1. うしろが ごちゃごちゃ だった パソコン
1. パソコンの背面は、口だらけだった
1. 1996年 ── 多種類のコネクタを置きかえるという出発点
むかしの パソコンの うしろには、マウスの 口、キーボードの 口、プリンターの 口と、形の ちがう 口が ずらっと ならんで いました。
これを 一つに まとめよう、と 1996ねんの 1がつに 公開されたのが USBです。パソコンの 会社など 7しゃが かかわった、と Wikipediaに 書かれて います[1]。
でも、一つに まとめた はずなのに、USBの 口の 形は、そのあと 何どもかわります。まず 気になるのは、一ばん はじめから 形が 2しゅるい あった ことです。
初期のパソコンの背面には、マウス、キーボード、プリンターなど、機器ごとに形の違う口が並んでいました。これを置きかえて、パソコンと周辺機器の接続を単純にする狙いで、USBは1996年1月に公開されました。Compaq、DEC、IBM、Intel、Microsoft、NEC、Nortelの7社が関わったと、Wikipediaは説明しています[1]。USB-IFの一次資料では確かめていません。
ところが、一つにまとめるはずのUSBの口は、その後も何度も形を変えます。まず不思議なのは、最初から形が2種類あったことです。
USBは1996年1月に公開された。PC背面に並んでいた多種類のコネクタを置きかえ、PCと周辺機器の接続を単純にすることが狙いで、Compaq・DEC・IBM・Intel・Microsoft・NEC・Nortelの7社が関わった。以上はWikipediaの記述に基づき、USB-IFの一次資料では確認していない[1]。
統一が目的だったにもかかわらず、その後の約30年でコネクタの形は繰り返し変わっている。しかも出発点の時点で、口の形はすでにA・Bの2種類に分かれていた。この分け方に理由があったのかが、最初の問いになる。
2. どうして 四角い 口と、かどが かけた 口が あるの?
2. AとBの形を分けたのは、つなぎ間違いを防ぐため
2. Type-AとType-B ── 役割で形を分ける設計
パソコンの 口は 平たい 四角。プリンターなどの 口は、ほとんど 正方形で、かどが かけて います。この 2つが Type-A と Type-B です。
パソコンなど、つなぐ 相手を 「まとめる」 がわの きかいには Type-A の 口、つながれる がわの ききには Type-B の 口。役目ごとに 形を 分けました[2]。
こうすれば、パソコン どうしや、電気を 出す どうしを、うっかり つなぐ ことを ふせげる、という 話も あります[2]。ただ、この 形に した 一ばん の 理由が 書かれた 昔の 仕様書までは、今回は たしかめられませんでした。
初期のUSBでは、パソコン側(ホスト)の受け口は四角いType-A、周辺機器側の受け口は、ほぼ正方形で角を欠いたType-Bと、役割で形を分けました[2]。
AとBは、ホストと周辺機器の役割を形で分けたものです。電源同士などの誤接続を防ぐ意図だった、という説明もあります[2]。「どちらがどちらか」を、差し込む前に形で伝える工夫です。
ただし、この設計意図を仕様書本文で確かめたわけではなく、ここは百科事典系の説明に基づく理解です。向きの間違い防止が目的だった、という話ではない点も、書き添えておきます。
初期のUSBは、ホスト側にType-A、周辺機器側にType-Bの受け口を置く構成だった。Bは正方形に近く角を欠いた形で、Aは平たい長方形である[2]。役割ごとに形を分けたのは、電源同士などの誤接続を防ぐ意図だったとする説明もある[2]。
この説明はUSB-IFの仕様書本文ではなく、百科事典系の資料に基づく。仕様書本文はここでは開けなかったため、設計意図の断定は避ける。また、A/Bの区別が守るのは「役割の取り違え」であり、プラグの裏表の向きではない。裏表の問題は、後のType-Cで初めて正面から扱われる。
役割を形で示す設計は分かりやすい一方、B側の口は正方形に近く、そのままでは薄い携帯機器には大きすぎた。次の変化はここから起きる。
3. 小さな 電話や カメラに、大きな 口は 入る?
