このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あざの いろは、どうして だんだん かわって いくの?

赤い血がたまったのに、あざが青紫から緑や黄色に変わっていくのはなぜか

あざ(皮下出血)の色の変化 ── ヘモグロビンの分解過程と、色から経過日数を推定することの限界

分野:からだ

ころんで ぶつけた ところに、あざが できました。はじめは あかむらさき、あおっぽく なり、そのうち みどりや きいろに なって、さいごは ちゃいろく なって きえて いきます。(いろの かわり方は、ひとに よって ちがいます。)

もとは あかい 血なのに、どうして いろが かわるのでしょうか。あざの なかで おきて いる ことを、いっしょに たどって みましょう。

血は赤いはずなのに、ぶつけたあとのあざは、赤紫から青っぽく、やがて緑や黄色、最後は茶色へと変わっていきます。まるで、体の中で絵の具が混ぜ直されているようです。

色を変えているのは、漏れた血の中の赤い色素と、それを片づけに来る体の掃除役の細胞です。さらに、「色を見れば何日前のあざか分かる」という考えが、研究ではあまり当てにならなかったという話まで、複数の資料を突き合わせて見ていきます。

あざは、傷ついた血管から漏れた血が皮膚の下にたまったもので、その色の移り変わりは、赤血球の色素ヘモグロビンが分解されていく過程を映している[1]。緑や黄色は、体が出す分解産物の色である[2]。

このメモでは、色素の変化の順序と分解を担う細胞、日本語の医療情報との照合、日数の目安、そして「色から経過日数を当てる」ことに科学的根拠が乏しいとした2005年の系統的レビューまでを整理する。色の見え方に個人差があることにも触れる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. あざって、なにが おきて いるの?

1. あざは、血管から漏れた血が皮膚の下にたまったもの

1. 皮下出血の成り立ちと、初期の赤〜青紫

ぶつけると、皮膚ひふの したに ある、ほそい 血管けっかんが やぶれます。そこから 血が もれて、皮膚ひふの したに たまります。これが あざです[1]。

できたばかりの あざは、ふかい あかに 見えます。血の なかの あかい 色素しきそに、まだ 酸素さんそが ついて いるからだと いわれて います[1]。

その 酸素さんそが まわりに わたされて へって いくと、あざは くらい あおや 紫むらさきに 見えて きます。「血が あおい」わけでは ありません[1]。

皮膚の下にたまった血

あざは、傷ついた血管から漏れた血が、皮膚の下にたまったものです。色の変化は、漏れた赤血球の中にある色素、ヘモグロビンが少しずつ分解されていく様子を映していると説明されています[1]。

最初の赤から、青紫へ

できたてのあざが深い赤に見えるのは、ヘモグロビンにまだ酸素がくっついているためだそうです。酸素が周りの組織に渡されて減ると、暗い青や紫に近づいていきます[1]。「血が青い」のではなく、酸素が減って暗い色になる、という程度の理解でよさそうです。青紫に見える理由には、皮膚での光の届き方も関わるとされ、この説明だけで全部とは言い切れません。

あざは、損傷した血管から血液が皮膚の下の組織へ漏れ出したものである。色の変化は、漏出した赤血球のヘモグロビンが段階的に分解される過程を反映する[1]。

受傷直後は、ヘモグロビンにまだ酸素が結合しているため深い赤に見え、酸素が組織に渡されると青〜紫がかった暗い色になる、と解説されている[1]。ただし、青紫に見える理由については、酸素の減少という説明が一般的である一方、皮膚での光の散乱など光学的な要因も関与しうる。酸素の減少だけでは説明しきれず、光の散乱なども関わると考えられている。

2. みどりや きいろは、だれが つくるの?

