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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ウォークマンから MP3まで ── おんがくを もちあるく ようになった わけ

「録音できない」機械が売れた ── ウォークマンからMP3、iPodへ

ウォークマンからMP3・iPodまで ── 携帯音楽の1979〜2001年と、圧縮の原理・私的複製の範囲

分野:技術

1979ねんに うられた ウォークマンには、録音ろくおんの ボタンが ありませんでした。「これでは うれない」と いう 声も あったそうです。

それでも、この きかいは わかい 人を 中心に うれました。おんがくを もちあるく ことは、どう かわって いったのでしょう。MP3が ちいさく なる わけと、CDを パソコンに とりこむ ときの きまりも わかります。

1979年に発売された初代ウォークマンには、録音の機能がありませんでした。「録音できなければ売れない」という声もあったそうですが、若い人を中心に売れていきます。

なぜ、再生するだけの機械が受け入れられたのでしょうか。その後のMP3やiPodまでの流れ、MP3のファイルが小さくなる仕組み、CDを取り込むときに守る範囲が分かります。

1979年7月1日発売の初代ウォークマン(TPS-L2)は再生専用で、「録音できなければ売れない」との声もあったが、初回3万台は発売から2か月余りで売り切れたとされる[1][2]。

なぜ再生専用機が売れたのか。MP3は音をどう小さくしているのか。CDの取り込みは日本の著作権法でどこまで認められるのか。公式発表や法令などの資料をつき合わせて、この3点への答えが分かる。

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1. ウォークマンの まえは、どうだった?

1. ウォークマンの前にも、持ち歩く音はあった

1. 前史 ── 1955年のトランジスタラジオTR-55

おんがくを そとで きく ことは、ウォークマンより まえにも できました。ラジオです。

1955ねんに、いまの ソニーの もとに なった 会社が、日本で はじめての トランジスタラジオ「TR-55」を うりました[3]。

もちはこべる ラジオの、はじまりの ひとつです。

ラジオは、きく ばんぐみを えらべません。すきな きょくを すきな ときに きく ことは、まだ できませんでした。

持ち歩けるラジオのはじまり

1955年、のちのソニーにあたる東京通信工業が、日本初のトランジスタラジオ「TR-55」を発売しました[3]。持ち歩けるラジオの、はじまりのひとつです。

外へ音を持ち出したいという気持ちは、この頃からあったのでしょう。

ただしラジオは、放送されているものしか聞けません。好きな曲を好きなときに聞くには、次の道具が必要でした。

1955年、東京通信工業(のちのソニー)が日本初のトランジスタラジオTR-55を発売した[3]。

ラジオは携帯性を得たが、聞く内容は放送側が決める。「選んだ音楽を持ち歩く」には、カセットのような再生媒体が要った、というのがこのメモの見立てである。

2. ウォークマンは、どうして うまれたの?

2. 飛行機の中でも音楽を、という願い

2. 誕生 ── 1979年7月1日・33,000円・初回3万台

ウォークマンが うられたのは、1979ねん 7月1日です。ねだんは 3万3000円。さいしょに つくったのは 3万だいでした[1]。

うまれた きっかけは、ソニーの えらい 人の ねがいだった といわれます。しゅっちょうで のる ひこうきの なかでも、おんがくを きけたら いいな、と おもったのです[1]。

ちいさな カセットの きかいを つくりなおして、録音ろくおんの はたらきを のぞき、きくだけの きかいに しました[1]。

1979年7月1日の発売

初代ウォークマン(TPS-L2)の発売は、1979年7月1日です。価格は33,000円で、最初に作られたのは3万台でした[1]。

きっかけは出張の飛行機

ソニーの公式サイトの説明を紹介する記事によると、井深大名誉会長(当時)が、出張中の飛行機の中でも音楽を聴きたいと望んだのが始まりとされます。小型のカセットレコーダー「プレスマン」を改造して、再生専用の機械が作られました[1]。

初代機TPS-L2は1979年7月1日に33,000円で発売され、初回生産は3万台だった[1]。開発の発端は、井深大(いぶか・まさる)名誉会長(当時)が出張中の機内でも音楽を聴けるよう、小型カセットレコーダー「プレスマン」の改造を望んだことだとされる。録音機能は付けられなかった[1]。

発案者や動機については、ソニーの説明として「とされる」範囲にとどめる。なお「ウォークマン」は商標であり、以降は初代機の説明として製品名を用いる。

3. 「ろくおん できないと うれない」は ほんとう?

