1. どうして あしの したは たいらなの?
1. 坂なのに、足もとは平ら
1. 傾斜部でも、段の上面が水平なのはなぜか
エスカレーターに のって、ななめに のぼって いきます。それでも、あしを のせた だんは、いつも たいらです。かたむいて いたら、つま先が ういたり、かかとが さがったり して、こわいはずです。
ふしぎな ことは、もう ひとつ あります。のりぐちに ちかづくと、だんは さかの ちゅうより、もっと たいらに ならびます。
この 2つの ひみつは、だんの したに ある、しゃりんと、ふたつの レールに ありそうです。
エスカレーターの段は、傾斜の途中ではいつも水平です。乗る人の足もとが傾かないよう、段の向きが保たれています。
乗り口や降り口では、段が床と同じ高さで平らに並ぶ区間があります。坂の部分と平らな部分で、段の「向き」が切りかわっているわけです。
この切りかわりが、どんな仕組みで起きているのかを、下から順に見ていきます。
傾斜部を上る踏段は、上面を水平に保ったまま移動する。乗降口ではその水平の段が床面の高さで並び、くしに向かって進む。この2つの状態に、踏段を支える車輪とレールの構成が関わっている[2]。
以下、踏段の構造(2章)、レールの働き(3章)、乗降口(4章)、くし(5章)、成立の経緯(6章)の順に整理する。
2. だんの したには、なにが ついて いるの?
2. 段の下に4つの車輪
2. 踏段の構造 ── 前輪・後輪のローラとクリート
だんの したには、ちいさな しゃりんが ついて います。まえに 2こ、うしろに 2こ です[1]。
この しゃりんは、レールに そって うごくと、しりょうに あります[3]。だから だんは、なめらかに うごけるのです。
だんの さきの ほうには、くしのような みぞと とっきも あります。これは あとで でて きます。
3. ふたつの レールが、だんの むきを きめるの?
3. 2本のレールの間隔が、段の並び方に関わる
3. 2本のガイドレールの間隔は、踏段の並び方にどう関わるか
レールは、2ほん あります。ひとつは まえの しゃりんを、もうひとつは うしろの しゃりんを、みちびきます[2]。
ながい さかの ところでは、この 2ほんの あいだが いちばん ひろく なって いると、しりょうに あります。だんは、ここで うしろが つぎの だんに ちょくかくに なる かたちで ならびます。
ふたりで ながい いたを はこぶ ところを おもって みて ください。まえの ひとと うしろの ひとが、ちがう たかさを あるくと、いたの むきが かわります。しゃりんと レールも、にた かんけいに ありそうです。ただし、ぴったり おなじでは ありません。
レールは2本あります。1本が前の車輪を、もう1本が後ろの車輪を導きます[2]。
英語版Wikipediaによると、まっすぐな傾斜部では、この2本の間隔がいちばん広くなっています。このとき、段の背側は次の段に対して90度の向きで、階段のように並びます[2]。
二人で長い板を運ぶ場面を考えてみてください。前を持つ人と後ろを持つ人が、それぞれ別の高さを歩くと、板の傾きが変わります。段の場合は、人の代わりに車輪、歩く道の代わりにレールです。ただし、力の伝わり方は人が板を持つのとは違います。
なぜ間隔が広いと段が水平になるのか、その細かい仕組みは、この資料だけでは確かめられませんでした。図で説明する資料も多いので、気になれば探してみてください。
一方のレールが前輪を、もう一方が後輪を導く。まっすぐな傾斜部では2本のレールの間隔が最も広く、その状態で段の背側が後続の段に対して90度になり、階段状に並ぶ、と説明される[2]。
この説明は英語版Wikipediaの「Track system」節による。間隔が広いと段の上面が水平になる力学的な理由は、この出典だけでは確認できず、メーカー技報などの一次資料にあたる必要がある。
4. のりぐちで、だんは どう なるの?
4. 乗降口で、2本のレールが近づく
4. 乗降口では、レールが近づいて段が平らに並ぶ
のりぐちの ちかくに なると、2ほんの レールが ちかづくと、しりょうに あります。まえの しゃりんと うしろの しゃりんが、ほとんど いっちょくせんに ならびます[2]。
だんは、たいらな いたのように ならんで、ぐるっと まわる ところも すすめます。
むかしの エスカレーターでは、たいらな だんは 1まいと はんぶん ぐらいでした。いまは、3まいに ふやした きしゅも あると、しりょうに あります[1]。あんぜんの ための くふうの ひとつだと、しりょうに あります。
5. さいごに くしは、なにを して いるの?
