1. ごはんを たべる たびに、空気も のんで いるの?
1. 食べるたびに、空気も一緒に飲みこんでいる
1. 嚥下のたびに入る空気 ── 1回8〜32mLという見積もり
ごはんを たべたり、水を のんだり。ごくんと のみこむ たびに、じつは 空気も すこし いっしょに 胃へ はいります[1]。
1かいに はいる 空気は、おおよそ 小さじ 1ぱいはんから 6ぱいぐらいと いわれます[2]。ただし、人や のみこみ かたに よって ちがいます。
はいった 空気の ほとんどは、あとで げっぷと して そとへ でます。ほんの すこしだけが、おなかの おくの ほうへ すすみます[1]。
2. 出口は、どうやって あくの?
2. 胃がふくらむと、出口が2か所で開く
2. 胃の伸展が下部食道括約筋と上部食道括約筋を緩める
空気が たまると、胃の うえの ほうが ふうせんの ように ふくらみます。すると、胃と のどの みちの さかいめの きんにくが、ほんの すこしの あいだ ゆるみます[3]。
その すきまから、空気が のどの ほうへ もどって いきます。みちの 出口が ひらいて、空気が そとへ でると、それが げっぷです。
たとえば、ふくらんだ ふうせんの くちを、ちょっと ゆるめる ようなものです。ただし 本当は、ふうせんでは なく、胃の きんにくが じぶんで ゆるむ しくみです。
胃の入り口が、ほんの一瞬ゆるむ
食道と胃の境目には、ふだんは閉じている輪のような筋肉(下部食道括約筋)があります。胃の上の部分が空気でふくらむと、この筋肉が一時的にゆるみます。研究者はこれを一過性の弛緩と呼んでいます[3]。
そのすきまから、胃の空気が食道へ逆戻りします。これが、胃の空気を逃がすための通常のげっぷです[3]。
のどの出口もゆるむとされる
空気が食道へ上がって食道がふくらむと、のどの下にある上部食道括約筋もゆるみ、空気が外へ出ると説明されています[4]。胃側とのど側の出口が、順に開くイメージです。
ここまで読むと、「出そう」と思ったときに自分で開けているように感じるかもしれません。ほんとうにそうなのでしょうか。
3. 「だそう」と きめて いるのは だれ?
3. 「出そう」と決めているのは自分ではなく、脳幹の自動回路
3. 迷走神経でつながる、胃と脳幹の反射の回路
じつは、げっぷは じぶんで 「だそう」と きめて いません。胃が ふくらんだ ことを、体の しんごうが、のうの おくの ほうへ つたえます[3]。
すると、のうの おくから、きんにくを ゆるめる しんごうが かえって きます。この ながれを、はんしゃと いいます[3]。ひざを ポンと たたくと あしが うごく のと にた しくみです。
だから、「げっぷ、でそう」と おもわなくても、じぶんで きづかない うちに でる ことも あります。
胃がふくらんだ知らせは、脳幹へ届く
総説では、胃の上部が伸びた知らせは、迷走神経という長い神経を通って、脳の奥にある脳幹へ送られます。脳幹からは、また迷走神経を通って、食道と胃の境目の筋肉をゆるめる指令が返ります。このとき、一酸化窒素などの物質が関わるとされています[3]。
意識して起こしているのではない
つまり、げっぷの引き金は、胃の中の空気で伸びたことです。脳の指令といっても、考えて決めているのではなく、脳幹を通る自動的な反射です。胃の空気を逃がす通常のげっぷは、自分で起こすものではありません[3]。
胃がふくらむと、脳幹から筋肉へ信号が伝わり、空気が外へ出ます。げっぷは、この反射で起こります。では、これほど毎日起こる動きは、体にとって変なことなのでしょうか。
この反射の経路は、総説では次のように説明される。胃の伸展は迷走神経の求心路を通り、節状神経節と孤束核を経て脳幹に伝えられる。続いて脳幹から、迷走神経の遠心路が下部食道括約筋に向かい、一酸化窒素などを放出して弛緩を起こす[3]。局所で完結するのではなく、胃と脳幹を往復する反射である。
この点は、げっぷを意志で起こす行為と区別するために大切だ。「脳が指令を出す」と言っても、それは考えて決めているという意味ではなく、脳幹が自動で出す指令である。
では、これほど日常的に起こる反射は、異常なものなのか。そして、同じ「げっぷ」でも、仕組みの違うものがあるのか。
4. げっぷが でるのは、へんな こと?
4. 健康な人にも起こる、ふつうの働き
4. 正常な胃のげっぷと、行動として起こる胃上げっぷの区別
げっぷは、へんな ことでは ありません。元気な 人にも、すこしは あります[3]。胃に たまった 空気を、体が じぶんで そとへ にがして いる だけです。
ただし、くちから 空気を ひっぱりこんで、すぐに だす くせが ある 人も います。これは 胃の 空気が でる ふつうの げっぷとは ちがう ものと されて います[3]。
5. たんさんを よく のむ 人は、げっぷが おおいの?
