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ドライブレコーダーは、どうして じこの ときの えいぞうだけ のこせるの?

ドライブレコーダーは撮った映像を消し続けているのに、なぜ大事な場面だけ残せるのか

ドライブレコーダーの常時録画と衝撃時の保護:映像はどう残り、どんなときに残らないのか

分野:技術

くるまに ついている ドライブレコーダーは、「えいぞうを のこす そうち」だと 思われがちです。でも じつは、ふだんは とった えいぞうを、ふるい ほうから どんどん 消して います。

それなのに、事故じこの ときの えいぞうは 消えずに のこります。どうして でしょう。この ページを 読むと、のこす しくみと、のこらない ことも ある わけが わかります。

機種によっては、衝撃の前後30秒ずつ、約1分の映像を別ファイルに残します。ドライブレコーダーは映像を残す装置だと思われがちですが、ふだんの録画は、容量がいっぱいになると古い分から消されていきます。JAFの説明では、一般的なドライブレコーダーは古い映像を消しながら新しい映像を記録しつづけています[1]。

それなのに、大事な場面の映像は消えずに残ります。どんな仕組みで守っているのか、電源を切っても消えないのはなぜか、そしてそれでも映像が残らないことがあるのはなぜか。この記事を読むと、その理由が分かります。

ドライブレコーダーの常時録画は、記録媒体の容量が尽きれば古い分から上書きされる。JAFの解説によれば、一般的な機種は古い映像を消しながら新しい映像を記録しつづける[1]。それでも衝撃時の映像だけが残るのは、別の保護の仕組みが働くからである。

この記事を読むと、衝撃検知による保護の流れ、電源を切っても記録が消えない半導体メモリの原理、保護領域にも上限があること、国民生活センターに寄せられた「映像が残っていなかった」相談の内容から、残るための条件と限界が分かる。

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1. えいぞうは、ずっと のこって いるの?

1. 録画した映像は、ずっと残っているわけではない

1. 常時録画は上書きが前提であり、全部は残らない

ドライブレコーダーは、くるまが うごいて いる あいだ、まえの けしきを ずっと うつして います。

でも、記録きろくする ばしょの 容量ようりょうには かぎりが あります。いっぱいに なると、いちばん ふるい ぶんから 消して、あたらしい ぶんを 書きこみます。ノートが いっぱいに なったら、ふるい ページに 上から 書く ようなものです。

ただし、ほんとうは ノートの ように 手で 書くのでは なく、電気で 書きこんで います。

だから、きのうの ドライブの えいぞうも、そのままには のこって いない ことが 多いのです。

ドライブレコーダーは、車が動いているあいだ、前方の景色を撮りつづけています。ところが、記録できる容量には限りがあります。JAFの説明では、容量がいっぱいになると古い映像を消しながら新しい映像を記録しています[1]。

国民生活センターが取り上げた機種でも同じで、常時録画の映像はエンジンをかけてから止めるまでmicroSDカードに記録され、容量を超えると古い分から上書きされていきます[3]。ノートの最後のページまで書いたら、最初のページに戻って消しゴムで消しながら書く、という使い方に近いものです。

つまり、ふだんの映像は「残す」より「更新しつづける」ものです。では、事故のような大事な場面は、どうやって上書きから逃れるのでしょうか。

ドライブレコーダーは、走行中の前方映像を連続して記録する。ところが、記録媒体の容量は有限であり、JAFの解説では、容量が尽きると古い映像を消しながら新しい映像を記録している[1]。国民生活センターが検査した機種でも、常時録画はエンジン始動から停止までmicroSDカードに記録され、容量を超えると古い分から上書きされる[3]。

この方式をループ録画と呼ぶ。限られた容量で長く録りつづけるための設計であり、裏を返せば、何もしなければ映像はいずれ消えるということである。したがって、必要な場面を守る仕組みが別に要る。それが次章の衝撃検知である。

2. じこの ときだけ、どうやって まもるの?

