1. きいろい かおは、ほんものの 肌の いろ?
1. 黄色は「人の肌の色ではない色」として選ばれている
1. 汎用色の指針 ── 黄色は現実の肌色ではない
にこにこの かおの 絵文字は、きいろが おおいですね。じつは、この きいろは、人の 肌の いろを うつした ものでは ないと されて います。
絵文字を きめる きまりでは、肌の いろを えらばない ときは、「ほんものの 人の いろでは ない、ふつうの いろ」を つかう ことが すすめられて います。れいとして、にこにこの かおに よく つかう きいろが あげられて います[2]。
むかしの きまりでも、人の 絵文字は きいろや オレンジのような 人らしくない 見た目か、かげ絵が よいと かかれて いたと いわれて います[4]。「かならず きいろ」と きまって いる わけでは ありません。
顔や人の絵文字が黄色いのは、人の肌の色を写したからではないようです。Unicodeの絵文字の規格(UTS #51)は、肌の色を選んでいない人の絵文字について、現実の肌色ではない汎用的な色を使うのがよいとしています。例として、スマイリーによく使われる黄色(RGB #FFCC22)が挙げられています[2]。
もっと前の指針でも、人の絵文字は黄色やオレンジのような「人間らしくない」見た目か、シルエットがよいとされていた、とEmojipediaの記事は紹介しています[4]。ただし、これは推奨と例示で、「必ず黄色にせよ」という決まりではありません。
では、この黄色い絵を実際に描いているのは誰なのでしょうか。
2. いろは、だれが かいて いるの?
2. Unicodeが決めるのは番号と組み合わせ方だけ
2. 文字コードと絵の分担 ── 標準はカラー画像を含まない
絵文字は、ほんとうは 文字の なかまです。ひとつずつに 番号が ついて いて、その 番号を おくると、あいての スマホが 自分の 絵を 出します。
たとえば、おなじ 手紙の 文字でも、えんぴつと ペンで 見た目が ちがいますね。それと にて います。ただし 絵文字では、絵を かくのは スマホや アプリを 作る 会社です。
番号や 組み合わせかたを きめるのが Unicodeという 決まりです。カラーの 絵は ふくまれて いません。いろあいは、会社ごとに ちがって よいと されて います[2]。
だから おなじ 絵文字でも、スマホが ちがうと いろも かたちも すこし ちがって 見えるのです。
絵文字は、見た目は絵でも、仕組みの上では文字です。1つ1つに文字コード(番号)が割り当てられていて、送るのは絵そのものではなく番号です。受け取った側の機器が、その番号に合う自社の絵を表示します。
手書きの「あ」が人によって違うのに、みんな「あ」と読めるのに少し似ています。ただし絵文字では、絵柄を描くのは端末やアプリを作る各社で、決まりを作る側ではありません。
UTS #51によると、Unicodeの標準に含まれるのは文字コードで、カラーの絵ではなく白黒の図だけです。そのため、正確な色合いは実装ごとに違ってよいとされています[2]。同じ絵文字を機種ごとに見比べると色や形が違うのは、この分担のためです。
Unicode標準が決めるのは文字コードであり、絵そのものではない。各社が自社の絵柄(グリフ)を用意して表示する。UTS #51は、標準に含まれる図は白黒の例示で、正確な色合いは実装ごとに異なってよいと述べる[2]。
この分担が、次章の肌色修飾子の仕組みの前提になる。色を決める絵の側は各社に任せ、標準は「どの番号を、どう組み合わせると肌色つきの1つの絵になるか」を決める。
3. 2015ねん、肌の いろを えらべる ように なった
3. 2015年、5つの「肌色修飾子」が加わった
3. Unicode 8.0(2015年6月17日)と5つの肌色修飾子
2015ねんの 6がつ、Unicodeの あたらしい きまりが 出て、肌の いろを えらぶ ための しるしが 5つ ふえました[1]。