5. 炭酸飲料をよく飲むことは、げっぷ障害と関連しなかった
5. 大阪公立大学の約1万人の調査 ── 炭酸飲料の摂取とげっぷ障害の関連
「たんさんを のむと げっぷが でる」と 考える 人は おおいでしょう。たんさんの あわ(ガス)も、げっぷの もとの ひとつです[1]。
ところが、おおさか公立大学が、日本の おとな 1万人ほどに きいた しらべでは、たんさんを よく のむ 人ほど げっぷで こまる、とは なりませんでした[5]。
こまるほどの げっぷが あったのは、151人(1.5%)。こまる 人には、おなかの びょうきが ある ことや、おなか いっぱいまで 食べる ことが かんけい して いました[5]。
1万人に尋ねた調査
大阪公立大学の研究チームは、成人約1万人にウェブ調査を行い、げっぷで困るほどの状態(げっぷ障害)の人を調べました。該当したのは151人(1.5%)で、2024年7月に米国消化器病学会誌 American Journal of Gastroenterology に掲載されました[5]。
関連したもの、しなかったもの
げっぷ障害と関連があったのは、消化器の病気があること、満腹になるまで食べること、噛む回数が極端に少ない、あるいは多いことでした。いっぽう、炭酸飲料をよく飲むことは、関連が見られませんでした[5]。
ここで注意が必要です。この調査が調べたのは、困るほど頻繁な「げっぷ障害」で、普通のげっぷの回数や、炭酸飲料が出すガスの量ではありません。炭酸飲料のガスがげっぷの原因になること自体は、別の資料にも書かれています[1]。
げっぷは、赤ちゃんにとっても大切な話題になります。授乳のあとのげっぷは、どう考えられているのでしょうか。
大阪公立大学の研究は、成人約1万人のウェブ調査で、げっぷ障害(困るほど頻繁なげっぷ)を調べた。該当者は151人(1.5%)で、消化器疾患があること、満腹になるまで食べること、咀嚼回数が極端に少ない、または多いことが関連した。炭酸飲料を多く摂ることは関連しなかった。2024年7月、米国消化器病学会誌 American Journal of Gastroenterology に掲載されている[5]。
読み方には注意が要る。この結果は、困るほどのげっぷがあるかどうかの話であり、通常のげっぷの量や、炭酸飲料が胃にもたらすガスの量とは別の問題だ。炭酸飲料のガスが、げっぷの原因のひとつになるという記述は、MSDマニュアルにもある[1]。
この調査は、成人のウェブ調査という方法をとっているため、1つの研究の結果として読むのが適切だ。では、大人とは違い、空気を飲みこみやすい赤ちゃんでは、げっぷはどう扱われているのか。
6. あかちゃんの げっぷは、かならず だすの?
6. 赤ちゃんのげっぷは、出なくてもよいことがある
6. 授乳後の赤ちゃんのげっぷ ── 出なくても機嫌がよければよい
あかちゃんは、おっぱいや ミルクを のむ ときに、空気も いっしょに のみこみます[6]。だから、のんだ あとに げっぷを させて あげると いい、と いわれます。
けれど、しばらく まっても でなくて、あかちゃんの きげんが よければ、むりに させなくて だいじょうぶ、と きょうとふの ホームページには あります[6]。ねむって しまったら、おこして まで する ひつようは ありません。
赤ちゃんは、授乳のときに空気も一緒に飲みこむため、授乳後にげっぷを出させるとよい、とされています。ただし個人差があります。京都府の子育てQ&Aには、しばらく待っても出ず、赤ちゃんの機嫌がよければ、無理にさせなくてもよい、と書かれています[6]。眠ってしまったら、げっぷをさせるために起こす必要もないともあります。
ここまで見たように、げっぷは、空気を逃がすために体が自動で働く仕組みです。しばらく待ってもげっぷが出ず、機嫌がよければ、無理に出させなくてもよいとされているのも、この考え方と合っています。
京都府の子育てQ&Aは、赤ちゃんが授乳中に空気を飲みこむため、授乳後にげっぷを出させるとよいとする。ただし個人差があり、しばらく待っても出ず機嫌がよければ、無理にさせる必要はない。眠ったらげっぷのために起こす必要もない、と説明している[6]。
げっぷが反射であり、胃の空気を逃がす自動の働きだという前の章の説明とも、矛盾しない。出る・出ないには個人差があるので、出ないことだけを異常と見る必要はない、と読める。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
ごはんを たべた あとに、じぶんの げっぷが いつ でるか、きに して みましょう。「でそう」と かんじた あとか、きづかない うちか、ちがいが あるかも しれません。
ほんで しらべる なら、MSDマニュアルの「ガス」が、日本語で よめます。
今日できること:食事のあとに、げっぷが出そうだと感じてから出るのか、気づかないうちに出るのかに注目してみます。反射だという話を、自分の体で確かめるきっかけになります。
公式情報:MSDマニュアル家庭版の「ガス」は日本語で読めます。大阪公立大学の研究ニュースや、京都府の子育てQ&Aも参考になります。この記事は医療の助言ではありません。げっぷやおなかの不調で困るときは、医師に相談してください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:MSDマニュアル家庭版、医学の総説論文、大阪公立大学の研究ニュース、京都府の子育てQ&Aを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- MSDマニュアル家庭版「ガス」。https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/03-消化器系の病気/消化器系の病気の症状/ガス (げっぷの原因と、飲みこんだ空気の行き先について)
- Managing Excessive Belching(総説、PMC5369716)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5369716 (1回の嚥下で入る空気の量について)
- Belching(総説、PMC7590068)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7590068/ (胃のげっぷの仕組み、迷走神経反射、胃上げっぷについて)
- Orr, J Clin Sleep Med 2008(PMC2576330)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2576330/ (胃のふくらみで出口がゆるむ説明について)
- Osaka Metropolitan University Research News。https://www.omu.ac.jp/en/info/research-news/entry-61323.html (成人約1万人の調査とげっぷ障害について)
- 京都府 子育てQ&A「げっぷが出ない」。https://www.pref.kyoto.jp/kosodateqa/bonyuu_08.html (赤ちゃんのげっぷについて)
なおした ところ
更新履歴
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