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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

むねの なかでは、なにが はたらいて いるの?

胸の中では、骨のかごと心臓と肺が、どう役割を分けているのか

胸郭・横隔膜・心臓・肺胞:胸部で「守る・動かす・運ぶ」はどう分担されているか

分野:からだ

じつは、肺はいには、じぶんで ひろげる きんにくが ありません。では、どうして いきを すえるのでしょう。

むねの なかでは、ほねの かごと、きんにくと、心臓しんぞうが、やくわりを わけて います。この ページでは、そのことが わかります。

肺には、自分で広げるための筋肉がありません。それでも息を吸えるのは、肺を包む胸の骨のかごが、広がるからです。

では、そのかごの中で、心臓や肺はどう役割を分けているのでしょうか。この記事を読むと、胸が「守る・動かす・運ぶ」を一か所で引き受けているしくみが分かります。

肺には、自分で広げるための骨格筋がない。空気が入るのは、胸郭と横隔膜が胸腔の容積を変えるからだ[1][3]。

では、このかごの中で、心臓と肺は何を分担しているのか。この記事を読むと、胸部が防護・換気・循環を同じ空間で両立させるしくみが分かる。

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1. むねの ほねは、かごの かたち

1. 胸をさわると、骨のかごが見つかる

1. 胸郭:臓器を囲む骨のかご

じぶんの むねを、そっと おして みて ください。かたい ほねが、ならんで いる のが わかります。

あばらぼねは、みぎと ひだりに 12本ずつ、あわせて 24本 あります[2]。肋骨ろっこつとも いいます。まえの 胸骨きょうこつ、うしろの 胸椎きょうついと つながって、胸郭きょうかくという かごに なります[1]。

この かごの なかに、心臓しんぞうと 肺はいが はいって います。かごは、たいせつな ものを まもる たてです。でも、ただの たてでは ありません。

24本の肋骨と、前後の支え

胸の真ん中を指で押すと、かたい骨に当たります。これが胸骨です。背中側には胸椎がならび、胸骨と胸椎のあいだを、肋骨がぐるりとつないでいます。この全体を胸郭といい、心臓や肺などの臓器を支え、守っています[1]。

肋骨は左右に12対、あわせて24本あります。12本ではなく、左右で12対です[2]。

守るだけなら、板でいいはず

臓器を守るだけなら、ひと続きの硬い板のほうが丈夫そうです。それなのに、胸は細い骨を並べた「かご」の形をしています。このかごは、守るだけでなく、息をするときには動きます。

胸郭は、胸椎・肋骨・胸骨がかご状に組み合わさった骨格で、心臓や肺などを支え、保護する[1]。肋骨はヒトでは左右12対、合わせて24本あり、胸部の内臓を保護する弓形の骨である[2]。「12対」を12本と読み違えやすいので、数え方に注意したい。

ただし、防護だけが目的なら、連続した硬い板のほうが単純に頑丈なはずだ。それなのに胸郭は、細い骨を並べた「かご」の形をしており、臓器を守るだけでなく、呼吸のときには動く構造でもある。次に、その動きを見る。

2. はいには、じぶんで ひろげる きんにくが ない

2. 肺をふくらませているのは、かごと横隔膜

2. 呼吸運動:胸腔の容積を変えて空気を入れる

いきを すうと、むねが ふくらみます。でも、ふくらませて いるのは、肺はいでは ありません。

あばらぼねが うえに あがると、かごが ひろがります。かごが ひろがると、そこへ くうきが はいって きます[1]。

かごの したには、横隔膜おうかくまくという ドームの かたちの きんにくが あります。これが ちぢんで さがると、かごの なかが たてにも ひろがります[3]。

たとえば、ふうせんの まわりを、そとから ひっぱって ひろげる ような ものです。肺はいが ふうせんで、ひっぱる 手の かわりに、かごと きんにくが はたらいて います。

