1. よんほんあしの ロボットは、なぜ 見まわりを まかされるの?
1. 発電所の見回りを、なぜ四本足のロボットが引き受けるのか
1. 見回りという仕事を、なぜ脚で歩くロボットに任せるのか
スポットは、アメリカの ボストン・ダイナミクスという 会社が つくった、よんほんあしの ロボットです。おもさは 33キロほど。にもつは 14キロまで のせられます。
はつでんしょや こうじょうには、かいだんや、ちょっとした だんさが たくさん あります。車の ついた ロボットは、そこで とまって しまいます。あしで 歩く スポットは、たかさ 30センチまでの だんさを こえられると、会社は せつめいして います。
ウィーンの はつでんしょでは、さいしょの 一だいが 4000かいほど 見まわりを して きました。一かいは 90ぷんです。ねつを 見る カメラや、くうきの もれを きく マイクも のせています。
では、スポットは どうやって みちを おぼえるのでしょう。
Spotはアメリカの Boston Dynamics が作った四本足のロボットで、質量はおよそ33kg、荷物は最大14kgまで積めます。最高速度は秒速1.6m、時速に直すと約5.8kmで、走るというより早歩きの速さです[2]。
この脚が役に立つのは、発電所や工場のように、階段や段差が多い場所です。公式の製品ページによると、乗り越えられる段差の高さは最大300mmです[2]。日本の建設現場でも、スロープや階段を使った自動巡回ができると確かめられました[3]。車輪では止まってしまう場所を、脚なら進めるわけです。
ウィーンの発電所では、最初の1台が約4000回の巡回をこなし、熱画像カメラ、複数のガスを測る計器、音を拾うセンサーを積んで歩いたと報じられました。さらに4台が加わる予定です[1]。始まった年は、Boston Dynamics が2022年、地元の報道が2023年と食いちがうので、「2023年ごろ」としておきます。
では、広い発電所の中で、Spotは道順をどう覚えるのでしょうか。
Spotは Boston Dynamics の四足歩行ロボットで、質量は資料により32.7kgと33.8kgの差があるが約33kgである。積める荷物は最大14kg、最高速度は1.6m/s(時速約5.8km)で、走行ではなく早歩きの速度にあたる。乗り越えられる段差の最大高さは300mmと公式に示されている[2]。
脚で歩く利点は、段差や階段の多い設備の中でも動ける点にある。日本では2021年9月に竹中土木と竹中工務店が建設現場での自動巡回を実証し、スロープや階段を使いながら、進捗管理や資機材管理に使う写真を撮れると確認した[3]。
ウィーンの発電所の例をもう少し見ると、約4000回の巡回で総距離は約1600km、1回は約90分である。計算すると総時間は約6000時間、1回の距離は約0.4kmになる。最高速度の1.6m/sで90分歩けば8km以上になるので、距離が短いのは、立ち止まって測る時間が長いからかもしれない。ただしこれは計算からの推測で、資料はその理由を述べていない。熱画像カメラ、多ガス計、音響センサーを積み、さらに4台が加わる[1]。開始年は Boston Dynamics が2022年、地元報道が2023年と割れているため、2023年ごろと書くにとどめる。
では、施設の中の広い見回りコースを、ロボットはどうやって覚えるのか。
2. みちは、人が 一ど 歩いて おしえる
2. 道順は、人が一度歩いて教える
2. 道順は人が一度歩いて教える:地点と道でできた地図
スポットに みちを おしえる ほうほうは、いがいと かんたんです。人が コントローラーで スポットを 歩かせて、みちを きろくさせます。これを 「オートウォーク」と いいます。
スポットは そのみちを おぼえて、めいれいが あると なんどでも くりかえせます。はじめての 学校の ろうかを、先生に 一かい つれて 歩いて もらうと、つぎから 一人で 行けるのと にています。
みちの とちゅうで、しゃしんを とったり、メーターを 読んだり する うごきも たせます。あたらしい じゃまものが あれば、よけて 進むことも できると ほうじられました。
スポットの ちずは、「ばしょ」と、ばしょと ばしょを むすぶ 「みち」で できて います。ロボットは、この みちに そって 進みます。
Spotの道順の覚え方は、「やって見せる」方式です。人がコントローラーでSpotを歩かせ、道順を記録させます。この機能を Autowalk と呼びます。Spotは道順を記憶し、命令を受けるたびに繰り返せます。2021年のソフトの更新では、途中で写真を撮る、メーターを読むといった動作を足せるようになり、新しい障害物があれば経路を調整し、勤務時間外の定期点検もできるとされました[4]。
公式の開発者向け資料によると、Spotの地図は「地点(ウェイポイント)」と、地点をつなぐ「道(エッジ)」でできています。エッジは、地点どうしの3次元の位置関係を持っていて、ロボットは道に沿ってだけ移動します[5]。地下鉄の路線図を思い浮かべると近いでしょう。駅が地点、線路が道です。ただし、障害物をよける仕組みは、この地図とは別のものです。
