1. 「ほぞん」の しかくい 絵、なかに なにが あるの?
1. 「保存」の四角い絵の中身 ── フロッピーディスクとは
1. 保存アイコンの正体 ── フロッピーディスクの構造
あの しかくい 絵は、「フロッピーディスク」という きろく装置の 絵です。かたい プラスチックの ケースに 入って いますが、中には、やわらかい 円盤が 入って います[1]。floppyという ことばは、えいごで「ふにゃふにゃした」という いみです。かたい ケースの 中に、ふにゃふにゃした 円盤が 入って いるから、この 名前が つきました[1]。
円盤の おもてには、さびた 鉄の こなのような もの(酸化鉄など)が うすく のって います。小さな 磁石が たくさん くっついて いるような ものだと 思って ください。データは、この 小さな 磁石の むきで きろくされます。むきが 右なら「1」、左なら「0」、と いった かんじです[1]。
フロッピーディスクの 中には、この 円盤が くるくる まわって いて、きろくする ところは、まるい わっかが たくさん かさなった もように なって います。この わっか 1本 1本を「トラック」と よびます[1]。
「保存」ボタンの四角い絵は、正式には「フロッピーディスク」という記録装置を描いたものです。今の3.5インチ版は、かたいプラスチックのケースに入っていますが、その中身は、実はやわらかい円盤です[1]。floppyとは英語で「ぐにゃぐにゃした」という意味で、この名前はケースの中の円盤の柔らかさから来ています[1]。
円盤の表面には、酸化鉄などの磁性体が薄く塗られています。この磁性体は、砂鉄のような小さな磁石の集まりのようなもので、それぞれの向きを変えることでデータを記録します。磁気ヘッドが磁石の向きを変えて書きこみ、向きの変化を読みとって、0と1の並びとして情報を取り出します[1]。
円盤の記録面は、同心円状の何本もの輪に分かれていて、この輪を「トラック」と呼びます。レコード盤のように、円盤ぜんたいが回転しながら、必要なトラックの上を磁気ヘッドが読み書きしていく仕組みです[1]。
「保存」アイコンの四角い絵は、磁性体を塗った円盤でデータを記録する「フロッピーディスク」を描いたものだ。3.5インチ版は硬いプラスチックのケースに収まっているが、中身の記録媒体は柔らかいプラスチックフィルムで、floppy(ぐにゃぐにゃした)という名はここから来ている[1]。
円盤の表面には、酸化鉄などの磁性体が塗布されている。データは、この磁性体の「磁気の向き」として記録される。磁気ヘッドが磁界の向きを変えて0/1のビットを書き込み、磁界の変化を検出して読み出す[1]。
記録面は同心円状の複数の「トラック」に分割されている。円盤が回転しながら、磁気ヘッドが目的のトラック上を移動して読み書きを行う点は、後述するどの規格でも変わらない[1]。
2. せかいで さいしょの フロッピーは、大きくて、書けなかった
2. 8インチから3.5インチへ ── どんどん小さくなった、フロッピーの歴史
2. 8→5.25→3.5インチ ── 規格の変遷と1.44MBへの到達
フロッピーディスクが うまれたのは 1971年です。アメリカの IBMという かいしゃが、はじめて つくりました。大きさは 8インチ(やく20センチメートル)もある、大きな 円盤でした[2]。
おどろく ことに、さいしょの フロッピーディスクは、読む ことしか できませんでした。何かを 書きこむ ことは できなかったのです[2]。1年後の 1972年に、ようやく 書きこめる ものが 出て、その あとも すこしずつ、入る りょうが ふえて いきました[3]。
1976年には、8インチより 小さい「5.25インチ」の フロッピーが うまれました[4]。そして 1981年、日本の ソニーが、さらに 小さい「3.5インチ」の フロッピーを、世界で さきがけて うりだしました[6]。
1984年、アップルの あたらしい パソコン「マッキントッシュ」の はっぴょう会で、アップルを つくった ひとりの、スティーブ・ジョブズという 人が、むねの ポケットから フロッピーディスクを 取り出して、その ばで さしこんで 見せたと 伝えられて います[6]。ポケットに 入る サイズだと いう ことを、その ばで しめして 見せたのです。
さいごに、1987年、「1.44メガバイト」と いう 入る りょうが、世界で いちばん つかわれる 数字に なりました[6]。もっと 大きく 入る しゅるいも あったのですが、うまく 広まりませんでした[5]。
フロッピーディスクが生まれたのは1971年です。IBMが、8インチ(約20センチメートル)の円盤を発表しました。ただしこの最初の1台は読み取り専用で、容量も約80キロバイトしかありませんでした[2]。
