1. わかれて いるのは、わるい ことなの?
1. 分かれているのは、こわれたのではない
1. 分離液状ドレッシング ── 規格にも載っている、分かれたままの形
ドレッシングには、2しゅるい あります。マヨネーズの ように、まざった まま わかれない タイプと、ふらないと わかれて しまう タイプです。
にほんの きまり(JAS)では、どちらも「ドレッシング」の なかまと して あつかわれて います。メーカーの しょうひんの ページにも、さかいめが すこし にごっても、あじも ひんしつも かわらない、と せつめい して いる ものが あります。
わかれて いるのは、こわれた しるしでは なく、そう いう しくみの タイプだから、と いう ことです。では、どうして ふると まざって、また わかれるのでしょう。びんの なかを、じゅんばんに 見て いきます。
ドレッシングには、大きく2種類あります。マヨネーズのように混ざったままのタイプと、振らないと分かれてしまうタイプです。日本の規格(JAS)は、油を細かい粒にして酢の中に散らした「乳化」タイプと「分離液状」タイプを、どちらもドレッシングとして並べています[1]。分かれているタイプも、規格の上ではれっきとした仲間です。
メーカーの商品ページにも、油と酢が分かれた商品について、境目に濁りが出ても味や品質には影響しないと案内しているものがあります[2]。
キユーピーの歴史ページによると、同社が「セパレートドレッシング」を発売したのは1973年です。日本で初めてフレンチドレッシング(赤)を製造・販売した1958年の、15年後にあたります[3]。
分かれているのは、こわれたしるしではありません。では、振ると何が変わって、なぜまた戻るのでしょうか。びんの中を順に見ていきます。
JAS 0955(2024年改正)は、ドレッシングを、水中油滴型に乳化した半固体状・乳化液状のものと、分離液状のものに分ける。粘度が30 Pa·s以上なら半固体状で、マヨネーズはこの区分に入る[1]。分離液状ドレッシングも正式な区分で、性状の基準には「分離の状態が良好であること」という項目まである[1]。何をもって良好とするのかは、規格には書かれていない。
メーカーの表示も、この見方と合う。キユーピーのセパレートタイプの商品ページには、境目に多少濁りが出ても、味・品質には影響しないという案内がある[2]。同社の歴史ページでは、油と水分が分離したタイプの「セパレートドレッシング」の発売は1973年で、日本で初めてフレンチドレッシング(赤)を製造・販売した1958年の15年後にあたる[3]。1973年に発売した理由は、この出典には書かれていない。
分かれているのは不良ではなく、そういう形の商品だということだ。では、分かれたものを振ると何が起きて、なぜまた戻るのか。
2. どうして あぶらが うえに くるの?
2. 油が上に来るのは、軽いから
2. 上に来る理由は密度 ── 混ざらない理由とは別の話
びんを しずかに おくと、あぶらが うえに、すが したに なります。あぶらが みずを きらって にげる から、では ありません。あぶらの ほうが、すこし かるいからです。
おなじ りょうの みずと あぶらを くらべると、あぶらは 1わりくらい かるく なります。みずを 100と すると、あぶらは 91か 92くらいです。すは ほとんどが みずなので、みずと おなじくらいの おもさと 考えて よさそうです。
1わりくらいの ちいさな ちがいでも、うえと したに わかれるには じゅうぶんです。この ちいさな ちがいが、あとで「うく はやさ」の はなしに つながります。
油は、水より少し軽い液体です。固まった油脂を除く食用油の比重は、原料によらず0.91〜0.92(25℃)ほどで、水の1.00より小さくなっています[4]。同じ体積で比べると、水を100として、油は91〜92くらいの重さです。
酢のほうは、穀物酢100gのうち水分が93.3gで[5]、ほとんど水です。酢の重さは水にほぼ近いと見てよさそうです。だから瓶の中では、軽い油が上に、水っぽい酢が下に落ち着きます。
ここで、分けて考えたいことがあります。「混ざらない」理由と、「上に来る」理由は別だということです。混ざりにくいのは油と水の性質のちがいで、これはマヨネーズのメモで扱いました。上に来るのは、油のほうが軽いからです。この2つが重なって、きれいな2層になります。
そして、その差は1割ほどしかありません。この小さな差が、あとで出てくる「浮く速さ」を決める材料の1つになります。
食用油(固形の油脂を除く)の比重は、原料によらず0.91〜0.92(25℃)ほどだ[4]。比重は水との比なので、密度にすればおよそ0.91〜0.92 g/cm³になる。一方、穀物酢は100gあたり水分93.3g、酢酸4.2gで[5]、ほとんどが水だ。酢の密度そのものは個別に見ていないが、水に近い液体として扱ってよさそうだ。
「混ざらない」理由(極性のちがい)と、「上に来る」理由(密度の差)は別の話だ。油が水を嫌うから上に行くのではなく、軽いから上に浮く。前者はマヨネーズのメモで扱った。ここで大事なのは後者で、密度差はたった約0.08 g/cm³、1割に満たない。この差が、後の章のストークスの式に入ってくる。
3. ふると、なかで なにが おきて いるの?