3. 録音なしで、本当に売れたのか

3. 設計と受容 ── 2つのジャックとHOT LINE、初月の不振

ウォークマンには、ヘッドホンを さす ところが 2つ ありました。ふたりで いっしょに きけます[2]。

まわりの おとを ひろって、ともだちと はなせる ボタンも ありました。名まえは「HOT LINE」です[2]。

「録音ろくおんが できないと うれない」と いう 声も あったそうです[2]。はじめの 1か月は、あまり うれませんでした。でも 2か月を すぎる ころには、さいしょの 3万だいが うりきれたと いわれます[1]。

「うれない」と いわれた きかいが、ひとりで きく たのしさで 人気に なりました。

ふたりで聴く設計

初代機は、ヘッドホンをつなぐ差し込み口が2つあり、2人で聴ける作りでした。さらに、周囲の音を取り込んで会話ができる「HOT LINE」というボタンも付いていました[2]。一人で楽しむ機械というより、誰かと分け合う機械として考えられていたようです。

最初の1か月は、うまくいかなかった

「録音機能がなければ売れない」という声もありました[2]。発売の初月は売れ行きが奮わなかったものの、2か月余りで初回分は売り切れたとされ、若者を中心に広がりました[1][2]。「発売した日から大ヒット」ではなかった点が、意外なところです。

初代機は再生専用で、ヘッドホン端子を2つ備え、周囲の音を取り込んで会話できるHOT LINEボタンを持った[2]。「録音機能なしでは売れない」という懸念もあったが、若者を中心に売れたという[2]。

nippon.comによれば、発売初月は奮わず、2か月余りで初回3万台が売り切れたとされる[1]。「初日から大ヒット」という語りは、この資料と合わない。

4. MP3は、どうして ちいさく なるの?

4. MP3のファイルが小さくなる仕組み

4. MP3の圧縮 ── マスキングと「約10分の1」

CDの おんがくを そのまま パソコンに いれると、ファイルは とても おおきく なります。MP3は、それを 10ぶんの 1ほどに できるといわれます[6]。

どうやって ちいさく するのでしょう。ヒントは、「マスキング」です。おおきな 音が すると、そばの ちいさな 音が きこえにくく なる ことを いいます[5]。

にぎやかな ところで、ともだちの ささやき声が きこえないのと にています。MP3は、きこえにくい ぶぶんを あらく あつかって、ぜんたいを ちいさく します。

ただし、きこえない 音を ぜんぶ けすわけでは ありません。

CDは、どれくらい大きいのか

CDの音声は、1秒あたり約1,411キロビットのデータです[6]。例えば1秒に128キロビットのMP3にすると、1411÷128で、約11分の1になります。教材では、目立った音質の低下なしに、おおよそ10分の1に縮められるとも紹介されています[6]。どちらも目安で、設定によって変わります。

聞こえにくい音を粗くあつかう

MP3の開発に関わったブランデンブルクさんは、MP3が「信号の統計」と、ある音が別の音を聞こえにくくする「マスキング」に頼っていると説明しています[5]。大きな音の直後の音が聞こえなくなる時間的なマスキングもあるそうです[6]。

にぎやかな教室で、遠くの友だちのささやきが聞こえないのと似ています。ただし本当は、聞こえにくい情報を粗く扱うだけで、聞こえない音を全部消すわけではありません。

CD音声のビットレートは1.4112Mbit/sである[6]。128kbpsのMP3を例にとれば、1411÷128≒11.0で約11分の1になる(128kbpsは例示)。OpenLearnの教材は、MP3が目立った主観的劣化なしに一般に約10:1の圧縮を達成すると述べる[6]。

原理について、開発者のブランデンブルクは、MP3が信号の統計と「マスキング」に依拠すると述べている[5]。マスキングとは、ある音が別の音の知覚を妨げる現象で、直後の音が聞こえなくなる時間的マスキングも教材で紹介されている[6]。知覚しにくい成分に割くデータを減らす、という設計である。「聞こえない音をすべて削除する」という説明は単純化のしすぎで、聞こえにくい成分を粗く扱う、というのが資料の説明である。

