1. 2しゅるいの 音で なにが できる?
1. 短点と長点の組み合わせで文字になる
1. 短点・長点という2記号の体系
モールスふごうで つかうのは、 みじかい 音と 長い 音の 2つだけです。 みじかい ほうを 「たんてん」、 長い ほうを 「ちょうてん」と いいます。 「・」と 「-」で あらわします。
この 2つを ならべると、 字が つくれます。 たとえば E(イー)は 「・」 1つ、 T(ティー)は 「-」 1つ。 A(エー)は 「・-」です。 ならべかたを かえれば、 ちがう 字に なるのです。
ひかりの 長い みじかいで つたえても、 手で つくえを たたいても、 おなじ ふごうが つかえます。 音でも ひかりでも、 「みじかい」と 「長い」が わかれば いいからです。
モールス符号は、短点(・)と長点(-)の2種類の信号だけで文字を表す方法です。文字ごとに決まった組み合わせがあり、たとえば英語のEは短点1つ、Tは長点1つ、Aは「・-」です[1]。
大事なのは、信号が「あるか、ないか」と「長いか、短いか」だけでできていることです。音でも光でも、手で机をたたいても、この2つの区別さえつけば同じ符号を送れます。電気のスイッチのように、つなぐか切るかだけで文字を運べる形が、電信にぴったり合っていました。
2. よく つかう 字は みじかく
2. 活字ケースを数えたベイルの工夫
2. 符号長と使用頻度:辞書方式から文字方式へ
E は 「・」 1つ。 でも X は 4つも いります。 どうして こんなに ちがうのでしょう。 えいごでは E が とても よく 出てくるので、 みじかく して、 おくる 手間を へらしたのです。
この 考えに 力を かしたのは ベイルという 人だと つたえられています。 ベイルは、 新聞を つくる 会社に あった 字の はんこ(かつじ)を 数えて、 どの 字が たくさん いるかを しらべたと いわれます。
はじめは、 言葉に 番号を つけて、 番号を おくる やりかたでした。 でも 字ごとの ふごうに かえたら、 はやく つたわり、 じしょも いらなくなったと いわれます。
電信の実験をしたモールスが最初に考えたのは、辞書の単語に番号を振り、その番号を送る方式でした。ところが、ベイルが1838年ごろに、文字ごとに点と線の符号をあてる形へ替えたとされ、こちらのほうが速く、辞書も要らなかったと伝えられています[3]。
新聞社で文字を数える
短くする文字を決めるには、どの文字がよく出てくるかを知る必要があります。ベイルは、ニュージャージー州モリスタウンの地元の新聞社にある活字ケースを調べ、英語のどの文字がよく使われるかを見積もったと伝えられています[2]。
その結果がEを短点1つ、Tを長点1つとする割り振りです。符号の長さでみると、1個がE・T、2個がA・I・M・N、3個が8文字、4個が12文字(数字を除く)と、よく使う文字ほど短くなっています[5]。
ただし、発明者が誰かについては、モールスの側とベイルの側で意見が分かれてきました。この記事は、ベイルがこの改良に関わったとされる、というところまでにとどめます。
1837年のモールスの最初の案は、辞書の単語に番号を振り、番号を送る方式だった。ベイルが1838年ごろ(英語版Wikipediaは文字への拡張を1840年とする)、文字ごとの点と線の符号に替えたとされる。この方式は速く、辞書を持ち歩く必要もなかったとされる[3]。誰が符号の発明者かについては、モールス側とベイル側で争いがあり、資料は1人に断定していない。
活字ケースの計数
ベイルは、ニュージャージー州モリスタウンの地元新聞社にある活字ケースを調べ、英語のどの文字がよく使われるかを見積もったとされる[2]。出典はWikipediaの脚注が主で、具体的な個数は二次的な情報にとどまるため、ここには書かない。
符号長を数えると、1個がE・T、2個がA・I・M・N、3個がD・G・K・O・R・S・U・W、4個がB・C・F・H・J・L・P・Q・V・X・Y・Z(欧文、数字を除く)となる[5]。頻度の高い文字を短くして、送る時間を減らす設計である。
3. すきまも ふごうの 一部
3. 長さと空きの決まり
3. 1:3:1:3:7の時間比と、空きが必要な理由
モールスふごうでは、 音の 長さと 「すきま」の 長さも 大切です。 長い 音は、 みじかい 音の 3つぶんです。 ふごうの 中の すきまは 1つぶん、 字と 字の あいだは 3つぶん、 言葉と 言葉の あいだは 7つぶんです。
すきまが ないと どうなるでしょう。 A は 「・-」、 J は 「・---」で、 A が J の はじめに ふくまれています。 すきまで 字を わけないと、 どこまでが 1つの 字か、 わからなくなります。
長い 音が 3つぶんなのは、 2つぶんだと 聞きわけにくく、 4つぶんいじょうだと 時間が かかるからだと、 かんがえられているそうです。
4. 電気で とおくへ つたえる
4. 電鍵から紙テープまで、電信の仕組み
4. 電流のオン・オフから受信の記録まで
モールスふごうは、 でんしんという 電気の しくみで とおくへ おくられました。 おくる 人は 「でんけん」という スイッチを おします。 みじかく おせば 「・」、 長く おせば 「-」です。
電気の 流れが 線を つたわって、 とおくの きかいに とどきます。 きかいの 中の 電じしゃくが はたらいて、 紙の テープに しるしを つけます。 しるしの 長さと あきを 読めば、 字が わかります。
1844年の 5月24日、 モールスは ワシントンから ボルティモアの ベイルへ 文を おくりました。 「What hath God wrought」と いう 文で、 「神は なにを なされたか」と いう 意味だと されます。
5. 日本に 来た でんしん
5. 日本での電信とカタカナのモールス
5. 1854年の実験機と明治初期の和文符号
