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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

とけた アイスを もういちど こおらせると、なぜ ざらざら するの?

溶けたアイスを凍らせ直すと、なぜざらざらになるのか

溶けて凍り直したアイスは、なぜざらざらになるのか ── 氷の粒の育ち方

分野:技術

アイスを つくる とき、こおりの つぶは とても ちいさく つくられて います。したが 「ざらざら」と かんじる めやすは、およそ 0.045ミリ だと いわれます。

それなのに、とけた アイスを もういちど こおらせると、おなじ ざいりょうでも ざらざらに なる ことが あります。つぶは、どうやって そだつのでしょう。アイスの なかの うごきと、こうじょうと いえの れいぞうこの ちがいが わかります。

舌が氷の粒に気づく大きさは、およそ0.045ミリ(45マイクロメートル)という目安があります。髪の毛の太さの半分ほどです。

ところが、溶けたアイスを凍らせ直すと、同じ材料でもざらざらになることがあります。小さかった氷の粒は、どうやって舌に分かる大きさまで育つのでしょう。アイスの中での氷の動きと、工場と家の冷凍庫のちがいが分かります。

舌が氷の粒を「ざらつき」として感じる大きさの目安は、研究資料では約45µm(0.045mm)とされる。ところが、いったん溶けて凍り直したアイスクリームは、材料が同じでも、この大きさを超える氷をもちやすい。小さな氷は、なぜ育つのか。凍らせ方や温度の変動は、それにどう関わるのか。氷の粒の育ち方と、工場・家庭の凍らせ方のちがいが分かる。

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1. とけて また かたまった アイスは、どうなる?

1. 溶けて固まり直したアイスは、何が変わっているのか

1. 再凍結したアイスは、見た目も口当たりも変わる

かいものの かえりみちに、アイスが すこし とけて しまった ことは ありませんか。そのまま れいぞうこに いれて、あとで たべると、なめらかでは なくて、ざらざら します。

おなじ ざいりょうなのに、したざわりは べつものです。なぜ でしょう。まずは、アイスの なかみを のぞいてみます。

買い物の帰り道、袋の中でアイスが少し溶けてしまった。急いで冷凍庫に入れて、あとで食べてみると、買ったときのなめらかさがない。そんな経験をした人もいるかもしれません。

同じ材料を、同じ冷凍庫で冷やしたのに、口当たりは別物です。では、アイスの中で何が起きているのでしょうか。まず、アイスの中身を見てみます。

いったん溶けたアイスクリームを再び凍らせると、口当たりが明らかに変わる。これは、日常の経験としてよく知られている。味や材料が同じでも、食感が変わるのはなぜだろう。この問いに答えるには、アイスを「一つの固まり」としてではなく、いくつかの部品が散らばった構造として見る必要がある。

ここでは、その理由を、乳製品の研究資料と冷凍の学会論文の2つを突き合わせて考える[1][2]。

2. アイスは、こおりと あわと あぶらの つぶが あつまって できて いる

2. アイスの中身は、氷と泡と脂肪の粒が、甘い液に散らばったもの

2. アイスは氷・気泡・脂肪球が未凍結のセラムに分散した構造である

アイスは、ぜんぶが こおりの かたまりでは ありません。ちいさな こおりの つぶ、くうきの あわ、ぎゅうにゅうの あぶらの つぶが、こおらずに のこった あまい えきの なかに ちらばって います[1]。

さとうや たんぱくしつが とけた この えきは、れいぞうこの なかでも かたまりきって いません。おんどが あがると、こおりの 一ぶが とけて えきに もどり、さがると また こおります[1]。

アイスクリームは、全部が氷でできているわけではありません。氷の小さな結晶、空気の泡、牛乳の脂肪の粒が、凍らずに残った甘い液の中に散らばった形をしています[1]。この液は、砂糖や乳たんぱく質、安定剤などがとけたもので、資料では「セラム」と呼ばれています。

このセラムは、冷凍庫の中でも固まりきりません。温度が上がると氷の一部が溶けて液に戻り、温度が下がるとまた凍ります[1]。この「溶けて凍る」のくり返しは、アイスの業界では「ヒートショック」と呼ばれます[1]。

アイスクリームの構造は、氷の結晶、空気の泡、乳脂肪の粒が、糖・塩類・乳たんぱく質・安定剤などをふくむ未凍結の液相(セラム)の中に分散したものとして整理される[1]。セラムは、凍結濃縮によって糖などが濃くなった部分であり、温度が上がれば膨らみ、下がれば縮む。つまり、「凍っている」ように見える製品の中にも、凍りきっていない水が残っている[1]。

このため、温度が上下すると、氷の一部が溶けて液に戻り、冷えるとまた凍る。この「融解と再凍結を温度の上げ下げで起こす」操作が、食品の分野でいうヒートショックである[1]。以降の話は、この「凍りきっていない液の存在」が前提になる。

3. したは、どれくらいの こおりの つぶに きづく?

