1. うんてんしゅさんは、なにを して いるの?
1. 運転手は、信号を操作しない
1. 運転手の操作は要らない ── 信号側が自動で判断する
バスが こうさてんに ちかづく ところを おもいうかべて ください。うんてんしゅさんは、ハンドルと ブレーキで いそがしいはずです。
じつは、しんごうを かえる ボタンは ありません。うんてんしゅさんが なにか しなくても、バスの そなえた きかいと みちの はこが、じどうで はなしあいます[2]。
この しくみは、バスを さきに とおす ための ものです。「PTPS」と よばれます[1]。
2. バスと みちの はこは、どうやって はなすの?
2. 見えない光で、バスは自分の存在を伝える
2. 近赤外線の通信 ── 車載機と光ビーコンが交わすもの
バスは、めに みえない 光(赤外線)を だします。みちの うえに ある はこが、その 光を うけとります[2]。
はこは、光を うけとって、バスが ちかづいた ことを しります。テレビの リモコンの 光を、はこが よみとる ような ものです。ただし ほんとうは、バスと はこの あいだで、おたがいに はなしあって います[2]。
みなさんが バスで「ここに いるよ」と てを ふるのと にて います。ただ、てを ふる かわりに 光で しらせます。
3. しんごうは、なにを かえるの?
3. 信号が変えるのは「青の長さ」と「赤の長さ」
3. 青延長・赤短縮 ── 定時運行と利便性という目的
しんごうは、2つの ことが できます。1つは、青を すこし ながく する こと。もう1つは、赤を すこし みじかく する ことです[1]。
そうすると、バスは とまらずに すすめる ことが あります。バスには、おとしよりや 小さな 子も たくさん のります[3]。
バスが じかんどおりに 来れば、まって いる 人も たすかります。だから、バスを さきに とおす くふうが あるのです。
4. どうして いつも 青に ならないの?
4. 「いつも青」ではない理由
4. 常時青ではない設計 ── 交通状況に応じた制御と導入の制約
バスが 来ても、いつも 青に なる わけでは ありません。しんごうは、まわりの 車の ようすを みて、きめる しくみです[2]。
よこから 来る 道にも、まって いる 車や 人が います。バスだけ とくべつに すると、ほかの 人が ながく まつ ことに なるかも しれません。だから しんごうは、ばめんに あわせて きめます。
さらに、この しくみを つかうには、しんごうも きかいに あわせて かえる ひつようが あります。おかねも かかります[2]。
あたらしい しくみでは、バスを 2かい しらべる ことで、しんごうの じかんを もっと じゆうに かえられると いわれます[8]。
PTPSは、常に青信号でバスを通すというものではありません。交通状況に応じて信号を制御する仕組みです[2]。
理由を、一般的な説明として考えてみます。交差する道にも、待っている車や歩く人がいます。バスのためだけに青を延ばしつづければ、その人たちを長く待たせてしまいます。どちらかだけが得をしないように、状況を見て選ぶ必要があるのです。
高度化PTPSと呼ばれる新しい仕組みでは、バスの検出を2回行うことで、従来より柔軟に信号の時間を調整できるのが特徴とされます[8]。
ほかにも制約があります。対応した信号機が必要で、交通量が多い場所ほど効果が出ます。設備を入れる工事は交通を止めにくく、予算にも限りがあります[2]。
では、実際にどれくらい速くなったのでしょうか。
PTPSは常に青信号でバスを通過させる性質のものではなく、交通状況に応じて信号を制御する[2]。なぜか。これは一般的な説明にとどまるが、交差する道路にも待つ車や歩行者がいて、バスのためだけに青を延ばし続ければ、その待ち時間が増える。たとえるなら、信号の時間を交わる道路のあいだで分け合っているようなものだ。
高度化PTPSは、バスの検出を2回行うことで、従来より柔軟に信号時間を調整できる点が特徴とされる[8]。
導入には制約もある。対応した信号機が必要で、交通量が多い場所ほど効果が出る一方、設備導入のために交通を止めにくく、予算の制約もある[2]。常に青にしないのは、全体の流れを守るための設計と読める。効果は、実際の数字でどれほどか。
5. バスは、どれくらい はやく なったの?