1972年、IBMは書き込みもできる「33FD」を発表しました。未フォーマット時の容量は400キロバイト(フォーマット後は250キロバイト)でした。その後、両面を使う「43FD」で未フォーマット時800キロバイト、記録方式を変えた「53FD」では未フォーマット時1.6メガバイトまで増えていきます[3]。
1976年、8インチフロッピーの開発にかかわったアラン・シュガートが設立した会社が、もっと小さな「5.25インチ」のフロッピーを開発しました[4]。容量は初め約90〜113キロバイトでしたが、1978年には360キロバイト、1984年には1.2メガバイトを超えるまで伸びています[5]。
さらに小さいフロッピーを目指したのが日本のソニーです。1979年に開発チームを立ち上げ、目標は「3インチくらい」でしたが、最終的に3.5インチのサイズに落ち着き、1981年、世界に先駆けて発売しました[6]。この3.5インチが広く知られるようになったのは、1984年、アップルの新しいパソコン「Macintosh 128K」が採用したことがきっかけの一つでした。発表会では、スティーブ・ジョブズが舞台の上で、シャツの胸ポケットからフロッピーディスクを取り出し、そのままマッキントッシュに差し込むという印象的な演出を行いました[6]。
容量の数字にも決着がつきます。1987年、IBMのPS/2シリーズが採用した「1.44メガバイト」が、業界標準になりました[6]。この2年ほど後には、1.44メガバイトの倍にあたる「2.88メガバイト」の規格も登場しましたが、専用のドライブが必要で、ほとんどのパソコンには採用されませんでした[5]。技術としてはもっと入る規格があったのに、結局広まったのは1.44メガバイトの方だったのです。
フロッピーディスクの起点は1971年、IBMが発表した8インチ規格である。当初は読み取り専用で、容量は約80キロバイトだった[2]。1972年発表の読み書き可能な「IBM 33FD」で未フォーマット時400キロバイト(フォーマット後250キロバイト)、両面化した「43FD」で未フォーマット時800キロバイト、倍密度化した「53FD」で未フォーマット時1.6メガバイトまで拡大した[3]。
1976年、8インチフロッピーの開発者アラン・シュガートが設立したシュガートアソシエイツが、より小型な「5.25インチ(ミニフロッピー)」を開発した[4]。容量は初期の約90〜113キロバイトから、1978年の両面倍密度で360キロバイト、1984年の高密度化で1.2メガバイト超まで伸びている[5]。
ソニーは1979年に3.5インチフロッピーの開発に着手した。開発チームの目標は5.25インチより大幅に小さい「3インチ程度」だったが、最終的に3.5インチという寸法に落ち着き、1981年、世界に先駆けて発売した[6]。この規格が普及する決め手になったのは、1984年1月、アップルの「Macintosh 128K」が3.5インチドライブを標準搭載したことだ。発表会では、スティーブ・ジョブズが舞台上でディスクを取り出し、そのままマッキントッシュのスロットに差し込むデモを行ったことでも広く知られる[6]。
1987年、IBMのPS/2ラインから登場した高密度規格(2HD)が容量1.44メガバイトを実現し、業界標準として定着した[6]。1990年前後には、その倍近い2.88メガバイト(2ED)の規格も登場したが、専用の対応ドライブが必要で互換性が低く、主流にはならなかった[5]。容量を伸ばす技術自体はあったのに、実際に定着したのは、その技術の最大値ではなかった。
3. おおきな ソフトは、なんまいもの ディスクに わけて うっていた
3. 1枚に入らない大きなソフトは、何枚にも分けて売られた
3. 容量の壁と複数枚配布 ── Windows 95が13枚だった理由
1.44メガバイトと いっても、どれくらいの りょうか、ピンと 来ないかも しれません。今の スマートフォンで とった 写真、1まいさえ、まるごと 入らないと 言われるくらいの、小さな りょうです[13]。
だから、大きな パソコンの プログラムは、1まいの フロッピーには 入りません。むかしは、大きな ソフトを 何まいもの フロッピーディスクに わけて、お店で うって いました。ある ゆうめいな OS(パソコンを うごかす きほんの プログラム)は、13まいの フロッピーで うられて いました[7]。
つかう ときは、1まい 入れて、コピーが おわったら 取り出し、つぎの 1まいを 入れる、と いう ことを、13回も くりかえす 必要が ありました。今なら、インターネットや 小さな メモリーカードで、いっしゅんで すむ ことです。