3. 舌は、どれくらいの氷の粒に気づくのか

3. 感覚のしきい値は約45µmとされる

できたての アイスは、こおりの つぶが とても ちいさいと、なめらかな したざわりに なります[1]。

つぶが おおきく なると、したが 「ざらざら」と かんじます。その めやすが、およそ 0.045ミリ(45マイクロメートル)です。かみの けの ふとさの はんぶんほどと いわれます。でも、これは けんきゅうの しりょうに ある めやすで、ひとや アイスに よって かわります[1]。

では、ちいさかった つぶは、どうして そんなに おおきく なって しまうのでしょう。

できたてのアイスは、氷の粒が小さいと、なめらかな口当たりになります[1]。ところが、粒が大きくなると、舌が「ざらざら」と感じるようになります。その境目の目安が、およそ0.045ミリ(45マイクロメートル)で、髪の毛の太さの半分ほどといわれます[1]。

ただし、これは研究資料にある目安の数字です。食べる人やアイスの種類で変わることもあります。

では、舌が気づかないほど小さかった氷の粒は、どうやって気づく大きさまで育つのでしょうか。

できたてのアイスで氷の結晶が小さければ、なめらかな口当たりになる。結晶が大きくなると、ざらつきとして感じられはじめる。Goff(IDFA掲載資料)は、この感覚的なしきい値を約45µmとして示している[1]。1µm(マイクロメートル)は1mmの1000分の1なので、45µmは0.045mm、髪の毛の太さのおよそ半分にあたる。

これは研究資料にある目安であり、人や製品で変わりうる。したがって、問題は「結晶が大きくなるかどうか」というより、「小さな結晶が、このしきい値を超えて育つのはいつか」と立て直せる。次の節では、その育ち方を見る。

4. ちいさな こおりが とけ、おおきな こおりに くっつく

4. 小さな氷は溶けて、大きな氷に取りこまれていく

4. 再結晶は融点の差を原動力に、小さな氷を大きな氷へ移す

あたたかく なったり さむく なったり する と、ちいさな こおりの つぶは とけやすくて、さきに とけて しまいます。とけて できた みずは、のこった おおきな こおりに くっついて、また こおります[1]。

これを くりかえすと、おおきな つぶは さらに おおきく、ちいさな つぶは きえて いきます。こおりの つぶの 大きさが、おおきな ほうへ かたよって いくのです[1]。

たとえるなら、ちいさな こおりが とけて できた みずが、おおきな こおりに くっついて いく ようすです。ただし ほんものの アイスでは、こおりの かたちも おおきさも ばらばらです。

温度の上げ下げを受けると、小さな氷の粒が先に溶けます。溶けてできた水は、残った大きな氷の結晶にくっついて、また凍ります[1]。これをくり返すと、氷の粒の大きさの分布が、大きいほうへ動いていきます[1]。これを「再結晶」といいます。

別の資料には、結晶の大きさで融点がちがうため、2µm(0.002ミリ)以下の小さな氷が、大きな結晶に取りこまれて成長する、と説明されています[2]。ここで、数字を比べてみましょう。45µmは2µmの約22倍で、丸い粒と考えると、体積ではおよそ1万倍にもなります(22.5の3乗は約1万1千)。小さな氷がおよそ1万個ぶん集まって、やっと舌が気づく大きさ、という見かたもできます。

ただし、この計算は「丸い粒」という単純な仮定にもとづく、わたしたちの見積もりです。実際のアイスの粒は形も大きさもまちまちです。

熱の変動を受けた製品では、小さな氷が溶け、残った大きな氷の結晶に水が付着することで、氷結晶の大きさの分布が大きいほうへ移動する。これが再結晶である。Caldwell and Goff(1992)の図では、-10℃・-20℃で12時間保存したアイスの氷結晶の大きさの分布が、できたての状態から大きいほうへずれる様子が示されている[1]。