肺は引っぱられて広がる

息を吸うとき、肋骨が上がって胸郭が広がります。胸腔という空間の容積が増えるので、肺に空気が入ります。吐くときは、肋骨が下がって胸郭がせまくなり、空気が出ていきます[1]。

さらに、胸郭の下にはドーム状の筋肉、横隔膜があります。これが縮んで下へ動くと、胸腔の長さと直径が増え、肺がふくらみます。肋骨の動きを助けるのは肋間筋です[3]。

考えなくても動く

この動きは、ふだんは意識しなくても続きます。呼吸は、脳幹にある呼吸中枢が、無意識のうちに制御しているからです[3]。かごを広げる筋肉は、眠っている間も働いています。

肺は自力で広がらない。呼吸運動の際に胸郭が胸腔の容積を増減させ、それによって肺への空気の出入りが可能になる[1]。肋骨が上がれば胸郭が広がって空気が入り、下がれば縮んで空気が出る。

吸気では、ドーム状の横隔膜が収縮して下に移動し、胸腔の長さと直径が増えて肺がふくらむ。肋間筋は肋骨の動きを助ける[3]。つまり、肺は容積の変わる容器の内側に置かれ、容器が広がるから空気が入る。

この制御は、通常は無意識に、脳幹部の呼吸中枢が担う[3]。随意に息を止めることもできるが、基本は意識しなくても続く仕組みである。

では、広げたかごは、どうやってもとに戻るのか。

3. いきを はく ときは、がんばらない

3. 静かな呼吸では、息を吐くとき筋肉は休んでいる

3. 呼気:弾力で戻る受動的な過程

いきを すう ときは、きんにくが はたらきます。では、はく ときも、がんばって いるのでしょうか。

じつは、しずかに していて、うんどうを して いない ときは、はく ほうは きんにくを つかいません[3]。のびた 肺はいと むねの かべが、もとに もどろうと する ちからで、しぜんと いきが でて いきます。

ひろげた ゴムの ふくろが、てを はなすと ちぢむ のと にて います。ただし、うんどうの とき などは、はく ほうも きんにくが てつだいます。

吸うのは能動、吐くのは受け身

運動中でないかぎり、息を吐く動きは受け身です。伸びた肺と胸壁が弾力でもとに戻るため、筋肉は使われません[3]。

つまり、静かな呼吸では、筋肉が働くのは吸うときです。吐くときは、広げられたかごが縮むのにまかせています。走ったあとに息が荒くなるのは、この受け身の動きでは足りなくなるからだと考えられます。

かごの中の、もう一つの主役

ここまでは、かごと空気の話でした。では、同じかごの中で、休まず動いているものは何でしょうか。

安静時の呼気は、運動中でない限り受動的に起こる。伸展した肺と胸壁が、弾力によってもとの位置へ戻る過程である[3]。したがって、静かな呼吸でエネルギーを使う筋活動は、主に吸気側にあると読める。

これは、胸郭が「ばね」のように働く構造だということでもある。ただし、運動時には呼気にも筋肉が加わるため、「吐くときは常に筋肉を使わない」とは言えない。条件を区別して読む必要がある。

この受動的な動きの内側で、休まず働いている器官が、心臓である。

4. かごの まんなかで、うごく 心臓しんぞう

4. 握りこぶしほどの心臓は、肺のあいだで休まない

4. 心臓と縦隔:肺のあいだの空間に収まる臓器

むねの なかで、まんなかの すこし ひだり がわに、心臓しんぞうが あります[5]。おおきさは、じぶんの にぎりこぶしくらいです[6]。

この 心臓しんぞうは、血を おくる ポンプです。心房しんぼうと 心室しんしつという へやが、ひだりと みぎに ひとつずつ、ぜんぶで 4つ あります[5]。

おとなの 心臓しんぞうは、しずかな ときでも、1ぷんかんに 60〜84かい ほど うごきます。1ぷんで 4〜7リットルの 血を おくりだします[6]。

しずかな ときの 1ぷんの りょうが 1にち つづいたと して けいさんすると、およそ 5760〜10080リットルです。ドラムかん 30〜50ぽん ぶん です。(けいさんは この ページの もの です。)

