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スギナと おなじ なかまの トクサは、なぜ ものを みがく 草と いわれるの?

トクサとスギナは同じ仲間なのに、トクサだけが「砥草」と書かれるのはなぜか

トクサとスギナは同じトクサ属なのに、なぜトクサは「砥草」と呼ばれ物を磨く道具になったのか

分野:自然

庭に 生えて いる トクサの 茎くきは、ガラスと 同じ 仲間なかまの ざらざらした 成分せいぶんを ためて いて、ものを みがく ために 使われて きました[1]。かわかした 重さの 100グラムに つき、多い ときで 16グラムまで ためる という 研究も あります[4]。

でも、道ばたの スギナは、枝えだだらけで ぜんぜん ちがう すがたです。この 2つは 同じ 仲間なかまなのでしょうか。ガラスの 成分せいぶんが 茎くきの どこに どう たまるのか、そして 見分け方が わかります。

庭に植えられるトクサの茎は、表面にガラスの成分(ケイ酸)をたくわえて硬くざらつき、乾燥させて物を磨くのに使われてきました[1]。ポツダム大学の博士論文の要旨には、乾燥重量の最大16%までためられるとあります。乾かした重さ100gのうち16gまでがガラスの成分、という計算です[4]。

ところが、春の道ばたに生えるスギナは、細い枝をびっしりつけた別の植物のように見えます。この二つは同じ仲間なのでしょうか。トクサの名前の意味、ガラスの成分が茎のどこにたまるのか、そしてスギナとの見分け方が分かります。

トクサの茎は、表皮の細胞壁にケイ酸を蓄積して硬化し、砥石のように物を研ぐことができる[2]。ポツダム大学の博士論文要旨によると、Equisetum hyemale は組織に乾燥重量の最大16%のシリカをためうる。つまり乾燥重量100gなら最大16gという上限の値で、いつもその量というわけではない[4]。

一方、身近なスギナは枝を多数つける別種に見えるが、分類上は同じトクサ属である[3]。両者はどこが違い、なぜトクサに「砥草」の名と研磨の用途が結びついたのか。外見の見分け方と、ケイ酸の蓄積のしかたが分かる。

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1. スギナと トクサは、どこが ちがうの?

1. 枝だらけのスギナと、枝のないトクサは同じ仲間なのか

1. 枝の出方で見分けるスギナとトクサ ── 同じトクサ属に入る理由

春の 道ばたの スギナを よく 見ると、茎くきの ふしごとに、小さな 枝えだが まわりに ぐるっと 出て います[3]。高さは 30〜40センチくらいで、みどり色。光を うけて 自分で えいようを つくります。

いっぽう トクサは、茎くきが 円い つつの かたちで、ふつうは 枝えだが 分かれません。こい みどり色で、高さは 1メートルくらいに なります[1]。スギナの 3倍ほども あります。

見た目は ぜんぜん ちがうのに、ほんとうは 同じ トクサの 仲間なかまです[3]。ところで、トクサの 名前には 「みがく」という いみが かくれて います。

春の道ばたで見かけるスギナは、高さ30〜40cmほどの緑色の茎に、節ごとに小さな枝が輪になって出ます。これが光合成をする栄養茎で、春に先に出るツクシは、同じ地下茎につながった別の茎(胞子茎)です[3]。「ツクシが大きくなってスギナになる」という説は誤りです。国土交通省の河川事務所の資料もそう説明しています[6]。

一方トクサの茎は円筒形で、ふつう枝分かれせず、濃い緑色で高さ約1mになります[1]。しかもスギナのような「ツクシ型の茎」と「緑の茎」の二つの形がなく、地上に出る茎はみな似た形をしています[2]。茎の先に胞子をつくる穂がつき、地下を這う根茎から立ち上がります[1]。

ここまで違うのに、どちらもシダ植物のトクサ属という同じグループです[3]。見た目は別でも、茎のつくりに共通点がありそうです。トクサの名前をたどると、その手がかりが見えてきます。

見分けの第一の手がかりは、枝の出方である。スギナの栄養茎は高さ30〜40cm前後の緑色で、各節に鞘状の変形葉がつき、小さな枝が輪生する。春に出る胞子茎がツクシで、同じ地下茎でつながる[3]。「ツクシが成長してスギナになる」という通説は誤りで、地下茎から別々に出る茎である[6]。

