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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

なんきょくの 白い 氷の 上に、どうして 宇宙うちゅうの 石が あつまるの?

南極で隕石がたくさん見つかるわけ ── 落ちる数ではなく、氷と風が集めている

南極隕石の発見と集積機構 ── 1969年のやまと山脈から、氷床の流れ・ブルーアイス・約4万8千個まで

分野:宇宙・天文

なんきょくの 白い 氷の 上に、黒い 石が ころがって いる ことが あります。その 中には、宇宙うちゅうから とんで きた 石が たくさん あります。

どうして 宇宙うちゅうの 石は、ほかの 場所より なんきょくで たくさん 見つかるのでしょう。

1969年、日本の南極観測隊が、氷の上で黒い石を9つ拾って持ち帰りました。調べてみると、それはすべて宇宙から来た石、つまり隕石でした。

それから半世紀以上たち、南極で集められた隕石は4万個をこえています。でも、隕石が南極にだけたくさん落ちているわけではないようです。では、なぜ南極なのでしょうか。

1969年、第10次南極地域観測隊がやまと山脈の近くで9個の隕石を偶然に見つけた。その後、南極の氷床上から回収された隕石は4万8千個を超え、国際隕石学会に登録された隕石の約6割を南極産が占めている[3]。

だが、これは南極に多く落ちるからではない。氷の動きと風が隕石を集めるという説明を、極地研究所・名古屋大学などの資料で確かめる。

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1. 黒い 石が 9こ、ぜんぶ ちがう 石?

1. 調査のとちゅうで拾った、9つの黒い石

1. 1969年:偶然の9個と、6種類という手がかり

1969ねんの ことです。にほんの 南極なんきょく観測隊かんそくたいが、やまと山脈さんみゃくの ちかくで、氷の 調査ちょうさを して いました。ほんとうは、隕石いんせきを さがす 旅では ありません[1]。

ところが、氷の 上に 黒い 石が ありました。ぜんぶで 9こ。日本へ 持ち帰って よく 調べると、なんと 6しゅるいも の ちがう 隕石いんせきでした[2]。

9この うち、6しゅるいの 隕石いんせきが 見つかったのは ふしぎです。「氷が 石を あつめて いるのでは?」と 考えた 人が いました。

1969年、第10次南極地域観測隊は、やまと山脈の南東にある氷床を調べていました。目的は氷の調査で、隕石探しではありません。ところが、その途中で黒い石を9つ見つけ、日本へ持ち帰りました[1]。

詳くわしく分析すると、9つは6種類の隕石に分けられ、1973年の学会で報告されました[2]。拾った氷河学者は、「なぜこんなところに石があるのだろう」と思ったと伝えられています[2]。

ここで手がかりになったのが「6種類」という点です。同じ場所に、ちがう種類の隕石が混ざっている。そこで、氷のどこかに石を集める仕組みがあるのではないか、と日本の研究者たちは考えたとされています[7]。

1969年、第10次南極地域観測隊(JARE-10)は、やまと山脈南東の氷床を調査中に、偶然9個の隕石を発見して持ち帰った。隕石探査を目的とした調査ではなかった[1]。

9個は詳細な分析で6種類に分類される隕石(Yamato-69)と判明し、1973年の学会で報告された[2]。氷河学者の隊員が「なぜこんなところに石があるのだろう」と思って拾ったとされる[2]。

この6種類という多様さが手がかりになった。ケース・ウェスタン・リザーブ大学のANSMETの解説は、複数の種類が含まれていたことから、日本側が「集積の仕組みがありうる」と考えた、と説明している[7]。

2. 氷は、ゆっくり ながれる 川

2. 氷が動き、山にぶつかり、風が削る

2. 集積機構:氷床の流れ・上昇・昇華

なんきょくの 氷は、山のように 厚あつくて、ゆっくり 動きます。川の 水が 流れるように、まん中の ほうから、海の ほうへ 動いて いくのです[3]。

川に 落ちた 葉っぱを おもいだして ください。川の 流れが 岩に ぶつかる 場所には、葉っぱが たまります。氷でも 同じ ことが 起こります。氷が 山に ぶつかる ところで、氷の 中の 石が 出て きます。ただし 本当の 氷は、水よりも ずっと ゆっくり 動きます。

そこでは、強い 風が ふいて います。風が 氷を けずるので、氷は へって いきます。でも 石は へりません。だから 石だけが 氷の 上に のこります[3][4]。

