアル」が測定法と使い方をまとめている。塗布量の研究は、小規模な観察にもとづく推定なので、気になる人は、原論文をたどってみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:日本化粧品工業会の用語解説、環境省の紫外線環境保健マニュアル、業界団体の案内資料、報道記事、学術論文の情報を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 日本化粧品工業会「気になる紫外線用語CHECK!」。https://www.jcia.org/user/public/uv/glossary (SPF・PAの定義と表示について)
  2. 環境省「紫外線環境保健マニュアル」第3章 日焼け止め。https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/03.pdf (測定法、選び方、塗り方について)
  3. Wikipedia「Sun protection factor」。https://en.wikipedia.org/wiki/Sun_protection_factor (2mg/cm²の条件と遮断率の考え方について)
  4. 日本化粧品技術者会 大阪支部 勉強会案内(2012)。https://www.sccj-ifscc.com/uploads/event/event_pdf1/530.pdf (業界自主基準の発効年と国際標準化について)
  5. WWD JAPAN「PA++++導入」の記事。https://www.wwdjapan.com/?p=166092 (PA++++の追加時期と区分について)
  6. 水野誠「日焼け止め製品の紫外線防御効果測定法の現状」日本化粧品技術者会誌 47巻4号(2013)。https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/47/4/47_271/_article/-char/en (SPFとPAが業界基準であることについて)
  7. Petersen & Wulf, Photochemical & Photobiological Sciences(2013)。https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2013/PP/C2PP25127B (実際に塗られる量についての観察研究)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。