3. 携帯機器に入らない ── miniとmicroで小さくした
3. 2000年のmini、2007年のmicro ── 小型化と耐久のせめぎ合い
USBが 広がると、小さな 携帯の ききにも つなぎたく なります。でも、Type-B では 大きすぎます。
そこで 2000ねんの 4がつ、USB 2.0 と いっしょに、もっと 小さい Mini-USB が 出ました。ぬき さしの 回数は、しらべた ものに よると やく5000回と され、ふつうの 口の 1500回より 多く なりました[2]。
2007ねんには、さらに うすい Micro-USB が 登場します。ぬき さしは、しらべた ものに よると 10000回と される つよい つくりです[2]。携帯電話の じゅうでん口として 見た ことが ある人も 多いはずです。
ところで、Mini-USB の 一部(Mini-A と Mini-AB)は、2007ねん5がつから、あたらしい せいひんに 使っては いけない ことに なりました[2]。小さく するだけでは たりなかった のでしょうか。
USBが普及すると、携帯機器にもつなぎたい場面が増えます。しかしType-Bの口は、薄い機器には大きすぎました。
そこで2000年4月のUSB 2.0とともに、小型のMini-USBが登場します。抜き差しの耐久は、Wikipediaの資料では約5,000回、標準サイズは1,500回とされ、仕様書では確認していません[2]。
2007年には、さらに薄いMicro-USBが現れました。全Microコネクタの耐久は10,000回とされ、丈夫さを一段引き上げています[2]。携帯電話の充電口としておなじみの形です。
一方で、Mini-AとMini-ABは、2007年5月に新製品での使用が禁止(deprecated)されました。ただしMini-Bは禁止されていません[2]。禁止の理由はここで使った資料には書かれておらず、小型化の歩みの中で整理された、という以上のことは言えません。
USBが携帯機器にも使われるようになると、Type-Bのサイズが制約になった。2000年4月のUSB 2.0とともに登場したMini-USBは、抜き差し耐久が約5,000回、標準コネクタが1,500回とされる。数値はUSB-IF仕様書ではなくWikipedia経由の記述である[2]。この資料による限り、小型化で壊れやすくなったわけではない。
ところが、Mini-A・Mini-AB受け口は2007年5月に新製品での使用が禁止(deprecated)された。禁止されたのはこの2つで、Mini-Bは対象外である[2]。使った資料は禁止の理由まで述べておらず、この点は推測を避ける。
同じ2007年に登場したMicro-USBは、Miniより薄く、全Microコネクタの耐久定格は10,000回である[2]。ただし「2007年」は仕様書の版の日付を含み、発表日は資料によって1月と4月にずれるため、年までにとどめる。
小型化と耐久が進んでも、まだ解けない悩みが残っていた。差し込むときの向きである。
4. 「うら、おもて どっち?」を なくせる?
