1. 石は なんぼん あつめたの?
1. 集めた試料は、いま何本あるのか
1. パーセベランスの試料管:43本の内訳と採取状況
火星を はしる ロボットの 名前は、パーセベランス。探査車です。火星に 43ぽんの 管を もって いきました[1]。
そのうち 38ぽんが、石や すなを 入れる ための 管。のこりの 5ほんは、地球から もって いった よごれが まざって いないかを しらべる 管です[1]。
NASAの 一らんでは、38ほんの うち 30ぽんが あつまって います。ぜんぶの 8わりほどです[1]。
2. 管の 中には、なにが 入って いるの?
2. 岩の芯、砂、そして矢じり形の岩
2. 試料の種類とサンプルデポ、試料25(Sapphire Canyon)
管の 中みの ほとんどは、岩を くりぬいた ぼうです。えんぴつの しんの ように、まるい ぼうの かたちで とれます。2ほんだけは、風で くだけた 砂でした[1]。
いくつかは、火星の 土の 上の 「ほかんばしょ」に おいて あります。のこりは、ロボットが 中に のせた ままです[1]。
2024ねん7月には、矢の さきの ような かたちの 岩から、25ばんめの 管が とれました。NASAは、「むかしの 火星に 微生物が いたか どうかを 考える ヒントに なるかも しれない とくちょうが ある」と せつめい して います[2]。ただし、生きものが いた あかしだとは、言って いません。
3. なぜ 地球まで もって かえるの?
3. ロボットが調べられるのに、なぜ持ち帰るのか
3. 地球で調べる意義:NASAの位置づけ
火星の 上でも、ロボットは 石を しらべられます。それでも 地球に もって かえりたいのは、地球の 実験室には、火星に もって いけない ほど 大きくて こまかく しらべる きかいが そろって いるからです。
NASAは、これを 「べつの 惑星の かけらを はじめて 地球に もち帰る とりくみ」と 考えて います。地球の 実験室で、火星の むかしの すがた、むかしの 生きものの ヒント、きこうの ことを しらべたいと 言って います[2]。
火星の上でも、探査車は岩を調べられます。それでも持ち帰りたい理由を、NASAは、別の惑星のかけらを初めて地球に持ち帰る取り組みだから、と位置づけています。地球の実験室で、火星の初期の変化、古代に生命がいた可能性、気候の歴史を調べられるとしています[2]。
探査車に積める装置には限りがあり、地球の実験室の装置は大きく精密です。なぜ「持ち帰る」計画が何十億ドルもかける価値のあるものとして語られてきたのかは、このあたりから見えてきます。
NASAはこの取り組みを「別の惑星のかけらを初めて地球に持ち帰る試み」と位置づけ、地球の実験室で、火星の初期進化、古代生命の可能性、気候について調べられるとしている[2]。
つまり動機は、現地の装置の限界を補うことよりも、地球の設備で繰り返し調べられる点に置かれている。
4. とりに いくのに、なにが いるの?
4. 持ち帰りに必要だった3つの部品
4. 元の計画の構成:SRL・MAV・ERO
元の 計画では、3つの 役わりが ありました。ひとつめは、火星に おりて 管を あつめる 船です。ふたつめは、火星から 上に とびだす 小さな ロケット。3つめは、地球まで かえって くる 船です[3]。
たくはいびんに たとえると、「家まで とりに いく 人」、「島から 出る 小ぶね」、「本土まで はこぶ 船」に にて います。
元の計画は、3つの主要な部分でできていました。火星の地面に降りて試料を回収する「サンプル回収着陸機」(SRL)、火星から容器を打ち上げる小型ロケット「火星上昇機」(MAV)、地球まで運ぶ「地球帰還オービター」(ERO)です[3]。
宅配便にたとえると、「家まで取りに行く人」「島から出る小舟」「本土へ運ぶ船」の3役です。この文章では、機体の細かい仕組みではなく、この3つの役割だけを見ます。
The Planetary Societyの解説によれば、MSRの元の構成は3つの主要部分からなる。サンプル回収着陸機(SRL)、火星上昇機(MAV)、地球帰還オービター(ERO)である。MAVは、火星から試料容器を打ち上げる小型ロケットにあたる[3]。
この3つのどれも、単独では試料を地球まで運べない。往路の着陸、火星からの離陸、地球への帰還という別々の難所を、それぞれの機体が受け持つ形だった。本稿は各機体の細部には立ち入らず、役割だけを見る。
5. お金が ふくらんで、ゆれた 計画
5. 費用の見積もりが膨らみ、決定は先送りに
5. 2023〜2024年:独立審査、NASAの評価、決定の持ち越し
はじめの 見つもりは、10ねんで 40〜50おく ドルくらい でした[3]。
2023ねん5月、NASAは 外の 人たちの 委員会を つくりました。2か月 しらべて、9月に 20の 気づきと 59の おすすめを 書いた ほうこくを 出しました[4]。
2024ねん4月、NASAは 「110おく ドルは 高すぎる。2040ねんに 石が とどくのも おそすぎる」と 言いました。お金は 80〜110おく ドルに なりそうで、2030ねんだいに もどせて お金も きけんも へらせる やり方を、会社に 考えて ほしいと たのみました[5]。
