1. 火が ないのに、どうして なべが あつく なるの?
1. 火がないのに、なぜ鍋の水が沸くのか
1. 熱源はどこにあるか 加熱器ではなく鍋が発熱する
ガスコンロは、火で なべの そこを あたためます。でも IHの 台の 上には、もえる 火が ありません。
それでも なべの 水は にえます。じつは、あつく なって いるのは、板では なくて、なべの そこ そのものです。だから、なべを おかない ときは、板は ほとんど かわりません。
では、なべの 中で、なにが おきて いるのでしょう。
2. なべの 中で、なにが おきて いるの?
2. 天板の下のコイルと、鍋の底のうず電流
2. 磁力線とうず電流 鍋の電気抵抗が熱に変わる
ガラスの 板の 下には、銅の 線を うずまきの ように まいた コイルが あります。ここに、ふつうより ずっと はやく むきが かわる 電気を 流します。
すると、コイルの まわりに、目に 見えない 力の 線が 出ます。この 線が 金ぞくの なべの そこを とおる とき、そこの 中で 電気の ぐるぐる 流れ(うず電流)に かわります。
電気は、とおりにくい ところを 通ると ねつに なります。ひろい ろうかは すいすい 歩けますが、せまい ろうかでは おしあって 大かわです。その おしあいが ねつです。ただし ほんとうの 電気は、人では ありません。
もし 電気が とおりにくい ほど ねつに なるなら、いちばん 電気を 流しやすい 金ぞくは、どうなるのでしょう。
3. でんきが とおりやすい アルミの なべは、どうして だめだったの?
3. 電気を通しやすい金属が、なぜ温まりにくいのか
3. 対応鍋の材質 抵抗が小さい金属は発熱しにくい
IHの 台では、ふつう、鉄の なべや ホーローの なべは 使えます。銅や アルミの なべは、むかしは 使えませんでした。土なべも 同じです。
アルミや 銅は、電気が とても とおりやすい 金ぞくです。さっきの ろうかで いえば、広すぎて おしあいが おきません。だから ねつが あまり 出ないのです。
電気が とおりにくい 鉄の ほうが、かえって よく あつく なります。ふしぎですね。
では、電気を とおしやすい アルミの なべを あつくする ことは できないのでしょうか。
一般的なIH調理器で使えるのは、鉄、ホーロー、ステンレスの鍋です。アルミ、銅、耐熱ガラス、土鍋は、対応マークがあるものを除いて使えないと案内されています[3]。パナソニックは、その理由を「磁性を持たないため」と説明しています。
別の解説では、アルミや銅は電気を流しやすく電気抵抗が小さいから、十分な熱が生まれにくいと説明しています[4]。メーカーは磁性を理由に挙げ、別の解説は抵抗の小ささから説明している、ということです。使える鍋かどうかは、磁性などの条件で決まります。
電気をよく通す金属が、ふつうのIHでは不利になる。ここが、IHの意外なところです。ただし、ステンレスも製品によって温まりにくいものがあるとされ、材質の名前だけで決まるわけではないようです[3]。
なお、メーカーは物理の式までは示していません。ここでは「抵抗が小さいと熱が出にくい」という説明までにとどめます。
パナソニックの案内では、一般的な電磁誘導加熱方式で使えるのは鉄・ホーロー・ステンレスの鍋で、アルミ・銅・耐熱ガラス・土鍋(対応表示のあるものを除く)は使えない。理由は「磁性を持たないため」とされる[3]。
別の解説では、アルミや銅は電気を流しやすく電気抵抗が小さいため、十分な熱が生まれない、と説明されている[4]。使える鍋の可否は磁性などの条件で決まり、電気抵抗は補助的な説明として読むのが妥当だ。電気をよく通す金属が通常のIHでは不利、という逆説がある。二つの説明(磁性と抵抗)は、資料ごとに強調点が異なる。
ステンレスは製品によって温まりにくいものもあるとされ、材質名だけでは決まらない[3]。なお、表皮効果や抵抗率を用いた物理的な定量説明は、今回参照した資料には見られなかったため、ここでは扱わない。
では、アルミや銅の鍋をあきらめるしかないのか。その前に、材質のほかにも鍋に求められる条件がある。
4. ほかにも、なべに いる ことは あるの?
4. 底が平らで、大きさもほどよく:鍋に求められる条件
4. 鍋の底の形と大きさ、IH対応土鍋の工夫
なべの そこは、たいらで、板に ぴったり くっつく ことが 大切です。そって いると、力が うまく とどきません。
大きさも かんけいします。メーカーの 目安では、そこの 大きさは 12から 26センチくらいです。小さすぎると、安全の ための 仕組みで、火力が 弱く なったり、あつく ならなかったり します。
土なべは、ふつうは 使えません。でも IH用の 土なべは、そこに 鉄の 板を うめこんで います。鉄を あつくして、その ねつで 土なべを あたためる くふうです。
こんな 決まりを 少しずつ こえて、アルミの なべも 使えるように なりました。
5. アルミの かべを、どうやって こえたの?