なぜ小さい氷から消えるのか。則竹らの論文は、氷結晶の大きさで融点がちがうため、2µm以下の小さな結晶が、より大きな結晶に取りこまれて成長するという、オストワルド熟成の説明を紹介している[2]。ここで、数値の意味を確かめておく。2µmは論文での説明上の数値で、すべての粒の話ではない。仮に球形とすると、直径が約22倍(45÷2)になれば体積は約1万1千倍(22.5³)である。つまり、2µmの粒1万個あまりぶんの氷が1つに集まって、はじめて舌のしきい値に届くことになる。これは単純化した見積もりで、実際のアイスは形も大きさもまちまちだから、目安にとどまる。

5. すっかり とけて また こおると、こおりの かたちも かわる

5. 表面近くの氷がすっかり溶けると、再凍結で氷のできかたが変わる

5. 表面付近の氷が完全に融解すると、再凍結での氷のでき方が変わる

すこし おんどが あがる だけなら、ちいさな こおりが とけて おおきな こおりに くっつく のでした。でも、アイスが とけて しまうと、ひょうめんの ちかくでは こおりが すっかり なくなる ことが あります。

とくに アイスの ひょうめんの ちかくは、おんどの へんかに びんかんで、こおりが すっかり とける ことが あると いわれます[2]。もういちど こおらせる とき、「こおりの め」が どこに できるかを きめられないので、しなものが さがりやすいと いわれます[2]。

けんきゅうでは、いちど とけて こおり なおした こおりは、まるい かたちから、ふくざつな かたちに かわる ことも わかって います[2]。

温度が少し上がるだけなら、先に小さな氷が溶けて、大きな氷に取りこまれるのでした。ところが、アイスの表面付近で氷が完全に溶けることがあり、そうなると事情が変わります。

則竹らの論文によると、アイスの表面近くは温度の変化に敏感で、氷の結晶が完全に溶けてしまうことがあります[2]。もう一度凍らせるとき、新しい氷の芽(核)がどこにできるかを制御しにくいため、品質が下がりやすいと言われています[2]。

また、一度溶けて凍り直した氷の結晶は、丸い形から複雑な形に変わることが、論文で報告されています。どのくらい変わるかは、溶けたときの温度によって違い、溶けたまましばらく置くと、少しずつ丸い形に戻るといいます[2]。その理由は研究者の考察の段階で、断定はされていません。

ここまでの再結晶は、氷が部分的に溶ける範囲の話だった。では、氷がすっかり溶けた場合はどうか。則竹らは、製品の表面付近は温度変動に敏感で、氷結晶が完全に融解することがあると述べる。そうなると、再凍結のとき核形成(氷の芽ができること)を制御しにくく、品質が下がりやすいと言われている、と整理している[2]。

同じ論文の要旨では、一度融解したアイスから再結晶した氷結晶は、丸い形から複雑な形に変わり、その程度は零度以下の融解温度に依存したと報告されている。融解したまま保持する時間が長いと、しだいに丸い形に戻る傾向もあった。この理由は、凍結濃縮でできる濃い部分の分布との関係として考察されているが、推測の段階であり、断定はできない[2]。

要するに、氷が一部だけ溶ける場合と、すっかり溶ける場合では、起きることが変わる。氷が一部だけ溶ける場合は、再結晶によって大きな氷の粒が育つ。表面付近の氷が完全に溶けると、再凍結での核形成を制御しにくくなると言われる。

6. こうじょうと いえの れいぞうこでは、なにが ちがう?

6. 工場でつくるときと、家の冷凍庫で凍らせるときの違い

6. 急速凍結と安定剤が、工場製アイスの小さな氷を支える

こうじょうでは、アイスを とても はやく こおらせて、ちいさな こおりの つぶを たくさん つくります。さらに、あんていざいを つかって、みずの うごきを おさえ、こおりが そだつのを おそく して います[1]。

いえの れいぞうこは、ゆっくり こおるので、おおきな こおりが できやすいと せつめい されます[3]。だから、とけた アイスを いえで こおらせても、できたてと おなじには なりにくいのです。

工場では、アイスを急速に凍らせて、小さな氷の粒をたくさんつくります。さらに、安定剤を加えて、水の移動をおさえ、氷が育つのを遅らせています[1]。

家庭の冷凍庫は、-18℃前後で、凍りかたがゆっくりです。ゆっくり凍ると大きな氷ができやすい、と説明されています[3]。だから、溶けたアイスを家で凍らせ直しても、できたてのなめらかさには戻りにくいのです。