5. 千葉・藤沢・松江で縮んだ時間
5. 導入効果の数字 ── 千葉市・藤沢地区・松江市
ちばし では、2キロメートルの みちで、かかる 時間が 20パーセントほど へりました[1]。10の うち 2 ぐらい、はやく なった と いうことです。
おくれが 1分より 小さい バスも ふえました。まえは 10だいの うち 6だい ほどでしたが、あとは 8だい ほどに なりました[1]。
ふじさわの みちでは、いっぽうの むきで 5分22びょう、はんたいの むきで 2分30びょう みじかく なりました[5]。
まつえしでは、バスの「ていじせいりつ」という 数が、23パーセントから 63パーセントに なりました[6]。
千葉市のJR稲毛駅から穴川十字路までの2.0kmでは、PTPSを入れたところ、所要時間が約20%短縮されました。遅れが1分未満で走れるバスは、導入前の約6割から約8割に増えています[1]。10台のうち、6台ほどだったのが8台ほどになった、と読めます。
神奈川県の藤沢地区では、県道の整備区間で、旅行時間が上り線で5分22秒、下り線で2分30秒短くなりました[5]。5分22秒は322秒、2分30秒は150秒なので、上りの短縮は下りの約2.1倍です。
島根県の松江市では、バスの定時性率が23%から63%に上がりました。63÷23は約2.7なので、約2.7倍です。ただし、この資料では定時性率の決め方が分かりません。「遅れが少ないバスの割合」と決めつけず、導入前後の変化として受けとめるのが安全です[6]。
3つとも場所と調べ方がちがうので、数字をそのまま並べて優劣をつけることはできません。それでも、3地域とも導入後に改善した指標が報告されています。
この仕組みは、いつ、どこまで広がったのでしょうか。
千葉市では、JR稲毛駅〜穴川十字路間2.0kmにPTPSを導入した結果、所要時間が約20%短縮され、遅れ1分未満で運行できるバスが運用前の約6割から約8割に増えた[1]。この数字は、千葉県警の事例を宇都宮市が引用した資料による。
藤沢地区の県道では、整備区間で上り線5分22秒、下り線2分30秒の短縮が報告されている[5]。秒に直せば322秒と150秒で、上り線は下り線の約2.1倍の短縮にあたる。上下で差が出る理由は、資料では説明されていない。
松江市では、バス定時性率が23%から63%に上昇した。63÷23=約2.7で、約2.7倍だ。ただし定時性率の定義は、この資料では確かめられず、「遅れの少ない割合」と断定しないほうがよい[6]。
数字の読み方にも注意がいる。所要時間が約20%縮むことと、遅れ1分未満で走れる割合が約6割から約8割に増えることは、別の指標だ。前者は所要時間の変化、後者は遅れ1分未満で運行したバスの割合の変化を示している。3地域は区間・条件・指標が異なる。数字の優劣を比べるものではなく、同じ向きの変化が各地で報告された、という読み方が妥当だ。この方式は、全国でどれほど普及したのか。
6. PTPSが ひろがり、きゅうきゅうしゃにも つかわれた
6. 広がった範囲と、救急車への応用
6. 整備の広がりとFAST ── 27都道府県から40都道府県へ
この しくみを いれた けんは、だんだん ふえました。へいせい14ねんどの おわりには 27の と どう ふ けんでした[3]。へいせい25ねんどの おわりには 40に ふえました[4]。
べつの しくみ「FAST」は、きゅうきゅうしゃなどを いそがせる ために、しんごうを せいぎょします[7]。
バスの ための くふうと ならんで、びょうきや けがの 人の ところへ いそぐ 車を たすける しんごうの しくみも あるのです。
7. バスが くる こうさてんで、みて みよう
7. バスが来る交差点で、信号を見てみる
7. 交差点での観察と、原典の読み方
バスが とおる こうさてんの ちかくで、あんぜんな ほどうから、しんごうを みて みましょう。くるまの ほうへは 出ません。
バスが 来る ときと、来ない ときで、青の ながさが ちがうか、とけいを みて、ちがいを きろくして みます。ただし、その こうさてんに しくみが あるか わからないので、ちがいが 出ない ことも あります。まわりの 車の ようすの ちがいかも しれないので、しくみの せいとは いえません。
どうして ちがったのかは、そとからは わかりません。それでも、きづいた ことを きろくするのが、たのしい ところです。
バスがよく通る交差点で、歩道から信号を観察してみます。道路には出ません。時計の秒針で、バスが来たときの青の長さと、来ないときの青の長さを、何回か見比べ、気づいた違いを記録します。
ただし、その交差点にPTPSが入っているかや、信号が何を根拠に決めたかは、外からは分かりません。違いが見えても、交通状況など別の条件の差かもしれず、PTPSが働いたとは言えません。変化が見られない日があっても、まちがいではありません。
原典を読むなら、警察庁の警察白書(平成15年版と26年版)が一次資料です。神奈川県警察の渋滞対策のページには、整備区間の例が出ています。救急車への応用(FAST)も、気になる次の問いになります。
観察するなら、歩道から、バスが来る回と来ない回の青信号の長さを時計で比べる。ただし、その交差点がPTPSの対象かは外から判断できず、差が出ないことも、状況に応じた制御の結果として自然に起こりうる。差が見えても交通状況など別の条件のちがいと区別できないので、気づいた違いを記録するにとどめ、信号が何を根拠に決めたかは外から分からないものとして扱う。
原典は、警察庁の警察白書(平成15年版・平成26年版)と、神奈川県警察の渋滞対策ページ(藤沢地区の旅行時間短縮)が出発点になる。千葉市の事例は宇都宮市の資料が引用しており、元の千葉県警の資料を探すのも手だ。松江の定時性率の定義、高度化PTPSの2回検出の中身は、さらに調べる価値がある。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
警察白書・県警・自治体の資料を中心に、報道は仕組みの説明の確認に使いました。高度化PTPSの説明は、資料の抜粋にもとづくため、本文で「とされる」としています。
- 宇都宮市「バス検討資料」(PTPSの概要、千葉の事例を引用) https://www.city.utsunomiya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/040/buskentou_02_siryou2-1.pdf (仕組み、千葉市の効果)
- くるまのニュース「PTPS解説」 https://kuruma-news.jp/post/272495 (通信の仕組み、いつも青ではない理由)
- 警察庁「警察白書 平成15年版」 https://www.npa.go.jp/hakusyo/h15/html/E5008010.html (目的、平成14年度末の整備数)
- 警察庁「警察白書 平成26年版」 https://www.npa.go.jp/hakusyo/h26/honbun/html/q5430000.html (平成25年度末の整備数)
- 神奈川県警察「渋滞対策」 https://www.police.pref.kanagawa.jp/kotsu/jutai/mesf1021.html (藤沢地区の旅行時間)
- 国土交通省「国際ITF関連」 https://www.mlit.go.jp/kokusai/itf/kokusai_itf_000017.html (松江市の定時性率、導入道路の総延長)
- 乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/670643 (FASTへの拡張)
- SIP-adus 資料 https://www.sip-adus.go.jp/rd/rddata/rd05/210s.pdf (高度化PTPSの説明)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。