1.44メガバイトが、どれくらいの容量か想像しにくいかもしれません。今どきのスマートフォンで撮った写真1枚さえ、まるごとは入らないと言われるほど小さな容量です[13]。
これでは、大きなプログラムを1枚のフロッピーには収められません。1990年代なかば、大人気だったOS(パソコンを動かす基本ソフト)「Windows 95」の小売パッケージ版は、13枚のフロッピーディスクで販売されました。のちの改訂版では26枚に増え、最後にはフロッピー版の提供自体をやめて、CD-ROM版だけになりました[7]。
1枚ずつ入れ替えながらインストールするのは、大きなソフトを配るための普通の対処法でした。容量が足りなかったから何枚にも分けたのであって、失敗だったわけではありません[7]。目安として、当時のCD-ROM1枚(約650メガバイト)は、1.44メガバイトのフロッピー約450枚分に相当します[8]。だからこそ、CD-ROMが広まると、多くのソフトがそちらへ切り替わっていきました。
1.44メガバイトという容量は、現在のデジタル写真1枚にも満たないと言われるほど小さい[13]。大きなプログラムを1枚に収めることは、当然できない。
その代表例が、Windows 95の小売パッケージ版だ。通常より多く記録できる特殊書式(DMF)のフロッピーディスク13枚で配布された。のちのOSR2.1版では26枚に倍増し、最終版のOSR2.5ではフロッピー版の提供自体を取りやめ、CD-ROM版のみとなった[7]。大きなソフトを複数枚に分けて配布するのは、容量の壁に対する当時の普通の対処法であり、特別な失敗ではなかった[7]。
その差は、CD-ROMと比べるとわかりやすい。650メガバイトのCD-ROM1枚は、1.44メガバイトのフロッピー約450枚分に相当する(650÷1.44≒451)[8]。この差の大きさが、のちにソフトウェア配布がCD-ROMへ移っていく一因になった。
4. むかしの パソコンは、なぜ フロッピーから 立ち上がれたの?
4. パソコンは、なぜフロッピーディスクから起動できたのか
4. ブートセクタの仕組み ── フロッピー起動は特別な魔法ではない
パソコンの スイッチを 入れると、パソコンは「さいしょに 何を すれば いいか」を、どこかから 読みに 行きます。読みに 行く さきは、まず、いちばん さいしょの ちいさな ところだけです[9]。
そこに 書いて あることを、じゅんばんに やって いくと、パソコンが つかえるように なります。これを「起動」と いいます。むかしは、パソコンの 中に ハードディスクが 入って いなかったので、この さいしょの 読みに 行く さきが、フロッピーディスクでした[10]。
起動が おわったら、その フロッピーを 取り出して、つかいたい アプリの 入った べつの フロッピーに 入れかえて つかって いました[10]。今の パソコンが ハードディスクや SSDから 起動するのも、じつは まったく おなじ しくみです。
パソコンの電源を入れると、パソコンはまず「いちばん最初に何をすればいいか」を、ディスクのいちばん先頭の小さな場所だけ読みに行きます。この場所を「ブートセクタ」と呼びます[9]。
そこに書かれている指示のとおりに動くことで、パソコンは使える状態になっていきます。これが「起動」です。ハードディスクが無かった時代は、この最初に読みに行く先がフロッピーディスクでした[10]。起動が終わったら、そのフロッピーを取り出し、使いたいアプリケーションが入った別のフロッピーに交換して使うのが、当時はふつうでした[10]。
実は、これは特別な仕組みではありません。今のパソコンがハードディスクやSSDから起動するときも、まったく同じように、いちばん先頭のセクタを読んで実行しています。フロッピーが特別だったわけではなく、今と同じ仕組みを、当時はフロッピーで使っていたにすぎないのです[9]。
コンピュータの起動時、BIOSはブートデバイスのいちばん最初の「セクタ」(ブートセクタ)を読み込み、メモリ上の決まった番地に配置して、そこに書かれたプログラムをそのまま実行する[9]。
ハードディスクが普及する前、パソコンはこのブートセクタをフロッピーディスクから読み込んで起動するのがふつうだった。起動が終わると、OSの入ったフロッピーを取り出し、使いたいアプリケーションが入った別のフロッピーに交換して使っていた[10]。
この仕組みは、フロッピー特有の特別な機構ではない。今のパソコンがハードディスクやSSDから起動するときも、BIOS(あるいはUEFI)が同じように先頭のセクタを読んで実行するだけであり、フロッピー起動は、現在まで続く同じ仕組みの一例にすぎない[9]。
5. フロッピーは、どうして きえて いったの?