これに対してトクサの茎は円筒形で、ふつう分枝せず、濃緑色で高さ約1mに達する[1]。スギナのような胞子茎と栄養茎の二形は無く、地上の茎はすべて同じような形をしており、茎の先端に胞子嚢穂をつける[2]。百科事典の記述と合わせると、枝分かれしにくいことが、トクサをスギナと見分ける目印になる。

似た仲間のイヌドクサも茎の先に穂をつけるが、横枝が不規則に出る。トクサは横枝をほとんど出さず、茎が太いという。スギナの横枝は車輪状に規則正しい[7]。こう見ると、枝の「あるなし」と「並び方」が、野外で見分ける第一の基準になる。

それでも三者は分類上、シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属(Equisetum)にまとまる[3]。では、外見の違いの陰にある共通点は何か。次に、トクサの和名が示すものを見る。

2. 「とくさ」という なまえは、どんな いみ?

2. 「砥草」は、砥石の代わりになる草という意味

2. 和名「砥草」と研磨の用途 ── 茎の表皮に何があるのか

トクサは、「砥草とくさ」と 書きます。砥石といしの かわりに なる 草、という いみだ とされます[1]。

むかしの 人は、トクサの 茎くきを かわかして、細かい ものを みがくのに 使いました[1]。茎くきの 表面には 細い みぞが あり、さわると ざらざらします。紙やすりの ような はたらきを する 草です。

では、やわらかそうな 草が、なぜ ものを みがけるほど かたいのでしょう。ひみつは、ガラスと 同じ 仲間なかまの 成分せいぶんです。

トクサは漢字で「砥草」と書かれ、和名は砥石の代用になる草という意味だとされています[1]。実際に茎の表面には細かい溝があり、触るとざらつくので、乾燥させて細工物などを磨くのに使われました[1]。

草が砥石になる理由は、表皮にあります。トクサの茎は、表皮に多量のケイ酸塩を含みます[1]。ケイ酸はガラスや砂の主な成分と同じ仲間で、とくに表皮の細胞の壁にプラントオパールと呼ばれる形でたまって硬くなる、と説明されています[2]。

つまり、トクサは表皮の細胞壁に、ガラスに近い成分をためています。砥石に似て、茎で物を研ぐことができるのはそのためです[2]。では、このガラスの成分は、どれくらいため込まれ、茎のどこから順に硬くなっていくのでしょう。

和名の「砥草」は、砥石に代用できる草の意とされる[1]。茎の表面には溝があってざらつき、乾燥させたものが細工物などの研磨に用いられた[1]。その背景は、表皮の組成にある。表皮に多量のケイ酸塩を含むことが、硬さとざらつきの原因とされる[1]。

もう少し細かく書くと、ケイ酸はプラントオパールと呼ばれる形で表皮細胞の細胞壁に蓄積し、細胞壁を硬化させる。この硬さによって、砥石に似て茎で物を研ぐことができる[2]。柔らかそうな植物の表皮の細胞壁に、ガラスに近い成分をためている点が、見た目の地味さとは裏腹の、トクサの特徴といえる。

草の茎が、砥石の代わりに使えるほど硬くなる。では、その硬さはどれくらいの量のケイ酸に支えられ、茎のどの部分から順に生まれるのか。次の疑問は、蓄積の量と順序である。

3. ガラスの 成分せいぶんは、どれだけ、どこに たまるの?

3. ガラスの成分は、茎のどこから、どれだけたまるのか

3. ケイ酸の蓄積量と順序 ── 最大16%、若い節間から細胞壁へ

外国の 大学の ろんぶんには、トクサが かわかした 重さの 16パーセントまで、ガラスの 成分せいぶんを ためられると 書かれて います[4]。100グラムの うち 16グラムです。

ただし、これは 「多い ときで」の 数字です。いつも 16パーセントでは ありません。

ほかの 研究では、茎くきの わかい ところから じゅんに、はじめは 空気の 出入り口の まわり、つぎに 小さな とっき、さいごに 細長い 細胞さいぼうの 横の かべへと ガラスの 成分せいぶんが ふえた と ほうこく されました[5]。トクサは 大きく なりながら、少しずつ かたく なって いくのです。ただし これは 北アメリカの トクサの なかまでの けっかです。