左右の肺にはさまれた場所

心臓は筋肉でできた中空の臓器で、胸の中心よりやや左にあります。左右の肺のあいだに収まっていて、上の部屋が心房、下の部屋が心室です。左右に2つずつ、計4つの部屋があります[5]。重さは成人でおよそ250〜300g、握りこぶしほどの大きさとされます。辞典によって数値には幅があります[6]。

左右の肺のあいだの空間は縦隔と呼ばれ、心臓のほかに、胸腺、大血管、食道、気管などが入っています[7]。

1日に送る血の量を計算する

安静時の心拍数は、健康な成人で毎分およそ60〜84回です。1回に送り出す血液は平均60mLほど、毎分では4〜7リットルとされます[6]。この毎分の量に1440分をかけると、1日で約5760〜10080リットルです。200リットルのドラム缶なら、およそ30〜50本分にあたります。これは資料の範囲から筆者が計算した目安で、安静時の毎分の量が24時間一定だったとした単純な換算です。

心臓は筋肉でできた中空の臓器で、胸部中心のやや左、左右の肺のあいだにある。左右それぞれに心房と心室があり、計4部屋をもつ[5]。成人の重さは約250〜300gとされ、辞典により数値の幅がある[6]。肺のあいだの空間は縦隔であり、胸腺・心臓・大血管・食道・気管などを含む[7]。

では、この小さな臓器は、どれほど働いているのか。安静時の心拍数は健康な成人で毎分およそ60〜84回、1回の拍出量は平均60mL程度、毎分では4〜7リットルの血液を送る[6]。毎分4〜7リットルに1440分をかけると、1日で約5760〜10080リットルになる。この値は出典の範囲から、安静時の毎分の量が24時間一定だったとして求めた概算で、運動や個人差で変わる。

ここで注意したいのは、「1日10万回」という言い方である。70回に1440分をかけた概算で、出典の範囲(60〜84回)では約8.6万〜12万回に広がる。ひとつの数字として覚えるより、範囲で捉えるほうが安全だ。

この血液は、どこで空気と出会うのか。

5. はいの おくで、くうきと 血が であう

5. 空気と血は、1000分の1センチの壁をはさむ

5. 肺胞:約1マイクロメートルの壁でのガス交換

心臓しんぞうが おくった 血は、肺はいの なかの こまかい へやに とどきます。肺胞はいほうと いいます[4]。

ここでは、くうきと 血が、とても うすい かべを はさんで ならんで います。かべの あつさは、1センチの 1000ぶんの 1 ほどです[4]。

この かべを とおって、酸素さんそが 血に はいります。かわりに、いらなく なった 二酸化炭素にさんかたんそが でて いきます。

こうして、かごが くうきを いれ、心臓しんぞうが 血を おくり、肺はいで この 2つが であいます。

薄い壁のおかげで、酸素が通る

心臓から肺に来た血液は、肺胞を取り巻く毛細血管を流れます。肺胞の空気と血液をへだてる壁は、平均すると約1マイクロメートル、つまり1cmの1000分の1の厚さしかありません[4]。酸素はこの薄い壁を通って血液に入ります。

数と広さ

肺胞の数は約3億個といわれ、総表面積は50〜60平方メートルとされます。辞典によって、7〜8億個で約100平方メートル、4億4千万個で約50平方メートルなど、数値に幅があります[8]。テニスコート1面を約260平方メートルとして計算すると、その5分の1ほどです。

かごが空気を入れ、心臓が血を送り、肺胞で出会う。胸はこの3つの役割を、せまい空間にまとめています。

肺胞と毛細血管のあいだで、空気と血液をへだてる距離は平均約1マイクロメートル(1cmの1000分の1)であり、酸素はここを拡散して血液に入る[4]。壁が薄いほど、ガスは通りやすい。だから肺は、血管を肺胞のすぐ外側に張りめぐらせる構造になっていると読める。

