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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

げっぷは、じぶんで だして いるの?

げっぷは「出す」のではなく、体が勝手に空気を逃がしている

げっぷは意志で出すのか、反射で出るのか ── 胃にたまった空気を逃がす迷走神経反射と、炭酸飲料の意外な調査結果

分野:からだ

ごはんを 食べる たびに、ほんの すこし ずつ、空気も いっしょに のみこんで います。その 空気を、体は じぶんで かってに そとへ にがして くれます。それが げっぷです。

じぶんで 「だそう」と きめて いないのに、どうして でるのでしょう。げっぷが でる しくみが わかります。

ものを飲みこむたびに、空気も少しずつ胃に入っています。げっぷは、その空気を体が自動で外へ逃がす働きで、自分で出そうと決めて起こしているわけではありません。

では、胃の空気はどうやって外に出るのでしょうか。出口が開く仕組みと、炭酸飲料についての意外な調査結果、赤ちゃんのげっぷの話が分かります。

1回ものを飲みこむたびに、8〜32mLの空気が胃に入るとされる[2]。げっぷは、その空気を胃から逃がすために、意志とは別に起こる反射だ[3]。

では、その反射はどこでどう起こるのか。炭酸飲料をよく飲む人ほどげっぷに悩む、と思われがちだが、日本の約1万人の調査ではそうならなかった[5]。反射の仕組みと、この調査結果、赤ちゃんのげっぷの扱いまでが分かる。

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1. ごはんを たべる たびに、空気も のんで いるの?

1. 食べるたびに、空気も一緒に飲みこんでいる

1. 嚥下のたびに入る空気 ── 1回8〜32mLという見積もり

ごはんを たべたり、水を のんだり。ごくんと のみこむ たびに、じつは 空気も すこし いっしょに 胃いへ はいります[1]。

1かいに はいる 空気は、おおよそ 小さじ 1ぱいはんから 6ぱいぐらいと いわれます[2]。ただし、人や のみこみ かたに よって ちがいます。

はいった 空気の ほとんどは、あとで げっぷと して そとへ でます。ほんの すこしだけが、おなかの おくの ほうへ すすみます[1]。

ごくんの数だけ、空気も入る

食事中だけでなく、水を飲んだり、つばを飲みこんだりするときにも、空気は一緒に胃へ入ります。1回飲みこむごとに入る量は、8〜32mLほどと書かれています[2]。小さじ1杯が約5mLなので、小さじ1杯半〜6杯ほどです。これは1日の合計ではなく、1回あたりの見積もりで、人や状況で幅があります。

入った空気の行き先

MSDマニュアル家庭版によると、飲みこんだ空気の大部分は、あとでげっぷとして出ていき、ごく少量だけが胃から先の消化管へ進みます[1]。炭酸飲料から出るガスも、げっぷの原因のひとつです[1]。では、胃の中の空気を、体はどうやって外に出しているのでしょうか。

嚥下のたびに、少量の空気が胃に入る。総説では、1回の嚥下で8〜32mLの空気が胃に入るとされる[2]。小さじ1杯を約5mLとすると、小さじ1.6〜6.4杯分にあたる計算だ。これは1日の総量ではなく1回あたりの値であり、個人差や条件による幅がある。

この空気の行き先について、MSDマニュアル家庭版は、大部分が後でげっぷとして排出され、胃から先の消化管に入るのはごく少量と述べる。げっぷの原因としては、空気の嚥下のほか、炭酸飲料から生じたガスが挙げられている[1]。胃に入った空気の大半は、げっぷで外へ戻ることになる。では、その出口はどのように開くのか。

2. 出口は、どうやって あくの?