5. 周波数を上げて、アルミと銅の壁を越える
5. オールメタル方式 周波数の引き上げと、その限界
メーカーは、電気の むきが かわる 回数(周波数)を ふやす 方法を 考えました。はやく すれば、アルミや 銅でも ねつが 出やすく なる くふうです。
コイルの 線も、とても 細くして 数を ふやして います。これを「オールメタル」と よびます。パナソニックは 2002年に この ぎじゅつを 取り入れた、と 発表して います。
ただし、なんでも 前と 同じ では ありません。アルミや 銅の なべでは、火力が 少し 弱く なることが あると せつめいする メーカーも あります。
この 台は、いつごろ 生まれたのでしょう。
メーカーが選んだ方法は、コイルに流す電気の周波数を上げることでした。オールメタル方式は、通常より加熱周波数を大きくして、電気抵抗の小さいアルミや銅の鍋にも熱を生ませる方式です[5]。コイルの金属線は非常に細く、本数も多いと説明されています。
ある研究会の報告では、新型のIH調理器の周波数は20kHzと90kHz(オールメタル対応型)で、オールメタル型は約3倍高い周波数を使うとされています[7]。機種によって周波数は異なりますから、これは目安の値です。
パナソニックは2002年に、それまで難しかったアルミ・銅の鍋を使えるようにしたオールメタル加熱を取り入れたと、自社の資料で紹介しています[6]。
ただし限界もあります。日立の案内では、アルミ・銅の鍋はオールメタル加熱で最大2.6kWの火力が出るとされ、鍋の材質・形・大きさによって火力は変わります[8]。これは日立の一機種の説明です。
火のない台は、いつ、どんな形で生まれたのか。次の章で振り返ります。
アルミ・銅の壁を越えるために採られた手段が、加熱周波数を上げることだった。オールメタル方式は、通常より加熱周波数を大きくして電気抵抗の小さいアルミ・銅鍋の加熱を可能にした方式で、コイルの金属線は非常に細く本数も多い[5]。
研究会資料(2007年)には、励磁周波数が20kHzと90kHz(オールメタル対応型)とあり、後者は約3倍にあたる[7]。機種で周波数は異なるので、目安として読む。
パナソニックは、2002年にオールメタル加熱を導入したと述べている[6]。ただし「世界初」かどうかは、今回の資料からは判断しない。
限界も明示されている。日立の案内では、アルミ・銅鍋や間にアルミを挟む多層鍋は、オールメタル加熱時に最大2.6kWの火力が得られるが、鍋の材質・形状・大きさによって火力は変わる[8]。これは一機種の説明であり、全機種には一般化できない。
では、この「火のない台」はいつ、どのような形で家庭に入ったのか。
6. 火の ない 台は、いつから あるの?
6. 家庭の台所に、火のない台が来るまで
6. 国内での登場と高火力化
日本では、1974年に パナソニックが「クールトップワゴン」という IHの 台を 売りだした、と しょうかいされて います。今から 50年 いじょう 前の ことです。
そのあと、1990年には、200ボルトの 電気を 使う、火力の 強い IHの 台も 出ました。「火力が 弱いのでは」という 心配を へらす ための ものです。
いま、台所に ある IHは、こうした 少しずつの くふうの つみかさねです。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの なべを 見て みよう(火は 使いません)。
- なべの そこや せつめい書に「IHたいおう」の しるしが ないか さがします。
- そこが たいらか、そって いないか、手で なでて たしかめます。
- おうちの 人の 電気の 道具に「IH」と 書いて あるものが ないか、聞いて みましょう。
もっと 知りたい ときは、メーカーの「使える なべ・使えない なべ」の ページを、おうちの 人と 見て みてください。
今日できること:家にある鍋の底や取扱説明書に、IH対応の表示がないか探してみましょう。鍋の底が平らかどうかも、火を使わずに手でなでて確かめられます。
出かけてできること:家電売り場にIH調理器の展示があれば、「使える鍋・使えない鍋」の表示や、オールメタル対応かどうかの記載を探してみましょう。
公式情報:各メーカーの「使える鍋」のページで、対応する材質や底の条件が機種ごとに違うかどうかを読み比べると、この記事の数字の出どころが分かります。
今日できること:手持ちの鍋の材質・底の形状・対応表示を確認し、この記事の条件と照らし合わせる。火は使わない。
出かけてできること:家電量販店に展示機があれば、オールメタル対応機とそうでない機種の仕様表を比べる。周波数や最大火力が公開されているかを見る。
公式情報:パナソニック・日立・三菱電機の各公式ページで、使える鍋の条件と数値を機種別に読み比べる。本記事の数値は特定機種の説明であり、購入や使用の際は自分の機種の取扱説明書を確認してほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数値・条件は各メーカーの案内による。機種によって異なる。
- 三菱電機「IHクッキングヒーターの仕組み」 https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ih_cooking/introduction/about/index.html (加熱の仕組み)
- 生活堂コラム「IHの原理」 https://www.seikatsu-do.com/reform/kitchen/column/ih-principle.php (コイルと熱効率)
- パナソニック「IHで使える鍋・使えない鍋」 https://panasonic.jp/ih/usable-pan.html (使える材質と底の条件)
- 家電Watch「仕組みコラム」 https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/column/shikumi/1349553.html (アルミ・銅と土鍋)
- サンリフレ「オールメタルIHとは」 https://www.sunrefre.jp/ih/contents/what_is_allmetal.html (オールメタル方式)
- パナソニック プレスリリース(2020年11月18日) https://news.panasonic.com/jp/press/data/2020/11/jn201118-2/jn201118-2.html (2002年・1974年・1990年)
- 電子情報通信学会 研究会資料(2007年) https://ken.ieice.org/ken/paper/20070427yAtF/eng/ (周波数の目安)
- 日立「IH 鍋の使い方」 https://kadenfan.hitachi.co.jp/ih/contents/pot/ (オールメタル加熱の火力)
- ウィキペディア「電磁誘導加熱」 https://ja.wikipedia.org/wiki/電磁誘導加熱 (一般原理)
なおした ところ
更新履歴
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