4. 裏表を気にしない口、Type-C
4. 2014年 ── Type-Cは、向きと引きかえに互換を手放した
USBの 口に さそうとして、うまく 入らず、ひっくり返して やっと 入った。そんな ことは ありませんか。
2014ねん8がつ、あたらしい USB Type-C の しくみが かんせいしたと 発表されました。プラグの 向きも、ケーブルの 向きも 気にしなくて いい つくりです[3]。大きさは Micro-USB に ちかく、うすい 電話にも 入り、ノートパソコンや タブレットにも 使える ほど じょうぶだと されました[3]。
ただし、前の A・B・Micro-B の 口とは、そのままでは つながりません。へんかんの ケーブルや アダプターで おぎなう ことに なります[3]。
つかい やすさの ために、あえて 前の 形との つながりを 手ばなした のです。
USBの口に差そうとして、うまく入らず、ひっくり返してようやく入った経験はないでしょうか。
2014年8月12日、USB 3.0 Promoter Groupは、Type-Cの仕様が完成したと発表しました。プラグの向きもケーブルの向きも選ばないのが特徴です。受け口は約8.4mm×約2.6mmで、大きさはMicro-Bに近く、耐久は10,000回とされます[3]。
発表では、薄い携帯電話にも入り、ノートPCやタブレットにも十分丈夫な、まったく新しい設計だと説明されました。発表資料は、最大100Wの電力とUSBデータ機能を組み合わせた「単一ケーブル解決策」を掲げ、映像を含むドック接続の例を示しています[3]。
その代わり、従来のA・B・Micro-Bとは直接つながりません。変換ケーブルやアダプタで補う前提でした[3]。
資料は「向きを選ばない」としか書いておらず、向きで悩む人が多かったことが開発の動機かどうかは、確かめられません。ただ、結果として、裏表の悩みはなくなりました。
2014年8月12日、USB 3.0 Promoter Group(HP・Intel・Microsoft・Renesas・STMicroelectronics・TI)はType-Cの仕様完成を発表し、管理はUSB-IFに移った。受け口は約8.4mm×約2.6mmでMicro-Bに近い大きさ、耐久は10,000回、プラグの向きもケーブルの向きも問わない[3]。
なぜここまで新しく設計し直したのか。発表資料は、薄い携帯電話にも入り、ノートPCやタブレットにも十分な強度を持つこと、そして最大100Wの電力とUSBデータ機能を組み合わせた「単一ケーブル解決策」を掲げ、映像を含むドック接続の例も示している[3]。議長のBrad Saundersは、PC・携帯・自動車・IoTの各業界がこの規格の登場を待っていたと述べた[3]。
そのため、Type-Cは従来のA・B・Micro-Bとは直接つながらず、変換ケーブルやアダプタで補う設計になった[3]。既存の機器との互換を保つより、小型・丈夫・向き自由・単一ケーブルという新しい要求を満たすことを選んだ、と読める。ただしこれは資料をつき合わせた筆者の整理で、資料が一言で述べたものではない。
向きの悩みが開発の動機だったと明言する資料も、今回は確認できなかった。「reversible(裏返せる)」という特徴の記述が根拠である。早い時期の搭載例は、2015年初めのMacBookとNokia N1タブレットだった[4]。
5. おなじ 形なのに、ぜんぶ おなじ?
5. 同じ形でも中身は違う。そして法律が動いた
5. 同じ形・違う能力と、EUの共通充電器規則
Type-C の 口は、どれも 同じ 形に 見えます。でも ケーブルに よって、送れる 電気の 大きさが ちがいます。
USBを つくる あつまり(USB-IF)は、Type-Cの ケーブルで さいだい 240ワットまで 送れる きまりを 2021ねんに 発表しました[5]。ただし これは きまりの 上の 数字で、手もとの ケーブルが そうとは かぎりません。
さらに、ヨーロッパでは 2024ねん12月28日から、携帯電話や タブレットなどを 売る ときは、Type-Cで じゅうでん できる ことが 決まりに なりました[6]。ノートパソコンは 2026ねん4月28日からです[6]。
むだな じゅうでんきを へらす ねらいが あります。
Type-Cの口は、どれも同じ形に見えます。しかし、ケーブルによって対応する電力が違います。標準の3A・上限20Vで60W、5A対応で100W、そして2021年に発表されたUSB Power Delivery 3.1では、28V・36V・48Vが加わり、最大で140W・180W・240Wまで、Type-Cのケーブルとコネクタで送れるようになりました。240Wは5A×48Vです[5]。
240Wは規格上の上限で、手元のケーブルが対応しているとは限りません。
