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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

1メートルは なにで きまって いるの? ── ぼうを やめた わけ

光の速さを先に決めて、1メートルをつくった ── 棒をやめても長さが大きくずれなかったわけ

地球の子午線から光の速さの固定へ ── メートルの定義はどう変わったか(1790年代〜1983年)

分野:技術

いまの 1メートルは、金ぞくの ぼうでは なく、光の はやさで きまって います。しかも、光の はやさの 数字が さきに 決まり、メートルが あとから 決まりました。

どうして ぼうを やめたのでしょう。ながさは かわって しまわなかったのでしょうか。その わけが わかります。

今の1メートルは、金属の棒ではなく、光が真空中で299 792 458分の1秒のあいだに進む長さと決められています。しかも順番は逆で、光の速さの数字が先に決まり、そこからメートルが決まりました。

なぜ、昔からあった棒をやめたのでしょうか。やめたのに、長さが変わらなかったのはなぜでしょうか。メートルの「ものさし」が地球、棒、ランプの光、光の速さへと移っていったわけが分かります。

現在のメートルは、光の速さの値(299 792 458 m/s)を先に固定し、そこから長さを導く形で定義されている[2]。物としての棒ではなく、数字が先にある。

では、なぜ原器をやめる必要があったのか。そして、ものさしを替えたのに長さがほとんど動かなかったのはなぜか。この記事は、地球の子午線から光速の固定までの流れが、産総研とBIPMの資料で分かる範囲を、原因と結果のつながりで示す。

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1. いまの 1メートルは、どこに ある?

1. 今の1メートルは、棒ではなく「時間」と「光」で決まる

1. 現在の定義 ── 光速の値を先に固定する

1メートルの ぼうを さがしても、いまの メートルは そこには ありません。きまりに よると、光が 1びょうの 299,792,458分の 1の あいだに すすむ きょりが、1メートルです[2]。

ふつうは、ながさを きめてから、光の はやさを はかります。ところが これは ぎゃくです。光の はやさの 数字を さきに 決めて、そこから メートルを 決めて います[1]。

ここまで 書いて、ふしぎに 思いませんか。ぼうを やめたら、1メートルの ながさが かわって しまわないのでしょうか。どうして ものさしを ぼうから 光に かえたのかも、はじまりの 1メートルを 見に いかないと わかりません。それを しるには、はじまりの 1メートルを 見に いかなければ なりません。

順番が逆になった定義

1983年の国際会議(CGPM)は、メートルを「1/299 792 458秒の間に光が真空中を伝わる行程の長さ」と決めました[2]。ふつうは、長さを決めてから光の速さを測ります。ところがこの定義では、光の速さの数字が先に固定されています。産総研はこれを、実際には「光の速さを299 792 458 m/sと定義する」という意味だと説明しています[1]。

この定義の表現は2018年に改めることが決まり、2019年5月20日から使われています。長さそのものは変わっていません[2]。

棒をやめたのなら、1メートルの長さが変わってしまってもおかしくありません。なぜ物差しを棒から光に替えたのか。それを知るには、最初のメートルが何を基準にしていたのかまで戻る必要があります。

1983年の第17回国際度量衡総会(CGPM)は、メートルを「1/299 792 458秒の間に光が真空中を伝わる行程の長さ」とした。1960年以来のクリプトン86による定義は、この決議で廃止された[2]。産総研の説明では、これは実質的に「光の速さを299 792 458 m/sと定義する」ことを意味し、長さの実現方法は光の飛行時間・波長・推奨放射のリストなど複数ある[1]。2018年(第26回CGPM)に文言を改めることが決まり、2019年5月20日に発効したが、長さは変わっていない[2]。

通常は「長さ→光速の測定」の順だが、この定義はそれが逆転している。物としての基準を持たずに長さが決まるなら、なぜ物差しを棒から光に替えたのか。答えは、メートルが最初に何を基準にしていたかまで戻らないと見えてこない。