しくみは、ブロックの つみ木に にて います。「手」の 絵文字の すぐ あとに 「いろの しるし」を つなぐと、ひとつの 絵に なります。しるしだけを 出すと、いろの 見本に なります[2]。ただし 本当は、文字の 番号を ならべる ことです。
あいだに ほかの 文字が はいると、くっつかずに、ばらばらの まま 見えます。
なお、この 6がつより 前の 2015ねん 2がつには、Appleの ためしの ソフトが もう この しるしを つかえたと いわれて います[4]。
2015年6月17日に公開されたUnicode 8.0には、人の絵文字の肌色の多様性を実現するための記号が含まれていました[1]。それが、5つの肌色修飾子(U+1F3FB〜U+1F3FF)です[2]。
仕組みは、文字を並べるだけです。肌色修飾子に対応した人の絵文字(たとえば女性)の直後に修飾子を置くと、対応した端末では1つの絵として肌色つきで表示されます。修飾子だけを出すと色見本になり、間に別の文字が入ると、それぞれ別々の文字のままです[2]。この仕組みなら、人の絵文字の種類ごとに5色分の新しい番号を用意しなくて済みます。
実際には、Unicodeの公開より前の2015年2月の時点で、Appleの先行版が対応していたという記述もあります[4]。標準の公開と各社の対応の時期は、必ずしも同じではありません。
Unicode 8.0は2015年6月17日に公開され、「肌色の多様性を実装するための絵文字記号と修飾記号」を含んでいた[1]。肌色修飾子は5文字(U+1F3FB〜U+1F3FF)である[2]。
修飾子は、特定の人の絵文字の直後に置かれると、フォントがその並びを1つのグリフとして表示することが想定されている。単独ではデフォルトが色見本で、間に他の文字が入れば別々の文字のまま表示される[2]。人の絵文字1種類ごとに5色ぶんの専用コードを用意する代わりに、組み合わせで表す設計といえる。
Emojipediaの記事によれば、2015年2月23日時点でAppleのiOS/OS Xの先行版が対応しており、Unicode 8.0の公開は「2015年半ば」と予告されていた[4](二次資料)。標準の公開より各社の試験対応が先行した例である。
4. 5つの いろは、どこから きたの?
4. 5段階の元は、皮膚科の「日焼けのしやすさ」の目安
4. Fitzpatrickスケール(1975年)── 6型から5色へ
5つの いろの もとに なったのは、おいしゃさんが つかって きた 「肌の 分けかた」です。1975ねんに、アメリカの ひふの おいしゃさん フィッツパトリックさんが つくりました[5][7]。
もとは 絵文字の ためでは ありません。ひふの びょうきの ちりょうで、あてる 光の つよさを えらぶ ために、「ひやけの しやすさ」で 肌を わけたものです[5]。
この 分けかたは 6つ ありますが、絵文字の しるしは 5つです。いちばん あかるい 2つを ひとつに まとめたと いわれて います[6]。
肌色修飾子は、皮膚科で使われるFitzpatrickスケールの6つの型を元にしています[2]。このスケールを作ったのは、アメリカの皮膚科医トーマス・フィッツパトリックで、1975年のことです[7]。
元は絵文字のための尺度ではありません。乾癬(かんせん)という皮膚の病気の治療で、当てる紫外線の量を選ぶために、日焼けのしやすさで人を分類したものだと、医学論文は説明しています[5]。
ここで、数が合いません。元は6つなのに、修飾子は5つです。いちばん明るい2つの型(ⅠとⅡ)を1色にまとめ、Ⅲ〜Ⅵをそれぞれ1色にした、と二次資料では説明されています[6]。名前は、明るい順にlight、medium-light、medium、medium-dark、darkです。
5. あたらしい 絵文字は、だれが きめるの?