3. 振ると、油が細かい粒にちぎれる
3. 振るとは、界面の面積を何百倍にもすること
びんを ふると、あぶらの かたまりが ちぎれて、ちいさな つぶに なります。その つぶが たくさん、すの なかに ちらばって います。これが、「まざった」ように 見える ようすです。ただし ほんとうは、とけて まざったのでは ありません。つぶの まま ちらばって いるだけです。
しろく にごって 見えるのは、つぶが ひかりを あちこちに はねかえす からです。ある おおきさまでは、つぶが こまかい ほど、しろく 見えるそうです。
この つぶの ひろさを、けいさんして みましょう。小さじ 2はいぶん(10ミリリットル)の あぶらを、1ミリの つぶに すると、ぜんぶの つぶの まわりを あつめた ひろさは、A4の かみ 1まいぶんに なります。0.1ミリの つぶなら、A4の かみ 10まいぶんです。ふる ことは、あぶらと すが ふれあう ところを、ものすごく ひろげる ことなのです。
瓶を振ると、油の塊がちぎれて、小さな粒になります。水と油のように混ざらない液体の一方を、もう一方の中に細かい粒として散らしたものを、エマルションといいます。作るには、分かれた油の塊に、振る・かき混ぜるといった力を加えて、細かくちぎります[6]。英語版のウィキペディアは、油と酢のドレッシング(ヴィネグレット)を、激しく振り続けない限りすぐ分離する、不安定なエマルションの例として挙げています[7]。
白く濁って見えるのは、粒が光を散らすためです。解説によると、粒の大きさが1〜10μm(1μmは1mmの1000分の1)のエマルションは純白に見えて、100μmを超える大きな粒になると、白さが下がって灰色っぽくなります[6]。手で振ってできる粒の実際の大きさまでは、資料から分かりませんでした。
粒にすると、油と酢の境目の面積が一気に広がります。10mLの油を、直径1mmの丸い粒にしたとすると、粒の表面積の合計は約600cm²で、A4用紙(約624cm²)1枚ぶんです。0.1mmの粒なら、約6000cm²、A4用紙で約10枚ぶんになります。あくまで「もし同じ大きさの丸い粒なら」の計算で、実際の粒は大きさがばらばらです。
エマルションは、エネルギーの高い、不安定な状態だと説明されていて、何もしなければ壊れやすいそうです[6]。広げた境目を、油の粒はいつまでも保ってはくれない、ということです。
水と油のように互いに溶けない液体の一方が、他方の中に微細な液滴として分散した系がエマルションで、熱力学的に不安定な系とされる[6]。作り方には、分離した油の塊に機械的なエネルギーを加えて細かい粒にする方法(分散法)がある[6]。瓶を振るのは、この分散法の家庭版だ。英語版ウィキペディアも、ヴィネグレットを「激しく振り続けない限りすぐ層に分かれる不安定なエマルション」の例とする[7]。ただし、これは百科事典なので、一次の出典としては、研究者による解説[6]のほうを見たい。
振ると濁る理由は、粒が光を散らすからだ。粒径が1〜10μmのエマルションは純白で光沢のある外観になり、100μmを超えると白さが下がって灰色を帯びる、と報告されている(屈折率の差にも左右される目安)[6]。ただ、手で振った瓶の粒が実際に何μmになるかは、資料から分からなかった。
境目の面積を計算してみる。球の体積 V = πd³/6、表面積 πd² から、体積Vの油をN個の同じ球にしたときの総表面積は 6V/d になる(自分で計算した)。V = 10 cm³ とすると、d = 1 mm で約600 cm²(A4用紙約1枚ぶん、粒は約1.9万個)、d = 0.1 mm で約6000 cm²(A4約10枚ぶん、粒は約1900万個)、d = 10 μm で約6 m²になる。もちろん実際の粒は大きさがそろわないので、「もし〜なら」の目安だ。
界面が何百〜何千倍にも広がった状態は、エネルギーの高い状態でもある。振るのをやめれば、元の少ない界面に向かって戻ろうとする力が働く。次の章は、その戻り方を、時間の順に見る。
4. ふった あと、つぶは どう なるの?