南極の氷床は、内陸から海岸へ向かって、ゆっくり流れています。昔、氷の上に落ちた隕石は、雪に埋もれて氷の中に閉じこめられたまま、いっしょに運ばれていきます[4]。

山にぶつかる場所で起きること

内陸の山脈にぶつかる場所では、氷が山の斜面に沿って上へ持ち上げられます。この地域は「カタバ風」という強い風が吹き、上昇した氷は、とけずに水蒸気になる「昇華しょうか」で少しずつ減っていきます[3]。

氷は消えていくのに、中に取りこまれていた隕石は消えません。その結果、雪のない青っぽい氷の面(ブルーアイス)の上に、隕石だけが取り残されます[3]。長い年月に運ばれてきた石が、同じ場所に集まるわけです。

極地研究所の説明では、南極の氷床は内陸から沿岸へ流れ、隕石を氷とともに運ぶ。山脈が氷の流れをせき止める場所では氷が上昇し、積雪のない裸氷らひょう(ブルーアイス)が現れる。この地域ではカタバ風が強く、上昇した氷は継続的に昇華しょうかされるため、氷床の中に取り込まれていた隕石だけが残る[3]。

名古屋大学宇宙地球環境研究所の解説もほぼ同じ流れで、氷が山の斜面に沿って上昇し、風で削られて、埋もれていた隕石が氷上に現れて見つかりやすくなる、と述べている[4]。

2つの資料は、隕石が集まる場所を「氷の流れがせき止められ、風で氷だけが失われる場所」として説明する点で一致している。

3. 南極なんきょくに、たくさん 落ちて いるの?

3. 「落ちる数」ではなく「集まる数」

3. 集積か降下か:4万8千個と約6割の読み方

南極なんきょくには、ほかの 場所より 宇宙うちゅうの 石が たくさん 落ちて くるのでしょうか。じつは、南極なんきょくにだけ たくさん 落ちて くる わけでは なさそうです[4]。

それが 氷の 流れで 一か所に あつまり、風で 見えるように なる。だから、南極なんきょくでは 見つけやすいのです。これまでに 南極なんきょくで 見つかった 石は、4万こ 以上いじょう。せかいで 見つかった 隕石いんせきの うち、6わりくらいが 南極なんきょくの ものです[3]。

南極の隕石が多いのは、たくさん落ちてくるからではなく、氷の流れが集めてくれるからだと説明されています[4]。南極では、流れる氷が石を運び、風が雪を取りのぞいて、見つけやすい場所に並べてくれるのです。

数字で見ると、1969年のやまと山脈での発見以来、南極の氷床から回収された隕石は4万8500個以上。国際隕石学会に登録された隕石のおよそ60%が南極産です[3]。これは各国が集めた合計で、日本隊だけの数ではありません。

1969年のやまと隕石の発見以来、南極氷床上から回収された隕石は48,500個以上で、国際隕石学会に登録された隕石の約60%を占める[3]。ただしこれは各国の合計であり、日本隊の採集分は別に数えられる(極地研のクリーンルームに約17,400個が保管されているとする報道がある[6]。数え方は資料によって異なり、年とともに変わる)。

この多さは「南極に多く落ちる」ためではなく、「流れる氷が隕石をブルーアイスの集積域へ運び、風が雪を取り去る」ためだと説明される[3][4]。南極産が多いのは、落下数の違いではなく、集まり方の違いによると説明されている。

4. 1974ねん、9こから 663こへ

4. わずか15日で663個

4. 1974年:やまと山脈への再訪と本格探査の始まり

1969ねんの 9こは、はじまりに すぎませんでした。1974ねん、日本の 隊たいは、同じ やまと山脈さんみゃくに もどりました[2]。

たった 15日の 調査ちょうさで、なんと 663こ! 1日に 44こくらいの ペースです。氷の 上には、あつまった 石が たくさん ならんで いたのです[2]。

この あと、アメリカも 1976ねんに、南極なんきょくの 隕石いんせきさがしを はじめました[5]。

「集める仕組みがあるかもしれない」という見方が出たあとの1974年、第15次隊がやまと山脈で過ごしたのは15日間。それなのに663個の隕石を集めています[2]。1969年の約74倍で、日本の南極隕石探査はここから本格的に始まりました。

アメリカでも、1976年にビル・キャシディが南極隕石探査(ANSMET)を始め、ほぼ毎年の調査が続いています。2014年の時点で、累計20,700個が集められました[5]。

1974年、第15次隊は15日間の実地調査でやまと山脈から663個(Yamato-74隕石)を採集した[2]。1969年の9個の約74倍、1日あたり約44個に当たり、日本の南極隕石探査はここから本格化したとされる[2]。

米国では1976年にビル・キャシディがANSMETを創設し、ほぼ毎年の探査を続けて、2014年時点で累計20,700個を採集した[5]。この20,700個は2014年時点の数字であり、現在の累計ではない。