2. 胃がふくらむと、出口が2か所で開く

2. 胃の伸展が下部食道括約筋と上部食道括約筋を緩める

空気が たまると、胃いの うえの ほうが ふうせんの ように ふくらみます。すると、胃いと のどの みちの さかいめの きんにくが、ほんの すこしの あいだ ゆるみます[3]。

その すきまから、空気が のどの ほうへ もどって いきます。みちの 出口が ひらいて、空気が そとへ でると、それが げっぷです。

たとえば、ふくらんだ ふうせんの くちを、ちょっと ゆるめる ようなものです。ただし 本当は、ふうせんでは なく、胃いの きんにくが じぶんで ゆるむ しくみです。

胃の入り口が、ほんの一瞬ゆるむ

食道と胃の境目には、ふだんは閉じている輪のような筋肉(下部食道括約筋)があります。胃の上の部分が空気でふくらむと、この筋肉が一時的にゆるみます。研究者はこれを一過性の弛緩と呼んでいます[3]。

そのすきまから、胃の空気が食道へ逆戻りします。これが、胃の空気を逃がすための通常のげっぷです[3]。

のどの出口もゆるむとされる

空気が食道へ上がって食道がふくらむと、のどの下にある上部食道括約筋もゆるみ、空気が外へ出ると説明されています[4]。胃側とのど側の出口が、順に開くイメージです。

ここまで読むと、「出そう」と思ったときに自分で開けているように感じるかもしれません。ほんとうにそうなのでしょうか。

通常のげっぷは、胃にたまった空気を逃がす生理的な仕組みである。空気で胃の近位部が伸展すると、食道と胃の境にある下部食道括約筋が一過性に弛緩し、空気が食道へ逆流する[3]。下部食道括約筋はかぶしょくどうかつやくきん、一過性弛緩はいっかせいしかん、と読む。

食道に出た空気が食道をさらに伸展させると、のどの下の出口である上部食道括約筋が緩み、空気が外へ出る、という2段階の説明がある[4]。出口が2か所で順に開く、とされる。

ここまでの流れだと、胃の局所で筋肉が勝手に緩むだけにも見える。しかし総説は、これは局所の反応ではないと述べる。では、緩めという指令は、どこから来るのか。

3. 「だそう」と きめて いるのは だれ?

3. 「出そう」と決めているのは自分ではなく、脳幹の自動回路

3. 迷走神経でつながる、胃と脳幹の反射の回路

じつは、げっぷは じぶんで 「だそう」と きめて いません。胃いが ふくらんだ ことを、体の しんごうが、のうの おくの ほうへ つたえます[3]。

すると、のうの おくから、きんにくを ゆるめる しんごうが かえって きます。この ながれを、はんしゃと いいます[3]。ひざを ポンと たたくと あしが うごく のと にた しくみです。

だから、「げっぷ、でそう」と おもわなくても、じぶんで きづかない うちに でる ことも あります。

胃がふくらんだ知らせは、脳幹へ届く

総説では、胃の上部が伸びた知らせは、迷走神経という長い神経を通って、脳の奥にある脳幹へ送られます。脳幹からは、また迷走神経を通って、食道と胃の境目の筋肉をゆるめる指令が返ります。このとき、一酸化窒素などの物質が関わるとされています[3]。

意識して起こしているのではない

つまり、げっぷの引き金は、胃の中の空気で伸びたことです。脳の指令といっても、考えて決めているのではなく、脳幹を通る自動的な反射です。胃の空気を逃がす通常のげっぷは、自分で起こすものではありません[3]。

胃がふくらむと、脳幹から筋肉へ信号が伝わり、空気が外へ出ます。げっぷは、この反射で起こります。では、これほど毎日起こる動きは、体にとって変なことなのでしょうか。

この反射の経路は、総説では次のように説明される。胃の伸展は迷走神経の求心路を通り、節状神経節と孤束核を経て脳幹に伝えられる。続いて脳幹から、迷走神経の遠心路が下部食道括約筋に向かい、一酸化窒素などを放出して弛緩を起こす[3]。局所で完結するのではなく、胃と脳幹を往復する反射である。

この点は、げっぷを意志で起こす行為と区別するために大切だ。「脳が指令を出す」と言っても、それは考えて決めているという意味ではなく、脳幹が自動で出す指令である。

では、これほど日常的に起こる反射は、異常なものなのか。そして、同じ「げっぷ」でも、仕組みの違うものがあるのか。

4. げっぷが でるのは、へんな こと?