4. 粒が浮き上がり、くっついて、また2層に
4. 浮上・凝集・合一 ── 粒の大きさで変わる、戻るまでの時間
ふるのを やめると、あぶらの つぶは、すこしずつ うえへ うかんで いきます。うえに あつまった つぶは、くっつき あって、おおきな つぶに なって いきます。これが すすむと、さいごは ひとつの あぶらの そうに もどります。いっぺんに ではなく、いろいろな ことが かさなって おきます。
まどガラスの みずの つぶが、くっつき あって おおきく なるのに にて います。ただし ほんとうは、まどの つぶは くうきの なかの みずで、びんの なかとは べつの ことです。
うかぶ はやさは、つぶの おおきさで ぜんぜん ちがいます。つぶが 10ぶんの 1に なると、うく はやさは 100ぶんの 1です。ちいさい つぶは、ほんとうに ゆっくりしか うきません。
けいさんを して みると、0.1ミリの つぶが 10センチ うかぶのに、4ふんくらいです。0.01ミリの つぶなら、6じかんくらいです。あくまで、けいさんの れいです。びんの なかの つぶの おおきさを はかった ものでは ありません。
振るのをやめると、油の粒は、元の状態へ向かって、一般に次の3つの動きが重なり合って進みます。
ひとつめは、油は水より軽いので、粒が上に浮き上がって集まることです。これをクリーミングといいます。ふたつめは、集まった粒どうしがくっつき合うことで、凝集といいます。この段階では、粒そのものは壊れていないので、振ったり混ぜたりすると、また散らばることがあります。みっつめは、粒どうしが融合して大きな粒になることで、合一といいます。合一が進むと、油の層と酢の層の2つに分かれます[6]。これらは同時に進むこともあり、かならずこの順とは限りません。なお、分かれたドレッシングを使う前に振るのは、ふつうの使い方です。もう一度振ると、油がまた細かい粒にちぎれて、白くにごります。窓ガラスの水滴がくっついて大きくなっていく様子に似ています。ただし本当は、窓の水滴は空気の中の水で、瓶の中の油とは別の現象です。
浮き上がる速さは、粒の大きさに大きく左右されます。研究者の解説では、浮く速さは粒の半径の2乗に比例して、油と水の密度の差が大きいほど速く、まわりの液体が粘っこいほど遅い、という式(ストークスの式)で表されます[8]。半径が半分になれば浮く速さは4分の1に、粒が10分の1になれば100分の1に落ちます。
試しに計算してみます。密度の差を0.08g/cm³(油0.92と水1.00)、まわりの液体を水として粘度1mPa·s、重力加速度を9.8m/s²としたとき、10cm浮き上がるのにかかる時間は、直径0.1mm(100μm)の粒でおよそ4分、直径0.01mm(10μm)の粒でおよそ6時間です。実際の瓶では粒の大きさもそろっていないので、あくまで目安です。式のとおりなら、大きい粒から先に浮いて、細かい粒ほどあとまで残ることになります。
エマルションが壊れる主な要因は3つある。順序は固定されたものではなく、重なって進むこともある。密度差で粒が浮上(または沈降)して濃縮されるクリーミング、粒が集まる凝集、粒の界面が壊れて融合し、大きな粒になる合一だ。合一が進むと、油相と水相の2相に分離する。凝集の段階では粒自体は壊れていないので、かくはんや振とうで再分散できることもある[6]。なお、分離タイプのドレッシングを使う前に振るのは、ふつうの使い方であり、2層に戻っていても、振れば油がまた粒にちぎれて白くにごる。これは出典の主張ではなく、日常の観察だ。
クリーミングの速さは、ストークスの式 v = 2a²(ρ₀ − ρ)g / 9η₀ で表される。aは粒の半径、ρ₀は連続相の密度、ρは粒の密度、gは重力加速度、η₀は連続相の粘度だ[8]。速さは半径の2乗と密度差に比例し、粘度に反比例する。ただし、この式は粒の変形や流れ、濃い分散相を考えていない。実際の瓶にあてはめて「何分で分かれる」と言うためではなく、考え方として使う式だ。
計算の例を挙げる。密度差を0.08 g/cm³(油0.92と水1.00の差)、連続相を水として粘度1 mPa·s、g = 9.8 m/s²とする(酢は水よりわずかに重く、粘度も少し高いはずなので、概算になる)。直径100μmの粒は、約0.44 mm/sで浮き上がり、10cm上がるのに約4分。直径10μmの粒は、約4.4 μm/sで、10cmに約6.4時間。直径1μmでは約640時間、およそ27日だ。粒が10分の1になると、速さは100分の1になる。直径1mm程度の粒は、この計算の前提(層流)から外れる(レイノルズ数が約44)ので、計算例に含めない。
