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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

エスカレーターの だんは、どうして たいらの まま うごくの?

エスカレーターの段は、なぜ坂道でも平らなのか ── 2本のレールと4つの車輪

エスカレーターの段は、坂でもどうして水平なのか ── 車輪とレールの構造を資料でたどる

分野:技術

エスカレーターに のると、あしの したは ずっと たいらです。でも、まわりは ななめの ながい さかです。

だんは、どうして かたむかないのでしょう。しかも、のりぐちでは さかから たいらな ゆかへ、するっと つながります。だんの したを のぞくと、ヒントが ありました。

エスカレーターは斜めの長い坂なのに、足もとの段は、上りの途中でも平らなままです。乗り口に近づくと、その段が今度は床と同じ高さで並びます。

段は途中で折れ曲がっているわけではないようです。鍵は、段の下についた車輪と、それを導く2本のレールにあります。乗降口で段が平らに並ぶ理由と、その先で噛み合う「くし」の役目まで、資料を照らしながら見ていきます。

エスカレーターの踏段は、傾斜部でも上面を水平に保ち、乗降口ではさらに平らに並んでから床の下へ消える。段が折りたたまれて向きが変わるという説明を見かけるが、資料を見るかぎり、前後の車輪とそれを導く2本のガイドレールの配置が関わっている、と英語版Wikipediaは説明する[2]。

この記事では、東京都の審議会資料と、国土交通省の資料の抜粋、英語版Wikipediaの解説を突き合わせて、踏段の構造と乗降口の仕組みを整理する。レールの働きの説明は、主に英語の解説に依っている。

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1. どうして あしの したは たいらなの?

1. 坂なのに、足もとは平ら

1. 傾斜部でも、段の上面が水平なのはなぜか

エスカレーターに のって、ななめに のぼって いきます。それでも、あしを のせた だんは、いつも たいらです。かたむいて いたら、つま先が ういたり、かかとが さがったり して、こわいはずです。

ふしぎな ことは、もう ひとつ あります。のりぐちに ちかづくと、だんは さかの ちゅうより、もっと たいらに ならびます。

この 2つの ひみつは、だんの したに ある、しゃりんと、ふたつの レールに ありそうです。

エスカレーターの段は、傾斜の途中ではいつも水平です。乗る人の足もとが傾かないよう、段の向きが保たれています。

乗り口や降り口では、段が床と同じ高さで平らに並ぶ区間があります。坂の部分と平らな部分で、段の「向き」が切りかわっているわけです。

この切りかわりが、どんな仕組みで起きているのかを、下から順に見ていきます。

傾斜部を上る踏段は、上面を水平に保ったまま移動する。乗降口ではその水平の段が床面の高さで並び、くしに向かって進む。この2つの状態に、踏段を支える車輪とレールの構成が関わっている[2]。

以下、踏段の構造(2章)、レールの働き(3章)、乗降口(4章)、くし(5章)、成立の経緯(6章)の順に整理する。

2. だんの したには、なにが ついて いるの?

2. 段の下に4つの車輪

2. 踏段の構造 ── 前輪・後輪のローラとクリート

だんの したには、ちいさな しゃりんが ついて います。まえに 2こ、うしろに 2こ です[1]。

この しゃりんは、レールに そって うごくと、しりょうに あります[3]。だから だんは、なめらかに うごけるのです。

だんの さきの ほうには、くしのような みぞと とっきも あります。これは あとで でて きます。

踏段(ステップ)は、前側と後ろ側に、それぞれ2個ずつの車輪(ローラ)がついています。この車輪のおかげで、段は滑らかに動けます[1]。

国土交通省の資料の抜粋には、車輪は骨組み(トラス)に設置されたガイドレールの上を走る、と書かれています[3]。段は空中に浮いているのではなく、下でレールに乗って進んでいる、と考えるとイメージしやすくなります。

段の端には、乗降口の「くし」と噛み合う突起(クリート)もついています。こちらは後の章で扱います。

踏段は、前輪と後輪それぞれ2個ずつのローラで滑らかに移動できるように構成され、乗降口のくしと噛み合うクリートが設けられる。ライザー(段の立ち上がり部)にも、隣接する踏段の端部と噛み合うクリートが付く[1]。

国土交通省資料の抜粋によれば、車輪はトラスに設置されたガイドレール上を走行する。駆動軸側に前輪(ステップローラ)、後方に後輪(トレーラローラ)と呼ぶとする説明もある[3]。この記述は資料の抜粋による。

3. ふたつの レールが、だんの むきを きめるの?