2. 緑や黄色は、掃除役の細胞が出す「ごみの色」

2. ヘモグロビンの分解 ── ビリベルジン(緑)からビリルビン(黄)へ

あざの なかには、こぼれた 血を かたづけに くる、おそうじやくの さいぼうが います。細胞さいぼうの なかの 酵素こうそが、あかい 色素しきそを こわして いきます[3]。

こわされた あかい 色素しきそは、まず みどり いろの ものに かわります。それが すぐ、きいろい ものに かわります[2]。

みどりや きいろは、おそうじの とちゅうで できる ものの いろ、と 思うと わかりやすいです。それは 体が じぶんで つくって、かたづけて いる ものです。

片づけに来る細胞

漏れた血のかたまりを片づけに来るのは、免疫を担う細胞(マクロファージなど)です。その細胞の中の酵素が、ヘモグロビンを分解していきます[3]。

緑のあとに黄色が出る

ヘモグロビンのうち、色をつくっている「ヘム」という部分は、まず緑色のビリベルジンという物質に変わります。それがすぐに、黄色いビリルビンへと還元されます[2]。緑と黄色は、この分解の途中で出てくる色だと説明されています。日本語の医療情報サイトでも、あざは赤や青、黒っぽい色から緑、黄色へと変わって目立たなくなる、と書かれています[4]。

漏出した血液の塊は、マクロファージなどの食細胞によって処理される。これらの細胞内の酵素が、ヘモグロビンを緑色のビリベルジンへ分解し、さらに黄色調のビリルビンへ代謝する[3]。ヘム部分はまずビリベルジンとなり、速やかに還元されてビリルビンになる[2]。

日本語の医療情報でも、あざは赤・青・黒っぽい色から緑、さらに黄色へと変化し、目立たなくなって治る、とされる[4]。

3. さいごは なぜ ちゃいろに なって きえるの?

3. 最後は鉄が残って茶色に、消えるまでは約2週間が目安

3. ヘモシデリンの蓄積と、治癒までの目安

あかい 色素しきそには、てつも ふくまれて います。てつの ぶぶんは、きいろから ちゃいろっぽい ヘモシデリンと いうものに なって、しばらく のこります[2]。そのため、さいごは ちゃいろく 見えるのです[3]。

やがて、これも かたづけられて、あざは きえて いきます。たいていの あざは、くすりを つかわなくても 2 しゅうかんほどで きえると いわれて います[5]。

ただし、これは めやすです。おおきい あざや、ぶつけた ばしょに よって、かかる じかんは かわります[3][5]。

鉄が茶色として残る

ヘモグロビンの鉄の部分は、オレンジから金茶色のヘモシデリンという形で、組織の中に閉じこめられます[2]。緑や黄色が薄れたあとに、この鉄が残って茶色っぽく見える、と説明されています[3]。

消えるまでの日数は目安

たいていのあざは、治療をしなくても約2週間で消えるとされています。黄色から緑が目立つのは5〜10日ごろ、黄褐色から薄い茶色は10〜14日ごろ、という目安を示す資料もあります[5]。ただし、あざの大きさや場所、人によって日数は大きく変わります[3]。この数字は「おおよそ」と受け取ってください。

ヘモグロビンの鉄は、オレンジ〜金茶色のヘモシデリンとして組織に取り込まれる[2]。緑・黄の色調が薄れたあと、鉄が残って茶色っぽく見えると説明される[3]。

経過については、多くのあざは治療なしで約2週間で消え、黄〜緑が目立つのは5〜10日、黄褐色〜薄茶は10〜14日ごろ、とする解説がある[5]。ただし資料ごとに幅があり、大きさ・部位・個人差が大きいため[3]、固定した基準としては扱えない。

4. いろを 見れば、なんにち まえの あざか わかるの?