1854年、 ペリーが 日本に でんしんの きかいを おくりました。 「エンボッシング・モールスでんしんき」と いいます。 よこはまで やく900メートルの 電線を つかった じっけんが おこなわれました。 この きかいは、 いまは じゅうようぶんかざいに なっています。
日本語の 字を おくる ふごうも 作られました。 むかし、 いろはじゅんに、 えいごの ふごうを あてはめたのが はじまりだと いわれます。 ただ、 よく 使う 字を みじかくする くふうは、 されていないようです。
6. いまも 空で つかわれている
6. 空港の無線標識が名乗る符号
6. 現在の用途:航法無線標識の識別符号
モールスふごうは いまも つかわれています。 たとえば ひこうきの 道しるべに なる 電波を 出す きかい(ぶいおーあーるなど)は、 じぶんの 名前を モールスふごうで 流しつづけています。
海図(かいず)にも ふごうが のっているので、 聞こえた 音と くらべて たしかめられます。
7. じぶんでも ためして みよう
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
今日できること
手や えんぴつで つくえを たたいて、 おともだちと 「E」と 「T」を あてっこして みましょう。 E は トン 1回、 T は トーン 1回。 「T」の 音は、 「E」の 3つぶんの 長さです。
つぎに A(トン トーン)、 N(トーン トン)、 I(トン トン)、 M(トーン トーン)を ためします。 字と 字の あいだで 少し 間を あけると、 まちがいが へります。
出かけてできること
かみと えんぴつで、 「みじかい」を ・、 「長い」を - と きろくして みましょう。 じぶんの 名前の 字を、 ・と - だけで かいて、 おうちの 人に 音で つたえて みてください。
今日できること
机を指でたたいて、短点と長点を出してみましょう。E(1回)、T(長く1回)、A(短長)、N(長短)、I(短短)、M(長長)の6文字を、家族や友だちと出題し合えます。長点は短点の3つ分、文字の間は3つ分あけると、聞き取りやすくなります。
出かけてできること
図書館で電信や無線の歴史の本を探して、和文モールス符号の表と、欧文の表を見比べてみましょう。いろは順と頻度順の違いが見えてきます。
公式情報
郵政博物館のウェブサイトでは、エンボッシング・モールス電信機について知ることができます。
今日できること
短点・長点と空きの比(1:3:1:3:7)を守って、机をたたく実験をしてみる。E・T・A・N・I・Mの6文字を出題し合い、文字間の空きを詰めるとAとJのような重なりを区別できなくなることを、実際に聞いて確かめられる。
出かけてできること
電信の歴史を扱う博物館や資料館に足を運び、電鍵や受信機の実物を見る。郵政博物館などが所蔵する資料の案内を確認するとよい。
資料を読むなら
- 電信や符号の歴史は、図書館の通信史・技術史の本で
- 国際規格ITU-R M.1677-1(2009)の「Spacing and length of the signals」の節で、空きの比を直接
- 航空無線標識の識別符号の運用は、公的機関の航空情報の資料で
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
記事で使った資料の一覧。ウェブページの内容は変わることがあります。
- JRC 日本無線「コラム第4回 モールス符号の発明」 https://www.jrc.co.jp/casestudy/column/04 (符号の成り立ち、長点の長さの理由)
- Wikipedia「Morse code」 https://en.wikipedia.org/wiki/Morse_code (ベイルの活字計数、空きの比、国際化の年)
- HistoryNet「Morse's Partner Argued He Invented Famous Code」 https://historynet.com/morses-partner-argued-he-invented-famous-code-to-no-a-vail/ (辞書方式から文字方式へ)
- Smithsonian National Museum of American History https://americanhistory.si.edu/collections/object/nmah_713485 (1844年の公開実験)
- みんなの知識ちょっと便利帳「頻度で見るモールス符号」 https://www.benricho.org/symbol/morse-hindo.html (符号長ごとの文字)
- 立命館大学 サイバーセキュリティ研究室「モールス符号から考える符号化理論」 https://cysec.ise.ritsumei.ac.jp/2022/07/10/ (空きが必要な理由)
- 郵政博物館 https://www.postalmuseum.jp/column/collection/post_7.html (エンボッシング・モールス電信機)
- パワーアカデミー「電気通信の仕組み」 https://www.power-academy.jp/sp/electronics/familiar/fam02100.html (電鍵と電流のオン・オフ)
- Wikipedia日本語版「モールス符号」 https://ja.wikipedia.org/wiki/モールス符号 (和文符号、現在の用途)
- Wikipedia「VHF omnidirectional range」 https://en.wikipedia.org/wiki/VHF_omnidirectional_range (無線標識の識別符号)
- ITU-R M.1677-1「International Morse code」(2009) https://www.itu.int/rec/R-REC-M.1677-1-200910-I/en (2節:長さと空きの比)
なおした ところ
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