3. 2本のレールの間隔が、段の並び方に関わる

3. 2本のガイドレールの間隔は、踏段の並び方にどう関わるか

レールは、2ほん あります。ひとつは まえの しゃりんを、もうひとつは うしろの しゃりんを、みちびきます[2]。

ながい さかの ところでは、この 2ほんの あいだが いちばん ひろく なって いると、しりょうに あります。だんは、ここで うしろが つぎの だんに ちょくかくに なる かたちで ならびます。

ふたりで ながい いたを はこぶ ところを おもって みて ください。まえの ひとと うしろの ひとが、ちがう たかさを あるくと、いたの むきが かわります。しゃりんと レールも、にた かんけいに ありそうです。ただし、ぴったり おなじでは ありません。

レールは2本あります。1本が前の車輪を、もう1本が後ろの車輪を導きます[2]。

英語版Wikipediaによると、まっすぐな傾斜部では、この2本の間隔がいちばん広くなっています。このとき、段の背側は次の段に対して90度の向きで、階段のように並びます[2]。

二人で長い板を運ぶ場面を考えてみてください。前を持つ人と後ろを持つ人が、それぞれ別の高さを歩くと、板の傾きが変わります。段の場合は、人の代わりに車輪、歩く道の代わりにレールです。ただし、力の伝わり方は人が板を持つのとは違います。

なぜ間隔が広いと段が水平になるのか、その細かい仕組みは、この資料だけでは確かめられませんでした。図で説明する資料も多いので、気になれば探してみてください。

一方のレールが前輪を、もう一方が後輪を導く。まっすぐな傾斜部では2本のレールの間隔が最も広く、その状態で段の背側が後続の段に対して90度になり、階段状に並ぶ、と説明される[2]。

この説明は英語版Wikipediaの「Track system」節による。間隔が広いと段の上面が水平になる力学的な理由は、この出典だけでは確認できず、メーカー技報などの一次資料にあたる必要がある。

4. のりぐちで、だんは どう なるの?

4. 乗降口で、2本のレールが近づく

4. 乗降口では、レールが近づいて段が平らに並ぶ

のりぐちの ちかくに なると、2ほんの レールが ちかづくと、しりょうに あります。まえの しゃりんと うしろの しゃりんが、ほとんど いっちょくせんに ならびます[2]。

だんは、たいらな いたのように ならんで、ぐるっと まわる ところも すすめます。

むかしの エスカレーターでは、たいらな だんは 1まいと はんぶん ぐらいでした。いまは、3まいに ふやした きしゅも あると、しりょうに あります[1]。あんぜんの ための くふうの ひとつだと、しりょうに あります。

英語版Wikipediaによると、乗降口が近づくと2本のレールが近づき、前後の車輪がほぼ一直線になります。段は平らな板が連なった形で並び、乗降口の端でカーブを曲がることもできます[2]。

段が水平のまま並ぶ長さも、安全のために伸ばされてきました。従来は1.5枚分ほどだった水平部分を、3枚分に増やした「3枚水平ステップ」が、安全対策の一つとして使われています[1]。ただし、すべての機種がそうなっているわけではありません。

なぜ枚数を増やすと安全につながるのかは、この資料では詳しく書かれていません。

乗降口ではレールが近づいて前後輪がほぼ一直線になり、踏段は平らな板状に並んでカーブを曲がれる[2]。ここで水平になる踏段の枚数について、東京都の審議会資料は「これまでの1.5枚程度から3枚に増やした」3枚水平ステップを、安全対策の一つとして紹介する[1]。1.5枚が3枚なので、水平部分は2倍になる計算である。全機種が3枚ではない点に注意する。

水平部を長くする狙いは、資料に明記された文言に基づいて言えば安全対策であり、乗り降りの余裕を増やす効果は推測を含む。

5. さいごに くしは、なにを して いるの?

5. くしが段の溝と噛み合う

5. くし(コム)とクリートの噛み合わせ

のりぐちの さきには、くしのような ぎざぎざの いたが あります。だんの みぞと かみあって、あしなどを すくいとるように なって います[1]。

だんの とっきと くしの とっきが かみあうので、すきまが ちいさく なります[2]。

もし ものが はさまって、つよい ちからが かかると、くしの さきは おれるように、やわらかい プラスチックで つくる ことが おおいと いいます[1]。

乗降口の床の端には、くし(コム)と呼ばれる板があります。段の上面の溝と噛み合って、足などをすくい取る働きを持たせたものです[1]。

段の突起と、くしの縁の突起が噛み合うので、段とくしの隙間は小さくなり、乗客は安全に降りられるとされます[2]。

意外なのは、くしの材質です。異物が挟まって強い力がかかったとき、先端が折れるように、一般にプラスチック材が使われます[1]。丈夫さより、壊れ方で安全を守る発想です。

くしは、踏段または踏板上面の溝と噛み合って足などをすくい取る機能を持つ。板の縁に突起があり、各踏段の突起と噛み合うことで隙間を小さくする[1][2]。万一、異物が挟まって過度の力がかかった場合は、安全上くし歯の先端が折れるよう、一般にはプラスチック材を使用する[1]。

踏段側のクリートは、乗降口でくしに正確に差し込まれる位置に来る。段が水平に並ぶ区間(4章)は、この噛み合わせを安定させるうえでも意味を持つと考えられるが、資料に明記された記述は確認していない。

6. エスカレーターは、いつ できたの?