4. 色から「何日前のあざか」を当てるのは、専門家でも難しい

4. 色による経過日数推定の限界 ── 2005年の系統的レビュー

「みどりに なったら 3 にちめ」のように、いろで ひにちを あてられたら べんりです。でも、そう かんたんでは ありません。

いろは、あかから あお、みどり、きいろ、ちゃいろへと、おおまかな ながれは あります。ただし、きちんと じゅんばんどおりに すすむとは かぎらず、いろの 見え方も ひとに よって ちがいます[6]。

こどもの あざを しらべた 研究を まとめた ものでは、いろから 「なんにち まえの あざか」を 1 にち いない の ちがいで あてられた わりあいは、10 かいの うち 4 かいに たりませんでした[7]。せんもんかでも むずかしいと 考えられて います。

順番は「だいたい」でしかない

赤から青紫、緑、黄色、茶色へ、という大まかな流れはあります。けれども、色の変化は直線的ではなく、予測どおりにも進まないと、法医学の解説は述べています[6]。

子どもの診察を調べた研究

イギリスの研究者らが2005年に発表した系統的レビューは、子どものあざの色から年齢を当てられるかを調べた研究をまとめたものです。167件の研究のうち、条件に合ったのは3件でした。その中で、24時間の誤差の中で正しく当てられた割合は40%に届かず、新しい・中くらい・古いの区別でも、当てられたのは55〜63%だったと報告されています[7]。黄色が出る時期も、24時間後、48時間後、48時間以内と、研究によってばらばらでした[7]。

このレビューは、「色からあざの年齢を推定することに科学的根拠はなく、児童保護の手続きでは避けるべきだ」と結論しました[7]。対象は子どもの診察であり、大人にも同じだと言い切れるわけではありません。

色の推移は、赤→暗赤・紫→黄・茶・緑と大まかには言えるが、直線的でも予測可能でもないとされる[6]。

Maguire ら(2005)の系統的レビューは、子どものあざの色から年齢を推定できるかを検討した。167研究のうち基準を満たしたのは3研究で、24時間以内の精度で正しく年齢を当てられた割合は40%未満、新・中・古の3区分の判別で55〜63%だった。黄色の出現時期も、研究により24時間後・48時間後・48時間以内と一致しなかった[7]。結論として、「色からあざの年齢を推定する実践には科学的根拠がなく、児童保護の手続きでは避けるべき」と述べている[7]。ただし対象は小児の診察例であり、成人一般に拡張はできない。

5. いろの 見え方は、だれでも おなじ?

5. 色の移り変わりは、人によって同じには見えない

5. 皮膚の色調と、あざの見え方の個人差

ここまで 話した いろは、あくまで 「よく ある ながれ」です。ひとに よって、肌はだの いろが ちがうと、あざの 見え方も ちがいます[3]。

たとえば 肌はだの いろが こい ひとでは、できたての あざが、あかや あおには 見えないことが あります[3]。どちらが ふつうとか、へんとか いう ことは ありません。

だから、ずかんの ような いろの じゅんばんは、だれにでも ぴったり あう ものでは ありません。

肌の色で見え方が変わる

肌の色が濃い人では、できたてのあざが赤や青には見えず、色の移り変わりが本や図と同じにならないことがあります[3]。これは、皮膚の中の色素の位置などが影響するためだと紹介されています。

色の変化を描いた図は、あくまで「よくある例」です。誰の体にもぴったり当てはまる型ではありません。見え方が違うのは自然なことで、優劣や異常を表すものではありません。

皮膚の色調によって、あざの見え方は異なる。皮膚科・法医学の研究者は、肌の色が濃い人の新しいあざは、赤や青には見えないことがあると述べている[3]。メラニンの分布が色の見え方に影響するとされ、一般的な色の推移の図が、すべての人に同じように当てはまるわけではない。

この点は、色による経過推定の困難さ[7]とも合わせて、あざの色を単独の判断材料にすることへの慎重さを支持する。

6. どんな ときに、おとなに はなす?