振ると濁る、しばらくは混ざって見える、そして少しずつ澄んでいく。その裏側では、大きい粒から先に浮いて、細かい粒があとまで残る、という時間差が起きていると考えられる。ただし、手で振った瓶の粒の大きさ分布は資料からは分からないので、家庭の瓶が何分で分かれるかの予測には使えない。
5. わかれるのを、おくらせる ことは できるの?
5. 分かれるのを遅らせる工夫と、規格の試験
5. 粘度を上げる・乳化剤を足す ── 遅らせる工夫と、JASの試験法
つぶが うく はやさを おそく する くふうが あります。ひとつは、まわりの えきたいを、とろっと させる ことです。とろっと して いると、つぶは ゆっくりしか うきません。とろっと させる ざいりょうを「ぞうねんざい」と いいます。わかれる タイプの ドレッシングの ラベルにも、ぞうねんざいが かいて ある ものが あります。「わかれる タイプは、なにも いれて いない」とは かぎらないのです。
もうひとつ、おもしろい はなしが あります。JASの きまりでは、わかれる タイプの ドレッシングの みずの りょうを はかる ときは、はかる まえに、まざりやすく する ざいりょうを ほんの すこし いれて、よく ふります。しらべる ひとも、まず ふって まぜて いるのです。
分かれるのを遅らせる方法は、先ほどの式から読み取れます。粒を小さくする、油と水の密度の差を小さくする、まわりの液体を粘っこくする、の3つです。なかでも、粒を小さくするのがもっとも効果的で、まわりの粘りを上げることにも効果があると説明されています[8]。
まわりを粘っこくする材料が、増粘剤です。その1つ、キサンタンガムは、ドレッシングやソースによく使われ、1%ほど加えるだけで液体の粘りがぐんと上がるといいます[9]。キユーピーのセパレートタイプの商品の原材料表示には、増粘剤(キサンタンガム)が入っていて、卵黄など、粒を包んで守る乳化剤にあたるものは見当たりません[2]。増粘剤は粒を守るのではなく、まわりを粘っこくして、浮くのを遅らせる材料と考えられます。分かれるタイプは「何も入っていない」のではなく、増粘剤が入っている商品もある、ということです。
反対に、卵黄と増粘剤が入っていても、「上部と下部に分離が見られる事があります」と表示している商品もあります[10]。分離するかどうかは、材料の名前だけで決まるわけではなさそうです。
昔から、酢と油のドレッシングにマスタードを加える作り方があります。マスタードの種に含まれる粘液などが、自然の乳化剤として働くとされています[7][11]。ただ、どのくらいの量でどのくらい保つのかは、この資料からは分かりません。
規格の側にも、おもしろい手順があります。JASの試験方法では、分離液状ドレッシングの水分を測る前に、容器の中に乳化剤の一種(ポリソルベート80)を全体の約0.2〜0.3%加えて、よく振り混ぜて乳化させ、そのあとにブレンダーで混ぜたものを試料にします[1]。理由は規格に書かれていませんが、分かれたままだと、どこを取るかで中身が変わってしまうからかもしれません。分離タイプを測る人も、まず振って、混ぜているのです。
ストークスの式から、遅らせる手は3つ読み取れる。粒を小さくする(速さは半径の2乗に比例)、密度差を小さくする、連続相の粘度を上げる(粘度に反比例)だ。高橋(2015)は、なかでも粒を小さくするのが最も効果的で、次いで密度差を小さくすること、連続相の粘度を上げることも効果的だとまとめている[8]。
粘度を上げる側の材料が増粘剤だ。キサンタンガムはドレッシングやソースの一般的な原料で、1%加えるだけで液体の粘度が大きく上がるという[9]。キユーピーのセパレートタイプの商品(業務用の「セパレートドレッシング」など)の原材料表示は、食用植物油脂、醸造酢、ぶどう糖果糖液糖、食塩、増粘剤(キサンタンガム)、香辛料抽出物などで、卵黄のような乳化剤にあたるものは見当たらない[2]。1つの会社の、いくつかの商品の話だが、「分離タイプ=混ぜ物がない」とは言えない例になる。増粘剤は、粒を包んで守る乳化剤とは別で、連続相を粘らせて浮上を遅らせる方向の材料と考えられる。実際にどれだけ遅くなるかは、商品ごとの数値が公開されていないので、資料からは分からない。
