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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

つきの まわりに つくる はずだった えきは、どこへ いくの?

月を回るはずだった宇宙ステーション ── 一時停止のあと、部品はどこへ向かうのか

月周回ステーション「ゲートウェイ」── 近直線ハロー軌道を選んだ理由と、一時停止後の部品の転用計画

分野:宇宙・天文

つきの まわりを まわる ちいさな うちゅうの えき、ゲートウェイ。この えきは、つきに ちかづいたり、ずっと はなれたり する、ほそ長い みちを とおる けいかくでした。

どうして わざわざ そんな みちを えらんだのでしょう。2026年3月には「いったん とめる」と はっぴょうされました。この えきの ぶひんは、これから どこへ いくのか、そこが わかります。

月のまわりに作るはずだった宇宙ステーション「ゲートウェイ」は、約6.5日で月を1周するあいだに、月から数千kmの近さから約7万kmの遠さまで行き来する計画でした。月を回るのに、なぜわざわざ近づいたり離れたりする軌道だったのでしょうか。

2026年3月には、NASAが「現在の形では一時停止する」と発表しました。この軌道を選んだ理由と、できかけの部品の行き先が分かります。

ゲートウェイは、月のまわりに作る国際的な小型宇宙ステーションとして構想された。近直線ハロー軌道(NRHO)を約6.5日で1周し、月から最も遠い所は約7万km、最も近い所は資料により約1,500kmから約7,000kmと書かれる[2][3]。遠近の差は10倍以上になる。

なぜこの軌道なのか。2026年3月24日にNASAが「現在の形では一時停止」と表明したあと、部品はどう転用されようとしているのか。軌道を選んだ理由と、各部品の行き先の現状が分かる。

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1. つきの まわりに、どうして えきを つくるの?

1. 月へ行く人が「乗りかえる」ための駅

1. ゲートウェイの位置づけ ── アルテミス計画の中継拠点

とおくへ いく ときは、とちゅうに えきが あると べんりです。ゲートウェイは、つきの まわりに つくる「うちゅうの えき」でした。

アメリカの NASAが すすめる アルテミスけいかくの ひとつで、いろいろな 国が いっしょに つくる ことに なって いました[1]。

NASAは「つきの まわりの、人 はじめての うちゅうステーション」と せつめいして います[1]。ただし、ほんとうに できあがる まえに、けいかくは かわりました。

遠くへ旅をするとき、途中に乗りかえの駅があると便利です。ゲートウェイは、そんな「月のまわりの駅」として構想されました。NASAのアルテミス計画の一部で、国際協力で作る小型の宇宙ステーションです[1]。

NASAはこれを、月を回る人類初の宇宙ステーションと説明しています[1]。地球から来た人や荷物をここで受け取り、月へ向かう準備の場にする狙いでした。ただし、2026年3月に計画は大きく変わりました。

ゲートウェイは、アルテミス計画を支える要素として、月周回の有人拠点という位置づけで構想された。NASAはこれを「月を回る人類初の宇宙ステーション」と説明する[1]。月面と地球のあいだに置く中継点であり、国際パートナーが部品を分担して作る点が特徴だった。

その拠点は、なぜ月から大きく離れたり近づいたりする軌道に置かれるのか。次章では、まずその軌道の選び方を見る。

2. どうして ほそ長い みちを まわるの?

2. 近づいては離れる、細長い軌道を選んだわけ

2. 近直線ハロー軌道(NRHO)── 推進剤・通信・月面アクセスの折り合い

ゲートウェイの みちは、まるい わでは ありません。たまごを ほそく のばした ような かたちです。やく 6.5日で いっしゅう します[2]。

つきに いちばん ちかい ときは すうせんキロ。いちばん とおい ときは やく 7まんキロです。しりょうに よって、ちかい ほうの かずは すこし ちがいます[2][3]。

ちかい ときは、つきの 地めんへ おりる のが らくに なります。とおい ときは、地球から くる 人や にもつを うけとる のが らくに なります[3]。

そのうえ、地球との つうしんが とぎれにくく、つきの 南の ほうも ふくめて、つきの ぜんぶの 場しょへ いきやすい のだそうです[3]。

ちょうどいい「中間」をねらう

この軌道は近直線ハロー軌道(NRHO)と呼ばれ、約6.5日で1周します。月に最も近い所はNASAの資料で約1,500km、ESAの資料では約7,000kmと書かれていて、数字が食いちがいます。最も遠い所は約7万kmです[2][3]。

近いときと遠いときの利点

ESAの説明では、月に近いときは月面へ降りる往復が楽になり、遠いときは地球から来る宇宙飛行士や物資を受け取りやすくなります[3]。

さらに、円軌道より推進剤が少なくてすむこと、地球との見通しが途切れず通信できること、月の南極域を含む全表面へ行けることも、理由として挙げられています[2][3]。

NRHOは、約6.5日で月を1周する細長い軌道で、遠月点は約7万km、近月点はNASAの資料で約1,500km、ESAの資料で約7,000kmと、出典間で数字が異なる[2][3]。ここでは近点を数千kmの幅で捉える。遠近の差はおよそ10倍から40倍以上になる。

この形を選ぶ利点は、複数の条件の折り合いにある。月に近づく側では月面との往復が楽になり、遠ざかる側では地球からの人員・物資を受け取りやすい。円軌道より推進剤が少なくてすみ、地球との間で見通しが途切れず、月の南極域を含む全表面へ到達できる、とも説明される[2][3]。1つの利点だけを最大にするのではなく、複数の条件を同時に満たすための形だった。

では、この小さな駅は、だれが、どの部品を作る予定だったのか。

3. この えきは、だれが なにを つくる はずだった?