長く歩くと、位置の見積もりは少しずつずれます。同じ場所でマーカー(AprilTagに似た目印)を2回見ると、ループが閉じて、地図のずれを直せます[5]。
道順を覚えた犬は、歩きながら何を見ているのでしょうか。
道順の教え方は、人が一度歩いて見せる「ティーチ・アンド・リピート」である。Autowalk では、人がコントローラーで Spot を歩かせて経路を記録させ、Spot はそれを記憶して、命令のたびに繰り返す。2021年のソフトウェア更新(Release 3.0)では、途中で写真撮影やメーターの読み取りなどの動作を加えられるようになり、新たな障害物があれば経路を調整し、時間外の定期点検もできるとされた[4]。
この経路は、Boston Dynamics の開発者資料では GraphNav 地図として説明される。地図は地点(ウェイポイント)と、それをつなぐ道(エッジ)の集まりで、エッジは地点どうしの3次元の相対位置を持つ。ロボットは、エッジに沿ってだけ移動する。この構造は、地下鉄の路線図に近い。ただし、「地図の道から外れずに歩く」と読むのは誤りで、進路上の障害物を避ける処理は別の仕組みである。公式資料の範囲では、障害物回避の細部までは示されておらず、断定できない[5]。
移動を続けると、位置推定の誤差が積み重なる。そこで、同じ場所でフィデューシャル(AprilTag に似たマーカー)を2回観測すると、地図上のループを閉じて、ずれを補正できる[5]。つまり、「一度歩いて教える」といっても、教えた道を丸暗記するのではなく、地点とその位置関係の地図として持ち、目印で補正する構造になっている。
では、その道を歩くとき、Spotは何を見て、足をどこに置くのか。
3. スポットの 目は、なにを 見て いるの?
3. Spotの目は、足を置く場所と点検する機械を見ている
3. 目の二つの役割:足場を探すカメラと、設備を調べるセンサー
スポットの 体には、5くみの カメラが ついて います。ふたつ ならんだ カメラで、ものまでの きょりを はかり、まわりの 立体の ちずを つくります。その ちずを 見て、あしを おける ばしょを えらびます。きゅうな さかや、たかい だんは さけます。
でも、にがてな ものも あります。ガラスの とびらは、カメラには 見えないのと ほとんど おなじです。ほそい でんせんも、ちずの 中で きえて しまう ことが あります。
見まわり用の カメラは、べつに あります。くびを ふる ズームカメラで メーターを 見ます。ねつの カメラで あつく なりすぎた きかいを 見つけ、おとの カメラで、人の 耳に きこえない くうきの もれも さがします。
Spotの「目」は2種類あります。ひとつは、足元を見る目です。体に付いた5組のステレオカメラの奥行きのデータから、周囲の3次元の地図を作り、足を置ける場所を決めます。急な坂や高い段差は避けます[6]。
この目には苦手があります。窓やガラス戸のような透明なものは、形の情報だけでは「見えない」のとほぼ同じになります。細い電線のような小さなものは、地図をなめらかにする処理で消えることもあります[6]。
もうひとつが、点検のための目です。公式の点検ページには、首をふるズームカメラで色つきの写真を撮ってメーターを読み、別売りの熱画像カメラで過熱を、音響カメラで人に聞こえない空気もれや振動を見つけるという説明があります[7]。イギリスの電力会社 National Grid の技術者は、「いま進めているプロジェクトのほぼすべてがSpotのデータに頼っている」と話しています[7]。
見つけた異常を、人が離れた場所から確かめられる。それが見回りロボットの価値のようです。では、滑る床でも転ばない足は、どう鍛えられたのでしょうか。
Spotの知覚は、役割の異なる二つの系に分けて考えると分かりやすい。第一は、歩行のための地形認識である。体に付いた5組のステレオカメラの奥行きデータから周囲の3D地図を作り、足を置ける場所を判断して、急な坂や高い段差を避ける[6]。
形状だけに頼るこの方式には、限界もある。窓やガラス戸のような透明な物体は、機能的には見えないのと同じになる。電線のような細い物は、地図データのなめらか化で消えることがある[6]。公式ブログは、この弱点を補うために視覚の基盤モデルを使う方向を述べており、形だけでは分からない「文脈」を加える試みといえる。
第二は、設備を調べるためのセンサーである。公式の点検ページでは、首ふり式のズームカメラが色つきの画像を撮ってメーターを読み、別売りの熱画像カメラが過熱を、音響カメラが人に聞こえない空気もれや振動を見つける[7]。電力会社 National Grid の技術者は、現在の案件の「ほぼすべて」がSpotのデータに依存すると述べている。ただし、これは導入した側の証言であり、一般的な効果の数値ではない。
歩行用の目と点検用の目を分けて見ると、Spotが単なる「歩くカメラ」ではないことが分かる。では、足そのものの動きは、どのようにして鍛えられたのか。
4. すべる ゆかでも、どうして ころびにくいの?
