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えいせいの 「ひまわり」は、なぜ 日本の まうえでは なく、せきどうの 上に いるの?

衛星ひまわりは日本の真上にいない ── 空で止まって見える衛星が、赤道の上にしか置けない理由

衛星ひまわりはなぜ赤道上空にいるのか ── 静止軌道の条件、シンコム2号の8の字、高緯度の限界

分野:宇宙・天文

ひまわりは、日本の 真上には いません。いるのは、日本から ずっと はなれた、赤道の 上です。

どうして 日本の 上には おけないのでしょう。ひまわりが 空で 止まって 見える わけと、空に 8の字を えがいた 衛星えいせいの 話が わかります。

天気予報の雲の画像を撮っているひまわりは、日本の真上にはいません。いるのは、日本から遠く離れた赤道の上空、高さ約35,800kmです[1]。

日本のための衛星なのに、なぜ日本の上には置けないのでしょうか。軌道を傾けたシンコム2号が空に描いた8の字が、赤道が選ばれる理由を教えてくれます。

気象庁のひまわり8号・9号は、東経約140.7度の赤道上空、約35,800kmにある[1]。日本を観測する衛星でありながら、位置は日本の真上ではなく、北緯0度の赤道の上である。

なぜ日本の上空ではいけないのか。地球の自転と同じ周期で回る円軌道の条件、傾いた軌道で空に8の字を描いたシンコム2号の例、赤道に置いたことで生じる高緯度の死角が、順に分かる。

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1. ひまわりは、どこに いるの?

1. 「日本の衛星」は、日本から遠い赤道の上にいる

1. 位置は日本の真上ではなく、東経140.7度の赤道上空

ひまわりは、天気の ようすを 宇宙うちゅうから 見て いる 衛星えいせいです。

いる 場所は、赤道の 上、地上から やく35,800キロメートルの ところです[1]。日本は 赤道より ずっと 北に あります。だから、日本の 真上では ありません。

ふしぎな ことに、ひまわりは 地球の まわりを 回って いるのに、地上から 見ると、いつも おなじ 場所に 止まって 見えます[2]。

止まって 見える ひみつは、なんでしょう。

ひまわり9号は、2016年11月11日に、東経140.7度の赤道上空にある静止軌道へ入ったと気象庁が発表しています[1]。高さは約35,800km。緯度はゼロ、つまり赤道の真上です。

日本は赤道よりずっと北にあります。ひまわりから日本を見ると、真上ではなく、南の遠くから斜めに見下ろす形になります。

それでも、地上から見たひまわりはいつも同じ場所にいます。地球の自転と同じ周期で回っているので、同じ範囲を宇宙から観測し続けられます[2]。では、「止まって見える」とは、どういうことなのでしょうか。

ひまわり9号は、2016年11月11日に東経140.7度の赤道上空の静止軌道に投入された、と気象庁が発表している[1]。高さは約35,800km。なお気象衛星センターの解説では「約36,000km」とあり[2]、これは丸め方の違いで、同じ軌道を指している。

緯度が0度なので、日本から見れば南の遠い空にいる。日本は赤道よりずっと北にあるため、衛星から見た日本は真下ではなく、斜めに見下ろす位置関係になる。

それでも地上の観測者から見ると、ひまわりは常に同じ位置にある。気象衛星センターは、地球の自転と同じ周回周期を持つためだと説明している[2]。では、この「同じ周期」とは、具体的にどんな運動なのか。

2. 止まって 見えるのは、なぜ?

2. 止まって見えるのは、地球と同じ時間で回っているから

2. 静止の条件は、自転と同じ向き・同じ周期で回ること

地球は、1日に 1回、自転じてんして います。ひまわりも、地球と おなじ 向きに、ほぼ 1日で 1しゅう します。

回転木馬で、となりの 馬に のって いる 友だちは、じぶんから 見ると 止まって 見えますね。それと にて います。ただし 本当は、ひまわりは 止まって いません。秒速 やく3キロメートルで 動いて います[3]。

この ぴったりの 速さに なるのが、地上から やく35,800キロメートルの 高さです。

では、おなじ 速さで 回れれば、日本の 真上でも いいのでは ないでしょうか。

静止衛星の高さは約35,786kmで、地球の中心からは約42,164kmです。この軌道を1周する時間は23時間56分4秒で、地球が1回転する時間と同じです[3]。向きも地球と同じ西から東です。