ポツダム大学の2007年の博士論文の要旨によると、トクサ(Equisetum hyemale)は組織に、乾燥重量の最大16%ものシリカ(ケイ酸の仲間)をためることができます[4]。たとえば乾燥重量100gなら16g、10gなら1.6gまでという計算です。ただしこれは「最大」の値で、いつもその量が入っているわけではありません。

では、ケイ酸はどんな順にたまるのでしょう。アメリカの研究者による1973年の報告では、北米に分布するトクサ類(変種)の若い節間から順に調べ、ケイ酸が最初に空気の出入り口である気孔のまわりに、次に表皮の小さな突起に、最後に長い表皮細胞の側面の壁に検出されました[5]。

茎が育つ段階ごとに、ガラスの成分がたまる場所がちがって見つかったわけです。北米の変種での結果なので、日本のトクサにそのまま当てはまると言い切ることはできません。

ところで、スギナも同じように硬くなるのでしょうか。

ケイ酸の蓄積量について、ポツダム大学の博士論文の要旨(2007年)は、Equisetum hyemale が組織に乾燥重量の最大16%のシリカをためうると述べる[4]。乾燥重量100gなら16g、50gなら8gまでの計算になる。「最大」の値で、植物体の部位、生育条件、個体によって変わると考えられるため、常にこの量を含むとは読めない。

では、いつ、どこにたまるのか。Kaufmanらの1973年の論文(Developmental Biology 31)は、北米のE. hyemale var. affine の発達中の節間を調べ、SiO2が最初に3番目の節間の気孔装置で検出され、次に8番目の節間の表皮の乳頭状突起、10番目の節間で長い表皮細胞の放射方向の細胞壁に及ぶことを示した[5]。節間の成長段階ごとに、気孔装置、表皮の突起、長い表皮細胞の壁で順に検出されたということである。

要するに、トクサの硬さは完成した茎に最初からあるのではなく、茎の成長とともに積み重なる。砥石に似た茎の性質は、この積み重ねの結果といえる。ただし、これは北米の変種での結果であり、日本のトクサで同じ順序とは確認できていない。

ここまでの話はトクサの側に偏っていた。では、スギナはどうなのか。

4. スギナも、ガラスの 成分せいぶんを もって いるの?

4. スギナのガラスの成分は、トクサと比べてどうなのか

4. スギナのケイ酸とトクサとの比較 ── 優劣を言えない理由

スギナも、地面から 上に 出て いる ところに、ガラスの 成分せいぶんを もつと されて います[3]。トクサの 仲間なかまの なかでは、いちばん 小がらな しゅるいです。

ただ、スギナと トクサで ガラスの 成分せいぶんが どちらが 多いか を、同じ じょうけんで くらべた 数字は、今回の しりょうには ありません。だから、どちらが かたい、と 言い切る ことは できません。

名前の いみも 聞いて みましょう。スギナは、見た目が すぎの 木に にて いて、春の ツクシが 食べられる ことから 「すぎの な」と 名づけられた と いわれます[3]。トクサの 名前が 「みがく 草」なのに、スギナの 名前は 「すぎの な」。ちがいが 名前にも 出て います。

スギナの地上部にも、ケイ酸が含まれるとされます。トクサ類の中では最も小柄な種です[3]。ところが、スギナとトクサのケイ酸の量を同じ条件で比べた数値は、今回の資料にはありません。どちらが多い、どちらが硬いと書くことはできません。

名前を比べると、はっきり違いが見えます。トクサの「砥草」は、砥石の代わりに使う草という道具の名です[1]。スギナの名は、地上部が杉を連想させ、春のツクシが食用にされることから「杉の菜」と名づけられたとされます[3]。

トクサは「使い道」、スギナは「見た目と食べ物」が名前の由来になったわけです。名前には、トクサの研磨の用途が残っています。

スギナの地上部にもケイ酸が含まれるとされ、トクサ類で最も小柄な種とされる[3]。しかし、スギナとトクサのケイ酸量を同じ条件で測って比べた数値は得られていない。そのため、どちらが多いか、どちらが研磨に向くかという優劣は、この記事では書かない。

名の由来には違いがはっきり現れる。トクサの「砥草」は砥石の代用という用途に由来する[1]。スギナは、地上部がスギを連想させ、春のツクシが食用になることから「杉の菜」と名づけられたとされる[3]。ツクシの名は「付く子」に由来するという説が有力とされる[3]。