4. 滑る床で転びにくいのは、仮想の世界で練習したから
4. 滑る床と強化学習:モデル予測制御との違いと、シミュレーションの規模
きっかけは、こうじょうの ゆかでした。こうじょうには、えきたいが もれないように つくった、ひくい へりが あります。ゆかが ぬれて いたり、あぶらで ぬるぬる して いたりすると、そこを こえるとき つまずきそうに なります。
そこで、会社は 「きょうかがくしゅう」と いう ほうほうを とり入れました。コンピューターの 中の にせものの せかいで、ロボットに 何ども ためさせ、うまく 歩けた やりかたを 見つけさせる ほうほうです。
その かずは、百万かいを こえると 書かれて います。じっさいの ロボットで れんしゅうさせると、からだや まわりを こわす ことが あるので、まず コンピューターの 中で ためすのです。
この ほうほうで、とても すべる ゆかや、でこぼこの 面でも、スポットは ころびにくく なりました。ただし、ぜったいに ころばない わけでは ありません。
きっかけは、顧客の施設にある、液体が漏れないようにしたコンテナのへりでした。床が濡れていたり、油でぬるぬるしていたりすると、ロボットはへりを越えるときにつまずきそうになります。この場面を何とかするため、Boston Dynamics は歩行の制御に強化学習を取り入れました[8]。
それまでの歩行制御は、モデル予測制御(MPC)が中心でした。ロボットの少し先の状態を予測して、動きを選ぶ方式です。Spotでは、この既存の制御を残しながら、強化学習を組み合わせました。強化学習は、シミュレーションでの試行錯誤から、動き方の方針そのものを最適化します[8]。将棋の先読みと、練習で身につけた勘のちがい、にたとえられます。
学習の規模は大きく、計算機のクラスターで100万回を超えるシミュレーションを走らせました。社内のロボットは週に2000時間以上動き、配備の前に、シミュレーションと実機で数千時間の経験を積んでいます[8]。結果として、Spotは極端に滑る面や不ぞろいな面でも、転びにくくなりました[8]。
学習をシミュレーターで行うのは、実機で階段を学習させると機体や周囲を傷つけるおそれがあるからです。NVIDIA の Isaac Lab は、多数の物理環境をGPUで同時に動かして、学習の時間も短くします[9]。それでも転ぶことはあり、IEEE Spectrum の記事は、Spotが平均でおよそ50kmに1回転ぶとしています。これは平均で、条件によって変わるとされます[10]。
こうして足を鍛えたSpotは、どんな現場で働いているのでしょうか。
歩行制御の転機は、顧客の施設で見つかった課題だった。液体漏れ防止のコンテナの縁を、濡れたり油でぬるぬるしたりした床の上で、つまずいたり滑ったりせずに越える必要があったのだ。Boston Dynamics はこの課題に、強化学習を使って答えた[8]。
従来の歩行制御は、モデル予測制御(MPC)が中心だった。ロボットの少し先の状態を予測して最適化し、動きを選ぶ。Spotでは、こうした既存のモデルベース制御を残しながら、強化学習を組み合わせた。強化学習は、シミュレーションの試行錯誤から、動き方の方針そのものを最適化する方法である。MPCは「予測してから選ぶ」、強化学習は「経験から方針を作る」と整理できる[8]。
規模は大きい。計算クラスターで100万回を超えるシミュレーションを走らせ、社内のロボット群は週に2000時間以上稼働し、配備前に数千時間分の経験をシミュレーションと実機で積んだ。結果として、極端に滑る面や不ぞろいな面でも、転ぶ確率が下がった[8]。「転ばなくなった」ではなく「転びにくくなった」である点には注意したい。
学習の大部分を実機でなくシミュレーターで行う理由は、階段などを実機で学習させると、機体や周囲を傷つけるおそれがあること、そして時間の制約である。NVIDIA の Isaac Lab は、多数の物理環境をGPUで並列に動かすことで、学習時間を短くする[9]。IEEE Spectrum は、Spotが平均でおよそ50kmに1回転ぶと紹介している。条件によって変わる目安だ。標準のSpotは歩き方を最初から知っていて、利用者は行き先を指定するだけで済む。研究者向けには、関節レベルの制御API、NVIDIA Jetson AGX Orin、Isaac Lab上のシミュレーション環境を含むRL Researcher Kitが、早期導入ベータとして配られた[10]。
なお、Boston Dynamics の脚ロボットの歴史は古く、2004年には BigDog を開発した[11]。Spotの歩き方は、その20年ほどの積み重ねの上にある。では、足を鍛えたSpotは、現場でどんな仕事をしているのか。
5. 人が 行きにくい ばしょで、スポットは なにを して いるの?