5. 氷の 上から、火星の 石が 見つかった

5. 13.7kgの火星の石

5. Yamato 000593:単一の石として最大級の火星隕石

なんきょくで 見つかる 石は、めずらしい ものも あります。2000ねんに 日本の 隊たいが 見つけた 石は、なんと 火星から 来た 石でした[6]。

重さは 13キロちょっと。大きさは、両手で かかえる くらいです。1つの 石として、地球で 見つかった 火星の 石の 中では、いちばん 大きい ぐらいの ものだそうです[6]。

南極で集まる隕石の中には、火星から来たものもあります。2000年、第41次南極観測隊が見つけた「Yamato 000593」は、幅29cm、重さ13.71kgの火星隕石です[6]。

単一の石としては、地球で見つかった火星隕石の中でも最大級とされています[6]。火星の石を、地球の氷の上で手に取れる。氷が集めてくれた結果の、ひとつの成果です。

2000年に第41次南極観測隊が発見したYamato 000593は、幅29cm・奥行き22cm・高さ17.5cm、重さ13.71kgの火星由来の隕石で、単一の石としては地球上で発見された火星隕石の中でも最大級とされる[6]。

火星から来た石が、南極のどこでどう氷に取り込まれ、どう運ばれたのか。この石ひとつについての詳しい経路は、ここで使った資料には書かれていない。集積の仕組み(2章)が、こうした石を見つけやすくしている、というところまでを述べておく。

6. 本物の 南極なんきょくの 石を 見に いこう

6. もっと知りたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

今日できること:「南極なんきょくの 白い 氷」と 「黒い 石」を、思い出して ください。氷が 川の ように 流れて、山に ぶつかって、風で 氷だけ へる。石は どこで とまるでしょう。ノートに 絵を かくと、わかります。

出かけてできること:科学館かがくかんや 博物館はくぶつかんに、南極なんきょくの 石が 展示てんじされて いる ことが あります。行く前に、その 館の ホームページで、南極なんきょくの 隕石いんせきが あるか、たしかめて みて ください。

くわしく 知りたい ときは、国立極地研究所こくりつきょくちけんきゅうじょの 南極なんきょく隕石いんせきの ページが あります[3]。

今日できること:氷の流れと風がどうやって石を残すのか、自分の言葉でノートに図にしてみましょう。「氷はどう動く」「どこで上がる」「何が減る」「何が残る」の順に描くと、集まる理由が整理できます。

出かけてできること:近くの科学館や博物館で、南極隕石の展示や標本があるか、公式サイトで調べてみましょう。実物を目にすると、石の色や表面のようすが分かります。

公式情報:国立極地研究所の南極隕石ラボラトリーのサイトに、探査の歴史と集積の仕組みの解説があります[1][3]。

今日できること:極地研の「南極隕石探査の歴史」[1]と「南極隕石について」[3]を読み、氷床の流れ・上昇・昇華の3段階を自分の図にまとめる。名古屋大学の解説[4]と照らして、説明が一致する点を探すとよい。

出かけてできること:科学館・博物館で南極隕石の展示があるかを、事前に公式サイトで調べる。展示の説明文が、集積の仕組みをどう書いているかを見比べる。

公式情報:極地研の南極隕石ラボラトリー[1][2][3]、NASA関連のANSMET解説[5][7]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

数の資料は年と、世界・日本・米国の別を分けて使いました。ページの内容は今後変わることがあります。

  1. 国立極地研究所 南極隕石ラボラトリー「南極隕石探査の歴史」 https://yamato.nipr.ac.jp/exploration/exploration3 (1969年の発見)
  2. 国立極地研究所「南極隕石発見から50年」 https://yamato.nipr.ac.jp/niprtopics/1276.html (6種類・1974年の663個)
  3. 国立極地研究所 南極隕石ラボラトリー「南極隕石について」 https://yamato.nipr.ac.jp/exploration/exploration2 (集まる仕組み・採集数)
  4. 名古屋大学宇宙地球環境研究所「極地50のなぜ 26」 https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/50naze/kyokuchi/26.html (仕組みの別の解説)
  5. ケース・ウェスタン・リザーブ大学 ANSMET「ANSMET by the numbers!」 https://caslabs.case.edu/ansmet/2014/01/18/ansmet-by-the-numbers/ (米国の探査・2014年時点)
  6. nippon.com「大阪・関西万博 南極の火星の石」 https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02515/ (火星隕石・保管数)
  7. ケース・ウェスタン・リザーブ大学 ANSMET「Blue Ice」 https://caslabs.case.edu/ansmet/2020/01/13/blue-ice/ (集積の仕組みに気づいた経緯)

なおした ところ

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