2. 衝撃を感じた瞬間に、前後の映像を別の場所へ移す

2. 衝撃検知が働くと、前後の映像が保護領域へ移される

ドライブレコーダーの なかには、ゆれや ぶつかった 衝撃しょうげきを かんじる ぶひんが 入って います。Gセンサーと いいます。

つよい 衝撃しょうげきを かんじると、その ときの 前と 後の 映像えいぞうを、消えない ように べつの ところへ うつします。JAFは、そう せつめい して います。

ある しゅるいの そうちでは、衝撃しょうげきの 前後 30びょうずつ、あわせて 1ぷんほどの えいぞうが べつの ファイルに 保存ほぞんされます。

ふだんは 消しながら つかい、だいじな ときだけ とっておく。それが、ドライブレコーダーの いちばん の とくいわざです。

ふだんの映像を消しつづけるだけでは、大事な場面まで消えてしまいます。そこで多くのドライブレコーダーには、車に加わる衝撃を感じるGセンサーが入っています。

JAFの説明では、衝撃を感知すると、その瞬間の前後の映像をSDカードなどのメモリーカードへ自動的に移し、消えないように保存します[1]。保存される範囲は機種によって違います。国民生活センターの資料にある機種では、一定以上の衝撃を検知すると、検知の前後30秒ずつ、約1分間の映像が別ファイルになります[3]。

大事なのは「あとから」ではなく「前」の映像も残ることです。ぶつかった瞬間だけでなく、その直前に何が起きたかも映像に入ります。ドライブレコーダーは、撮りながら過去を少しだけ持っている装置だといえます。

ここで一つ疑問が出ます。電源が切れても、保存した映像はどうして消えないのでしょうか。

常時録画の上書きから大事な場面を外す仕組みが、衝撃検知である。JAFの解説では、Gセンサーなどで車両への衝撃を感知すると、その瞬間の前後の映像をSDカードなどのメモリーカードへ自動的に移動させ、消えないように保存する[1]。

保存の範囲は機種ごとに設計が異なる。国民生活センターが検査した機種は、一定以上の衝撃を検知すると、検知前後30秒ずつの約1分間を別ファイルに保存した[3]。検知の前の映像も含まれるのは、常時録画で直前までの映像を持ち続けているからであり、衝撃が起きた時点で上書きされる前の分を確保できる。

保存される長さも一定ではない。JAFは、ドライブレコーダーを、急停止などで大きな衝撃が加わったときの前後十数秒間の前方映像と音声を記録する車載機器と説明している[1]。一方、国民生活センターが検査した機種では、前後30秒ずつ保存される。数字が食いちがうように見えるが、前者は一般的な説明、後者は個別の機種の仕様であり、どの機器でも同じ長さが残るわけではないと読める。

では、保存した映像は、電源を切ったあとも保たれるのか。そこには記録媒体の性質が関わる。

3. でんげんを 切っても、どうして 消えないの?

3. 電源を切っても消えないのは、電子を閉じこめているから

3. フラッシュメモリは電荷蓄積膜に電子を保持する

パソコンの 画面は、電気を 切ると 真っ暗に なります。でも、SDカードの なかの ちずや しゃしんは、電源でんげんを 切っても 消えません。

SDカードの なかには、フラッシュメモリと いう ものが あります。キオクシアの せつめいでは、とても ちいさな 電気の つぶ(電子)を、まわりを かこまれた ところに 出し入れして、「0」と「1」を おぼえて います。

かこまれた ところに はいった 電子は、電気が こなくても そのまま です。だから、電源でんげんを 切っても 消えません。

ただし、書きこめる 回数には かぎりが あると されて います。この ことは あとで また 出て きます。

パソコンで文章を書いている途中に電源が落ちると、保存していない分は消えます。ところが、SDカードに保存した写真や映像は、電源を切っても残っています。

キオクシアの解説では、フラッシュメモリは、絶縁体に囲まれた電荷蓄積膜に電子を出し入れすることでデータを記憶します。「0」と「1」の状態は、電源を切っても保たれます[2]。電子を小さな部屋に閉じこめるようなもので、部屋の扉が閉じていれば、外から電気を送らなくても中身はそのままです。

同じ解説によれば、キオクシアは1987年に世界初のNAND型フラッシュメモリを発明しました[2]。

これで、衝撃で保存した映像は電源が切れても残る、と分かりました。それでも、映像が残らなかったという相談は実際に寄せられています。

保存した映像が電源断で消えないのは、フラッシュメモリが不揮発性の記憶素子だからである。キオクシアの解説では、絶縁体に囲まれた電荷蓄積膜に電子を出し入れしてデータを記憶し、「0」「1」の状態は電源を切っても保持される[2]。電子が絶縁体に囲まれているため、電圧をかけ続けなくても状態が維持される。

同じ解説によれば、キオクシアは1987年に世界初のNAND型フラッシュメモリを発明した[2]。現在のSDカードやmicroSDカードは、この種の記憶素子を使う。

ただし、記憶が保たれることと、そもそも書きこまれていることは別の問題である。書きこみの段階や、カードそのものに異常があれば、映像は残らない。次章以降はその条件を見る。

4. まもる ばしょにも、かぎりは あるの?