工場では、凍らせ方を工夫して、アイスの氷を小さく保っている。Goffの資料では、最初の氷の大きさの分布は、急速な凍結と硬化の工程で決まり、結晶が小さいほどなめらかになる。安定剤は、水の再分配を最小限にとどめる役目を持つ[1]。

これに対し、家庭の冷凍庫(-18℃前後)では凍結がゆっくりで、大きな氷ができやすいと説明される。ただし、この説明は二次資料のもので、冷凍庫ごとの温度や凍結時間の詳しい数値は、本稿では扱わない[3]。

まとめると、一度溶けたアイスには、氷の粒が育つ要因(温度の変動・表面付近が完全に溶けたあとの再凍結)が重なる一方、それを抑える工場の条件(急速凍結・安定剤)は家庭ではそろわない。これが、凍らせ直しで口当たりが戻りにくい理由として説明されている。

7. つぎに しらべたく なったら

7. 氷の粒の育ち方を、身のまわりで探すなら

7. 原典と、次に確かめられる問い

アイスの ふくろには、「とかさないで ほぞんして ください」と かいて ある ことが あります。それは、こおりの つぶが そだつのを ふせぐ ためかも しれません。ふくろの ちゅういがきを よんで みましょう。

アイスを れいぞうこに しまう ときは、とびらを あけて いる じかんを みじかく しましょう。おんどが あがると、こおりの つぶが そだつ きっかけに なるからです。いえの ひとと、そのわけを はなして みて ください。

とけた アイスを わざと こおらせ なおす ひつようは ありません。とけた アイスを ながく おくと、いたむ ことも あります。

こおりの つぶの おおきさは、どうやって はかるのかな、と かんがえて みるのも たのしいです。

アイスの袋や箱の裏に、「溶かさないよう保存してください」などの注意書きがないか、見てみましょう。その一文が、ここまでの話とつながって見えてくるかもしれません。

冷凍庫にアイスをしまうとき、ドアを開けている時間をなるべく短くする工夫もあります。温度が上がると、氷の粒が育つきっかけになるからです。家族と、そのわけを話してみてください。

実験として溶かし直す必要はありません。溶けたアイスを長く置くと、傷むこともあります。

次の問いも浮かびます。0.045ミリほどの氷の粒の大きさは、どうやって測るのでしょうか。資料の図や方法を見ると、ヒントがあるかもしれません。

原典に当たるなら、Goff, "Ice cream structure and its practical implications for product performance and clean-label formulations"(IDFA掲載資料・英語)が、構造と熱ショックの全体像をつかむのに向く。日本語では、則竹ら、日本冷凍空調学会論文集 29巻2号(2012年)が、再凍結と氷の形の変化を扱っている。

確かめたい問いは3つある。①-10℃と-20℃で、氷の分布の動き方はどう違うか。②溶けたまま置く時間は、氷の形にどう効くか。③家庭の冷凍庫の凍結の遅さが、氷の大きさをどれだけ変えるか。

家庭で実験として溶かし直す必要はない。溶けたアイスを長く置くと、傷むこともある。資料を読み、問いを立てるだけでも、アイスの見え方は変わる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実の出典。ほかに、本文中の22倍・体積約1万倍の数値は、資料の2µmと45µmの数値から筆者が計算した見積もりである。

  1. Goff, H. D. "Ice cream structure and its practical implications for product performance and clean-label formulations." IDFA(国際乳製品協会)掲載資料。 https://www.idfa.org/wordpress/wp-content/uploads/2020/03/h-_douglas_goff_-_ice_cream_structure_and_its_practical_implications_for_product_performance_and_clean-label_formulations.pdf (アイスの構造・ヒートショック・氷の粒の大きさ・再結晶)
  2. 則竹ら 日本冷凍空調学会論文集 29巻2号(2012年)。 https://www2.kaiyodai.ac.jp/~mwat/images/lab/18.lab.pdf (オストワルド熟成・完全融解後の再凍結・氷の形の変化)
  3. ScienceABC "Why does ice cream look different when it's thawed and refrozen?" https://www.scienceabc.com/eyeopeners/why-does-ice-cream-look-different-when-its-thawed-and-refrozen (家庭の冷凍庫との比較。二次資料)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  中学生向けの題名を、日常の疑問が先に来る形に見直した。

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