形を統一する動きは、法律にも及びました。EUの指令2022/2380は、2024年12月28日から、携帯電話・タブレット・デジタルカメラ・ヘッドホン・携帯ゲーム機・スピーカー・電子書籍リーダーなどにUSB-Cでの充電を求めています。ノートPCは2026年4月28日からです[6]。EUで売る機器が対象で、ほかの国の法律ではありません。
欧州委員会は、使われない充電器が年に約11,000トンの電子ごみになっていること、不要な充電器の購入を減らせば消費者は年に約2億5000万ユーロを節約できる見込みであることを、理由として挙げています[6]。
Type-Cは、同じ形のままケーブルの能力が異なる。標準では3A・最大20Vで60W、5A対応で100Wだが、2021年発表のUSB PD 3.1が28V・36V・48Vの固定電圧を加え、140W・180W・240Wまで、Type-Cのケーブルとコネクタで送れるようにした。240Wは5A×48Vにあたる[5]。これは規格上の上限で、手元のケーブルが対応するとは限らない。
では、形の統一はどこまで進んだのか。EU指令2022/2380は、2024年12月28日から、携帯電話・タブレット・デジタルカメラ・ヘッドホン・携帯ゲーム機・スピーカー・電子書籍リーダー・キーボード・マウス・携帯ナビ・イヤホンにUSB-Cでの充電を求め、ノートPCは2026年4月28日から対象になる[6]。適用範囲はEUで売られる機器であり、他国の法律ではない。
欧州委員会は、廃棄・未使用の充電器が年に約11,000トンの電子ごみになっていること、不要な充電器の購入を減らすことで消費者が年に約2億5000万ユーロを節約できる見込みであることを、この規則の理由として挙げる[6]。11,000トンは「廃棄・未使用の充電器」の量で、規則による削減見込みの数字ではない。
EU以外の携帯電話の充電口の歴史(ドコモの統一やLightningなど)は、別の記事で扱っている。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること
おうちの ケーブルを 何本か あつめて、はしの 形を 見くらべて みましょう。A、B、Micro、Type-C のどれか、さがして みて ください。コンセントや きかいには つながずに、見るだけです。
今日できること
家にあるケーブルを何本か集めて、端の形を見比べてみましょう。A、B、Micro、Type-Cのどれか、また、mini(小さい台形に近い形)があるかを探します。機器につながず、見るだけにします。
今日できること
手元のケーブルの端の形を、A・B・mini・micro・Type-Cに分けて並べてみる。古い機器ほど、規格の世代が形に表れているのが分かる。機器につなぐ必要はない。
資料を読むなら
- USB-IFのUSB Charger(USB PD)のページ ── 240Wまでの電力の規格を確認できる(英語)。
- 欧州委員会のニュース ── 共通充電器の規則の対象機器と日付を確認できる(英語)。
- USB Type-Cの発表資料 ── 従来の口と直接つながらないという記述の原文(英語)。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
Wikipediaは概要をつかむために使い、数値は発表資料や公式の資料でも確認できたものだけを本文の中心に置いた。
- Wikipedia「USB」 https://en.wikipedia.org/wiki/USB (1996年の公開と7社)
- Wikipedia「USB hardware」 https://en.wikipedia.org/wiki/USB_hardware (A/Bの役割、mini・microの耐久と禁止)
- USB 3.0 Promoter Group「USB Type-C Specification Announcement」(2014-08-12) の写しとして公開されたPDF https://docs.ampnuts.ru/eevblog.docs/Standards/USB%203.1/USB_Type-C_Specification_Announcement_Final.pdf (Type-Cの特徴と、従来の口と直接つながらない記述。写しのため、USB-IFの正規のページも確認したい)
- Wikipedia「USB-C」 https://en.wikipedia.org/wiki/USB-C (早い搭載例)
- USB-IF「USB Charger (USB PD)」 https://www.usb.org/usb-charger-pd (240Wまでの電力)
- European Commission「EU common charger rules」 https://commission.europa.eu/news/eu-common-charger-rules-power-all-your-devices-single-charger-2024-12-28_en (EUの規則の対象・日付・理由)
なおした ところ
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