4. 守られた映像にも、残らない条件がある

4. 保護領域の件数上限と、感度未満の衝撃

だいじな えいぞうを とっておく ばしょにも、じつは かぎりが あります。

トヨタの せつめいしょでは、まもる ばしょに のこせる 数が きまって います。前だけ うつす くるまで 20こ、前と うしろを うつす くるまで 10こ です。それを こえると、ふるい ものから 上書きされる ことが あります。

もう ひとつ。ぶつかった ちからが よわいと、センサーが はんのう しない ことが あります。ちいさな 衝撃しょうげきでは、「まもる」の スイッチが 入らない ことが あるのです。

衝撃時の映像を守る領域にも、保存できる件数に上限があります。トヨタ シエンタの取扱書では、ドライブレコーダー(前方)搭載車で20件、前後方搭載車で10件を超えると、撮影時刻の古いものから上書きされることがあります[4]。

もう一つの条件は、衝撃の強さです。同じ取扱書は、衝撃が弱く、設定された感度に満たない場合は、衝撃による保護が働かないことがあると説明しています[4]。小さな接触や、そっとぶつかった場面では、自動保存が始まらない可能性があるということです。

この数字は、一つの車種の説明書に書かれたものです。ほかの車や機器では件数も感度も違いますから、自分の機器の説明書で確かめるのが確実です。

こうした条件が重なっても、実際には「録画中の表示が出ていたのに映像がなかった」という相談が寄せられています。次の章で、その中身を見ます。

保護された映像にも限界がある。トヨタ シエンタの取扱書では、衝撃時の映像を守る保護領域にも件数の上限があり、前方のみの搭載車で20件、前後方の搭載車で10件を超えると、撮影時刻の古いものから上書きされることがある[4]。

保護が始まる条件もある。同じ取扱書は、衝撃が弱く、機器に設定されたセンサー感度に満たない場合、衝撃による記録の保護が働かないことがあると述べる[4]。つまり、「ぶつかれば必ず保存される」わけではなく、感度のしきい値を超えた衝撃だけが保護の引き金になる。

この件数や感度は、一つの車種の取扱書に基づく例であり、機種ごとに異なる。保護の仕組みが働いても、前提となる記録媒体が正常でなければ意味がない。そこで問題になるのがSDカードの状態である。

5. 「とれて いる」のに、のこって いない ことが ある?

5. 録画中の表示が出ているのに、映像が残っていないことがある

5. SDカードの異常により、記録されていない事例

こくみん せいかつ センターは、ドライブレコーダーについて よせられた そうだんを しょうかい して います。ドライブレコーダーの そうだんが 2013ねん度から 444けん あり、そのうち 88けんは「えいぞうが のこって いなかった」など、記録きろくに かんする ものでした。88を 444で わると、およそ 5けんに 1けんです。しかも、年ごとに ふえて いる と しています。

ある れいでは、じこの ときの えいぞうを さいせいしようと しても、SDカードを 読みとれませんでした。

SDカードは、つかうほど いたむ ものです。センターは、ていきてきに フォーマット(まっさらに すること)を して、あたらしい ものと とりかえるように すすめて います。

国民生活センターは、2018年に「ドライブレコーダーの映像を定期的に確認しましょう」と呼びかけました。PIO-NET(全国の消費生活相談の記録)には、ドライブレコーダーに関する相談が2013年度以降で444件あり、そのうち映像が残っていなかったなど記録に関するものが88件で、年々増えている傾向にあるといいます[5]。88を444で割ると約0.2、つまり約2割で、およそ5件に1件にあたります。

2017年公表の別の資料にある事例では、衝撃時の映像を再生しようとしてもmicroSDカードが認識されず、再生できませんでした[3]。保護の仕組みが働いたとしても、カードそのものに異常があれば映像は読み出せません。

SDカードは消耗品です。国民生活センターは、定期的にフォーマットして使うことと、定期的に新しいものと交換することを勧めています[5]。この相談事例だけでは、原因までは分かりません。