3. 各国が部品を分け合って作る ── 日本の担当部分

3. 構成要素と国際分担 ── 日本(JAXA)が担当する計画だった部分

ゲートウェイは、いろいろな 国が ぶひんを わけて つくる はずでした。でんきと おしす ところは アメリカ。人が くらす へやは ヨーロッパ。ロボットの うでは カナダです[1]。

日本も 入って いました。人が くらす へやの くうきを きれいに する そうちや、でんちを つくる 計画でした[4]。

さらに、日本の むじんの ほきゅうせん「HTV-XG」(HTV-Xを つよく した もの)で にもつを はこぶ 計画も ありました[4]。

ひとつの駅を、いくつもの国で

NASAの説明では、電気と推進を受け持つのは出力60kWの太陽電気推進機PPEです。ESAは居住棟「I-Hab」と、補給や観測に使う「Lunar View」を作ります。カナダはロボットアームのCanadarm3、UAEはエアロックを担当する計画でした[1]。

日本が担当するはずだったもの

JAXAの資料によると、日本は居住棟I-Habの環境制御と生命維持の機器(二酸化炭素や微量ガスの除去、酸素の量の調整)を担当します。また、最初の居住・補給拠点HALOのバッテリーも提供します。さらに、HTV-Xを発展させた無人補給船「HTV-XG」で物資を運ぶ計画でした[4]。バッテリーは三菱電機がJAXAから受注しました[4]。

NASAの説明では、主要な構成要素は、電力と推進を担う出力60kWの太陽電気推進機PPE、最初の居住・補給拠点HALO、ESAの居住棟I-Habと補給・観測窓Lunar View、カナダ宇宙庁のCanadarm3、UAEのMBRSCが担当する乗員・科学用エアロックだった[1]。1つの国が全体を作るのではなく、機能ごとに分担する設計である。

日本(JAXA)の分担は、I-Habの環境制御・生命維持(二酸化炭素除去、微量ガス除去、酸素分圧制御)、HALOへのバッテリー提供、HTV-Xを発展させたHTV-XGによる物資補給とされていた。バッテリーは三菱電機がJAXAから受注している[4]。

この分担を前提に進んでいた計画に、2026年3月、大きな発表があった。

4. 2026ねん3月、なにが はっぴょうされたの?

4. 2026年3月、NASAが発表した「一時停止」

4. 2026年3月24日の発表 ── NASA長官は「現在の形での一時停止」と表明した

2026ねん3月24日、NASAの ちょうかんが「ゲートウェイを、いまの かたちでは いったん とめる」と はなしました[5]。

これは「やめる」と きめた ことでは ありません。かわりに、つきの 地めんでの かつどうを ささえる しくみに、ちからを いれる という ほうこうです[5]。

のこりの ぶひんは、すてるのでは なく、つかえる ものを つかいまわす という ほうしんです[6]。

2026年3月24日、NASAのアイザックマン長官は、ゲートウェイを現在の形では一時停止し、月面での持続的な活動を支えるインフラに重点を移すと発表しました[5]。このとき使われた言葉は「中止」ではなく「一時停止」です。

NASAは同時に、使える機器は再利用し、国際パートナーとの約束も月面基地づくりに生かす方針を示しました[6]。月面基地は2029年から2036年にかけて整備する計画だと報じられています[5]。

2026年3月24日、NASAのアイザックマン長官は、ゲートウェイを現在の形では一時停止し、月面での持続的な活動を支えるインフラに重点を移すと発表した。このとき使われた言葉は「中止」ではなく「一時停止」であり、ここでもその表現に従う[5]。

同時にNASAは、適用できる機器は再利用し、国際パートナーとの約束も月面の目標達成に生かす方針を示した[6]。月面基地を2029〜2036年に整備する計画も報じられたが、金額は報道ごとに差があるため、ここでは扱わない[5]。

では、再利用される部品は、実際にどこへ向かうのか。

5. できかけの ぶひんは、どこへ いくの?