ここで、数字を実感に変えてみます。軌道の長さは、2π×42,164で約26.5万km。地球の赤道1周(約4万km)の6倍以上を、ほぼ1日で回ることになります。計算すると秒速約3kmで、ESAの資料にある約3kmと合います[3]。

地上の人が「止まっている」と感じるのは、衛星が止まっているからではなく、地上の自分と同じ角度だけ動いているからです。回転木馬で隣の馬が動かないように見えるのと同じ理屈です。

同じ周期なら、日本の真上でもよさそうです。ところが、そうはいきません。

ESAの資料によると、静止軌道は高度35,786km、地球中心からの距離は約42,164km(地球の赤道半径約6,378kmを足した値)で、周期は23時間56分4秒、つまり恒星日(地球が星に対して1回転する時間)に等しい[3]。向きも自転と同じ西から東である。周期が24時間ちょうどでないのは、地球の自転が基準にしているのが太陽でなく星だからで、約4分の差がある。

数字を自分で確かめてみる。軌道の円周は2π×42,164で約26.5万km。恒星日は86,164秒だから、速さは約3.07km/s。ESAの約3kmと一致する。赤道1周(約4万km)の6倍超を1日で回る計算で、見た目の静かさに反して高速である。

地上から止まって見えるのは、衛星の角速度が地球の自転の角速度と等しいためだ。同じ周期だけが条件なら、緯度の高い日本の上空でもよさそうに見える。ところが円の中心の置き場所という、もう1つの条件がこれを許さない。

3. どうして 赤道の 上だけ なの?

3. 衛星の円は、地球の中心を通らなければならない

3. 軌道面は必ず地球の中心を通る ── だから円の中心は赤道面にしか置けない

衛星えいせいを 回らせて いる ものは、地球の 引力いんりょくです。引力は、地球の まんなかへ むかって ひっぱります。

ひもの はしに ボールを つけて 回すと、ひもを もった 手が まんなかに なりますね。衛星えいせいも おなじで、回る 円の まんなかは、地球の まんなかです。ただし 本当は、ひもでは なく 引力が ひっぱって います。

では、日本の 真上で 止まる 円を 考えて みましょう。この 円は 地球の まんなかを 通る ために、南北に かたむきます。かたむいた 円を 回る 衛星えいせいは、日本の 上から 北へ 南へ はなれて しまいます。

地球の まんなかを 通り、地球と おなじ 向きに 回る 円は、赤道の 上の 円だけです。

では、わざと かたむけたら、どう 見えたのでしょう。

衛星を軌道にとどめているのは地球の引力です。引力は地球の中心に向かうので、衛星の描く円の中心は、必ず地球の中心になります。これは資料の文ではなく、物理の考え方からの説明です。

日本の真上に止まり続けるには、衛星は1日かけて、日本の上空の点と同じ円(緯線の円)をなぞる必要があります。ところが、緯線の円の中心は地球の中心からずれていて、引力のつくる円とは中心が合いません。

地球の中心を通り、しかも自転と同じ向きにそろった円は、赤道面の中にある円だけです。傾いた円を選ぶと、衛星は日本の上から南へ北へ外れていきます。

クラークは、1945年の雑誌への寄稿で、軌道の面が赤道面と一致していれば衛星は地球と一緒に回り、同じ地点の上に止まる、と書いています[4]。考え方は、この一文と重なります。

では、わざと傾けた衛星は、本当に動いて見えたのでしょうか。

引力は地球の中心に向かうので、衛星の軌道面は必ず地球の中心を通る。この点は一次資料の文ではなく、力学の考え方からの説明である。

日本の上空に止まるには、衛星が緯度φの緯線上の点と同じ円を1日でなぞる必要がある。ところが緯線の円は、半径が地球半径×cosφで、中心は自転軸上にあっても地球の中心にはない。たとえば北緯35度なら、中心は地球の中心から離れた位置になる。中心が引力の向かう点と合わないので、そのような円軌道は成り立たない。

軌道の中心が地球の中心にあり、しかも自転軸に垂直な円は、赤道面内のものに限られる。傾いた軌道では、衛星は自転と同じ周期でも日本の上空を離れ、南北に往復する。

クラークは1945年の寄稿「Extra-Terrestrial Relays」で、半径42,000kmの軌道の周期はちょうど24時間であり、その面が赤道面と一致していれば衛星は地球と一緒に回って静止すると述べた[4]。ここで24時間とされているのは概数で、実際は恒星日である。

では、傾いた同期軌道の衛星は、実際にどう動いたのか。実機で見られた例がある。

4. 赤道から ずれると、空で どう 見える?