5. フロッピーが消えていった、いくつもの理由
5. フロッピー衰退の複線的要因 ── iMacからソニー生産終了まで
1998年、アップルは「iMac」という あたらしい パソコンを うりだしました。この パソコンには、フロッピーを 入れる ところが、はじめから ありませんでした。おおくの 人が おどろく、思いきった きめごとでした[11]。
この きめごとが、USBメモリという、小さくて 持ちやすい きろく どうぐが、広まる きっかけの ひとつに なりました[12]。さらに、CDや DVD、そして インターネットが 広まり、データを おくる のに、もう フロッピーが いらなく なって いきました[1]。
フロッピーには、じゃくてんも ありました。しっけや 磁石の ちかくに おくと データが きえてしまったり、ふるく なると こわれやすかったり したのです[13]。
フロッピーを つくる かいしゃも、つぎつぎに やめて いきました。さいごまで つくって いた ソニーも、2010年に はんばい しゅうりょうを きめ、2011年、うって いた 3.5インチの フロッピーぜんぶの はんばいを やめました[14]。3.5インチを 世界で さいしょに うった ソニーが、さいごまで のこったのです。
1998年、アップルは新しいパソコン「iMac」を発売しました。それまで当たり前だったフロッピードライブを、はじめから搭載しないという、当時としては物議を呼ぶ決断でした[11]。
この決断が、USBメモリ(USBフラッシュドライブ)が広まる後押しになりました。USBメモリは2000年代前半、それまで携帯用の記録に使われていたZipドライブなどに代わって一般的になっていきます[12]。つまり、iMacがフロッピーを外したのが先で、USBメモリが当たり前になったのはそのあとでした。
CD/DVD-ROMなどの光ディスクや、USBメモリ、SDメモリーカードが普及し、さらにインターネットが発達してファイルをそのまま送れるようになったことで、データを物理的な媒体で受け渡す必要は、どんどん減っていきました[1]。フロッピー自体の弱点も響きました。容量が小さいだけでなく、データの読み書きが遅く、湿気や磁気、経年劣化にも弱かったのです[13]。
作り手も減っていきました。2009年3月末には日立マクセルと三菱化学メディアが生産から撤退しています[18]。最後まで作りつづけたソニーも、2010年4月に販売終了を発表、2011年3月末で3.5インチフロッピー全6機種の国内販売を終えました[14]。3.5インチフロッピーを世界に先駆けて売り出したソニーが、最後まで作り続けた会社でもあったのです。
1998年8月、アップルの「iMac」は、当時の主流パソコンとして初めてフロッピードライブを搭載せずに発売された。発売当時は物議を呼ぶ決断だったが、この選択はCD-ROMとUSBポートの普及を後押しした[11]。
USBフラッシュドライブは2000年代前半、携帯用の大容量記録に使われていたZipドライブなどに代わって一般化した[12]。順序としては、iMacがまずフロッピーを外し、USBメモリの一般化はそのあとに起きている。
1990年代半ばから2000年代にかけて、CD/DVD-ROMなどの光ディスク・USBメモリ・SDメモリーカードの普及と、インターネットの発達によるファイル配布の一般化が重なり、物理的な記録媒体でデータを受け渡す必要は減少していった[1]。加えて、フロッピーは容量の小ささに加え、ランダムアクセスが遅く、湿気・磁気・経年劣化に弱いという実用面の弱点も抱えていた[13]。
製造からの撤退も相次いだ。2009年3月末に日立マクセルと三菱化学メディアが生産から撤退している[18]。最後まで作りつづけたソニーも2010年4月23日に販売終了を発表、2011年3月末で3.5インチフロッピー全6機種の国内販売を終えた[14]。1981年に世界に先駆けて3.5インチフロッピーを発売した会社が、その規格を最後まで製造しつづけた会社でもあった。
6. フロッピーが きえたあとも、のこって いた もの
6. 消えたはずのフロッピーが、まだ残っていた場所
6. 行政手続きの規定と保存アイコン ── 実物が消えたあとに残ったもの
フロッピーディスクが お店から きえたあとも、しばらく のこって いた ところが あります。日本の やくしょの きまりです。
2022年12月、日本の「デジタル庁」という やくしょが しらべたところ、およそ 2,100の きまりに、まだ「フロッピーディスクなどの きろく どうぐを つかう こと」と 書かれて いる ことが わかりました[15]。まるで、今でも フロッピーで 出さないと いけない ことに なって いたのです。
その後、やくしょは 1つずつ きまりを 見直していき、2024年6月、フロッピーディスクについての きまりが、すべて なくなりました[15]。お店から きえた 2011年から、13年も あとの ことです。