6. 最初の頃の工夫と、名前の由来

6. 最初のエスカレーターは、どんな形だったのか

さいしょの じっさいに つかえる エスカレーターは、1896ねんに、ジェシー・レノという ひとが、アメリカの コニーアイランドに つくったと いわれます[2]。

かたむきは 25どで、かなぐの とっきが ついた ベルトの ような ものでした。いまの ように、たいらな だんでは なかったようです。

そのあと、シーバーガーと いう ひとが、たいらな だんの エスカレーターを すすめたと つたえられて います。「エスカレーター」という なまえも、この ひとが つくったと いわれます。ただし、しりょうに よって ちがう ところも あります。

最初の実用エスカレーターは、1896年にジェシー・レノがニューヨークのコニーアイランドに設置した、傾斜25度の、金属の突起がついたベルト状のものだったとされます[2]。今の「平らな段」とは違う形でした。

その後、チャールズ・シーバーガーは平らな段の設計を進め、1899年にオーチス社と最初の商用エスカレーターを作ったとされます。端で段が水平に動き続けてから、三角の分岐板の下へ消える形でした[2]。

この機械は1900年のパリ万博で一等賞を得たとされます。「エスカレーター」の名は、シーバーガーがラテン語の辞書から scala(階段)を語根に選んで作った、と英語版Wikipediaは述べます。エレベーターという語を合わせたのではない、という説明です。起源や命名は資料によって食い違うので、ここでは「とされる」の範囲にとどめます。

1896年、ジェシー・レノがニューヨークのコニーアイランドに最初の実用エスカレーターを設置した。傾斜25度の、金属の突起付きベルト状の機械で、水平な段を持つ現在の形とは異なる[2]。

チャールズ・シーバーガーは平らな踏面の設計を進め、1899年にオーチス社と最初の商用エスカレーターを製作したとされる。端で段が水平に動き続けてから三角の分岐板の下へ消える形で、この機は1900年のパリ万博で一等賞を得たという。「エスカレーター」の名は、ラテン語辞書から scala を語根に選び、接頭辞E・接尾辞torを付けて作ったと述べられ、elevatorとの合成ではないとされる[2]。

起源・命名・受賞は、いずれも英語版Wikipediaの記述による。資料によって異なる説明もあるため、断定を避ける。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おでかけの ときに

エスカレーターの のりぐちで、たいらな だんが なんまい つづくか、すこし はなれた ところから かぞえて みましょう。3まいの ところも、ちがう ところも あるかも しれません。

だんの はしや、くしには ちかづかないで ください。あしもとを 見ないで のるのも、あぶないです。ひとの じゃまに ならない ばしょで、うしろに ひとが いない ときに、そっと 見ます。

こうしきの じょうほう

エスカレーターの メーカーの ウェブサイトに、しくみの ページが ある ことが あります。

出かけてできること

駅や商業施設で、邪魔にならない場所から、乗降口の水平な段が何枚続くかを数えてみてください。3枚の場所も、そうでない場所もあるかもしれません。段の端や、くしに近づかないことが前提です。

降り口で、くしと段の溝が噛み合っている様子は、少し離れた所から観察できます。立ち止まるときは、必ず、人の流れを妨げない位置を選んでください。

公式情報

エスカレーターのメーカーの技術解説や、国や自治体の安全に関する資料に、構造の図が載っていることがあります。

出かけてできること

乗降口で、水平になる段の枚数を数え、機種による違いを比べる。4章で見た3枚水平ステップが、身近な機種でどの程度使われているかは、資料では確かめられておらず、自分の観察が手がかりになる。段の端やくしに近づかず、人の流れを妨げない位置から観察する。

公式情報

メーカーの技報や、国・自治体の安全資料を探し、2本のレールの間隔の説明を日本語の一次資料で確かめてみるのもよい。本記事では、この点を英語の解説に頼っている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

段の構造・くし・水平ステップは東京都の資料、レールの働きと歴史は英語版Wikipediaの解説、車輪とガイドレールは国土交通省資料の抜粋による。レールの間隔の説明は、日本語の一次資料での確認ができていない。

  1. 東京都消費生活対策審議会 エスカレーター資料(協議会配布資料) https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kyougikai/r7/documents/r7kyogikai-1_handout-01-2.pdf (踏段の構造・くし・3枚水平ステップ)
  2. Escalator(Wikipedia英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Escalator (レールの働き・くしの突起・成立史)
  3. 国土交通省資料(エスカレーターの構造) https://www1.mlit.go.jp:8088/common/001108663.pdf (車輪とガイドレール)

なおした ところ

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