5. 部品の転用先を検討 ── PPEを火星へ向かう探査機に転用する計画も

5. 部品の転用先 ── PPEのSR-1 Freedom転用と、ESAの対応

おどろく のは、でんきと おしす ぶひんの ゆくえです。これを、げんしろを つんだ 火星 いきの たんさき「SR-1 Freedom」の 本たいに つかう けいかくが あります[7]。

うちあげは 2028ねんの おわりごろが めやすです。ただし、まだ けいかくの だんかいで、かならず うちあげられると きまった わけでは ありません[7]。

ヨーロッパは、人が くらす へやの かいはつを つづけながら、つかい道を かんがえて います[8]。日本の ぶひんが どうなるかは、まだ きまって いません。

PPEを火星へ向かう探査機に転用する計画

特に注目されるのは、動力・推進を担うPPEです。NASAは、これを、20kW級の電力変換システムを備えた原子力電気推進探査機「SR-1 Freedom」の本体に転用する計画だと報じられています。2028年末の地球―火星の打ち上げ時期を目標にしています[7]。ただし計画の段階で、実際に打ち上がると決まったわけではありません。

ヨーロッパと日本は

2026年6月の時点で、ESAは居住棟I-Habの開発を重要設計審査まで続けてから転用を検討するとしています。Lunar Viewはペースを落とし、通信の部品Lunar Linkは月通信衛星群Moonlightなどへの転用を検討しています。方向性は12月の中間閣僚級会合で明確になる見込みです[8]。日本の分担分の行き先は、まだ決まっていません。

最も目を引くのは、電力・推進を担うPPEの行き先だ。NASAは、PPEを、20kW級の電力変換システムを備えた原子力電気推進探査機「SR-1 Freedom」の本体に転用し、2028年末の地球―火星の打上げ時期を目標とする計画だと報じられる[7]。ただし計画段階であり、実際に打ち上がるとは断定できない。

ESAは、一時停止後もI-Habの開発を重要設計審査まで続け、そのうえで転用先を検討する。Lunar Viewはペースを落とし、Lunar Linkは月通信衛星群Moonlightなどへの転用を検討している(2026年6月時点)。全体の方向性は12月の中間閣僚級会合で明確になる見込みだ[8]。

Canadarm3、日本のHTV-XGによる補給、HALO用バッテリーなどの扱いは、ここで使った資料では決まっていない。「現在の形では一時停止」は、部品の仕事そのものが消えることを意味せず、行き先が組み替えられる局面と読める。ただし2026年10月時点の最新状況は、公式発表で改めて見てほしい。

6. えんぴつで、ゲートウェイの みちを かいて みよう

6. 紙に描いて、軌道の「近い側」と「遠い側」を考える

6. 出口 ── 軌道の形を自分で描く、公式情報の読みどころ

紙に、月を ちいさく かきます。そのまわりに、たまごの ような ほそ長い わを かきましょう。

わの いちばん ちかい 所に「月の 地めんへ おりやすい」、いちばん とおい 所に「地球から くる 人を うけとりやすい」と かきこみます。ふたつの ちがいを、おうちの 人に せつめい して みてください。

もっと しりたく なったら、JAXAの ページを 見て みましょう[4]。

紙に月を小さく描き、そのまわりに卵のような細長い輪を描きます。輪の月に近い側に「月面へ降りやすい」、遠い側に「地球から来る人や物を受け取りやすい」と書き込み、家族に違いを説明してみましょう。

今後の状況は、NASAとESAの公式発表で確かめてください。

自分で確かめるなら、まず紙の上で、月の近くを通る細長い楕円を描き、近い側・遠い側それぞれの利点を書き分けてみるとよい。資料によって近点距離が違う点(約1,500kmか約7,000kmか)が、どこから来るのかを調べるのも1つの課題になる。

読む資料は、NASAのゲートウェイ解説[1]とFAQ[2]、ESAのゲートウェイ解説[3]、JAXAの利用解説[4]が出発点になる。一時停止後の状況は日々変わるので、公式発表の日付を確かめて読みたい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

一時停止後の部品の行き先は、2026年10月1日時点の報道にもとづきます。計画は今後変わる可能性があります。

  1. NASA, Gateway Space Station. https://www.nasa.gov/reference/gateway-about/ (ゲートウェイの位置づけと構成要素)
  2. NASA, Gateway Frequently Asked Questions. https://www.nasa.gov/gateway-frequently-asked-questions/ (軌道の周期と距離)
  3. ESA, Gateway. https://www.esa.int/Science_Exploration/Human_and_Robotic_Exploration/Exploration/Gateway (軌道を選んだ理由)
  4. JAXA 有人宇宙技術, ゲートウェイ利用. https://humans-in-space.jaxa.jp/biz-lab/tech/gateway-utilization/ (日本の分担)
  5. The Register, 2026-03-24. https://www.theregister.com/2026/03/24/goodbye_lunar_gateway_nasa_ditches/ (一時停止の発表の報道)
  6. Deccan Chronicle(AFP系報道), NASA to pause orbital lunar station project. https://deccanchronicle.com/world/nasa-to-pause-orbital-lunar-station-project-1946005 (機器の再利用の方針)
  7. Moon Monday #268. https://jatan.space/moon-monday-issue-268/ (PPEの転用計画)
  8. European Spaceflight, ESA Details Next Steps for Agency's Gateway Contributions. https://europeanspaceflight.com/esa-details-next-steps-for-agencys-gateway-contributions/ (ESAの対応)

なおした ところ

更新履歴

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