4. 健康な人にも起こる、ふつうの働き

4. 正常な胃のげっぷと、行動として起こる胃上げっぷの区別

げっぷは、へんな ことでは ありません。元気な 人にも、すこしは あります[3]。胃いに たまった 空気を、体が じぶんで そとへ にがして いる だけです。

ただし、くちから 空気を ひっぱりこんで、すぐに だす くせが ある 人も います。これは 胃いの 空気が でる ふつうの げっぷとは ちがう ものと されて います[3]。

げっぷは体の正常な働き

症状のない健康な人でも、胃のげっぷが少数見られると報告されています[3]。げっぷが出ること自体は、異常ではありません。

別物の「胃上げっぷ」

胃を通らずに、口から食道へ空気を吸いこむ、または押しこんで、すぐのどから出す行動を、胃上げっぷと呼びます。胃の空気を逃がす通常のげっぷとは別物で、習慣や心理的な面が強いとされます[3]。この記事は、通常のげっぷを中心に書いています。

では、炭酸飲料のように、空気とは別の気体が入ってくるときは、げっぷはもっと増えるのでしょうか。

症状のない健康な人にも、胃のげっぷと胃上げっぷが少数みられることが、総説で述べられている[3]。したがって、げっぷが出ること自体は異常ではない。

胃上げっぷは、患者が口から食道へ空気を吸いこむか飲みこみ、直後にのどから排出する行動とされる。胃の空気を逃がす通常のげっぷとは機序が異なり、習慣や心理的な要因が強いと考えられている[3][2]。この記事の主題は、前者の通常のげっぷである。

ところで、胃に入る気体は嚥下した空気だけではない。炭酸飲料のガスも原因の一つとして挙げられていた。では、よく飲む人ほど、げっぷに悩むのだろうか。

5. たんさんを よく のむ 人は、げっぷが おおいの?

5. 炭酸飲料をよく飲むことは、げっぷ障害と関連しなかった

5. 大阪公立大学の約1万人の調査 ── 炭酸飲料の摂取とげっぷ障害の関連

「たんさんを のむと げっぷが でる」と 考える 人は おおいでしょう。たんさんの あわ(ガス)も、げっぷの もとの ひとつです[1]。

ところが、おおさか公立大学が、日本の おとな 1万人ほどに きいた しらべでは、たんさんを よく のむ 人ほど げっぷで こまる、とは なりませんでした[5]。

こまるほどの げっぷが あったのは、151人(1.5%)。こまる 人には、おなかの びょうきが ある ことや、おなか いっぱいまで 食べる ことが かんけい して いました[5]。

1万人に尋ねた調査

大阪公立大学の研究チームは、成人約1万人にウェブ調査を行い、げっぷで困るほどの状態(げっぷ障害)の人を調べました。該当したのは151人(1.5%)で、2024年7月に米国消化器病学会誌 American Journal of Gastroenterology に掲載されました[5]。

関連したもの、しなかったもの

げっぷ障害と関連があったのは、消化器の病気があること、満腹になるまで食べること、噛む回数が極端に少ない、あるいは多いことでした。いっぽう、炭酸飲料をよく飲むことは、関連が見られませんでした[5]。

ここで注意が必要です。この調査が調べたのは、困るほど頻繁な「げっぷ障害」で、普通のげっぷの回数や、炭酸飲料が出すガスの量ではありません。炭酸飲料のガスがげっぷの原因になること自体は、別の資料にも書かれています[1]。

げっぷは、赤ちゃんにとっても大切な話題になります。授乳のあとのげっぷは、どう考えられているのでしょうか。

大阪公立大学の研究は、成人約1万人のウェブ調査で、げっぷ障害(困るほど頻繁なげっぷ)を調べた。該当者は151人(1.5%)で、消化器疾患があること、満腹になるまで食べること、咀嚼回数が極端に少ない、または多いことが関連した。炭酸飲料を多く摂ることは関連しなかった。2024年7月、米国消化器病学会誌 American Journal of Gastroenterology に掲載されている[5]。

読み方には注意が要る。この結果は、困るほどのげっぷがあるかどうかの話であり、通常のげっぷの量や、炭酸飲料が胃にもたらすガスの量とは別の問題だ。炭酸飲料のガスが、げっぷの原因のひとつになるという記述は、MSDマニュアルにもある[1]。

この調査は、成人のウェブ調査という方法をとっているため、1つの研究の結果として読むのが適切だ。では、大人とは違い、空気を飲みこみやすい赤ちゃんでは、げっぷはどう扱われているのか。

6. あかちゃんの げっぷは、かならず だすの?