5. くしが段の溝と噛み合う
5. くし(コム)とクリートの噛み合わせ
のりぐちの さきには、くしのような ぎざぎざの いたが あります。だんの みぞと かみあって、あしなどを すくいとるように なって います[1]。
だんの とっきと くしの とっきが かみあうので、すきまが ちいさく なります[2]。
もし ものが はさまって、つよい ちからが かかると、くしの さきは おれるように、やわらかい プラスチックで つくる ことが おおいと いいます[1]。
6. エスカレーターは、いつ できたの?
6. 最初の頃の工夫と、名前の由来
6. 最初のエスカレーターは、どんな形だったのか
さいしょの じっさいに つかえる エスカレーターは、1896ねんに、ジェシー・レノという ひとが、アメリカの コニーアイランドに つくったと いわれます[2]。
かたむきは 25どで、かなぐの とっきが ついた ベルトの ような ものでした。いまの ように、たいらな だんでは なかったようです。
そのあと、シーバーガーと いう ひとが、たいらな だんの エスカレーターを すすめたと つたえられて います。「エスカレーター」という なまえも、この ひとが つくったと いわれます。ただし、しりょうに よって ちがう ところも あります。
最初の実用エスカレーターは、1896年にジェシー・レノがニューヨークのコニーアイランドに設置した、傾斜25度の、金属の突起がついたベルト状のものだったとされます[2]。今の「平らな段」とは違う形でした。
その後、チャールズ・シーバーガーは平らな段の設計を進め、1899年にオーチス社と最初の商用エスカレーターを作ったとされます。端で段が水平に動き続けてから、三角の分岐板の下へ消える形でした[2]。
この機械は1900年のパリ万博で一等賞を得たとされます。「エスカレーター」の名は、シーバーガーがラテン語の辞書から scala(階段)を語根に選んで作った、と英語版Wikipediaは述べます。エレベーターという語を合わせたのではない、という説明です。起源や命名は資料によって食い違うので、ここでは「とされる」の範囲にとどめます。
1896年、ジェシー・レノがニューヨークのコニーアイランドに最初の実用エスカレーターを設置した。傾斜25度の、金属の突起付きベルト状の機械で、水平な段を持つ現在の形とは異なる[2]。
チャールズ・シーバーガーは平らな踏面の設計を進め、1899年にオーチス社と最初の商用エスカレーターを製作したとされる。端で段が水平に動き続けてから三角の分岐板の下へ消える形で、この機は1900年のパリ万博で一等賞を得たという。「エスカレーター」の名は、ラテン語辞書から scala を語根に選び、接頭辞E・接尾辞torを付けて作ったと述べられ、elevatorとの合成ではないとされる[2]。
起源・命名・受賞は、いずれも英語版Wikipediaの記述による。資料によって異なる説明もあるため、断定を避ける。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おでかけの ときに
エスカレーターの のりぐちで、たいらな だんが なんまい つづくか、すこし はなれた ところから かぞえて みましょう。3まいの ところも、ちがう ところも あるかも しれません。
だんの はしや、くしには ちかづかないで ください。あしもとを 見ないで のるのも、あぶないです。ひとの じゃまに ならない ばしょで、うしろに ひとが いない ときに、そっと 見ます。
こうしきの じょうほう
エスカレーターの メーカーの ウェブサイトに、しくみの ページが ある ことが あります。
出かけてできること
駅や商業施設で、邪魔にならない場所から、乗降口の水平な段が何枚続くかを数えてみてください。3枚の場所も、そうでない場所もあるかもしれません。段の端や、くしに近づかないことが前提です。
降り口で、くしと段の溝が噛み合っている様子は、少し離れた所から観察できます。立ち止まるときは、必ず、人の流れを妨げない位置を選んでください。
公式情報
エスカレーターのメーカーの技術解説や、国や自治体の安全に関する資料に、構造の図が載っていることがあります。
出かけてできること
乗降口で、水平になる段の枚数を数え、機種による違いを比べる。4章で見た3枚水平ステップが、身近な機種でどの程度使われているかは、資料では確かめられておらず、自分の観察が手がかりになる。段の端やくしに近づかず、人の流れを妨げない位置から観察する。
公式情報
メーカーの技報や、国・自治体の安全資料を探し、2本のレールの間隔の説明を日本語の一次資料で確かめてみるのもよい。本記事では、この点を英語の解説に頼っている。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
段の構造・くし・水平ステップは東京都の資料、レールの働きと歴史は英語版Wikipediaの解説、車輪とガイドレールは国土交通省資料の抜粋による。レールの間隔の説明は、日本語の一次資料での確認ができていない。
- 東京都消費生活対策審議会 エスカレーター資料(協議会配布資料) https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kyougikai/r7/documents/r7kyogikai-1_handout-01-2.pdf (踏段の構造・くし・3枚水平ステップ)
- Escalator(Wikipedia英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Escalator (レールの働き・くしの突起・成立史)
- 国土交通省資料(エスカレーターの構造) https://www1.mlit.go.jp:8088/common/001108663.pdf (車輪とガイドレール)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。