4. 傾いた衛星は、空で8の字を描いた

4. シンコム2号 ── 軌道傾斜角33度の同期衛星が描いた図形

1963年7月、アメリカが シンコム2号という 衛星えいせいを うちあげました。世界で はじめて、地球と おなじ 時間で 回る 衛星えいせいです[6]。

ところが この 衛星えいせいは、軌道きどうが 33度 かたむいて いました。だから 空の 1か所には 止まらず、赤道から 南北に 33度の はんいを、ほそ長い 8の字を えがく ように 動きました[6]。

時間は おなじでも、赤道の 上から ずれると 止まって 見えません。衛星えいせいが 自分で、赤道の 大切さを 見せて くれたのです。

では、赤道の 上に おいたら、何が できたのでしょう。

1963年7月26日に打ち上げられたシンコム2号は、世界で初めての同期衛星でした。大西洋とブラジルの上空(西経55度付近)で、同年8月16日に通信を始めています[6]。

ただし、軌道の傾きが33度あったので、本当の意味では静止していませんでした。NASAの記録では、赤道の南北33度の範囲を、細長い8の字を描くように動いたと説明されています[6]。

周期が地球の自転と同じでも、赤道面からずれていれば、地上からは南北にゆれ動いて見えます。同期衛星のうち、赤道面の中にあるものだけを「静止軌道」と呼び分ける考え方もあります。シンコム2号は、「止まって見える」条件に赤道が欠かせないことを、傾きで示した例といえます。

では、条件がそろった赤道の上に置いたら、何ができたのでしょうか。

シンコム2号は1963年7月26日に打ち上げられた世界初の同期衛星で、同年8月16日に大西洋・ブラジル上空(西経55度付近)から通信を始めた[6]。ただし NASA NSSDC の記録は、軌道傾斜角が33度あって真の静止ではなく、赤道の南北33度の範囲を細長い8の字を描くように動いた、と述べる[6]。

8の字になるのは、周期は自転と同じでも、軌道面が赤道面と33度ずれているためと考えられる。地上から見ると、衛星は東西に加えて南北にも往復するからだ。ただし傾けば必ず8の字になるわけではなく、軌道の形(離心率)にもよるので、ここでは「南北にゆれる」と理解しておくのが無難である。

この例は、同期衛星と静止衛星の区別を教える。周期が同じなだけなら同期衛星で、さらに軌道面が赤道面内にあって初めて、地上の1点に静止して見える。「止まって見える」条件が周期と赤道面の2つであることを、傾いた衛星が示した。

では、その条件を満たした衛星は、何を成し遂げたのか。

5. 赤道の 上の 衛星えいせいは、東京オリンピックを とどけた

5. 赤道に置いた衛星が、東京オリンピックを太平洋の向こうへ

5. クラークの着想から東京オリンピックの中継まで ── 19年の間にあったこと

1945年、イギリスの クラークという 人が、衛星えいせいを つかった 通信つうしんの 考えを ざっしに 書きました。衛星えいせいが 1つで 地球の 半分ぐらい、3つ あれば 世界中を つなげる、という 考えです[5]。

それから 19年後の 1964年8月、シンコム3号が 太平洋の 赤道の 上に 止まりました。赤道の 上で 止まった、さいしょの 人工衛星えいせいです[7]。

この 衛星えいせいは、東京オリンピックの ようすを アメリカへ とどける のに つかわれました。太平洋を こえた さいしょの テレビ番組に なりました[7]。

けれど、赤道の 上に おくと、こまる ことも あります。

クラークは1945年の寄稿で、衛星1基では地球の半分ほどしか覆えないが、3基あれば世界をカバーできる、と述べました[5]。ただし、彼が書いたのは通信中継の着想で、静止衛星そのものを作った人ではありません。実機が現れるのは、ずっとあとです。