2. さいしょの 1メートルは、地球から うまれた

2. 最初のものさしは、地球そのものだった

2. 子午線の1000万分の1 ── 約0.2mmのずれを残した出発点

さいしょの メートルは、地球を ものさしに しました。北きょくから 赤道までの 長さの 1000万分の 1。これが 1メートルです[3]。

フランスの 人たちは、1792年から 1798年にかけて、ダンケルクから バルセロナまでの 土地を はかりました[3]。

あとで 地球を はかりなおすと、すこし ずれて いました。1メートルに つき、0.2ミリメートルほど。1ミリの 5分の 1 です[1]。ただし これは、はかる ぎじゅつが まだ 十分では なかったからと されて います。

それでも 地球は、つくえの 上に おけません。みんなが つかえる 形に する ほうほうが、つぎの 問いです。

地球を測って決めた1メートル

最初のメートルは、赤道から北極までの子午線(地球の北と南を結ぶ線)の長さの1000万分の1とされました。フランスの科学アカデミーが18世紀末に定め、ドランブルとメシャンが1792〜1798年に、ダンケルクからバルセロナまでの区間を測量しました[3]。

わずか0.2mmのずれ

当時の測量をもとにした子午線は10000kmでした。ところが現在の値は10001.966kmです。差は約0.02%で、1メートルあたりに直すと約0.2mmです(産総研の数値から計算した値)。産総研は、この差を当時の測量技術などの限界による誤差と説明しています[1]。

とはいえ、地球は机の上に置けません。みんなが同じ長さを使うには、手に取れる形が必要です。

最初のメートルは、赤道から北極までの子午線長の1000万分の1とされた。18世紀末にフランス科学アカデミーが定め、ドランブルとメシャンがダンケルク〜バルセロナ間の弧を1792〜1798年に測量している[3]。

計算を確かめてみる。当時の測量値をもとにした子午線長は10000kmだが、現在の値は10001.966kmで、差は1.966÷10000≒0.0197%、約1/5000だ。1mに直せば約0.2mmになる(産総研の数値からの算出)。産総研はこの差を「当時の測量技術などの限界による誤差」としている[1]。

つまり「地球の1000万分の1」は、正確には実現できていなかった。それでも地球は持ち運べず、実物に写さなければ使えない。実物が世界に広がった過程が、次の章の主題だ。

3. 日本に とどいた ぼうと、ぼうの よわみ

3. 1890年、パリから日本へ届いた棒と、その弱点

3. 国際原器(1889年)── 配布された「物」の精度と限界

1890年、フランスから 日本へ、1本の ぼうが とどきました。日本の ための メートルの ぼうで、No.22と いう ばんごうが ついて います[1]。

はじまりは 1875年です。パリで 17か国が やくそくを むすび、世界で 同じ ながさ・おもさを つかう しくみが できました[2]。1889年には、白金と イリジウムで できた ぼうが、せかいの もとに なりました。氷が とけて いる 温度(0℃)で、目もりの あいだが 1メートルです[2]。

ところが ぼうは、「もの」です。こわれたり、年が たつにつれて かわったり する かもしれません。メートルを つくった 人たちも、これを 気に して いたと いわれます[1]。

こわれない もの、どこでも 同じ ものは ないでしょうか。

17か国の約束と、日本の棒

メートル条約は1875年にパリで17か国が署名し、国際度量衡局(BIPM)が作られました[2]。日本は1885年(明治18年)に加入し、1890年にBIPMから「日本国メートル原器」(No.22)が届きました[1]。

1889年の第1回CGPMで承認された国際メートル原器は、白金90%・イリジウム10%の合金です。融けている氷の温度(0℃)での、目盛り線のあいだが1メートルでした[2]。当時、各国の原器と国際原器の差は0.01mm以内とされました[1]。

「物」であることの弱点

産総研によれば、原器は壊れたり経年変化したりするおそれのある「物」です。メートル法の理念である「不滅の自然物による標準」に合わないことは、当時から意識されていました[1]。

では、なくならず、どこでも同じ長さを写せるものは何でしょうか。

メートル条約は1875年5月20日にパリで17か国が署名し、BIPMが設立された[2]。日本の加入は1885年(明治18年)で、1890年にBIPMから日本国メートル原器(No.22)が届いた[1]。1889年の第1回CGPMは、白金90%・イリジウム10%の合金の国際メートル原器を承認し、融けている氷の温度で、その目盛り線の間隔を長さの単位とした[2]。各国原器と国際原器の差は0.01mm以内とされた[1]。