6. 気になるときは、大人や医師に相談する

6. 受診の目安として示されている症状

ぶつけて できた あざは、たいてい じかんが たてば きえて いきます。でも、ぶつけた おぼえが ないのに、あざが あちこちに できたり、なかなか きえなかったり、どんどん おおきく なったり、はれて あつく なったり、いたみが つよく なったり する ときは、おとなに すぐ はなして ください[4]。

おとなに はなせば、びょういんの おいしゃさんに そうだん できます。

日本語の医療情報サイトでは、急にあざがあちこちにできる、治りが遅い、どんどん大きくなる、腫れ・熱感・痛みを伴う、といったときには、病気が隠れている可能性があるので医療機関に相談する目安になる、と書かれています[4]。

あざの色や広がりが気になるときは、自分で判断せず、大人に伝えて、必要なら病院で見てもらってください。

医療情報サイトでは、急にあざが多発する、治りが遅い、どんどん大きくなる、腫脹・熱感・疼痛を伴うといった場合、背景に疾患が隠れている可能性があるため、受診を検討する目安になるとされている[4]。

このメモは、あざの色が変わる仕組みの解説であって、個々のあざの診断や経過の判断を示すものではない。気になる症状があれば、保護者や医師に相談することが勧められる。

じぶんでも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

もし あざが できて いたら、おとなと いっしょに、いろが かわる ようすを 見て みましょう。きづいた ときに、どんな いろか、ことばで まとめて おくと、おもしろいです。

ずかんに いろの ながれが のって いたら、くらべて みましょう。ひとに よって 見え方が ちがう ことも あるので、ちがっても、まちがいでは ありません。

今日できることとして、もしあざができていたら、痛みが落ち着いてから、気づいたときに色を言葉で書き留めてみます。図鑑などに色の順序が載っていれば見比べると、「色の変化は直線的ではない」という説明が実感できるかもしれません。見え方には個人差があるので、ずれていても標準から外れたわけではありません。

資料を読むなら、日本語では fdoc の解説[4]が読みやすいです。2005年のレビューは英語で、PubMed Central で公開されています[7]。

日本語では、fdoc の医療情報[4]が入口になる。一次資料は英語で、Maguire ら(2005)の系統的レビュー[7]は PubMed Central で全文を読める。

調べる際の論点は3つある。分解の順序(ヘム→ビリベルジン→ビリルビン→ヘモシデリン)を医学教科書の原文でどう書くか。黄色が出る時期の報告がなぜ研究ごとに割れたのか。成人のあざでも、色による経過推定は同じくらい難しいのか。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:英語の解説記事、日本語の医療情報、系統的レビューの要旨を突き合わせた。何に使ったかは項目の最後に書いている。論文や教科書の本文は確認できず、要旨や解説の範囲で書いた。

  1. BBC Science Focus「What causes the diverse colouring of bruises?」。https://www.sciencefocus.com/the-human-body/what-causes-the-diverse-colouring-of-bruises (あざの成り立ち、初期の赤〜青紫について)
  2. The Naked Scientists の解説。https://www.thenakedscientists.com/node/179070 (ビリベルジン・ビリルビン・ヘモシデリンへの変化について)
  3. The Scientist「What makes bruises change color over time」。https://www.the-scientist.com/what-makes-bruises-change-color-over-time-73383 (分解を担う細胞、日数の個人差、肌の色による見え方について)
  4. fdoc 病気スコープ「あざができやすい」。https://fdoc.jp/byouki-scope/features/easy-to-bruise/ (日本語での色の移り変わり、受診の目安について)
  5. Medical News Today の解説。https://www.medicalnewstoday.com/articles/322742.php (約2週間で消える目安について)
  6. Forensic Medicine「Ageing of bruising」。https://www.forensicmed.co.uk/wounds/blunt-force-trauma/bruises/ageing-bruising/ (色の変化が直線的でないことについて)
  7. Maguire et al., Can you age bruises accurately in children? A systematic review, Arch Dis Child (2005)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1720275 (色から年齢を当てる精度と結論について)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。