1964年8月19日、シンコム3号がデルタロケットで打ち上げられました。太平洋上の東経180度、赤道の真上の静止軌道に入った、最初の人工衛星です[7]。

この年に開かれた東京オリンピックで、NASAの記録によると、シンコム3号はその生中継に使われ、アメリカ向けに太平洋を越えた最初のテレビ番組になりました[7]。赤道の上の衛星が、日本とアメリカの間をつないだことになります。

もっとも、この中継はアメリカ向けの実験的なものでした。赤道の上という便利な位置にも、弱点があります。

クラークは1945年の寄稿で、単独の局では地球の半分ほどしか覆えず、世界を覆うには3基が必要だと述べた[5]。ただし、これは通信中継の着想であり、クラークは静止衛星の「発明者」ではない。実機が現れるのは後年である。

実機で最初に赤道上の静止軌道に入ったのが、1964年8月19日にデルタロケットで打ち上げられたシンコム3号である。位置は太平洋上の東経180度、赤道の真上[7]。シンコム2号から1年ほどで、傾きのない軌道に入った衛星が現れたことになる。

この衛星は、1964年の東京オリンピックの生中継に使われ、アメリカ向けに太平洋を越えた最初のテレビ番組を送った[7]。資料の書き方からは、東京大会の全中継ではなく、アメリカ向けの実験的な一部と読むのが妥当である。

便利な位置にも限界がある。赤道に置いたゆえの弱点を、次に見る。

6. 赤道の 上に おくと、見えにくい 場所は?

6. 赤道の上から見えにくいのは、北と南のはしの地域

6. 高緯度の死角 ── 見える限界は約81度(上限の計算)と、極軌道衛星の役割

赤道の 上から 地球を 見ると、北や 南の はしの ほうは、ななめに 見えて しまいます。いちばん はしの 北極ほっきょくや 南極なんきょくの 近くは、とても 見にくい のです。

たとえば ボールを よこから 見ると、上の ほうに かいた 丸は ほそく 見えますね。それと おなじ ことが 起きます。

そこで、その 場所は べつの 衛星えいせいが 見ます。極きょく軌道きどう衛星えいせいと いって、北から 南へ 地球を 回ります。高さは やく850キロメートルで、1しゅうに やく100分 かかります(アメリカの NOAA の 場合)[8]。

ひまわりと 極きょく軌道きどう衛星えいせいは、とくいな 場所が ちがうのです。

赤道の真上は、地球の中央にあたる位置です。ところが、そこから北や南の端の地域を見ると、地表が斜めに見えて、細く縮んで見えます。

自分で計算してみます。静止衛星の軌道半径は約42,164km、地球の赤道半径は約6,378kmです。衛星から地表を見渡せる限界の緯度φは、cosφ=6,378÷42,164=0.151から、約81度になります。これは上限値の計算です。81度のところでは衛星は地平線すれすれに見え、北極や南極の点は真上から見ることができません。

斜めになるのは、端に近づくほど強くなります。実際の観測では、高緯度ほど苦手になります。

気象庁の気象衛星センターは、静止気象衛星では観測が難しい高緯度の地方を、南北の極付近を通る極軌道気象衛星が高い頻度で観測できる、と説明しています。極軌道衛星の例のNOAAは、高度約850km、周期約100分で南北に回ります[8]。

赤道に置いたひまわりと、極を回る衛星は、得意な場所を分け合っています。

赤道上の静止衛星から見える範囲には限界がある。静止軌道の半径は約42,164km、地球の赤道半径は約6,378kmだから、接線の方向(地平線)まで見える緯度φは、cosφ=6,378÷42,164=0.151、すなわちφ≒81.3度となる。この81度は幾何学的な上限値の計算で、出典にある数字ではない。極点は真上から見えない。

しかも端に近いほど、地表を見る角度が浅くなる。同じ衛星画像の1画素が、地上では細長い範囲をまとめて見ることになるので、実質的な観測の精度は高緯度ほど落ちると考えられる。ただし、この「斜めから見る」説明は筆者の幾何学的な推論であり、気象衛星センターが述べている理由ではない。

同センターは、静止気象衛星では観測が難しい高緯度地方を、極軌道気象衛星が高い頻度で観測できると説明している[8]。極軌道衛星の例として挙がるNOAAは、高度約850km、周期約100分で、南北に周回する。ひまわりより桁違いに低い軌道で、地球の近くを素早く回る。