だが原器は壊れたり経年変化したりする「物」であり、メートル法が掲げた「不滅の自然物による標準」の理念に沿わない。産総研は、この問題が当時から意識されていたとする[1]。物の原器を基準にする限り、この弱点はついて回る。理念に沿う別の基準として、光の性質を使う案は、次の章のとおり原器の時代からすでに出ていた。

4. ランプの 光を ものさしに する

4. 光の波長を使った1960年の新しいものさし

4. クリプトン86の波長(1960年)── 「最も線が細い」光の選択

光を ものさしに する 考えは、じつは 早くから ありました。1873年に マクスウェルが、1892年に マイケルソンが、光の 波の ながさを ながさの きじゅんに できると 考えました[1]。

光は 波の ように ゆれて すすみます。1回 ゆれる ながさ(はちょう)は、光の しゅるいごとに きまって います。

1960年、とうとう メートルは かわりました。クリプトン86と いう 原子の ランプが 出す 光の はちょうの 1,650,763.73ばいが、1メートルです[2]。

この ランプが えらばれた のは、いろいろな ランプの 中で、光の せんが いちばん 細かったから です[1]。

ところが 同じ 1960年ごろに、もっと 細い 光を 出す、レーザーも 見つかった ことが つたえられました[1]。

ランプの光で決まった1メートル

光を波として使う案は、実は昔からありました。マクスウェルは1873年に、マイケルソンは1892年にメートル原器と比べて光の波長を測り、可能性を示しました[1]。

1960年の第11回CGPMで、メートルは「クリプトン86原子の2p10と5d5という2つの状態の間の変化に対応する光の、真空中の波長の1 650 763.73倍」になり、1889年以来の原器による定義は廃止されました[2]。

なぜクリプトン86だったのか

産総研によれば、この光は多くのランプの光の線のうちで、いちばん幅がせまかったからです。光の線の幅が狭いほど、波長がぴたりと決まります。それでも幅は約400MHzあり、標準の精度を10の-7〜-8乗ほどに制約しました[1]。

面白いことに、同じ1960年にルビーレーザーとヘリウムネオン(HeNe)レーザーの発振が相次いで報告されました。レーザーは線幅がさらに狭かったため、定義に使えば10の-10〜-11乗の精度が期待されました[1]。

光の波長を長さの基準にする案は、マクスウェルが1873年に、マイケルソンが1892年にメートル原器を基準に光の波長を測って示している[1]。実現したのが1960年の第11回CGPMで、メートルはクリプトン86原子の準位2p10と5d5の間の遷移に対応する放射の、真空中の波長の1 650 763.73倍となり、原器による定義は廃止された[2]。

なぜクリプトン86か。この遷移の放射が、多くのランプのスペクトル線の中でもっとも線幅が狭かったからだ。ところが線幅は約400MHzあり、これが標準としての精度を10の-7〜-8乗に制約していた[1]。つまり、ランプの光を使う限り、精度は光源の性質に縛られる。そして皮肉にも、定義が改まった同じ1960年に、線幅のずっと狭いルビーレーザーとHeNeレーザーが相次いで登場し、10の-10〜-11乗の精度が期待された[1]。

5. 光の はやさを さきに 決めたら、どう なった?

5. 光の速さを先に決めると、メートルが決まった

5. 1983年の転換 ── 光速を定数にした3つの理由と、その前提

レーザーが できると、光の はやさを とても くわしく はかれるように なりました[1]。はかる 人たちは、ながさと 時間を、むすびつけて いきました。1967年には 1びょうの きめ方も、地球の まわり方から、原子の ゆれに かわって います[1]。

1975年、光の はやさは 1びょうに 299,792,458メートルと すすめられました[2]。そして 1983年、「この 数字は かえずに、メートルを きめよう」と なりました。

わけは こうです。クリプトンの ランプでは、ひつような 正しさが 出せません。レーザーの 光の ほうが、同じ ながさを つくりやすいのです[2]。

数字は かえて いないので、ながさに 目立つ ちがいは できませんでした[2]。ただし、光の はやさが いつでも 同じだと 考える ことが、この きめ方の まえに ありました[1]。