そして、もう ひとつ のこって いる ものが あります。それが、さいしょに 見た「保存」の しかくい 絵です。あの 絵は、むかしの みんなが よく つかって いた、ほんものの フロッピーディスクに 形を にせて つくられました。あたらしい 絵に かえると、みんなが おぼえ直す 手間が かかるので、そのまま つかわれ つづけて いるのだと 言われて います[17]。実物を 見た ことが ない人にも、あの 絵は 今も とどいて います。
フロッピーディスクが店から消えたあとも、しばらく残っていた場所があります。日本の役所のルールです。
2022年12月、デジタル庁が調べたところ、国の法律や規則の中に、約2,100条項もフロッピーディスクなどの媒体の使用を定めているものが見つかりました[15]。2024年3月には、フロッピーなどでの提出を求めていた規制1,024件のうち969件がオンライン提出できるように改められたと、当時のデジタル大臣、河野太郎氏がSNS(X)で報告しています[16]。数え方の対象が調査ごとに違うらしく、2つの数字はそのままは比べられませんが、いずれにしても、かなりの数の規定が残っていたということです。
そして、2024年6月28日、フロッピーディスクの使用を求める規定が、行政手続きからすべて撤廃されました。デジタル庁は同年7月19日に、この完了を発表しています[15]。フロッピーが店の棚から消えたのが2011年ごろだとすれば、法律の上での「使ってよい媒体」としての名前が消えるまで、さらに13年もかかったことになります。
もうひとつ、今も残っているものがあります。最初に見た「保存」ボタンの四角い絵です。多くのソフトウェアの保存アイコンは、今もフロッピーディスクの絵のままです。これは「スキューモーフィズム」と呼ばれる、現実の物の見た目をまねてユーザーの学習コストを抑えるデザインの手法が定着した結果だとされています[17]。いちど広く定着した絵を変えると、全員が新しく覚え直す負担が生まれるため、実物を知らない世代にも、あの絵は今も「保存」の記号として届いているのです[17]。
フロッピーディスクが市場から消えたあとも、しばらく残っていた場所がある。日本の行政のルールだ。
2022年12月、デジタル庁の調査で、国の法律・規則の中に約2,100条項もフロッピーディスクなど専用媒体の使用を規定しているものが見つかった[15]。2024年3月には、専用媒体での提出を求める規制1,024件のうち969件がオンライン提出可能に改められたと、当時のデジタル大臣河野太郎氏がX(旧Twitter)で報告している[16]。2022年の「約2,100条項」と2024年の「1,024件」は、調査の対象や数え方が異なるとみられ、単純比較はできない[15][16]。
2024年6月28日、フロッピーディスクの使用を求める規定が行政手続きからすべて撤廃され、デジタル庁は同年7月19日にこの完了を発表した[15]。フロッピーディスクが市場から姿を消したのが2011年ごろだとすれば、法制度上の名前が完全に消えるまでには、さらに13年を要したことになる。
もう一つの残存物が、記事の冒頭で見た保存アイコンだ。多くのソフトウェアの保存ボタンには、実物を見たことがない世代にも、いまだにフロッピーディスクの絵が使われている。これは「スキューモーフィズム」と呼ばれる、現実の物の見た目を模してユーザーの学習コストを抑えるデザイン手法が定着した結果とされる[17]。いちど広く定着したアイコンを変えると、全員が新しく覚え直す負担のほうが大きいという判断が、この絵を生き残らせている[17]。
7. じぶんでも さがして みたく なったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
やってみよう。家や 学校で つかって いる パソコンや タブレットで、お絵かきアプリや、文章を 書く アプリを ひらいて、「保存」の ボタンを さがして みましょう。しかくい 板の 絵に なって いますか。
ほかにも、今は もう 見かけない 古い 道具の 形を した、絵や マークが ないか、さがして みて ください。むかしの 電話の 形を した マークも、その ひとつです。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
出典について:フリー百科事典ウィキペディア(日本語版・英語版)、IBMの歴史をまとめたComputer History Museum、日本のメーカーや官公庁の発表資料、技術系メディアの記事を使った。何に使ったかを、それぞれの項目の最後に書いている。
- フリー百科事典『ウィキペディア』「フロッピーディスク」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/フロッピーディスク (フロッピーディスクの構造、磁性体による磁気記録の仕組み、消えていった複数の理由について)
- Computer History Museum「1971: Floppy disk loads mainframe computer data」。 https://www.computerhistory.org/storageengine/floppy-disk-loads-mainframe-computer-data/ (世界初の8インチフロッピーが読み取り専用で、容量80キロバイトだったことについて)
