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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

かみの けの ひょうめんは、どんな かたちを して いるの?

髪の表面は、薄い細胞が瓦のように重なっている ── 逆向きになでると引っかかる理由

髪のキューティクルの形 ── 厚さ約0.5μm・長さ約50μmの細胞の重なりと、摩擦に向きがある理由

分野:からだ

かみの けを、ねもとから けさきへ なでるのと、けさきから ねもとへ なでるのとでは、ひっかかりかたが ちがう といわれます。

じつは、かみの ひょうめんでは、とても うすい さいぼうが、やねの かわらのように かさなって います。どうして その ならびかたで、なでる むきによって ちがいが でるのでしょう。この きじを よむと、さいぼう 1まいの おおきさと、かさなりかたが わかります。

髪の毛は、根元から毛先へなでるときより、毛先から根元へなでるときのほうが、摩擦が大きいといわれます。その理由は、髪の表面にあります。厚さ約0.5マイクロメートルという薄い細胞が、屋根瓦のように毛先向きに重なっているのです。

では、その細胞1枚は、どれくらいの大きさで、どう重なっているのでしょうか。この記事を読むと、1枚の大きさと枚数、重なり方、細胞の中の層、そして向きによって摩擦が変わる理由が分かります。

髪の表面のキューティクルは、1枚の厚さが約0.5μm、長さが約50μmの平たい細胞で、長さの最大5/6が重なり、毛先側へ先が出ているという報告がある[2]。この並びがあるため、毛先から根元へなでるときのほうが摩擦が大きいと説明される[4]。

厚さが髪の太さの100分の1にも満たない細胞が、なぜ摩擦の向きを生むのか。この記事を読むと、1枚の寸法と枚数の幅、重なりの向き、1枚の内部の層構造、摩擦の方向性との関係が分かる。

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1. かみを さかさに なでると、どう かんじるの?

1. 髪を逆向きになでると、なぜ手ざわりが変わるのか

1. 摩擦に向きがある ── 根元→毛先と毛先→根元

かみの けを ゆびで はさんで、ねもとから けさきへ すべらせて みます。つぎに、けさきから ねもとへ すべらせます。

けんきゅうでは、けさきから ねもとへ むかうほうが、すべりにくい(まさつが おおきい)と いわれます[4]。

どうして むきで ちがうのでしょう。ひみつは、かみの いちばん そとがわに あります。そこには、かわらのように かさなった うろこの ような ものが あります[5]。

髪の毛を指ではさんで、根元から毛先へ、次に毛先から根元へ、すべらせてみる場面を想像してください。化粧品などの研究をまとめた論文では、根元から毛先に向かって動かすほうが、毛先から根元に向かうよりも、動かしやすいと説明されています。理由は、髪の表面にあるキューティクルの向きに偏りがあるからです[4]。

キューティクルは、髪の一番外側にある、うろこ状のものです。硬いたんぱく質が主な成分で、外側で瓦のように重なっています。外からの刺激から髪の内部を守る役目があると説明されています[5]。

では、この「瓦」の1枚は、どれくらいの大きさなのでしょうか。

毛髪は、外側からキューティクル、コルテックス、中心のメデュラの3領域でできている。最外層のキューティクルは、うろこ状の細胞が重なったもので、内部を守る外皮の役をする[1]。公的機関の解説でも、硬いたんぱく質を主成分とし、外側で瓦のように重なって内部を守ると説明される[5]。

この重なりに向きがあることが、摩擦の差に結びつく。化粧品科学の総説では、キューティクルの向きが一方向にそろっていること(異方性)のため、根元→毛先方向に動かすほうが、毛先→根元方向より動かしやすいとされる[4]。

では、その1枚はどんな寸法で、どう重なっているのか。

2. うろこ 1まいは、どれくらいの おおきさなの?

2. 瓦1枚の大きさと、重なりの深さ

2. 1枚の寸法と枚数 ── 厚さ約0.5μm、長さ約50μm、重なりは長さの最大5/6

うろこ 1まいは、たいらで しかくい シートの ような かたちです。あつさは 0.5マイクロメートルほど。1マイクロメートルは、1ミリの 1000ぶんの 1です[2]。

ながさは 50マイクロメートルほどで、かみの け 1ぽんの はばの はんぶんくらいです。かわらが かさなる ように、ながさの 6ぶんの 5 くらい まで かさなる ことが あります[2]。

かさなって いる まいすうは、5〜10まいと いわれ、にほんじんの かみの かんさつでは 5〜6まいでした[1][3]。

こんなに うすい うろこが、どうして ひとつの むきに そろうのでしょう。

完成した髪のキューティクルは、平たい四角いシートのような形をしていて、1枚の厚さは約0.5マイクロメートル、長さは約50マイクロメートルという値が紹介されています。1マイクロメートルは1000分の1ミリです。髪の太さには個人差がありますが、観察例の一つでは直径が約100マイクロメートルで、それなら1枚の長さは髪の太さの半分ほど、厚さは100分の1より薄い計算になります[2]。