逆の例もある。同社の「深煎りごまドレッシング」は、卵黄と増粘剤(キサンタンガム)を含んでいるが、「上部と下部に分離が見られる事がありますが、品質上問題ありません」と表示されている[10]。卵黄が入っていても、分離しないとは限らない。
マスタードは、古くからヴィネグレットに加えられ、種の粘液などが天然の乳化剤として働くとされる[7][11]。ただし、どの程度の量でどのくらい安定するかを示した定量的な出典は、見つからなかった。
JAS 0955の試験法(5.2.1 試料の調製)には、分離液状ドレッシングでは、試料全量に対して約0.2〜0.3%(質量分率)のポリソルベート80(乳化剤・界面活性剤の一種)を、製品容器内に加えてよく振り混ぜて乳化させ、ブレンダーで混ぜたものを調製試料とする、とある[1]。理由は規格に書かれていないが、分かれたままでは、どこを取るかで水分などの値が変わるためかもしれない。分離型を測る側も、まず乳化させてから測る。
6. しらべて みよう
6. 時間を測って比べる、資料を読む
6. 時間を測って比べる、資料にあたる
ふたが しっかり しまる、とうめいな ようきを 2つ よういして、おとなと いっしょに、くらべて みましょう。ひとつには みずと あぶらを、もうひとつには すと あぶらを、どちらも おおさじ 1ぱいずつくらい、おなじ りょうだけ いれます。
おなじ かずだけ ふって、ふるのを やめてから、うえに すきとおった あぶらの そうが 見えて くるまで、なんびょう かかるか、ストップウォッチで はかります。なにを「わかれた」と するかを、さいしょに きめて おくのが こつです。
どちらが はやく わかれるでしょう。ふる かずを かえたら、どう なるでしょう。まず、じぶんの ようきで くらべて みましょう。
ふたを しっかり しめて、おとなと いっしょに やります。つかった えきたいは たべずに、キッチンペーパーに すわせて、ごみに だします。
瓶の中で起きていることは、台所でも見比べられます。ふたがしっかり閉まる透明な容器を2つ用意して、大人といっしょに、次のように比べます。
片方には水と油、もう片方には酢と油を、どちらも同じ量(大さじ1杯ずつ程度)入れます。同じ回数、同じ強さで振って、振るのをやめてから、上に澄んだ油の層が見えてくるまでの時間を、ストップウォッチで測ります。何を「分かれた」とするかを、最初に決めておくのがこつです。
酢と水では、どちらが早く分かれるでしょうか。振る回数を変えたら、どうなるでしょうか。次に、片方にマスタードを小さじ4分の1ほど足して比べる手もあります。
冷蔵庫にあるドレッシングのラベルを見て、増粘剤という言葉が入っているかを探すのも、1つの入り口です。資料を読むなら、JAS 0955の5.2.1[1]と、日本食品工学会誌に載った高橋さんの解説[8]が、ここで見てきた話につながっています。
ふたをしっかり閉めて、大人といっしょにやります。実験に使った液は、飲んだり食べたりせず、キッチンペーパーにしみこませて、地域のごみの出し方に従って捨てます。
瓶の中の現象は、台所でも確かめられる。大人といっしょに、ふたがしっかり閉まる透明な容器を2つ用意する。片方は水と油、もう片方は酢と油を、同じ量(大さじ1杯ずつ程度)入れる。同じ回数、同じ強さで振り、振るのをやめてから、上に澄んだ油の層が見えてくるまでの時間を、ストップウォッチで測る。何を「分かれた」と見なすかを、先に決めておくのがこつだ。動画を撮っておけば、あとから見直せる。
酢と水で、時間はちがうのか。酢の会社のブログには、水と油は撹拌後2分でしっかり2層に分かれ、酢と油は境目がゆるやかで、約40分後に3層になった、という実験が載っている[12]。量や条件は書かれていない一つの例なので、一般的な話とは受け取らず、自分の容器で確かめる問いにしたい。マスタードを小さじ4分の1ほど足して比べるのも、試せる。どちらも、生卵は使わない。
資料にあたるなら、JAS 0955の5.2.1(試料の調製)[1]、鈴木「乳化の基礎」[6]、高橋「食品における乳化と解乳化の制御について」[8]がある。高橋の解説には、粒径のほかに、界面張力、皮膜の粘弾性、静電的な反発、立体的な反発、連続相の粘性といった、乳化の安定を決める要因が並んでいて、そのうち特に影響が大きいのは、粒径・立体障害・連続相の粘性だという[8]。本文では、このうち粒径と粘度に絞った。残りの要因は、原典で読んでほしい。