2024ねん12月、その ころの NASAの いちばん えらい 人は、年明けに 決めると 話しました。でも 決める 前に、国の 上に 立つ 人たちが かわり、決めるのは 新しい 人たちに なりました[6]。
初期の見込みは、10年で40〜50億ドル程度でした[3]。ところが、NASAが2023年5月に設けた独立審査委員会は、2か月の評価のあと、9月に20の所見と59の提言をまとめた報告書を出し、予算などへの懸念を示しました[4]。
2024年4月15日、NASAは「110億ドルの予算は高すぎ、2040年の帰還は遅すぎる」と述べました。費用は80〜110億ドルの範囲になりそうだとして、2030年代に帰還でき、費用とリスクを下げる案を産業界に求めました[5]。報道では、独立審査の見通しが「110億ドル・2040年」だったと伝えられています[6]。ただしこれは報道での確認で、審査報告書の数字とは言い切れません。
2024年12月、当時のNASA長官ネルソンは、産業界の案を検討したうえで年明け早々に決定を出す考えを示しました[6]。実際には、決定は彼の在任中には出ず、判断は新しい政権に委ねられました[7]。
初期の見込みは、10年で40〜50億ドル程度だった[3]。2023年5月にNASAが設置した独立審査委員会は、2か月の評価を経て9月に20の所見・59の提言を含む報告書を提出し、予算などへの懸念が示された[4]。
2024年4月15日、NASAは「110億ドルは高すぎ、2040年の帰還は遅すぎる」とし、費用は80〜110億ドルの範囲になる見通しを示したうえで、2030年代の帰還と費用・リスクの低減を両立する案を産業界に募った[5]。「110億ドル・2040年」という数字は、独立審査の見通しとして報道でも伝えられているが、NASAの報告書原文ではなく報道経由の確認にとどまる[6]。
2024年12月にネルソン長官(当時)は、産業界の案を検討して年明け早々に決定する考えを示していた[6]。しかし決定は在任中に出ず、新政権に持ち越された(Planetary Societyの記事による)[7]。
6. 2026ねん1月、なにが 決まったの?
6. 2026年1月:現行の計画に資金は付かなかった
6. 2026会計年度予算:MSRプログラムの終了とMars Future Missions
2026ねん1月に できた アメリカの 予算では、国会の せつめいの 文書に 「いまの 火星の 石を もちかえる 計画は、おうえんしない」と 書かれました。この 計画を 見ていた 仕事の ばしょも とじられました[7][9]。
ただし これは、「火星の 石を 二どと もちかえらない」と 決めたわけでは ありません。同じ 予算には、火星の これからの 計画の ための 新しい 仕事が あり、1おく 1000まん ドルが つきました。石を とりに いく ことも 入る、と 言われて います[7]。2026ねん9月29日の 時点で、あたらしい 計画は まだ 正式には 決まって いません。
7. 日本は、火星の 月から 石を もって かえる
7. 日本のMMX:火星ではなく、衛星フォボスへ
7. JAXAのMMX:フォボス試料の採取と2031年の帰還予定
日本の 計画は、火星そのものでは なく、火星の まわりを まわる 衛星の 「フォボス」に いきます。MMXと いう 名前の 探査機です[8]。
フォボスで 石や すなを とって、地球に もって かえります。とる りょうの もくひょうは、10グラム いじょうです。10グラムは、一円玉 10まいぶんの おもさです[8]。まだ とれた あとの りょうでは なく、めざして いる 数字です。
うちあげの 予定は、2026ねん10月20日。たねがしまから、H3ロケットで とびます。地球に もどるのは 2031ねんの 予定です[8]。この 文章を 書いた 9月29日から 3しゅうかんほど あとですが、うちあげの 日は かわる ことが あるので、「予定」と 考えて ください。
JAXAのMMX(火星衛星探査計画)は、火星本体ではなく、火星の衛星フォボスから試料を採取して地球に持ち帰る計画です。2026年10月20日にH3ロケット10号機で種子島宇宙センターから打ち上げる予定で、試料の地球帰還は2031年の予定とされています[8]。
目標は、フォボスで10グラム以上の試料を採取することです。ただし、これは目標であって、確定した量ではありません[8]。10グラムは一円玉10枚ぶんの重さで、量としてはわずかですが、火星の衛星の試料を持ち帰ることになれば、火星のなりたちを調べる材料が地球に届きます。打上げは日程が変更されることがあるため、「予定」として読んでください。
JAXAのMMX(Martian Moons eXploration)は、火星の衛星フォボスから試料を採取して地球に持ち帰る計画である。2026年10月20日にH3ロケット10号機で種子島宇宙センターから打ち上げる予定で、試料の地球帰還は2031年の予定とされる[8]。ISASの旧ページには2026年8月20日の記載もあり、古い日程と思われるため、最新のJAXA公式サイトを確認したい。