肺胞の数は約3億個、総表面積は50〜60平方メートル(吸気時はほぼ2倍の約100平方メートル)とされる。ただし辞典により、約7〜8億個・100平方メートル、約4億4千万個・50平方メートルなど、数値は一致しない[8]。テニスコート1面を約260平方メートルとすると、50〜60平方メートルは5分の1前後にあたる。単一の数字を断定せず、幅をもって読むのが適切だ。

胸部では、胸郭が換気を起こし、心臓が循環を担い、肺胞がガス交換を行う。防護・換気・循環が、縦隔と肺のある同じ空間で連携している。

6. じぶんの むねで たしかめよう

6. 胸のかごの動きを、自分の手で確かめる

6. 胸郭の動きを手で確かめる

りょうてを、むねの よこの あばらぼねに のせて、ゆっくり いきを すって みましょう。てが、そとへ ひろがる のが わかります。

つぎに、いきを ゆっくり はきます。ちからを いれなくても、かごが もどって いきます。

むねに みみを あてて もらうと、心臓しんぞうの おとも きこえます。むりを せず、ここちよい ところで やめて くださいね。

両手を、胸の横、肋骨のあたりにそっと当てて、ゆっくり息を吸ってみてください。手が外へ広がるのが分かります。吐くときは、力を入れなくても、かごがもとに戻っていくのを感じられるでしょう。

次に、手首か首筋に指を当てて、1分間に脈が何回あるかを数えてみてください。脈は、動いたあとや緊張したときには変わります。

もっと読みたい人は、MSDマニュアル家庭版の「呼吸の制御」の章を開くと、横隔膜と呼吸中枢の説明が詳しく載っています。

両手を肋骨の側面に当て、安静時の吸気で手が外側へ広がること、呼気では力を入れなくても戻ることを確かめられる。1分間の脈拍を数えてみるのもよい。ただし脈拍は、運動や緊張、体調で変わるので、一度の測定を基準にしない。

さらに調べるなら、MSDマニュアル家庭版の「呼吸の制御」と「酸素と二酸化炭素の交換」、国立がん研究センターの縦隔の解説が、本稿の根拠になっている。肺胞数と表面積には辞典間の差があるので、複数の資料を比べて読む題材として向いている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

数値に幅のあるものは、複数の資料を比べて、範囲または「約」で書きました。

  1. コトバンク「胸郭」(デジタル大辞泉・日本国語大辞典・世界大百科事典) https://kotobank.jp/word/%E8%83%B8%E9%83%AD (胸郭の構造と呼吸運動)
  2. コトバンク「肋骨」(世界大百科事典・デジタル大辞泉) https://kotobank.jp/word/%E8%82%8B%E9%AA%A8 (肋骨の数)
  3. MSDマニュアル家庭版「呼吸の制御」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/呼吸の制御 (横隔膜・肋間筋・息を吐く動き・呼吸中枢)
  4. MSDマニュアル家庭版「酸素と二酸化炭素の交換」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/酸素と二酸化炭素の交換 (肺胞の壁の厚さ)
  5. MSDマニュアル家庭版「心臓の生物学」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/心臓の生物学 (心臓の位置と4つの部屋)
  6. コトバンク「心臓」(世界大百科事典・ニッポニカ・マイペディア) https://kotobank.jp/word/%E5%BF%83%E8%87%93 (心臓の重さ・心拍数・拍出量)
  7. 国立がん研究センター 呼吸器外科「縦隔腫瘍について」 https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/thoracic_surgery/070/010/index.html (縦隔に入っている臓器)
  8. コトバンク「肺胞」(ニッポニカ・ブリタニカ・マイペディア) https://kotobank.jp/word/%E8%82%BA%E8%83%9E (肺胞の数と表面積)

なおした ところ

更新履歴

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