ふたをしっかり閉めて、大人といっしょにやる。実験に使った液は、飲んだり食べたりせず、キッチンペーパーにしみこませて、地域のごみの出し方に従って捨てる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
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- 農林水産省「日本農林規格 ドレッシング JAS 0955:2024」(2024年8月30日改正)。 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-365.pdf (ドレッシングの区分、半固体状の粘度、分離液状の基準、試験法の試料の調製)
- キユーピー 商品情報「フレンチドレッシング(セパレート)」など、セパレートタイプの商品ページ。 https://www.kewpie.co.jp/products/detail/4901577073489/ (原材料表示に増粘剤(キサンタンガム)があること、境目の濁りについての案内)
- キユーピー「ドレッシング・サラダの歴史」。 https://www.kewpie.co.jp/dressing/history/ (1958年のフレンチドレッシング(赤)、1973年のセパレートドレッシング)
- 日清オイリオ よくあるご質問「油の比重はどれくらいですか?」。 https://www.nisshin-oillio.com/customer/faq_detail.html?id=4000009&category=816 (食用油の比重)
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」穀物酢。 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=17_17015_7 (穀物酢の水分と酢酸の量)
- 鈴木敏幸「乳化の基礎」『色材協会誌』77(10), 462-469 (2004)。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai1937/77/10/77_462/_pdf/-char/ja (エマルションの定義、壊れる要因、粒径と外観)
- Wikipedia(英語)「Vinaigrette」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Vinaigrette (ヴィネグレットが不安定なエマルションであること、マスタード。英語の百科事典)
- 高橋康明「食品における乳化と解乳化の制御について」『日本食品工学会誌』16(2), 171-175 (2015)。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfe/16/2/16_171/_pdf/-char/ja (ストークスの式、乳化の安定に関わる要因)
- Wikipedia(英語)「Xanthan gum」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Xanthan_gum (キサンタンガムがドレッシングによく使われること、粘度を上げる働き。英語の百科事典)
- キユーピー 商品情報「キユーピー深煎りごまドレッシング」。 https://img.kewpie.co.jp/products/detail/4901577046261/ (卵黄と増粘剤を含む商品の、分離についての表示)
- Wikipedia(英語)「Emulsion」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Emulsion (マスタードの種の粘液が乳化を助けるとされること。英語の百科事典)
- とば屋酢店ブログ「酢と油は混ざる?混ざらない?酢の乳化の不思議」。 https://www.tobaya.com/blog/healthy/20240323-nyuka-emulsification/ (水と油、酢と油を混ぜて置いたときの様子を、酢の会社が書いた実験の記録)
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