長さと時間が結びつく

1960〜70年代、レーザーの波長と周波数を測って光の速さを求める研究が盛んになりました。このころから、長さと時間は密接に関係するようになります[1]。1967年には秒の定義も、地球の公転から、セシウム133原子の放射の周期の9 192 631 770倍へ改められています[1]。

光の速さの数字を、そのまま固定する

1973年に諮問委員会が光の速さの暫定値を299 792 458 m/sとし、各国のレーザーの値がそろいました。1975年のCGPMがこの値を推奨し、1983年にはこの値を変えずに、メートルが光の行程として定義されました[1][2]。

産総研は、波長で定義するより光速を定数にするほうがよい理由を3つ挙げます。光速の精度がクリプトンの精度に制限されていたこと、クリプトンの定義を廃止してもランプの標準器は使い続けられること、どのレーザーを定義にするか決めにくかったことです[1]。BIPMの決議の前文も、安定化レーザーの光のほうがクリプトンランプより再現しやすいと述べています[2]。

長さに段差は出なかった

光の速さの値を変えずに定義したので、最良の実現の相対不確かさ約4×10の-9乗の範囲で、長さに目立つ段差は生じません[2]。ただし産総研は、定義の改定には特殊相対論の光速度不変の原理(光の速さは観測する時間や向きによらず一定という考え)が前提にあったと述べています[1]。

1960〜70年代、レーザーの波長をクリプトン86の波長で測り、光の周波数を時間標準で測って光の速さを求める研究が多く行われた。この頃から長さと時間は密接に結びつく[1]。秒の定義も1967年に、セシウム133原子の放射周期の9 192 631 770倍へ改められている[1]。

1973年の諮問委員会が光速の暫定値を299 792 458 m/sとし、各国のレーザーの値が整合した。そこで産総研によると、波長で定義するより光速を定数にするほうがよいと考えられるようになった。理由は3つある。光速の精度がクリプトンの精度に制限されていたこと、クリプトンの定義を廃止してもランプの標準器は使い続けられること、どの吸収線とレーザーを定義に選ぶか決めにくかったことだ[1]。1975年の第15回CGPMが299 792 458 m/sを推奨し、1983年の第17回CGPMがこの値を変えずにメートルを光の行程で定義した。決議の前文は、安定化レーザーの光がクリプトン86ランプより再現しやすく使いやすいこと、測った光速の精度がメートルの実現で頭打ちになっていたことを理由に挙げる[2]。

光速の値を固定しても、最良の実現の相対不確かさが約4×10の-9乗なので、長さに目立つ段差は生じない[2]。ただし条件がある。産総研は、定義改定のためには、光の速さが観測する時間や向きによらず一定だとする光速度不変の原理が、定義改定の前提にあったとする[1]。ものさしを「物」から「自然の定数」に移す代わりに、その定数が不変だという前提を引き受けた。

6. ものさしを かえて、どれくらい 正しく なった?

6. 定義を替えるたびに、精度はどれだけ上がったか

6. 国家標準の精度の推移 ── 約10の-7乗から10の-14乗台へ

メートルの ものさしを かえる たびに、日本の きじゅんの 正しさは、ぐんぐん 上がりました。

ぼうの ころは、1メートルを おおよそ 1000万分の 1の 正しさで あつかって いました。いまの 光の ものさしでは、その 100万ばいいじょう 細かく あつかえる ようです[1]。

なぜ そんなに 正しい 数字が 出せるのでしょう。それは、きまりが 光の はやさだけを 決めて いて、1メートルを つくる ほうほうは、1つに かぎらないからです[1]。くふうしだいで、もっと よい ほうほうが 出て くる ことも あります。

日本の国家標準の精度

産総研の整理によると、日本の国家標準の精度は、原器の時代(1889〜1960年)が10の-7乗前後、クリプトンランプ(1960〜1983年)が10の-8〜-9乗、よう素で安定化したHeNeレーザー(1983〜2009年)が2.1×10の-11乗、光コム(2009年〜)が6.8×10の-14乗と良くなってきました[1]。原器の10の-7乗と光コムの6.8×10の-14乗を比べると、数字の上では約150万倍です。