瓦のように重なっていて、長さの最大で6分の5が隣と重なり、先が毛先のほうへ少し傾いて出ています[2]。

重なる枚数は、髪によって幅があります。ある研究では5〜10枚と紹介され[1]、日本人の髪の断面を電子顕微鏡で観察した報告では、5〜6枚が重なっていました[3]。

では、この「傾き」は、手ざわりにどう関わるのでしょうか。

完成した毛髪のキューティクル細胞は、平たい四角いシート状で、厚さ約0.5μm、長さ約50μmと報告されている。長さの最大5/6が互いに重なり、繊維の軸からわずかに傾いて、先が毛先側へ出る[2]。髪の太さには個人差があるが、観察例の一つでは直径約100μmで、その場合、厚さは直径の100分の1に満たず、長さは直径の半分ほどになる。なお、この寸法は出典の目安値で、孫引きの値でもあるため、髪の部位や個人で幅があると考えてよい。

重なる枚数にも幅がある。プレプリントでは、厚さ約0.5〜1.0μmの細胞が5〜10枚重なるとされる[1]。一方、日本人毛の横断面の電子顕微鏡観察では、エンドキューティクルとエキソキューティクルの染色の濃淡の組が1枚にあたり、5〜6枚が重なっていた[3]。観察した髪が違うため数が食い違うように見えるだけで、枚数は幅で書くのが妥当である。

そこで気になるのは、先が毛先へ傾いた重なりが、摩擦にどう関わるのかである。

3. かわらの むきと、ひっかかりは どう つながるの?

3. 瓦の段差が、毛先から根元への動きを引っかける

3. キューティクルの重なりが摩擦の向きを生む理由 ── 約5μmの段差と毛先向きの重なり

やねの かわらを おもいだして ください。うえから したへ なでると ひっかかりませんが、したから うえへ なでると、かわらの はしに ひっかかります。

かみの けでも、うろこの さきは けさきの ほうに むいて います[2]。うろこの むきには かたよりが あります。そのため、ねもとから けさきへ なでる ときと、けさきから ねもとへ なでる ときで、さわった かんじが ちがう ことが あると いわれます[4]。かみの じょうたいなどで、ちがいかたは かわります。

うろこの はしの だんさは、およそ 5マイクロメートルごとに ならぶ といわれます[4]。ただし これは たとえで、ほんとうの かみは、かわらより ずっと こまかい しくみです。

ところで、うろこ 1まいの なかは、どう なって いるのでしょう。

屋根の瓦を思い浮かべてください。上から下へ手をすべらせても引っかかりませんが、下から上へなでると、瓦の端に指が当たります。髪の表面も、これに似ています。

キューティクルの縁は、髪に沿って約5マイクロメートルの間隔で並ぶといわれます。そして、先が毛先に向いて重なっていて、表面の形に方向性があります[4][2]。そのため、向きによって手ざわりが変わると感じることがあります。ただし、摩擦の差は髪の状態やはかり方によって変わります。

ただし、屋根瓦のたとえは分かりやすさのためのもので、本物のキューティクルは、厚さが0.5マイクロメートルほどしかない、はるかに小さな構造です。

この薄い瓦の1枚の中は、どうなっているのでしょうか。

キューティクルの縁に当たる段差は、毛に沿って約5μm間隔で並ぶとされる[4]。重なりが毛先向きに非対称なため、表面の形に方向性があり、動かす向きで摩擦が変わりうる。同じ総説は、この違いを、キューティクルの向きの異方性によるものとしている[4]。方向による摩擦差は、髪の状態や測定条件で異なる。

この説明は、瓦が毛先向きに重なっていることと整合する。毛先から根元へ動かす場合は、突き出た縁に引っかかると感じることがある。ただし、摩擦の値は髪の状態や表面の性質でも変わる。重なりの向きだけで決まるとは書かれていない。

では、薄い1枚の内部はどうなっているのか。

4. うろこ 1まいの なかは、どう なっているの?

4. 薄い1枚の中は、外側と内側で性質が違う

4. 1枚の内部構造 ── 外側の硬い層と内側のやわらかい層

うろこ 1まいの なかは、さらに いくつかの そうに なって います。そとがわから じゅんに、よっつの そうが あると いわれます[1]。

いちばん そとの そうは、とても うすく、1まいの あつさの 40ぶんの 1ほどです[1]。

そとがわは かたく、うちがわは やわらかい、といわれます[6]。

さいぼうと さいぼうの あいだは、「さいぼうまくふくごうたい」という ところで つながって います[1]。

1枚の細胞は、外から順に、エピキューティクル、Aレイヤー、エキソキューティクル、エンドキューティクルという層でできていると報告されています。細胞どうしの間は、細胞膜複合体(CMC)という部分が隔てています[1]。

いちばん外側のエピキューティクルは、厚さ約13ナノメートルで、主にたんぱく質(約80%)でできています。13ナノメートルは、1枚の厚さ0.5マイクロメートル(500ナノメートル)の数十分の1です[1]。