6. 赤ちゃんのげっぷは、出なくてもよいことがある

6. 授乳後の赤ちゃんのげっぷ ── 出なくても機嫌がよければよい

あかちゃんは、おっぱいや ミルクを のむ ときに、空気も いっしょに のみこみます[6]。だから、のんだ あとに げっぷを させて あげると いい、と いわれます。

けれど、しばらく まっても でなくて、あかちゃんの きげんが よければ、むりに させなくて だいじょうぶ、と きょうとふの ホームページには あります[6]。ねむって しまったら、おこして まで する ひつようは ありません。

赤ちゃんは、授乳のときに空気も一緒に飲みこむため、授乳後にげっぷを出させるとよい、とされています。ただし個人差があります。京都府の子育てQ&Aには、しばらく待っても出ず、赤ちゃんの機嫌がよければ、無理にさせなくてもよい、と書かれています[6]。眠ってしまったら、げっぷをさせるために起こす必要もないともあります。

ここまで見たように、げっぷは、空気を逃がすために体が自動で働く仕組みです。しばらく待ってもげっぷが出ず、機嫌がよければ、無理に出させなくてもよいとされているのも、この考え方と合っています。

京都府の子育てQ&Aは、赤ちゃんが授乳中に空気を飲みこむため、授乳後にげっぷを出させるとよいとする。ただし個人差があり、しばらく待っても出ず機嫌がよければ、無理にさせる必要はない。眠ったらげっぷのために起こす必要もない、と説明している[6]。

げっぷが反射であり、胃の空気を逃がす自動の働きだという前の章の説明とも、矛盾しない。出る・出ないには個人差があるので、出ないことだけを異常と見る必要はない、と読める。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

ごはんを たべた あとに、じぶんの げっぷが いつ でるか、きに して みましょう。「でそう」と かんじた あとか、きづかない うちか、ちがいが あるかも しれません。

ほんで しらべる なら、MSDマニュアルの「ガス」が、日本語で よめます。

今日できること:食事のあとに、げっぷが出そうだと感じてから出るのか、気づかないうちに出るのかに注目してみます。反射だという話を、自分の体で確かめるきっかけになります。

公式情報:MSDマニュアル家庭版の「ガス」は日本語で読めます。大阪公立大学の研究ニュースや、京都府の子育てQ&Aも参考になります。この記事は医療の助言ではありません。げっぷやおなかの不調で困るときは、医師に相談してください。

日本語の資料では、MSDマニュアル家庭版「ガス」[1]、京都府の子育てQ&A[6]が読める。調査の原典は米国消化器病学会誌の論文で、大阪公立大学のニュース[5]に概要がある。

げっぷの機序は総説の英語の論文[3]に詳しい。なお、この記事は医療上の助言ではない。げっぷが多くて困る、おなかの調子が悪いなど、症状の相談は医師にすること。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:MSDマニュアル家庭版、医学の総説論文、大阪公立大学の研究ニュース、京都府の子育てQ&Aを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. MSDマニュアル家庭版「ガス」。https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/03-消化器系の病気/消化器系の病気の症状/ガス (げっぷの原因と、飲みこんだ空気の行き先について)
  2. Managing Excessive Belching(総説、PMC5369716)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5369716 (1回の嚥下で入る空気の量について)
  3. Belching(総説、PMC7590068)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7590068/ (胃のげっぷの仕組み、迷走神経反射、胃上げっぷについて)
  4. Orr, J Clin Sleep Med 2008(PMC2576330)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2576330/ (胃のふくらみで出口がゆるむ説明について)
  5. Osaka Metropolitan University Research News。https://www.omu.ac.jp/en/info/research-news/entry-61323.html (成人約1万人の調査とげっぷ障害について)
  6. 京都府 子育てQ&A「げっぷが出ない」。https://www.pref.kyoto.jp/kosodateqa/bonyuu_08.html (赤ちゃんのげっぷについて)

なおした ところ

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