1. たいふうの よる、じょうすいじょうでは なにが おきたの?
1. 台風の前日から、浄水場は何を準備したのか
1. 高濁度が予想された浄水場は、台風の前に何をしたか
たいふう19ごうの とき、じょうすいじょうの ひとたちは、たいふうが くる まえの ひから じゅんびを しました。きかいを てんけんして、くすりを おおめに かって、どろを ためる ばしょも そうじして おきました[1]。
かわの みずは、うえの ダムの みずを たくさん ながしたために、とても にごりました。にごりの つぶは、とても こまかい どろでした。つちの においも しました[1]。
この じょうすいじょうは、つくる みずの りょうを 3わりほど へらして、ほかの じょうすいじょうに たすけて もらいました。むりを しない ことも、たいせつな しごとです。
では、こまかい どろの つぶは、どうして そのままでは しずまないのでしょう。
2. どろの つぶは、どうして しずまないの?
2. 細かい泥の粒が、放っておいても沈まないのはなぜか
2. コロイド粒子が沈まないのは、電荷で反発しあうから
にごりの こまかい つぶは、たいてい マイナスの でんきを もって います。おなじ マイナスどうしは、ちかづくと はんぱつして はなれます。じしゃくの おなじ きょくを ちかづけると、おしあうのと にた ようすです。ただし ほんとうは、にごりの つぶが じしゃくで できて いるわけでは ありません。
だから、つぶは くっつかず、ばらばらの まま みずの なかを ただよいます[3]。じっと まって いても、なかなか きれいに なりません。
それなら、この はんぱつを よわく できたら、どう なるでしょう。
3. くすりを いれた あと、どうやって かたまりを つくるの?
3. 薬を入れたあと、粒をどう塊にして沈めるのか
3. 荷電中和のあとの撹拌 ── フロックを作り、沈殿池で分ける
くすりを いれて、でんきの はんぱつが よわく なっても、つぶが ぶつからなければ、かたまりに なれません。そこで、みずを ぐるぐると まぜて、つぶどうしを ぶつけます[2]。
かたまりは「フロック」と よばれます。にごりの かたまりの ことです[4]。
フロックが おおきく おもく なると、そこに しずんで いきます。うわの みずは、ずっと すきとおって きます。
でも、くすりを どのくらい いれれば いいのでしょう。
4. くすりの りょうは、だれが どうやって きめるの?
4. 薬の量は、ビーカーの実験で決める
4. 注入率をジャーテストで決める ── 台風時の最大70mg/L
くすりの りょうは、きかいまかせでは ありません。ビーカーに みずを すこしずつ とって、くすりの りょうを かえて いれて みます[6]。
どの ビーカーが いちばん よく かたまって、きれいに しずんだかを 見て、ほんとうの りょうを きめます。この ためしを「ジャーテスト」と いいます。
たいふうの ときも、ジャーテストで くすりの りょうを きめました。みずの にごりや せいしつは、2〜3じかんごとに はかりなおしました[1]。
みずの ようすが かわれば、ちょうど いい りょうも かわるからです。
薬の量を決めるのが、ジャーテストです。同じ水を何本かのビーカーに取り、薬の量を段階的に変えて入れ、混ぜてフロックができる様子を比べて、よい結果が出る量を探します。ある研究の例では、水を50mLずつ取り、薬の量を変えながら混ぜる方法が使われました[6](この例は地下水の研究で、浄水場の標準手順とは限りません)。
台風のときの小雀浄水場は、原水のアルカリ度(24度まで低下)などを見ながらジャーテストを行い、凝集剤PACの注入率を最大70mg/L(水1Lあたり70mg)に設定しました。濁度・アルカリ度・塩素要求量・臭気は、2〜3時間おきに測っています[1]。
水の状態は刻々と変わるため、薬の量も測り直して決め続けます。決めた薬で、実際に濁りはどこまで下がったのでしょうか。
ジャーテストは、原水に凝集剤の量を変えて加え、フロックを形成させて、最適な注入量を探索する試験である。横浜市衛生研究所の例では、原水50mLを採り、PACなどの量を段階的に変えてマグネチックスターラーで撹拌する方法がとられた[6]。ただし、この例は色度150度の地下水を対象とした研究であり、浄水場の標準手順と読むべきではない。
台風19号のときの小雀浄水場では、原水のアルカリ度が24度まで低下する状況で、ジャーテストにより凝集剤PACの注入率を設定し、最大70mg/Lとした。原水の濁度・アルカリ度・塩素要求量・臭気は、2〜3時間おきに測定して注入率の見直しに備えた[1]。原水が短時間で変化する以上、一度決めた値を使い続けることはできない。では、その設定で、濁りは工程ごとにどこまで下がったのか。
5. さいごに、すなの そうは なにを するの?