赤道に置いたことで得た「同じ場所を見続ける」長所と、失った高緯度の死角を、別の軌道の衛星が補っている。この分担を知れば、気象衛星の画像を見る目が変わる。

7. ボールで たしかめて みよう

7. 画像のはしが細く見える理由を、ボールで確かめる

7. 原典と手元の観察 ── クラークの原文と、球体の端の見え方

やって みよう:丸い ボール(ゴムまりや みかんでも いいです)に、ペンで 上の ほうと まん中に、おなじ 大きさの 丸を かいて みましょう。

ボールを 目の 前に おいて、少し はなれて 見ます。まん中の 丸と、上の ほうの 丸では、形が ちがって 見えるでしょうか。

上の ほうの 丸が ほそく 見えたら、ひまわりから 北の はしの 場所を 見るのも、おなじ ように ななめに 見て いる ことに なります。

ひまわりは やく35,800キロメートルも はなれた 空から、日本の 天気を 見まもって います。

やってみよう:丸いボール(ゴムまりでもみかんでも)に、ペンで上のほうと真ん中に、同じ大きさの丸を描きます。少し離れて見ると、真ん中の丸は丸く見え、上の丸はつぶれて見えるはずです。衛星から見た地球の端の地域も、これと同じです。

次に、地図や地球儀で、ひまわりの真下にあたる東経140.7度の赤道上の点を探します。そこからボールの上の丸に当たる北の端の地域まで指でたどり、その地域がひまわりから斜めに見られていることを確かめてみてください。

もう少し先へ進むなら、気象衛星センターの「静止気象衛星と極軌道衛星」の解説で、二つの衛星の役割分担を読めます[2]。

赤道の上の約35,800kmに、日本の天気を見守る衛星が、止まって見える姿でいます。

手元の観察として、ボールの上部と中央に同じ大きさの丸を描き、離れて見比べてみる。球面の端ほど、見る角度が浅くなって丸がつぶれる。これは上で計算した81度の限界と同じ幾何学の現象である。気象庁の公開するひまわり画像で、画像の端の地域と中央の地域を見比べ、同じことが起きているか、自分で考えてみるとよい。

原典に当たる場合は、クラークの1945年10月の寄稿「Extra-Terrestrial Relays」(Wireless World)の転載[4][5]が読める。短い文章で、軌道の面が赤道面と一致するという一文や、3基で世界を覆うという記述を、自分の目で確かめられる(英語の資料)。静止軌道の数値はESAの解説[3]、シンコム2号・3号の記録はNASA NSSDCの機体ページ[6][7]にある。

残る問いは、赤道上の同じ高さに多くの衛星を置いたとき、場所をどう分けるのかだ。本稿では扱わなかったが、次に調べてみたくなるテーマである。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

位置・仕様は気象庁とESA、傾いた軌道と東京オリンピックの記録はNASA、1945年の着想はクラークの寄稿の転載にもとづく。81度や26.5万kmなどは、これらの数値からの筆者の計算。

  1. 気象庁「ひまわりの概要」と、ひまわり9号の静止軌道投入の報道発表 https://www.jma-net.go.jp/sat_info/himawari/satellite.html (ひまわりの位置・投入日)
  2. 気象衛星センター「静止気象衛星と極軌道衛星」 https://www.data.jma.go.jp/mscweb/ja/general/geopolar.html (静止して見える理由)
  3. ESA「Types of orbits」 https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Transportation/Types_of_orbits (高度・周期・速さ)
  4. A. C. Clarke, Extra-Terrestrial Relays, Wireless World, 1945年10月(転載) https://rfcafe.com/references/wireless-world/extra-terrestrial-relays-arthur-c-clarke-oct-1945-wireless-world.htm (赤道面と静止の考え)
  5. Clarke 1945 の転載と解説 https://lakdiva.org.lk/clarke/1945ww/ (3基で世界をカバーする記述)
  6. NASA NSSDC「Syncom 2」 https://nssdc.gsfc.nasa.gov/nmc/spacecraft/display.action?id=1963-031A (8の字・通信開始)
  7. NASA NSSDC「Syncom 3」 https://nssdc.gsfc.nasa.gov/nmc/spacecraft/display.action?id=1964-047A (東京オリンピックの中継)
  8. 気象衛星センター「極軌道気象衛星」 https://www.data.jma.go.jp/mscweb/ja/general/polar.html (高緯度の観測・極軌道衛星)

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