- テクノエッジ「パンチカードの置き換えから始まった元祖『8インチフロッピーディスク』」。 https://www.techno-edge.net/article/2022/10/19/392.html (IBM 33FD・43FD・53FDの容量の広がりについて)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「シュガートアソシエイツ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/シュガートアソシエイツ (5.25インチフロッピーの開発について)
- Wikipedia(英語版)「History of the floppy disk」。 https://en.wikipedia.org/wiki/History_of_the_floppy_disk (5.25インチの容量の変遷、2.88メガバイト規格が広まらなかったことについて)
- 「戦後日本のイノベーション100選 3.5インチフロッピーディスク」。 https://koueki.jiii.or.jp/innovation100/innovation_detail.php?eid=00073&age=stable-growth&page=keii (ソニーの3.5インチ開発、Macintoshでの採用とジョブズのデモ、1.44メガバイト標準化について)
- Wikipedia(英語版)「Windows 95」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Windows_95 (Windows 95がフロッピー13枚・26枚で配布されたことについて)
- 「CD容量の豆知識」。 https://www.winxdvd.com/blog/cd-storage-capacity.htm (CD-ROMの容量とフロッピー枚数の比較について)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「ブートセクタ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ブートセクタ (BIOSが先頭セクタを読んで実行する起動の仕組みについて)
- フリー百科事典『ウィキペディア』「フロッピーディスクの歴史」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/フロッピーディスクの歴史 (ハードディスクが無い時代の起動とディスク交換の様子について)
- Wikipedia(英語版)「IMac G3」。 https://en.wikipedia.org/wiki/IMac_G3 (1998年のiMacがフロッピードライブを搭載しなかったことについて)
- Wikipedia(英語版)「USB flash drive」。 https://en.wikipedia.org/wiki/USB_flash_drive (USBメモリが2000年代前半に普及したことについて)
- 「フロッピーディスクはなぜ消えたのか」(note)。 https://note.com/hayashipcblog/n/n86c7bffb67b7 (容量・速度・耐久性の実用面の弱点について)
- ソニー「3.5型フロッピーディスク販売終了のお知らせ」。 https://www.sony.jp/rec-media/info/20100423.html (フロッピーディスクの生産・販売終了の経緯について)
- NTT東日本biz drive「デジタル庁のフロッピーディスク使用規定撤廃」コラム。 http://business.ntt-east.co.jp/column/bizdrive/digital-agency-floppy-abolition.html (2022年の調査結果と、2024年6月の規定撤廃について)
- ITmedia NEWS「『フロッピーなどで提出』規制、1024件→55件に 河野太郎氏が報告」。 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2403/13/news098.html (2024年3月時点の規制改善の進み方について)
- Qbook「なぜ『保存アイコン』は今もフロッピーディスクの絵なのか?」。 https://www.qbook.jp/column/2398.html (保存アイコンがスキューモーフィズムとして残っている理由について)
- J-CAST ニュース「『フロッピー』は退場目前 FDD主要メーカー『撤退』へ」。 https://www.j-cast.com/2009/08/03046290.html (日立マクセル・三菱化学メディアが2009年3月末にフロッピーディスク生産から撤退したことについて)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。