5. MP3を つくった 人たちは、なにに こまった?

5. 声だけの曲で苦戦した開発チーム

5. 開発史 ── 1987年の開始と『Tom's Diner』

MP3を つくった のは、ドイツの けんきゅうじょの ひとたちです。1987ねんに はじまったと いわれます[4]。

ためしに つかった きょくの ひとつが、スザンヌ・ヴェガの「Tom's Diner」です。ばんそうが なく、声だけで うたう 曲です[5]。

この 曲は、ちいさく するのが むずかしかった そうです。声の 音は、こまかい 音が いくつも かさなって 広い はんいに ひろがるからです[5]。

むずかしい 曲で みがいた おかげで、MP3は つよく なりました。

ドイツの研究所で始まった

MP3の開発は、1987年にドイツのフラウンホーファー研究機構で始まったとされます。ブランデンブルクさんたちのチームが進めました[4]。1995年7月14日には、ファイルの拡張子が「.mp3」に決まったと伝えられています。これは呼び名が決まった日で、MP3が発明された年ではありません[4]。

声だけの曲がむずかしかった

チームは、スザンヌ・ヴェガさんの、伴奏のない「Tom's Diner」で圧縮に苦戦し、この曲を使ってアルゴリズムを磨いたとされます。声は、基本の音とその倍音が別々に符号化され、広い帯域が必要になるためです[5]。ただしこれは「最初のMP3曲」ではなく、テストに使われた曲のひとつです。

MP3(MPEG-1 Audio Layer 3)の開発は1987年にフラウンホーファー研究機構のブランデンブルク(Karlheinz Brandenburg)らのチームが進め、1995年7月14日にファイル拡張子が「.mp3」に決まったとされる[4]。1995年は拡張子の決定年であり、発明年ではない。

チームは伴奏なしのSuzanne Vega『Tom's Diner』の圧縮に苦戦し、この曲でアルゴリズムを磨いたと本人が語る。声は基本周波数と倍音が別々に符号化され、広い帯域を要するため、利用可能なビットレートの約4倍が必要と報告した、という記述がある[5]。

6. iPodで、なにが かわったの?

6. 「1,000曲をポケットに」のiPod

6. iPod(2001年)── 5GB・約184g・1,000曲

2001ねんの 10月、アメリカの アップルが「iPod」を はっぴょうしました[7]。

5ギガバイトの ディスクに、CDと おなじ 音の 曲を 1000きょくまで いれられると しました。おもさは 6.5オンス、やく 184グラムです[7]。

ウォークマンでは カセットを いれかえて きいて いました。iPodは 1000きょくが ポケットの 中の 1だいに はいります。

ねだんは、アメリカで 399ドルでした[7]。

2001年10月23日の発表

2001年10月23日、アメリカのAppleがiPodを発表しました。5GBのハードディスクに、CD音質の曲を最大1,000曲入れられるとしています。重さは6.5オンス(約184グラム)で、希望小売価格はアメリカで399ドルでした[7]。

FireWireという方式で、1枚分のCDの曲を10秒未満で転送できるとも発表されています[7]。

カセットとくらべると

ウォークマンではカセットを入れ替えて聴いていたのが、iPodでは1,000曲がひとつの機械に入ります。

Appleは2001年10月23日にiPodを発表した。5GBのハードディスクに最大1,000曲(CD音質と表記)、重量6.5オンス(約184g。6.5×28.35≒184.3)、希望小売価格は米国で399ドルだった[7]。FireWire接続で1枚分の曲を10秒未満で転送できるとも発表した。円換算はしない(為替と時期の前提が要るため)。

MP3の圧縮(第4章)が、限られた容量に多くの曲を収める前提になった、という流れは読み取れる。

7. CDを パソコンに とりこむのは、じゆうなの?

7. CDの取り込みは、どこまで自由か

7. 私的複製 ── 著作権法30条1項と、その外側

買った CDの おんがくを、じぶんが きくために コピーする ことは、日本の きまりで みとめられる ばあいが あります[8]。ただし、コピーを ふせぐ しかけを こわさず、じぶんや 家ぞくなどの かぎられた 中で つかう ときだけです。

「なんでも じゆう」では ありません。ともだちに くばったり、ネットで だれでも きけるように したりするのは、じぶんや 家ぞくの ためとは いえないからです。

コピーを ふせぐ しかけを、わざと こわして コピーするのも、みとめられて いません[8]。

この きまりは 著作権ちょさくけんを まもる ためです。くわしい ことは、おうちの 人と いっしょに 調べて ください。

「私的使用」という考え方

日本の著作権法30条1項は、個人的に、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲で使う目的なら、使う本人が複製できると定めています[8]。買ったCDを、自分が聴くためにパソコンやプレーヤーへ取り込むのは、コピー防止の仕組みを回避せず、私的使用の範囲で行うなら、この考え方の中に入ります。