外側の層は、化学的な結びつき(架橋)が多くて硬く、内側のエンドキューティクルは架橋が少なくてやわらかいといわれます[6]。

細胞1枚の中では、硬い層が外側、やわらかい層が内側にあります。その細胞が、髪の表面で毛先向きに重なっています。

1枚のキューティクル細胞は、外側から順に、エピキューティクル、Aレイヤー、エキソキューティクル、エンドキューティクルの層構造をもつ。細胞どうしは、細胞膜複合体(CMC)で隔てられる。最外層のエピキューティクルは約13nmで、主にたんぱく質(約80%)からなる[1]。13nmは、細胞1枚の厚さの1/40〜1/80ほどにあたる(0.5〜1.0μm÷13nm)。

電子顕微鏡で日本人毛の横断面を見た観察でも、エンドキューティクルとエキソキューティクルの染色の濃淡で区別でき、その組が1枚に対応していた[3]。

性質の差については、外側の高度に架橋した層は硬く、内側のエンドキューティクルは架橋が少なくやわらかい、と化粧品科学の資料が説明している。この資料では、水に浸すと内側が大きく膨らみうるともされるが、この点は要旨の範囲で読んだ記述で、断定はしない[6]。

髪の表面では、厚さ1μm足らずの細胞1枚が硬さの違う層をもち、その細胞が毛先向きに重なっていると言える。自分の髪や動物の毛で、この表面を観察したくなる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

ぬけた ながい かみの けを 1ぽん ひろって、ゆびで やさしく はさみ、ねもとから けさきへ、けさきから ねもとへ すべらせて みましょう。ちがいが わかる ひとも、わからない ひとも います。ひっぱりすぎないで ください。

出かけてできること

かがくかんや がっこうで、けんびきょうで かみの けを みせて もらえる ばしょが あるか、きいて みましょう。

こうしきの 情報じょうほう

さいたまし かがくナビに、かみの けと キューティクルの せつめいが あります。

今日できること

抜けた長い髪を1本ひろい、指でやさしくはさんで、根元から毛先へ、毛先から根元へすべらせて、手ざわりを比べてみましょう。違いを感じる人も、感じにくい人もいます。強く引っぱらないようにしてください。

出かけてできること

科学館や学校の顕微鏡で、髪の表面を拡大して見せてもらえるか、聞いてみましょう。瓦のような重なりが見えるかどうか、確かめる楽しみがあります。

公式情報

さいたま市の科学ナビに、髪とキューティクルの説明があります。日本顕微鏡学会の学会誌「顕微鏡」にも、髪の断面を電子顕微鏡で観察した報告があります。

もっと調べるなら

羊毛やペットの毛など、人の髪以外の毛の表面は、この記事の資料では扱っていません。調べてみると、比べる楽しみが広がります。

今日できること

抜けた長い髪を1本、指で軽くはさみ、根元→毛先、毛先→根元と動かして、手ざわりを比べる。違いは小さく、感じ方に個人差がある。強く引っぱらない。

出かけてできること

科学館や学校の顕微鏡で、髪の表面の重なりが見えるか試す。縁の間隔が約5μmといわれるため、見え方は倍率や髪の状態によって変わる。

公式情報

日本顕微鏡学会「顕微鏡」43巻4号(2008年)の毛髪構造の観察、さいたま市科学ナビ、Journal of Cosmetic Science の総説(出典[4][6])、bioRxiv のプレプリント(出典[1])を読み、枚数や層の寸法の出どころを確かめるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、構造と寸法は論文・プレプリント・学会誌を、一般向けの説明は自治体の科学サイトを突き合わせた。プレプリントは査読前の資料で、寸法は引用先を介した目安値として扱った。

  1. Fellows, Casford & Davies "Nanoscale Molecular Characterisation of Hair Cuticles using Integrated AFM-IR"(bioRxiv, 2020、査読前) https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.12.946103.full.pdf (層構造・枚数・エピキューティクルの厚さ)
  2. BioNumbers「Cuticle cell dimensions」(Wolfram 2003 の値) https://bionumbers.hms.harvard.edu/bionumber.aspx?id=114259 (1枚の厚さ・長さ・重なり)
  3. 日本顕微鏡学会「顕微鏡」Vol.43 No.4(2008) https://microscopy.or.jp/jsm/wp-content/uploads/publication/kenbikyo/43_4/pdf/43-4-258.pdf (日本人毛の断面観察)
  4. "From conditioning shampoo to nanomechanics and haptics of human hair" J. Cosmetic Science 62(2), 2010 https://library.scconline.org/v062n02/178 (摩擦の向き・段差の間隔)
  5. さいたま市 科学ナビ「髪とキューティクル」 https://www.city.saitama.lg.jp/sciencenavi/tanoshimu/004/p062363.html (うろこ状・瓦・保護の役目)
  6. Journal of Cosmetic Science Vol.50 No.1 https://library.scconline.org/v050n01/42 (外側は硬く内側はやわらかい)

なおした ところ

更新履歴

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