国民生活センターが2018年に公表した資料によれば、PIO-NETにはドライブレコーダーに関する相談が2013年度以降444件寄せられ、そのうち映像が残っていなかったなど記録に関するものが88件あり、年々増加する傾向にある[5]。88÷444は約0.198であり、約2割にあたる。ただし、これは相談として寄せられた件数の内訳であって、市場に出ている機器全体の不具合率ではない。

2017年公表の資料にある事例では、衝撃時の映像を再生しようとした際にmicroSDカードが認識されず、再生できなかった[3]。前章までの保護の流れが設計どおり働いても、カードが異常を起こしていれば、保存した映像を読み出せない。

この点について国民生活センターは、SDカードは消耗品であり、定期的にフォーマットして使うとともに、定期的に新しいものと交換するよう勧めている[5]。この相談事例だけでは、原因までは分からない。

6. 家の くるまの ドライブレコーダーを おとなと 見て みよう

6. 家の車で、保存された映像を再生できるか確かめる

6. 自分の機器の仕様を取扱書で確かめ、原典に当たる

きょう できる こと

おうちの くるまに ドライブレコーダーが あれば、おとなの ひとと いっしょに 見て みましょう。まず、きょうの えいぞうを さいせい できるか、たしかめます。つぎに、ふるい えいぞうが どこまで のこって いるかを 見ます。「ふるい ぶんから 消えて いる」ことが、じっさいに 目で わかります。

くるまを うんてん するのは おとなです。ドライブレコーダーを さわる ときは、くるまを とめて、あんぜんな ばしょで おこなって ください。

しらべる とき

くるまの せつめいしょには、まもる ばしょに のこせる 数や、センサーの かんどが 書かれて いる ことが あります。おとなと いっしょに さがして みましょう。

今日できること

家族の車にドライブレコーダーがあれば、車を安全な場所に停めてから、取扱説明書に沿って、大人と一緒に映像を再生してみてください。直近の映像がきちんと再生できるか、いちばん古い映像がいつのものかを見ると、容量の限界で古い分から消えていく様子が分かります。

説明書で調べるとき

取扱説明書で、衝撃時の映像を守る領域の件数の上限、センサー感度の設定、SDカードの交換の目安を探してみましょう。この記事のトヨタの例とは、数字が違うかもしれません。

公式情報

国民生活センターは、映像を定期的に確認することを呼びかけています[5]。原典を読むと、相談の内容が具体的に分かります。

自分の機器で確かめる

家族の車にドライブレコーダーがあれば、車を安全な場所に停めてから、取扱説明書に沿って、大人と一緒に映像を再生し、直近の映像が読み出せるか、最も古い映像がいつのものかを確かめる。容量に応じて古い分が消えていく様子が、実際のデータとして確認できる。

取扱書と原典

本文のトヨタ シエンタの数値は一例にすぎない[4]。自分の機器の取扱書で、保護領域の件数の上限、衝撃検知の感度設定、SDカードの交換時期の目安を探すとよい。国民生活センターの2017年と2018年の資料[3][5]は、相談の内容や検査の条件が具体的に書かれており、原典に当たる価値がある。キオクシアの解説[2]は、フラッシュメモリの原理を知る入口になる。再生して確かめるときは、衝撃時の映像と常時録画の映像を、機器の画面や取扱書でどう見分けるのかにも注目すると、本文の保護の流れが自分の機器でどう実装されているかが見える。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. JAF 「ドライブレコーダーとは、どんな装置?」 https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-construction/subcategory-supplies/faq053 (常時録画の上書きと、衝撃時の保存)
  2. キオクシア 「NAND型フラッシュメモリとは」 https://www.kioxia.com/ja-jp/rd/technology/nand-flash.html (電源を切っても記憶が残る仕組み/1987年の発明)
  3. 国民生活センター 「事故時の映像が残っていなかったドライブレコーダー」 2017年3月公表 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170302_3.html (前後30秒の別ファイル保存/カードが認識されなかった事例)
  4. トヨタ自動車 シエンタ取扱書 ドライブレコーダー https://manual.toyota.jp/sienta/3027/cv/ja_JP/contents/stk1646726761270.php (保護領域の件数の上限と、感度に満たない衝撃)
  5. 国民生活センター 「ドライブレコーダーの映像を定期的に確認しましょう-SDカードの異常により映像が記録されていないことも-」 2018年8月公表 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20180802_2.html (相談件数と、SDカードの交換の勧め)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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