目標は、フォボスで10グラム以上の試料を採取することで、これは確定量ではなく目標値である[8]。MSRが火星本体の試料を扱う構想だったのに対し、MMXは火星の衛星を対象とする別ルートで、地球へ運ぶ試料の量も小さい。日程は変更されうるので、本稿は2026年9月29日時点の情報として読んでほしい。
つぎに、しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること: JAXAの MMXの 日本語の ページで、うちあげの 日と、いまの ようすを しらべて みましょう。日が かわって いたら、どうして かわったのかも 見て みます。
公式の ようす: フォボスの ことも、JAXAの MMXの ページに のって います。おとなと いっしょに 見て みましょう。
今日できること: JAXAのMMXの日本語ページで、打上げ日と現在の状況を調べてみましょう。日付が動いていたら、いつ、どんな理由で動いたのかも調べられます。
公式情報: JAXAのMMXサイトには、フォボスと探査機の説明が日本語であります。MSRの経緯を原典で追いたいときは、下の情報源にNASAの試料一覧ページなどがあります(英語)。
最新の状況は、JAXAのMMXサイトで日程を確かめられる。MSRの経緯は、NASAの試料一覧ページ、JPLの独立審査の記事、NASAの2024年4月15日発表、Planetary Societyの2026年1月の予算記事を読み比べると、公式とそれ以外の確かさの違いがわかる。
MSRの「現行計画の中止」の後に、NASAが新しい試料回収の案を出すのかどうかは、Mars Future Missionsの動きを追うことになる。読む際は、公式発表・議会の文書・報道のどれを根拠にしているかを分けて記録するとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
2026年9月29日に確認した資料。報道・団体の記事は、公式発表の原文そのものではない点に注意。
- NASA "Mars Rock Samples" https://science.nasa.gov/mission/mars-2020-perseverance/mars-rock-samples (試料管の本数・採取状況・試料の種類)
- NASA "Meet the Mars Samples: Sapphire Canyon (Sample 25)" https://science.nasa.gov/resource/meet-the-mars-samples-sapphire-canyon-sample-25/ (試料25の説明・持ち帰る意義)
- The Planetary Society "What's going on with Mars Sample Return" https://www.planetary.org/articles/whats-going-on-with-mars-sample-return (元の計画の3つの部分・初期の費用見込み)
- NASA JPL "NASA Releases Independent Review's Mars Sample Return Report" https://www.jpl.nasa.gov/news/nasa-releases-independent-reviews-mars-sample-return-report/ (2023年の独立審査)
- NASA "NASA Sets Path to Return Mars Samples, Seeks Innovative Designs" (2024-04-15) https://www.nasa.gov/news-release/nasa-sets-path-to-return-mars-samples-seeks-innovative-designs/ (2024年4月の発表)
- Spaceflight Now (2024-12-27) https://spaceflightnow.com/2024/12/27/nelson-decision-on-mars-sample-return-expected-before-new-administration-takes-office/ (2024年12月時点の見通し。報道)
- The Planetary Society (2026-01-15) https://www.planetary.org/articles/advocacy-success-fy2026-nasa-budget (2026会計年度予算とMSR。団体の記事)
- JAXA MMXサイト https://www.mmx.jaxa.jp/index.html (MMXの計画・打上げ予定)
- Universe Today "NASA's Mars Sample Return is dead, paving the way for China" https://www.universetoday.com/articles/nasas-mars-sample-return-is-dead-paving-the-way-for-china (議会の共同説明文の文言。報道)
なおした ところ
更新履歴
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