5. 人が行きにくい場所で、Spotが引き受けている仕事
5. 現場での使われ方:保守対象の多さと、現場管理業務の削減の報告
パリの ちかてつを うごかす 会社の なかまは、まもる べき どぼくの たてものを 3まん5せんか所いじょう もっています。人が 行きにくい ところや、あぶない ところも あるので、スポットに 見まわりを てつだって もらって います。
日本でも、2021ねん9がつに、たけなかどぼくと たけなかこうむてんが、けんせつの げんばで スポットを ためしました。かいだんや スロープを つかって 見まわりながら、しゃしんを とることが できました。
げんばを かんりする しごとは、およそ 1わり へったと ほうじられて います。ただし、これは ひとつの じれいの はなしです。
スポットが あつめるのは、しゃしんや おんど、おとの データです。それを 見て 考えるのは、人の しごとです。
パリの交通を支える会社の仲間、RATP Infrastructures は、保守する土木構造物が3万5千か所を超えます。行きにくい、点検が危険な場所もあるため、Spotに点検の手伝いをさせています[7]。
日本では2021年9月、竹中土木と竹中工務店が、Spotで建設現場の自動巡回を実証しました。スロープや階段を使って巡回しながら、工事の進み具合や資材の管理に使う写真を撮れると確かめ、記録写真や進捗管理、資機材の配置といった現場管理の業務が約10%減ったとされます[3]。これは新聞報道による一つの事例で、どの現場でも同じ割合で減るとは言えません。
人の仕事が、なくなるわけではありません。Spotが集めるのは写真、温度、音のデータで、異常かどうかを見て、どう直すかを決めるのは人です。危ない場所や遠い場所の「最初の見回り」をロボットが受け持つことで、人は判断が必要な仕事に時間を使えるようになります。
ここまでの話は、身のまわりの見回りと、どうつながるでしょうか。
見回りを任される理由は、保守する対象の多さと、そこへ行く危険にある。RATP Infrastructures は3万5千か所を超える土木構造物を保守し、その一部は行きにくく、点検が危険でもある。Spotはその点検を手伝っている[7]。
日本では、2021年9月に竹中土木と竹中工務店が建設現場の自動巡回を実証した。スロープや階段を使って巡回しながら、進捗管理と資機材管理のための写真を撮れると確認し、記録写真、進捗管理、資機材配置などの現場管理の業務が約10%減ったとされる[3]。この数字は、プレスリリースではなく新聞報道に基づく一つの事例であり、他の現場に一般化はできない。
この例から言えるのは、ロボットの役割が「人の代わりに全部をやる」ではなく、「データを集める部分を受け持つ」ことである。Spotが運ぶのは最大14kgの荷物、動ける時間は荷物や環境で変わるが平均約90分、防塵防水はIP54である[2]。この性能は、重い工事や長時間の作業に向くものではなく、決まった道を繰り返し、点検の記録を取る用途に合っている。集めたデータをもとに、どこを直すかを判断し、決めるのは人である。
では、こうした見回りは、私たちの身近な場所にどう見えるだろうか。
6. おうちの 見まわり コースを つくって みよう
6. 自分の家の見回りコースを描いてみる
6. 教える側になってみる:見回りコースの設計と、原資料の手がかり
スポットの まねを して、おうちの 見まわり コースを つくって みましょう。おうちの 人に 「いいよ」と 言って もらってから、はじめます。
まず、見る ばしょを 3つ きめます。たとえば、まどの かぎ、れいぞうこの とびら、げんかんの くつ、など。つぎに、その じゅんばんに 歩いて、かみに 見る ばしょを まるで、ばしょと ばしょを むすぶ みちを せんで 書きます。
かんせいしたら、おうちの 人に、この かみだけを 見て 歩いて もらいましょう。まよわずに、同じ じゅんばんで 歩けるでしょうか。スポットの ちずも、おなじ ふうに できて います。
家の見回りコースを描くと、Spotの地図の考え方が実感できます。大人の了解を得たうえで、家の中で「見る場所」を3〜4か所決めます。たとえば、窓の鍵、冷蔵庫の扉、玄関の靴、コンセントまわりなどです。
その場所を丸で、場所と場所をつなぐ道順を線で、紙に描きます。これが「地点」と「道」の地図です。家族に、その紙だけを見て同じ順番に歩いてもらってください。曲がり角で迷うところがあれば、地点や道順の描き方を見直しましょう。Spotは別の仕組みで、マーカーを見て位置のずれを直します。
学校や駅、工場の「見回り」にも、同じ形があります。決まった道と、決まった見る場所があり、異常があれば人に知らせる。Spotは、その繰り返しを引き受けています。次にどこかで点検している人を見かけたら、どんな順番で、何を見ているかを、離れたところから観察してみてください。