5. 新しい絵文字は、誰でも提案できるが、通るのはごく一部
5. 提案と審査 ── 誰でも出せるが、採用は少数で、取り消せない
あたらしい 絵文字の アイデアは、だれでも 出せると 書いて あります。それを 見るのは、Unicodeの なかの 絵文字の 話しあいの グループです[3]。
でも、えらばれるのは ほんの ひとにぎりです。使われる 数、ほかと まちがえないか、ぬけを うめるか、などを ぜんぶ あわせて 見て きめます[3]。
そして、いちど きまった 絵文字は、あとから けせません。だから しんちょうに 見て いるのです。
新しい絵文字の提案は、Unicodeの提案ガイドによると、誰でも出せます。提案は絵文字の担当グループ(Emoji Standard & Research Working Group)が審査します。すべて目を通されますが、コード化まで進むのはごく一部です[3]。
見られる点は、すでに使われている仕組みとの互換性、世界での使われ方、絵としての区別しやすさ、抜けを埋めるか、たとえの意味などです。どれか1つで決まるのではなく、全部を合わせて考えます。
そして、一度コード化された絵文字は、二度と取り消せません[3]。慎重に選ぶ理由の一つでしょう。なお、絵文字をUnicodeに入れることは、2007年8月に技術委員会が支持することに合意した、と規格は述べています[2]。
Unicodeの提案ページによれば、絵文字の提案は誰でも提出でき(提案者資格の制限は明記されていない)、Emoji Standard & Research Working Groupが審査する。全提案が審査され、コード化に進むのは「ごく小さな割合」である。決定した絵文字は取り消せない[3]。
選定要素は、既存システムとの互換性、世界での使用量、絵としての区別しやすさ、抜けを埋めるか、比喩的な意味などで、単独の要素が資格や優先順位を決めるのではなく、全要素を合わせて考慮する[3]。UTS #51は、2007年8月にUnicodeの技術委員会が絵文字の符号化を支持することに合意したと述べる[2]。
肌色修飾子の提案の経緯(誰がどの文書で提案したか)は、今回の資料では原文で確認できていない。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
きょう できること
おうちの スマホと、ほかの 人の スマホ(または パソコン)で、おなじ 絵文字を ひらいて みましょう。いろや かたちが、どこまで おなじで、どこが ちがうか、よく 見て みます。ほかの スマホが ないときは、いつも つかう アプリと、べつの アプリ(ブラウザでも よい)で、おなじ 絵文字を ならべて みても おもしろいです。
もっと 知りたい とき
Unicodeの 公式ページには、絵文字の ならびや、アイデアの 出しかたが のって います。日本語では ないので、おうちの 人と いっしょに 見て みると よいでしょう。
今日できること
手元の端末と、家族や友だちの端末(またはパソコン)で、同じ絵文字を表示して見比べてみましょう。色合いや表情、手の形が、どこまで同じで、どこが違うでしょうか。他の端末を借りられないときは、メッセージアプリとブラウザなど、アプリを変えて見比べても構いません。違いがあれば、それは「番号は同じで、絵は各社」という分担の表れです。
公式情報を読むなら
Unicodeの提案ページ(英語)には、どんな要素を見て絵文字を選ぶかが書かれています。辞書を引きながら、選定要素の部分だけ読んでみるのもよいでしょう。
確かめてみる
異なる端末・ブラウザで同じ絵文字を表示し、肌色つきの並びとそうでない並びで見え方がどう変わるかを比べられる。端末が1台なら、アプリやブラウザを変えて同じ絵文字を見比べてもよい。修飾子の単独表示や、間に文字が入ったときの結合の有無は、入力の仕方や環境で再現しにくいので、まずは通常の絵文字の見え方の比較にとどめるのが手軽である。
資料を読むなら
Unicode Emoji(UTS #51)の該当節と、Unicode Emoji Proposals(提案ページ)が一次資料である。このメモは、Unicode原文で確認したこと(修飾子の仕組み、汎用色の推奨、提案の審査)と、二次資料に頼ったこと(Ⅰ・Ⅱの統合、先行版の時期)を区別して書いた。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
公式資料と、出典の性質を書きます。二次資料は[4][6]です。[7]は医学論文です。
- Unicode Consortium. Unicode 8.0.0. https://www.unicode.org/versions/Unicode8.0.0/ (公開日と肌色記号の記載)
- Unicode Consortium. Unicode Emoji (UTS #51). https://www.unicode.org/reports/tr51/ (修飾子の仕組み、汎用色、標準の範囲、経緯)
- Unicode Consortium. Unicode Emoji Proposals. https://unicode.org/emoji/proposals.html (提案と審査、選定要素)
- Emojipedia Blog. 2015: The Year of Emoji Diversity. https://blog.emojipedia.org/2015-the-year-of-emoji-diversity/ (以前の指針、2015年の各社の動き。二次資料)
- Skin cancers in skin types IV–VI (PMC). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9060139/ (Fitzpatrickスケールの成り立ち)
- Unicode Consortium. Emoji Modifier Sequences chart. https://www.unicode.org/emoji/charts/full-emoji-modifiers.html (5つの名称。Ⅰ・Ⅱの統合は二次資料の説明)
- Fitzpatrick TB. The validity and practicality of sun-reactive skin types I through VI. Arch Dermatol. 1988. https://doi.org/10.1001/archderm.1988.01670060015008 (Fitzpatrickスケールの成り立ち。1975年の考案と目的)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
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