例外と、外側にあるもの

例外として、コンビニのコピー機のような公衆用自動複製機器での複製、コピー防止の仕組み(技術的保護手段)を知りながら回避しての複製、違法にネットへ送信されたものを知りながらのデジタル録音・録画などが挙げられています[8]。友だちへの配布やネットでの公開は、私的使用の外です。

法律の説明は、個別の場面で判断が分かれることがあります。迷ったら、文化庁など公的機関の案内を読むのがよいでしょう。

著作権法30条1項は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(私的使用)を目的とするときは、その使用する者が複製できると定める[8]。買ったCDを自分用に取り込む行為は、技術的保護手段を回避せず私的使用の範囲で行う限り、この枠内で説明される。

例外として、公衆用自動複製機器を用いた複製、技術的保護手段の回避を知りながら行う複製、違法にネット送信されたものを知りながら行うデジタル方式の録音・録画などが定められている[8]。友人への配布や公開は私的使用の外にある。号ごとの細かい条文番号は本文で扱わず、個別事案の適否も判断しない。

8. きこえにくく なる 音を ためして みよう

8. 「聞こえにくくなる」を確かめてみよう

8. 出口 ── マスキングの体験と、資料の読みどころ

おんがくを ちいさな おとで ながします。ボリュームは、ちいさめに して ください。

そのそばで、おうちの 人に、すいどうの 水を ながして もらいます。おんがくは どう きこえますか。

水を とめると、また きこえやすく なる ことが あります。おおきな 音の そばでは、ちいさな 音が かくれる ことが あります。これが マスキングです。

耳を まもる ため、おおきな 音で ためすのは やめましょう。

小さな音量で音楽を流します。そのそばで、水道の水を流してみましょう。音楽の細かい部分が、水の音にかき消されて聞こえにくくなることがあります。

水を止めると、聞こえやすくなることがあります。これがマスキングです。MP3はこの性質を利用して、聞こえにくい部分を粗く扱っています[5]。

耳を守るため、音量は小さめにして、大きな音では試さないでください。もっと読みたくなったら、ブランデンブルクさんのインタビュー[5]や、Appleの発表文[7]を開いてみてください。

小さな音量で音楽を流し、そばで水道を流すと、音楽の細部が聞き取りにくくなる。これがマスキングの体験である。音量は小さくし、聴覚を守る。ただし家庭の水音と、MP3が扱う心理音響モデルは同じ精度の話ではなく、体感の類推にとどまる。

資料を読むなら、MP3の原理と開発の経緯はFraunhoferのブランデンブルク・インタビュー[5]、圧縮率はOpenLearnの教材[6]、iPodの発表内容はApple Newsroom[7]、私的複製は著作権法の条文[8]を、それぞれ読める。英語の資料が多いので、まず日本語で書かれた著作権法の条文[8]と、この記事の説明を手がかりにするとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:ソニーの製品に関する記述は報道・二次資料が中心である。Appleの発表と著作権法の条文は一次資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. nippon.com「ウォークマン」(Japan Topics)。https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00726/ (発売日・価格・初回生産数・誕生の経緯の紹介について。孫引き)
  2. All About ニュース。https://news.allabout.co.jp/articles/o/81583/ (初代機の設計と「録音なしでは売れない」の声について。二次資料)
  3. Wikipedia「TR-55」。https://en.wikipedia.org/wiki/TR-55 (1955年のトランジスタラジオについて。二次資料)
  4. Internet Hall of Fame「How MP3 got its groove」(2014年)。https://www.internethalloffame.org/2014/08/13/how-mp3-got-its-groove/ (MP3開発の年号について)
  5. Fraunhofer「MP3 inventor Brandenburg interview」。https://fraunhofer.de/en/quick-links/alumni/news/mp3-inventor-brandenburg-interview.html (マスキングの説明と『Tom's Diner』の逸話について)
  6. Open University OpenLearn「Exploring communications technology」3.6。https://www.open.edu/openlearn/digital-computing/exploring-communications-technology/content-section-3.6 (CDのビットレートと圧縮率の目安について)
  7. Apple Newsroom「Apple Presents iPod」(2001年10月23日)。https://www.apple.com/newsroom/2001/10/23Apple-Presents-iPod/ (iPodの仕様・価格の発表について。一次資料)
  8. 著作権法30条(e-Gov法令検索)。https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048 (私的使用のための複製とその例外について。一次資料)

なおした ところ

更新履歴

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