5. 沈まなかった濁りを、砂の層はどう受け止めたのか
5. 沈殿池で落ちきらなかった濁りを、ろ過池はどう受け止めたか
おおきな フロックは しずみますが、ぜんぶが しずむ わけでは ありません。しずみきらなかった にごりは、すなの そうを とおる あいだに ひっかかります[4]。
たいふうの ときは、しずんだ あとの みずでも、にごりが 9〜18 に なった ところが ありました。それでも、すなの そうを とおった あとは、さいだい 0.02 でした[1]。
すなの そうは、よごれるので、ときどき したから みずを ながして あらいます。たいふうの ときは、あらう かいすうを ふやしました。
ふだんは、およそ 3日に 1どの ペースで あらう れいも あります[4]。
大きなフロックは沈殿池で沈みますが、細かい分は流れ出てしまいます。台風のときの沈殿池の出口の濁りは、高速凝集沈殿池で最大18度、傾斜板付きの横流式沈殿池で最大9度まで上がりました。それでも砂の層を通したあとのろ過水は、最大0.02度に抑えられています[1]。
その間、ろ過池の砂の洗浄回数を増やし、砂の層を洗わずに水を流し続ける時間を、ふだんの72時間から55〜60時間に縮めました[1]。神奈川県の例では、砂の層を洗う逆洗(下から上に水を流す洗い方)は約3日に1度です[4]。逆洗の間隔は、浄水場によって異なります。
薬で固めて沈め、それでも残った濁りを砂でこす。台風のときのろ過水の濁度は、最大0.02度でした。
大型のフロックは沈殿池で分離されるが、微細なフロックや粒子は流出する。台風時の沈殿処理水の最大濁度は、高速凝集沈殿池で18度、傾斜板付横流式沈殿池で9度まで上昇した。それでも、ろ過池が残りを受け止め、ろ過処理水の濁度は最大0.02度に抑えられた[1]。この対応の中で、ろ過池の洗浄回数を増やし、ろ過継続時間を通常72時間から55〜60時間に短縮した[1]。
ここで、1,189度から0.02度への変化を、同じ水の追跡と読まないこと。原水の最大値と、ろ過水の最大値は、別の時刻の測定値どうしの比(約6万分の1)にすぎない。それでも、沈殿池で落ちなかった濁りが、砂層で最終的に捕捉される二段構成の意味は伝わる。神奈川県の例では、ろ過速度140m/日、逆洗は概ね3日に1度、全工程は約5時間で、1浄水場の値である[4]。
もう一つの方式が緩速ろ過である。1829年に英国で開発され、薬品を使わず砂層の微生物が濁りや臭気物質を分解するが、高濁度への対応は難しい面がある[5]。薬と砂を組み合わせた急速ろ過は、この弱点をおぎなう方式の一つと読める。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること
ペットボトルに、こうていの つちと みずを いれて、ふって、テーブルに おいて みましょう。おおきな つぶは すぐ しずみますが、こまかい つぶは、なかなか しずみません。どれくらいで すみますか。おうちの ひとと いっしょに、しばらく 見て みましょう。
出かけてできること
かわの ちかくで、あめの ひと、あめの あと、みずの いろが ちがうか、見て みましょう。みずの ちかくは あぶないので、おうちの ひとと いっしょに、はなれた ところから 見ます。
こうしきの 情報
すんでいる まちの すいどうきょくの ホームページに、みずの にごりを はかった けっかが のって いる ことが あります。
今日できること
透明なペットボトルに校庭の土と水を入れてよく振り、置いておいて、沈み方を観察してみましょう。大きな粒はすぐ沈み、細かい粒はなかなか沈まず、水がにごったまま残るはずです。10分後、1時間後、翌日の様子をメモすると、粒の大きさで沈む速さがちがうことが分かります。飲まずに、終わったら流しに捨てます。
出かけてできること
雨のあとの川や用水路で、いつもと水の色がちがうか、遠くから見てみましょう。水辺に近づきすぎないようにします。
公式情報
お住まいの地域の水道局のホームページには、水質の情報が載っていることがあります。台風時の対応は、日本水道協会などの資料で読めます。
今日できること
透明なペットボトルに土と水を入れて振り、10分・1時間・翌日で濁りの残り方を観察する。粒の大きさと沈む速さの関係を、時間を変えて記録してみる。飲用しない。
出かけてできること
降雨の前後で、近くの川の水の色を比べる。水辺に近づかず、安全な場所から観察する。
公式情報
JWRC(水道技術ジャーナルに掲載の水道Q&A)に、高濁度原水への対応(Q4)が載っている。神奈川県の資料は、薬品と急速ろ過の工程を図つきで説明している。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
台風19号時の対応と数値は[1]、凝集の原理と撹拌は[2]、薬品の説明は[3]、ろ過工程は[4]、緩速ろ過は[5]、ジャーテストの例は[6]を用いた。
- JWRC 水道Q&A Q4「高濁度原水への対応」(水道技術ジャーナル2021年1月) https://www.jwrc-net.or.jp/docs/publication-outreach/qa/10-98-2.pdf (台風19号時の濁度・薬品注入率・準備)
- JWRC 水道Q&A「凝集に必要な撹拌エネルギー」(水道技術ジャーナル2000年7月) https://www.jwrc-net.or.jp/docs/publication-outreach/qa/10-16.pdf (荷電の中和・撹拌の目安)
- 神奈川県「浄水処理工程で使用している薬品」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3x/top/jousuisyoriyakuhin.html (粒子の帯電と凝集剤)
- 神奈川県「急速ろ過方式の浄水処理工程」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3x/top/kyusokurokajousuisyori.html (急速ろ過の流れ・逆洗の例)
- JWRC 水道Q&A Q3「緩速ろ過池の砂の洗浄」(水道技術ジャーナル2021年1月) https://www.jwrc-net.or.jp/docs/publication-outreach/qa/10-98.pdf (緩速ろ過の開発年と特徴)
- 横浜市衛生研究所「色度150度の地下水の凝集処理」(水道研究発表会 令和7年度) https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/eiken/kankyoeisei/mizu/rikagaku/mizupaper.files/401.pdf (ジャーテストの一例)
なおした ところ
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