定義は「光の速さ」だけ、作り方は複数

1983年の定義は、実際には光の速さの値を決めるものです。1メートルを作る方法は、光の飛行時間で測る方法、波長で測る方法、推奨された光のリストを使う方法など複数あります[1][2]。定義を替えずに、作り方のほうだけを磨き続けられるようになった、ということです。

産総研の整理では、日本の国家標準の精度は、メートル原器が10の-6〜-7乗(1889〜1960年)、クリプトンランプが10の-8〜-9乗(1960〜1983年)、よう素安定化HeNeレーザーが不確かさ2.1×10の-11乗(1983〜2009年)、光コムが6.8×10の-14乗(2009年〜)と改善してきた[1]。原器の項は資料内で10の-7乗とも表記されるので、ここでは「10の-7乗前後」と読む。これと光コムの6.8×10の-14乗を比べると、1×10の-7乗÷6.8×10の-14乗で約150万倍だ。ただし国家標準の不確かさという同じ尺度で並べた数字であり、個々の測定がそのまま150万倍正確になったという意味ではない。

この伸びを支えたのは、定義と実現を切り離した設計だ。1983年の定義は光の速さを299 792 458 m/sと定めるのに等しく、実現は飛行時間(l=ct)・波長・推奨放射のリストなど複数の方法で行える[1][2]。だから定義は変えずに、実現の技術だけを改良できる。

7. じぶんの ものさしを くらべて みよう

7. 家のものさしを2本並べて、目盛りを見比べる

7. 出口 ── ものさしの目盛りを比べる体験と、資料の読みどころ

おうちに ある ものさしを 2本 ならべて、目もりを くらべて みましょう。0を そろえて、30センチの ところまで 見ます。ずれて いるかな。

ずれて いても、すぐに わるい ものさしとは かぎりません。ものさしは 大きな はんいで ながさを そろえる ために、みんなが 同じ きじゅんを ねらって つくった ものです。

ただし、おうちの ものさしは、メートルの きじゅんと くらべた わけでは ありません。ここで 目に するのは、目もりの 太さや ずれの 感じ だけです。

家にある定規を2本並べて、0の位置をそろえ、30cmのところまで目盛りを見比べてみましょう。ずれが見つかっても、定規が悪いとは限りません。目盛りの線の太さや印刷の位置でも見え方は変わります。

原器の時代には、各国の棒と国際原器の差が0.01mm以内とされました[1]。家の定規の見比べは、その「そろえる」感覚を味わうだけの体験です。

もっと読みたくなったら、産総研の「SIブローシャ メートル」[1]に、日本の国家標準の精度の移り変わりが整理されています。

身近に試すなら、手元の定規を2本並べて0を合わせ、30cmまでの目盛りを見比べてみるとよい。ずれが見えても、線の太さや印刷位置の差の可能性があり、メートルの定義との関係は、この体験だけでは分からない。

資料を読むなら、産総研のSIブローシャ「メートル」[1]が、原器からクリプトン、光速までの流れと精度の表を載せている。読んだあとは、手元の定規の目盛りの細かさと、表の「10の-7乗」「10の-14乗」を見比べてみるとよい。まだ残る問いは「光速の値がなぜ299 792 458なのか」で、1973年の暫定値と1975年の推奨値をそのまま固定した、というところまでが分かる範囲だ。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:産総研のSIブローシャ、BIPMのSI概要、測量史の資料を突き合わせた。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 産総研(NMIJ)SIブローシャ「メートル」。https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/si-brochure/pdf/1_SI_メートル.pdf (定義の移り変わり、精度の推移、日本の原器、光速を定数にした理由について)
  2. BIPM The International System of Units (SI) 9th edition(国際度量衡局、英語)。https://www.bipm.org/documents/20126/41483022/SI-Brochure-9-EN.pdf (メートル条約、1889年・1960年・1983年の定義と決議について)
  3. Wikipedia「Arc measurement of Delambre and Méchain」。https://en.wikipedia.org/wiki/Arc_measurement_of_Delambre_and_M%C3%A9chain (子午線の測量の年代と場所について。二次資料)

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