Spotの見回りの考え方は、紙の上で再現できる。大人の了解を得たうえで、家の中の「見る場所」を3〜4か所選び、それを地点として丸で描く。地点の間を線で結んで道とし、順番に番号をつける。この地図だけを渡して、家族に同じ順に歩いてもらうと、道順が分かりやすく描けているかを確かめられる。迷った箇所は、地点や道順の描き方を見直す。Spotは別の仕組みで、フィデューシャルを観測して位置のずれを補正する。
もっと調べたい場合は、原資料に当たるとよい。Boston Dynamics の公式ブログ「Starting on the Right Foot with Reinforcement Learning」は、強化学習の導入の動機と結果を述べており、本記事の第4章の中心になっている[8]。開発者向け資料の GraphNav Map Structure は、地点と道の地図の構造を説明している[5]。いずれも英語の資料である。
本記事の数字には、読むときの注意が残る。Spotが平均でおよそ50kmに1回転ぶという数値は、IEEE Spectrum の紹介に基づく目安である。現場での業務削減の約10%は、新聞報道に基づく一つの事例である。数字の出どころを確かめる読み方も、資料に当たる楽しさの一つだ。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
公式資料、現場の報道、研究者向けの解説を用途ごとに使い分けています。数字のうち二次資料に基づくものは、本文で出どころを添えました。
- vol.at, "AI on four legs: Robot dogs monitor Wien Energie power plants". https://www.vol.at/ai-on-four-legs-robot-dogs-monitor-wien-energie-power-plants/9968714 (ウィーンの発電所の巡回回数・距離・搭載センサー)
- Boston Dynamics, Spot 製品ページ. https://bostondynamics.com/products/spot/ (荷物・速度・稼働時間・段差・防塵防水の仕様)
- 日刊工業新聞 newswitch, 竹中土木・竹中工務店のSpot実証の記事. https://newswitch.jp/p/28883 (日本の建設現場での自動巡回と業務削減)
- TechTalks, "Boston Dynamics Spot update" (2021). https://bdtechtalks.com/2021/09/17/boston-dynamics-spot-update/ (Autowalkの道順の記録と繰り返し)
- Boston Dynamics blog, "Put it in context with visual foundation models". https://bostondynamics.com/blog/put-it-in-context-with-visual-foundation-models/ (ステレオカメラによる地形認識とその苦手)
- Boston Dynamics, Industrial Inspection. https://bostondynamics.com/solutions/inspection/ (点検用カメラ・センサー、導入企業の例)
- Boston Dynamics blog, "Starting on the Right Foot with Reinforcement Learning". https://bostondynamics.com/blog/starting-on-the-right-foot-with-reinforcement-learning/ (強化学習の動機・規模・結果)
- NVIDIA Developer Blog. https://developer.nvidia.com/blog/?p=84096 (シミュレーターで学習する理由)
- IEEE Spectrum, "Boston Dynamics research Spot". https://spectrum.ieee.org/boston-dynamics-research-spot (転ぶ頻度の目安、研究者向けキット)
- Boston Dynamics, legacy robots. https://bostondynamics.com/?p=4166 (BigDogの位置づけ)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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