用途が名前に残ったトクサに対し、スギナは姿と食べ物が名前になった。

5. 庭や 公園で、枝えだと ふしを 見くらべて みよう

5. 庭や公園で、枝と節と高さを見くらべる

5. 野外で見くらべる三つの点 ── 枝・高さ・ざらつき

トクサは、家の 中にわの 小さな 庭(つぼにわ)に 植えられたり、お花の かざりに 使われたりします[2]。公園や 庭で 見つけたら、スギナと 見くらべて みましょう。

見る ところは 3つです。(1) 枝えだが あるか。(2) 高さは どれくらいか。(3) 表面は ざらざらして いそうか。ざらつきを たしかめる ときは、茎くきを ちぎったり、ごしごし こすったり しないで、指の はらで そっと なでる だけに しましょう。人の 家の 庭の ものは、かってに とらないで、見るだけに します。

トクサは 地下茎ちかけいで ふえるので、庭に 植える ときは 気を つける ことが 大切だ と いわれます[2]。

トクサは坪庭に植えられたり、生け花の材料に使われたりします。地下茎で広がるので、庭に植えるときは注意が必要だともいわれます[2]。自生している場所は資料によって食い違うため、庭や公園などで見かけたら、次の三つを見くらべてみてください。

(1) 枝があるか、ないか。スギナは枝が輪になって規則正しく出ます。トクサは枝をほとんど出しません[7]。(2) 高さと太さ。スギナは30〜40cm前後、トクサは1m近くになります。(3) 表面のざらつき。ざらつきを指でなぞるときは、茎を折ったり引き抜いたりせず、軽くなでる程度にします。他人の庭や公園の植物はとらずに、見るだけにします。

枝のあるなしだけでなく、節の位置や茎の太さ、色の濃さまで比べるうちに、同じ仲間だということが、目で見て分かってくるはずです。

野外では、①枝の有無と並び方、②高さと太さ、③表面のざらつきの三点で見分けられる。スギナは横枝が車輪状に規則正しく出て、トクサは横枝をほとんど出さず茎が太い[7]。茎の先に胞子嚢穂をつける点が似るイヌドクサは、横枝が不規則に出て茎が細い。

トクサは坪庭に植えられたり、生け花の客材として使われたりする。地下茎で広がるので、庭に植えるときは注意が必要とされる[2]。自生域は資料によって食い違う。日本では山地の湿った場所に群落をつくるという説明がある一方、関東以西のものは栽培からの逸出の可能性が高いともいわれるため、「どこにでも自生している」とは言い切れない[2]。

ざらつきの確認は、茎を折ったり引き抜いたりせず、指の腹で軽くなでるだけにする。他人の庭や公園の植物は採らない。さらに調べるなら、ここで引いたKaufmanらの原報とポツダム大学の博士論文の要旨を読み、日本のトクサで同じ測定がされているかを探してみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の参照番号に対応する資料です。トクサの用途や名前は百科事典・解説、ケイ酸の量や蓄積の順序は大学の博士論文要旨と研究論文の記録による。

  1. コトバンク「トクサ」(日本大百科全書・世界大百科事典ほか) https://kotobank.jp/word/%E3%83%88%E3%82%AF%E3%82%B5 (形・名前・研磨の用途)
  2. Wikipedia「トクサ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%AF%E3%82%B5 (二形がないこと・細胞壁のケイ酸・庭での利用)
  3. Wikipedia「スギナ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AE%E3%83%8A (分類・枝の出方・名前の由来)
  4. Univ. Potsdam, Characterisation of silica in Equisetum hyemale (2007) https://publishup.uni-potsdam.de/opus4-ubp/frontdoor/index/index/year/2007/docId/609 (乾燥重量の最大16%・英語の要旨)
  5. Kaufman et al. 1973, Developmental Biology 31(1):124-135 https://impact.ornl.gov/en/publications/silicification-of-developing-internodes-in-the-perennial-scouring/ (ケイ酸がたまる順序・英語の要旨)
  6. 国土交通省 九州地方整備局 筑後川河川事務所「スギナ」 https://www.qsr.mlit.go.jp/chikugo/siryo/02-kawa/01_chikugo/syokubutu/sugina.html (ツクシとスギナの関係)
  7. 野田市 植物カード https://www.city.noda.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/808/plantcard_1804-1_B.pdf (枝の出方での見分け方)

なおした ところ

更新履歴

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